ごあいさつ
第52回日本臨床化学会年次学術集会集会長
岩手医科大学医学部臨床検査医学講座 諏訪部章
このたび、歴史ある日本臨床化学会の第52回年次学術集会の集会長を拝命し、平成24年9月6日(木)〜8日(土)の3日間、岩手県盛岡市のアイーナ(岩手県民情報交流センター)にて開催することになりました。
皆様ご存じのように、平成23年3月11日に発生した東日本大震災で、東北地方の太平洋沿岸の市町村は大津波により壊滅的被害を受けました。当大学および検査部の職員のご家族やご親戚にも被災された方がたくさんおりました。今回の震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまにはこの場をお借りし、心よりお見舞い申し上げます。また、これまでたくさんの皆さまから温かいご支援を頂きました。被災県の人間として合わせて御礼申し上げます。
さて、学術集会のプログラムですが、特別講演は、東京大学大学院医学系研究科リピドミクス講座(国立国際医療研究センター脂質シグナリング部)の清水孝雄教授に、「脂質生物学の展望」とのタイトルで脂質研究の最先端の講演をお願いしました。その他、シンポジウム7テーマ、教育講演5テーマを企画しました。それぞれに興味深い内容ですが、特に今回は、東日本大震災やチーム医療に関連するシンポジウムを企画しました。東日本大震災において被災した病院の検査室では何が問題となり、何が必要であったのかを、検査現場側および支援側からの生の声をお聞きし、今後の震災対策に役立てたいと思います。また、最近の検査室現場では、臨床検査技師が院内感染対策(ICT)、栄養サポート(NST)、糖尿病教室等でさまざまな職種と連携を取りながら横断的な診療支援を展開するチーム医療の必要性が叫ばれ、最近の診療報酬にも反映されてきています。チーム医療には臨床化学も深くかかわっています。このシンポジウムでは新しい展開を含めてこの議論を深めたいと思います。一般演題は75演題が集まりました。今回は時間に余裕を持って、発表10分、討論3分と十分な時間を取り、日頃の研究成果をあますことなく発表いただきたいと考えております。
なお、懇親会は、昨年の札幌での開催(渡邉直樹年次集会長)のような盛大なおもてなしはできませんが、三陸の海の幸とわんこそば大会などの盛岡ならではの企画で参加者の皆様に楽しんでいただければと思います。
被災地はまだまだ瓦礫の山であり、その復興はまだスタート地点にも立っておりません。たくさんの方々に参加していただくことで岩手県の経済が活性化されれば、今後の長期にわたる三陸の被災地支援に貢献できると期待しております。学会員の皆さま、ぜひ岩手・盛岡にお越しいただき、震災復興にまい進する我々や地元の被災者を応援してください! 宜しくお願いします。