(24)なぜ口で吐いてから吸入するのですか?
【002】40歳男性(配達自営業)から
<質問>
吸入するときにまず息を吐きますが、その吐き方について教えて下さい。先生は口を開いてゆっくり吐くというようにお書きになっていたと思いますが、なぜそうするのでしょうか? 私の場合、口を開いてゆっくり吐くと、息を吐ききるということができないみたいで、吸入しても長く吸いつづけることができません。しかし、口をすぼめて風船でも膨らませるようにプーッと勢いよく吐くと、長く(5秒以上)吸いつづけることができます。
空手には呼吸法というのがあって、下腹にリキを入れてカーッ、カーッ!と吐く方法があります。そのようにするのであれば息を吐ききることはできますが、しかしゆっくり吐くとなると吐く息がたちまちなくなってしまい、吐くのがどうも不十分なままになってしまうようです。
吸入するに際しての息の吐き方は、吐ききれなくても口を開いてゆっくりしたほうがいいのでしょうか。
<応答>
息の吐き方は、良い質問ですね。
ただ、「口で吐く」というのはあまり意識していませんでした。言われてみれば、鼻から吐くのと、両方から吐くのと色々の吐き方がありますね。スペーサーでゆっくり吸うときは、どちらでも良いと思うのですが、スペーサーを使わないオープンマウス法(→「特集・吸入療法」参照)は、吐いた後に口腔内へ噴霧するのでどうしても口を開けたままにしておかなくてはなりません。従って、口を開けて吐いた方がいいのだと思います。スペーサーを使うときでも「口から吐く」と書いたのはその名残りですね。
実は、どのレベルまで吐いてから吸入を開始するかは、学会でも論じられていたのです。つまりどこまで吐けばより吸入効率が高まるかということにつながるからです。当初は、安静呼気位といって、吸っても吐いてもいない楽な状態からの吸入開始が良いといわれていましたが、最近は最大呼気位(最大に吐いた状態)からの吸入の方が、効率が良いと言われるようになっています。
あなたの質問は、この最大呼気位まで達するのにどのような吐き方が良いのかということだと思います。確かに、絞り出すまで吐けばそれだけたくさん吸えることは間違いないです。ただ、絞り出すまで吐くと時に苦しくなり、そこから我慢できなくなって吸い始めるとどうしても、吸入にとって大切な吸いはじめの速度がとても早くなると思います。
徹底的に吐いてからたくさん吸おうとするよりも、ある程度吐き切った状態からゆっくり吸い始める方が、多少吸入量は減っても効率的に細くなった気道に入って行くので、喘息には良いのではないでしょうか? いくら吸入効率が良くてもそのほとんどが喉に当たったり太い気道にばかり到達しては意味がなくなります。
ただし、ある程度状態が良くなってくるとあまり関係ないかもしれませんね。