076:喘息講演会での出来事。(平成10年9月29日)

先日、山形県内のある都市の医師会の貢献会で「気管支喘息の吸入ステロイド療法」と題した講演をしてきました。

私の話しは、いつも医師会にお集まりの先生向けの話しではなく、どちらかというと実際に吸入指導をされる薬剤師や看護婦向けの話しが中心になります。従って、なぜ喘息は起きるのか、そのメカニズムは何か、など難しい話しは一切なく、症例を呈示しながら、如何に吸入ステロイドを効かせるかピークフローメーターを用いてどのように自己管理して行くか、それだけの話しです。

最後にお礼の言葉を述べて下さった先生の言葉を引用しますと、

いつも喘息の講演と申しますと、アレルギーの講義から始まり、ロイコトリエンやキサンチンなど難しい話しから入りますので、すぐ眠くなるわけですが、今日の先生の話には吸い込まれて行くと申しますか、実に明日からの診療に役に立つお話しでありました。

と言うことになるのだそうです。

また、外務省の医務官として発展途上の医療に貢献されて、開業されたばかりの先生が愚講を聞きに来て下さっていて、ホームページアドレスをお教えしましたところ、その夜すぐに以下のような嬉しいメールを頂きました。その応答をご紹介いたします。


Merci beaucoup

諏訪部先生

先生の御講義を先程拝聴して以来、私の頭の中では、吸入ステロイド療法を話される先生の声が、繰り返し幾度も現在も講義を続けております。

ホームページに早速アクセスさせて頂きました。講義の続きをして頂いている如き錯覚を抱きながら拝見いたしました。あらためて週末にはじっくり読みながら勉強させていただきます。

名刺を頂く際に、チラリとお話ししましたが、私は発展途上国で、医務官として長年過ごしていた為に、医学の変わり方に気が付かない面が沢山出てきていることに、最近思い知らされております。春に外務省を退官し、開業の道を選んだばかりです。皮肉なことに、来て欲しくない喘息患者がここ最近とみに来るのです。やむなく手元にあった喘息の資料を読みながら知識の補充に努め始めている現在ですので、私にとって今晩は本当に嬉しい日となりました。喘息の患者を診るのが待ち遠しいそんな気持です。

2週間前に、遠くの他医で加療中のクランケ(患者)が、近くに位置している私のクリニックへ参りました。もちろん喘息の状態がいまいちという理由です。ベコタイドも時折使用中とのことでした。このケースは先生のご講義が活かされそうですネ。今度の再診時には、違った眼で診察をすることになりそうです。

今後加療にあたり、何かご相談を申し上げたい点がありましたなら、どうかご指導を下さい。

宜しくお願い申しあげます。

また、私もホームページをあげております。ただし更新する時間がなく、予告のみのままです。海外医療相談ページとして、海外在留邦人や外国へ行かれる方々を対象に、海外生活の疑問点と不安の解消に役立てばと計画しているのですが、クリニック開院の雑用にまだ追われており怠けておりました。しかし、先生のホームページに刺激を受けました。よしHPを仕上げよう、そんな気持ちになった今晩でもあります。

諏訪部先生、本日はいろんな意味で、本当に有り難う御座いました。

Many thanks! Merci beaucoup! インドネシア語でテリマカシー、ロシア語でスパッシーバ、中国語でシェーシェー…。

世界中のすべての言葉で、メールの末尾に「有り難う」と埋め尽くしたいほど、有り難う御座います。

Revoir! Dr.Suwabe. (先生はUSAに行かれていたのですね)


○○先生。

メールありがとうございました。こんなに早くホームページへアクセスしていただき、しかもメールを頂けるなんて思ってもおりませんでした。インターネットを生活に取り込んでおられるのも、これまでの国際的なお仕事の賜と思います。

>>私は発展途上国で、医務官として長年過ごしていた為に、医学の変わり方に気が付かない面が沢山出てきていることに、最近思い知らされております。春に外務省を退官し、開業の道を選んだばかりです

→私はアメリカに2年半住みましたが、○○先生のような発展途上国での生活の経験はありません。どのような体験をされたのか非常に興味あるところですので、ぜひホームページを完成させていただきたいと思いました。

>>今後加療にあたり、何かご相談を申し上げたい点がありましたなら、どうかご指導を下さい。宜しくお願い申しあげます。

→こちらこそ宜しくお願い申しあげます。県内の講演を通じまして、○○先生のような先生方と知り合えることはこのうえない喜びです。

また、ひとつ考えておりますことは、大学に在籍してその専門性をインターネットなどのメディアを通して提供し、第一線医療に貢献できる機会がないものかと、以前より考えておりました。例えば、○○先生が治療に苦渋されているような患者さんの病歴や検査データなどを送っていただき、それに対して可能な限りの助言をさせていただく…。これは、過疎地の医師不足にも対応できると思います。全国に先駆けて、山形がこのようなモデル地区になれればなと、県に働きかけているところです。

今後とも宜しくお願い申しあげます。


諏訪部先生

ご返事メール嬉しく拝受いたしました。有り難う御座います。

>>私はアメリカに2年半住みましたが、○○先生のような発展途上国での生活の経験はありません。どのような体験をされたのか非常に興味あるところですので、ぜひホームページを完成させていただきたいと思いました。

→△△医師会の機関誌に、在外医療活動経験のエッセイをシリーズで始めたばかりでその原稿書きに追われております。文章を書くのは時間がかかる方ですので、毎月締め切りに追われゆとりのない最近ですが、何とか時間をやりくりし、HPの完成に努力してみます。激励有り難う存じます。

>>また、ひとつ考えておりますことは、大学に在籍してその専門性をインターネットなどのメディアを通して提供し、第一線医療に貢献できる機会がないものかと、以前より考えておりました。例えば、○○先生が治療に苦渋されているような患者さんの病歴や検査データなどを送っていただき、それに対して可能な限りの助言をさせていただく…。これは、過疎地の医師不足にも対応できると思います。全国に先駆けて、山形がこのようなモデル地区になれればなと、県に働きかけているところです。

→先生、これ是非やられて下さい。私もこのようなシステムが動かないかなと思いながら山形へ今回参りました。インターネットの利用で確立しやすい方法だと思っております。例えば、私が苦慮するクランケ(患者)に出会った場合、友人の専門医に、データその他を送るとコメントが返ってくる。レントゲンも当座は、スキャナーで取り込んだ画像ファイルで間に合わせることとすれば、お金もかからないし。そんなことを本気で考えておりました。しかし何しろまだまだインターネットを使いこなしている友人医師は少なく、現実はFAXやレターで相談するのがせいぜいです。これは時間がかかるのであまり役立っておりません。やはりインターネットですね。

外務省では、私が本省勤務となりました3年前に、在外LANがあちこちの公館と接続され初めました。そこで私は、約55名の医務官のうち、LANが接続されている医務官に加え個人的にインターネットと接続をしている医務官に呼びかけ、医務官ネットワークを作りました。当初は10名弱のスタートでしたが、私が退官する頃には、30名近くが参加しておりました。患者のことで、困ったことがあると、それをメールに流せば、専門医の集まりの集団ですので、誰かが質問に答えてくれるようになってきました。インターネットの力を本当に有り難く嬉しく感じております。

外務省では医務官のために、何かを立案しても、たとえ僅かでも予算を伴う懸案は、まず1、2年では実現しませんでした。結局5年先、いや10年経たないとダメなのが現実です。結局、お金の必要ないやり方で、或いは自分たちの身銭でまずスタートを切り、それから現状を認めさせる戦法に転じたところ、実現化が速いことに気が付きました。

諏訪部先生、私は山形県の事は全然わかりませが、有志だけでまずはスタートを切れないものでしょうか。そして現実に動き始めている有益なシステムを、県に認めさせる。県会議員、或いは政治家さんもおりますし…。

諏訪部先生、県のことを知らない私が生意気なことを申してしまいました。お許し下さい。難しいことも多かろうと思いますが、是非実現して下さい。

では、今度は、喘息のクランケ(患者)のことでメールを致すかもしれません。今後とも宜しくお願い申しあげます。