(17)痰は飲み込んでも構わないのですか?
【002】40歳男性(配達自営業)から
<質問>
私はこの痰出しが下手で、精一杯気張って頑張っても痰がなかなかせりあがってきませんが、たいていは少しずつせりあがってきて、やっと気管の上の方まで来たかなと思っても、まだしっかりと気管にこびりついている感じがします。しかし、それ以上はなかなか出てこないので、そこで吐き出そうとします。でも気張っても痰はあまり動かず、吐き出せる位置にまで出てくるのはほんのちょっとずつなのです。当然、吐き出してもその量はごくわずかです。喉がすっきりするまで吐き出し作業を続けていると、そのうち喉が痛くなります。ですから、吐き出さずに飲んでしまうことが度々あります。痰を飲むというのはまずいですか?ほかの方はどうなさっているのでしょうか?
<応答>
痰は飲み込んでも差し支えはないと思います。例えば一般的な細菌感染時の黄色い痰を飲み込んでも胃の中でほとんどは死滅するでしょうから、腸内に細菌が入り込み下痢や腹痛を伴う腸炎を引き起こすことは希でしょう。
ただし、肺結核の原因菌である結核菌は別名抗酸菌と呼ばれ、痰として飲み込まれて胃に到達しても胃酸(pH=2)の中でも生きる続けることができます。このことがしばしば、肺結核の診断に胃液培養が行われるゆえんです。肺結核が疑われる患者さんの痰をいくら調べても結核菌は出ないのに、胃液培養から結核菌が検出されることは良くあります。その一部が腸へ移行し腸結核の原因になるのかもしれません。
ただ、肺結核と診断されれば、痰は飲み込まない方がいいと指導できるかもしれませんが、大概はその前にすでに飲み込んでいるのでどうしようもありません。意識的に飲み込まなくても自然に胃に入ることはいくらでもあります。