(1)吸入療法について

◆気管支喘息の治療法には、内服薬、吸入薬、注射などがありますが、最近の主流は吸入薬です。その理由は、効き目が早く、十分な量を投与でき、かつ最も副作用が少ないからです。しかし、吸入方法が難しく正しく吸入しないと効果が得難いなどの欠点があり、まだ普及していないのが現状です。この冊子は、より効果的に、吸入療法を行って頂くために作製しました。

◆まず、吸入薬には、発作治療薬と予防薬の2種類があります。
●発作治療薬:発作が起きている時に使用すると楽になります。ただし、喘息を根本的に治す作用はありません。不適切な吸入をすると、動悸や手の振るえなどの副作用が起きることがありますが、正しく吸入すれば、ほとんど副作用がおきません。
●予防薬:発作の起こる回数を減らします。逆に発作の起きている最中に使用してもほとんど効果がありません。効果は2〜3週間してから現われるので辛抱強く続けて下さい。効果発現がみられなければ吸入回数を増やす必要があります。吸入予定時間に発作がある時や痰がある時は、発作治療薬でよく気管支を広げ、痰を切ってから吸入を行って下さい。不適切な吸入をすると、咽の痛みや咳などの副作用が起きることがありますが、正しく吸入すれば、ほとんど副作用がおきません。

◆次に、吸入方法ですが、じかに吸入する方法スペーサー(補助器)を使用する方法の2種類があります。


前者は、旅行時や外出時などの緊急時に行うのがよいでしょうが、通常の吸入は後者が推奨されています。スペーサー(補助器)は、吸入方法の欠点である吸い方の繁雑さや副作用である咽の痛みを解消するために開発されました。