047:喘息と生命保険−大きなビジネス・チャンス?!(平成10年1月1日)

喘息と診断されると、生命保険に加入できない、加入できても保険料が高くなる、あるいは一定期間は喘息での入院に対しては給付できない、などの問題があるようです。

これに対し、喘息は発作時でなければ一見健康人と変わりなく見えるので、喘息であることを偽って保険に加入することが多いようです。そのまま発作で入院したりしなければ問題ないのですが、喘息であることが何らかの形でばれると、いわゆるブラックリストに載ってしまうようです。

私はここで、保険会社の経営者の方々に喘息の周辺事情は吸入ステロイドの普及によって大きく変わっていることをお知らせしたいのです。あるいは、このホームページの方で保険外交のお知り合いがいたら、是非このことを伝えて欲しいからです。

10年以上前、吸入ステロイドが普及する前は、内科病棟にはコントロール不良の喘息患者さんがたくさんいました。そのほとんどは、何カ月も入院期間を要し、せっかく退院してもまた再入院ということがしばしばでした。恐らく、保険会社にとっては、多額の支払いが必要となり、喘息は採算のとれない“目の上のタンこぶ”といっても過言でない病気であったと思います。

しかし、最近はまったく違います。確かに喘息死の増加などコントロール不良の方が多いような印象を与えますが、実際は、吸入ステロイドの普及によって喘息で長期入院を要するような患者さんは激減しているのです。明らかに喘息は、入院から外来へ治療の主体が移ってきているのです。病棟での勉強が主体である若い研修医などは、喘息の発作を経験したことがないという憂慮すべき問題すら起こっていると言えます。

<1>喘息の方は誰しもが万が一に備えて生命保険に加入したい、しかも<2>喘息の患者数は確実に増加している、それに加え<3>喘息による長期入院患者は確実に減っている。これは、保険会社にとってまさに大きなビジネス・チャンスでさえあると言えます。もう一度喘息患者さんの入院状況を調査し、「喘息の方歓迎」という新しい保険プランを作ってみては如何でしょうか?

私の叔父が生命保険会社に勤務しているので、今度相談してみようかな?