004:慢性疾患の慢性という意味。(平成9年8月25日)
気管支喘息は、最近の概念変化からすると「慢性閉塞性剥離性好酸球性気管支炎」と呼ばれるのだそうです。妙に長ったらしい名前ですが、病気の頭に「慢性」という言葉がつきます。
慢性の病気というと、高血圧や糖尿病などを連想し、一生薬を飲まなければならないと考えがちです。同様に喘息を慢性の病気として考えてみると、一生発作で苦しむので一生薬を飲まなければならない、と考える方が多いのではないでしょうか?
しかし、慢性疾患は決して、慢性に病気で苦しめられたり、一生薬を飲んだりすることではない、と私は思います。慢性的に病気を管理して行かなくてはならない疾患である、と言い換えることができるのではないかと思います。
喘息も、治療の進歩で、吸入ステロイドをうまく使用すれば、普通の人間と同じように生活することができるようになりました。しかし、ピークフローモニターや定期的な吸入ステロイドを怠れば、いつかはまた気道炎症が再燃し、発作を起こしてしまうのです。
よく、喘息とは一生つきあわなくてはならない、と言われますが、それは一生喘息の発作で苦しめられるとか、一生喘息の薬を飲まなくてはならない、という意味ではありません。一生喘息を管理して行かなくてはならない、と言うことだと思います。
喘息の方が追わなければならないハンディとは、決して病気で肉体的に苦しめられたり、社会的・精神的な差別を受けたりすることではなく、一生懸命病気を管理して行く努力を怠らないことであると思います。
慢性の病気だから一生薬を飲まなくてはならないと考えているなら、それは誤りだと思います。