(1)私は吸入ステロイドを処方してもらえるでしょうか?
【008】17歳女性(高校生)から
<質問>
わたしは17歳です。今の生活は運動の前などには必ず吸入を一度します。
寝る前には薬をのんでねてます。喘息の程度としては、発作という発作はでないのですが、風呂からあがったときや運動の後に呼吸が困難になる程度です。季節の変わり目にはやはり、すこし走っただけでも息苦しくなります。
いま、病院には薬がなくなると行くという生活です。2週間分のくすりをもらい処方箋には朝・昼・夕方4時と書いてありますが、自分の体調にあわせて夜のみです。病院でも吸入や薬は体調にあわせて飲んでくださいとか、前は薬が手元にあると安心するタイプですね、と言われましたが、夜は寝てもちょっとすると息苦しくなるんです。
ホ−ムぺ−ジを出されている方にも相談したのですが、吸入ステロイドを使うととても良いってアドバイスがありました。
私のようなあまり重くない喘息でも吸入ステロイドは処方されますか? また吸入ステロイドとはどういう薬ですか?
よろしければアドバイスをください。
<応答>
>>わたしは17歳です。いまの生活は運動の前などには必ず吸入を一度します。寝る前には薬をのんでねてます。喘息の程度としては、発作という発作はでないのですが、風呂からあがったときや運動の後に呼吸が困難になる程度です。季節の変わり目にはやはり、すこし走っただけでも息苦しくなります。
→これは運動誘発喘息と言って、安静にしていると苦しくないのですが、運動すると発作が起きるという喘息の一種です。ごく軽いうちは、運動してないときは何ともないこともありますが、度々起きたり、あなたのように運動前に気管支拡張剤の吸入をしないと発作が起きるとすれば、安静の時でも“気管支に炎症がおきてむくんでいる”と考えられます。入浴後や運動後に少し苦しくなるのは、炎症がひどくなるからです。喘息の発作は、この炎症がしっかり取れないから起きるのです。運動前に気管支拡張剤をシューッと1吹きしても、発作は起こらなくしてくれますが、気管支の炎症は取れませんから、薬の効果がなくなるとまた発作が起きてしまうのです。
>>いま、病院には薬がなくなると行くという生活です。2週間分のくすりをもらい処方箋には朝・昼・夕方4時とかいてありますが、自分の体調にあわせて夜のみです。病院でも吸入や薬は体調にあわせて飲んでくださいとか、前は薬が手元にあると安心するタイプですね、といわれましたが、夜は寝てもちょっとすると息苦しくなるんです。
→症状に応じて気管支拡張剤の内服薬を服用し、夜のみの内服で症状が治まっているのなら問題はないと思いますが、基本的にその状態を続けていっても、喘息が良くなることはあまり期待できないのではないでしょうか?一度気管支の炎症をきちんと取るような治療をし、喘息を克服しておいた方が今後のためにも安全だと思います。是非私のホームページの「寄稿集(05)」の女子高生のところを読んでみて下さい。できれば両親にも読んでもらって下さい。
>>わたしのようなあまり重くない喘息でも吸入ステロイドは処方されますか?また吸入ステロイドとはどういう薬ですか?
→あなたも吸入ステロイドを使って気管支炎症を取ればよいのではないかとは思います。また、吸入ステロイドは重症だから使用するのではなく、今くらいから使った方が効果が良く、また将来的には薬を減らせるかもしれないという点で優れています。
ただ、いくつかの問題があります。あなたの現在の先生は小児科ですか? また、内科だとしたら呼吸器専門の先生ですか?ちょっと混乱するかもしれませんが、喘息の治療は色々な考え方があり、先生にとって異なることがあるのです。特に小児科の先生は、吸入ステロイドを受け付けてくれいない場合があります。また、あなたが両親に「吸入ステロイドを使ってみたい。」と話しても、「ステロイドなんて恐いからやめなさい。」と言われることがあるかもしれません。
実は、私がホームページを開いた最大の理由が、この吸入ステロイドを正しく普及させようという考えがあったからなのです。飲み薬のステロイドは確かに長く飲み続けると、骨がもろくなったり、糖尿病になったり、色々な副作用があります。しかし、吸入ステロイドは、正しく吸入すれば長く続けてもまったくと言ってよいほど副作用がないのです。しかも効果抜群に気管支の炎症を取って発作を予防してくれます。
ステロイドが恐い薬だと考えられていたのは随分前の話で、吸入ステロイドは10年くらい前から普及してきた新しいステロイドなのです。以前悪者だったので、なかなか受け付けてくれないのです。一度かけれられた誤解を解くのはとても大変なことですね。
従って、あなたが吸入ステロイドの適応があるかどうかは、先生によって大きく異なることは十分予想されます。しかし、日頃の症状をよく話をすれば、担当の先生もわかってくれるのではないでしょうか? ぜひあなたのご両親にもこのホームページをご覧になって欲しいと思います。
最後に、もし吸入ステロイドを使うことになったらの話ですが、ぜひこのホームページで正しい吸入操作を勉強して下さい。恐らく1週間以内に驚くような効果が得られるでしょう。そして、先の話ですが、吸入ステロイドで良くなってもけっして喘息が治ったとは考えないで下さい。よく喘息とは一生つきあわなければならないと言われますが、その本当の意味は私は良くなってからにあるのだと思います。決して喘息の発作に慣れろという意味ではありません。喘息が良くなったと吸入ステロイドをやめたりすると無理をして命に関わるような発作を起こすことがよくあるからです。そして、できればピークフローメーターを導入し、来る結婚や妊娠のためにあなたの喘息と一生つきあってくれれば良いなと、考えます。
以上ですが、まだわからないことがあればいつでもメールを下さいね。
では。