(4)喘息専門医をどのように探したらよいのですか?

【003】34歳男性(会社員)から

<質問>
私はインターネットに接続でき先生のアドバイスが受けられてこのように自信が持てる体になりました。本当に感謝をしています。でも一つ疑問があります。それは、こうしたステロイド療法を実施している病院に行っていない人や、先生のホームページにアクセスできない患者は、良くなるのも悪くなるのも全て医者次第になってしまうのではないか、ということです。喘息に限らず全ての病気が医者次第という気がします。それはどうもやりきれない気がするのです。「専門医に診てもらうべきだ」という声を良く耳にしますが、では専門医はどこにいるのでしょうか?現実的にはこうしたことに悩んでいる人が本当に多数いると思います。先生はこの件についてどうお考えでしょうか?何か参考になる機関や方法をご存知でしょうか?

<応答>
“どうやったら良い医者に巡り会えるか?この点に関しては、この「寄稿集」の(10)の患者さんのところで、少し触れていますので、まずそこを是非お読み下さい。

実際には、地域の医師会や肺やアレルギー関係の学会で、「喘息の場合はここの病院に行きなさい」と言う情報を公開しているところは、非常に少ないのではないかと思います。家庭向けの医学書によっては、小児アレルギー関係の専門医の全国一覧表を公開しているようですが、実際にまだ数が少なく、必ずしも通院できる範囲にその病院があるとは限りません。また大きな病院では、通院に丸1日かかってしまうことがよくあり、頻回に行くには適しておりません。

また喘息の場合は、呼吸器専門医に巡り会えたから喘息が良くなるかというと、専門医でも吸入ステロイド療法に積極的でない場合もあり、必ずしもうまく行かない場合があるという深刻な問題があるのです。どんな医者でもある程度の喘息がよくできるようにと、「喘息治療ガイドライン」なるものは作成されているが、これもまだ末端まで浸透していると言える現状ではありません。

こう述べてしまうと、あまり見通しが明るくないですが、逆に専門医でなくても積極的に吸入ステロイドやピークフローメーターなどを取り入れる喘息に明るい医師は結構いるものです。

私も全国各地に呼吸器科専門の医師は何人か知ってはいますが、特定の施設や医師を公開するのははばかられます。そこで、“どうやったら良い医者に巡り会えるか?”について私が考える現段階での最も良いマニュアルは、以下の通りです。

まず、かかりつけの医師や「呼吸器科」を標榜している最寄りの中規模程度の病院を受診し、診断や治療を受けてみる。そして、運良くそれで症状が良くなればそれでいいと思います。しかし、指示をきちんと守っているのに一向に良くならないとか、病状や薬の説明の仕方が高圧的であったり歯切れが悪かったりしたら、思い切って「専門の先生を紹介していただけませんか?」と聞いてみる。(実際これがなかなかできないのだとは思いますが…)そして、それなりの誠意のある回答が得られない場合は、早目に医者を変えるしかないでしょう。

私がこのホームページを公開するようになった大きな経緯もこうした背景があります。しかし、確かにあなたのおっしゃるように、インターネットはまだまだ1部の限られた人にしか利用されていないのが実情で、今後も色々な方法を考えてゆかねばならないと思います。もっと問題なのは、治療する側の医師でさえ、またたとえ呼吸器やアレルギーの専門医でさえ、吸入療法に明るくない先生がいると言う現実です。この点は、私も今後頑張ってゆかなければならないと考えています。しかし、少し高飛車な言い方ですが、医者が医者を教育するのは最も困難な部類の問題なのです。ましてや私のような中堅医師が、年輩の医師にああだこうだと説教しても聞いてくれるるはずがありません。従って、吸入ステロイドの普及や吸入指導に関しては、“草の根運動”でゆくしかないのかなと現在は考えています。

この専門医の問題は現在のところ私も頭を抱えている点であり、ここまでしか回答できません。良い情報があれば私が教えて欲しいほどです。申し訳ありません。