(1)喘息だとは思うのですが、診断があやふやで不安です。
【018】30代後半の女性の方より
<質問>
いつもありがたく拝見させていただいております。
私の病状についての質問です。
昨年夏ごろから気道過敏症状(天気、風、温度などに反応し、咳が始まる)らしきものが始まる。
その後、A病院受診。喘息の疑いで検査。アレルギー反応がほんの少し認められる他、異常が認められず、抗アレルギー剤と咳止めが出される。症状が少し治まり、投薬は中止。
しかし、その後再び咳が始まり、前回同様の投薬あり。1週間様子を見たものの、ますます咳がひどくななる。咳は夕方から深夜と午前中にひどくなり、会話もままならない事が多く、再び受診。
ベコタイドの投薬となる。激しい咳は止まったものの、明け方の咳、息切れ、喘鳴(らしきもの。喉のあたりから、息を吐く際ヒューヒューとなる)など、以前にはない症状が出る(症状として残ったものかどうかわからない)。
昨年暮れからベコタイドが吸入を倍にするように指示される。症状が全体的に改善されるが、生理、風邪などの間は、以前の状態に戻ってしまう。喘鳴らしいものは軽くなったものの消える事はなく続く。現在に至るまで、この状態が繰り返されている。
以上、簡単に今までの経過を述べさせていただきました。主治医は、「喘息かどうかまだわからないが喘息の治療をとりあえずしてみましょう」と言っておられました。少しずつ良い方向にむかっているようには思えるのですが、診断がはっきりせず不安です。
また、喘息の他に何か考えられるほかの病気はないのでしょうか? CTを撮っていただきましたが、肺は異常なしという事でした。
心因性は考えられないでしょうか? 身に覚えがない事ではありますが、それだけに心因性であった場合根深い原因が考えられ、治療が必要なのではないでしょうか。
心因性のほかにはどうでしょうか?
頚椎に変形があって、神経が刺激され手がしびれる病気になった事がありますが、関連の可能性はどうでしょうか?
実は、他の病気で手術を控えているのですが、手術のためにも今よりももっと良い状態になっていたいと思います。
主治医にももう一度確認してみるつもりでおりますが、先生のご意見もお聞かせいただけましたら有り難いと存じます。
宜しくお願いいたします。
<応答>
メールありがとうございます。2、3コメントさせて下さい。
>>昨年夏ごろから気道過敏症状(天気、風、温度などに反応し、咳が始まる)らしきものが始まる。
小児喘息その他の既往がないとすれば、経過的にはそんなに長くありませんね。
>>その後、A病院受診。喘息の疑いで検査。アレルギー反応がほんの少し認められる他、異常が認められず、抗アレルギー剤と咳止めが出される。症状が少し治まり、投薬は中止。
胸部レントゲン写真と肺活量検査はなさいましたか? 両者とも異常はなかったのでしょうか? 胸部レントゲン写真は、後でCT検査はきれいだったと書かれてありますので、恐らく異常はなかったのだと思います。喘息ではレントゲンやCTでは通常何も所見がありません。
特に喘息の初期であれば、肺活量検査でも何の異常もでないことがあります。
喘息様気管支炎という仮診断があります(→「質問と応答」参照)が、これにしては症状が持続的すぎますので、私はすでにあなたは立派な喘息であると思います。息を吐く際ヒューヒューとなること、吸入ステロイドがある程度効果を発揮していること、などがその根拠です。
>>ベコタイドの投薬となる。激しい咳は止まったものの、明け方の咳、息切れ、喘鳴(らしきもの。喉のあたりから、息を吐く際ヒューヒューとなる)など、以前にはない症状が出る(症状として残ったものかどうかわからない)。…昨年暮れ頃からベコタイドを倍にするように指示される。症状が全体的に改善されるが、生理、かぜなどの間は、以前の状態に戻ってしまう。喘鳴らしいものは軽くなったものの消える事はなく続く。現在に至るまで、この状態が繰り返されている。
これは、吸入ステロイドの効果は出ているものの、まだ、私の考える「第1段階(→「診療日記」参照)」の効果しかえられていない状態と思います。吸入ステロイドは、スペーサーという補助器を使用していますか? ぜひ「特集・吸入療法」をじっくり読んでご自分の吸入方法をチェックして下さいね。
風邪や生理で喘息の状態が元に戻るのは、気道炎症が不完全に残っているからで、いわゆるイエローゾーン内にあるからだと思います。ぜひピークフローメーターを入手して下さい。機種や身長にもよりますが、恐らく現在は300前後、良い時でも400くらいではないかと思います。ピークフローメーターは、吸入ステロイドを使用してもまだあなたの状態が不完全であることを数字で教えてくれるでしょう。
>>以上、簡単に今までの経過を述べさせていただきました。主治医は、「喘息かどうかまだわからないが喘息の治療をとりあえずしてみましょう」と言う事をいっておられました。少しずつ良い方向にむかっているようには思えるのですが、診断がはっきりせず不安です。
お気持ちは良く分かります。これは、恐らくあなたが、明らかな発作を起こしていないことによるのだと思います。また、喘息とはっきり診断することで、あなたががっかりしないようにするための配慮である場合もあります。
「寄稿集(20)」の方のところを読んでみて下さい。あなたのように喘息予備群として、日常生活に悩んでおられる方は結構たくさんいるのです。このような方が、適切な治療がなされないといつしか頻繁に発作を起こす、真の喘息になってしまうことが多いのです。
私は、あなたは喘息だと思いますが、診断名がどうであろうとあなたの気管支に起きている出来事に変わりはないわけですから、あまり診断名にはこだわらずに、とにかく今の状態を良くすることに全力を注ぐべきでしょう。
>>喘息のほかに何か考えられるほかの病気はないのでしょうか? CTを撮っていただきましたが、肺は異常なしという事でした。
喘息では、普通、肺の方は問題ないことが多いです。気管支に炎症があっても、レントゲン写真には写りません。ですから、診断は喘息でいいと私は思います。
>>心因性は考えられないでしょうか。身に覚えがない事ではありますが、それだけに心因性であった場合根深い原因が考えられ、治療が必要なのではないでしょうか?
心因が原因で喘息になることはありませんが、心因が喘息の咳や発作の引き金になることはあり得ます。このような場合、気道炎症が吸入ステロイドで完全に取れると、同じ心因が加わっても何も症状がでなくなることはよく経験されることです(「寄稿集(03)」の方参照)。
吸入ステロイドを行っているのにあまり良くならないから、他の病気かもしれない、あるいはもっと良い療法があるかもしれないと考える前に、まず吸入ステロイドをいかに効かせるかを考えてみては如何かと思います。そのヒントが、私のホームページにはぎっしり詰まっています。
>>心因性の他にはどうでしょうか?
レントゲンに異常がなく、かつ喘息でなく、それでも長い間咳や喘鳴が続く疾患は存在しないと言っても良いと思います。血圧の薬を飲んでいるとか、ヘビースモーカーであったとか、特殊な要因はないですよね。
>>頚椎に変形があって、神経が刺激され手がしびれる病気になった事がありますが、関連の可能性はどうでしょうか。
喘息との関連はないと思います。
>>実は、他の病気で手術を控えているのですが、手術のためにも今よりももっと良い状態になっていたいと思います。
手術に備えて、喘息は万全の状態で臨むべきです。そのためにも、ピークフローメーターで自分の状態を良く知っておく必要があります。また、手術入院は、一応ベッド安静が保てますので、その期間は喘息治療にも良い方向に作用するでしょう。
では、また経過などお知らせ下さい。
<追加メール2>
お返事ありがとうございます。思っていたよりも早くご返事がいただけて、うれしく存じます。
>>小児喘息その他の既往がないとすれば、経過的にはそんなに長くありませんね。
小児喘息は有りませんでしたが、10代のころから花粉症が有りました。それが3年ほど前からでしょうか、シーズンになると喉や胸のあたりがいがらっぽい感じがして、時々咳が出るようになりました。その他は、風邪らしい風邪をひく事もなく、我ながら丈夫な体だと思っていたのですが…昨年の秋からお知らせした通りの体調になってしまいました。
>>胸部レントゲン写真と肺活量検査はなさいましたか? 両者とも異常はなかったのでしょうか?
肺活量検査はしていません。胸部レントゲン写真では、異常がありませんでした。
>>喘息の初期であれば、肺活量検査でも何の異常もでないことがあります。「喘息様気管支炎」という仮診断があります(→「質問と応答」参照)が、これにしては症状が持続的すぎますので、私はすでに立派な喘息であると思います。息を吐く際ヒューヒューとなること、吸入ステロイドがある程度効果を発揮していること、などがその根拠です。…吸入ステロイドは、スペーサーという補助器を使用していますか? ぜひ「特集・吸入療法」をじっくり読んでご自分の吸入方法をチェックして下さいね。
やはり喘息らしいですね。吸入ステロイドははじめからスぺーサーを使用しています。「特集・吸入療法」を読ませていただいて、うまく吸入しているつもりですが、何か読み落しがあるのかもしれませんね。もう一度読んで確認してみます。
>>ぜひピークフローメーターを入手して下さい。恐らく現在は300前後、良い時でも400くらいではないかと思います。
病院の売店にアセスが置いてあるのを思い出して、今日、購入してきました。早速測定したところ、300でした。(身長150、時刻は午後2時頃)
電話で30分ほどおしゃべりをしただけなのに、ヒューヒューと喉から音が聞こえ、胸の奥が痛いような苦しさになる、ゆっくり歩かないとすぐに息苦しくなる、仰向けに休む事が出来ない、など、ベコタイド1日4吸入が始まっても、軽くなったのは咳だけで、替わりに息苦しさが出てきました。
>>喘息では、普通、肺の方は問題ないことが多いです。気管支に炎症があっても、レントゲン写真には写りません。ですから、診断は喘息でいいと私は思います。
喘息と診断されて安心すると言うのは変ですが、これまでの治療が決して無駄でも、回り道でもなかったと安心いたしました。
>>心因が原因で喘息になることはありませんが、心因が喘息の咳や発作の引き金になることはあり得ます。このような場合、気道炎症が吸入ステロイドで完全に取れると、同じ心因が加わっても何も症状がでなくなることはよく経験されることです(「寄稿集(03)」の方参照)。
早く良くなるためには、のんびりすごす事も大切なのですね。
>>吸入ステロイドを行っているのにあまり良くならないから、他の病気かもしれない、あるいはもっと良い療法があるかもしれないと考える前に、まず吸入ステロイドをいかに効かせるかを考えてみては如何かと思います。そのヒントが、私のホームページにはぎっしり詰まっています。
喘息とわかったのですから、あらためて端から読み直してみます。
>>在しないと言っても良いと思います。血圧の薬を飲んでいるとか、ヘビースモーカーであったとか、特殊な要因はないですよね。
はい。それらは一切ありません。
ご丁寧なご返事、本当にありがとうございました。
<追加応答2>
今回のメールで詳しい状況がわかりました。
>>病院の売店にアセスが置いて有るのを思い出して、今日、購入してきました。早速測定したところ、300でした。(身長150、時刻は午後2時頃)
ピークフロー値を買われたのですね。まずは、ワンステップ上に上がったという感じでしょう。300という値はくしくも私の予想がぴったりでしたね。やはり300はまだまだ低いと思います。低いから、すぐどうしろと言うことではなく、自分のピークフロー値はもっと上がるのだ、従ってまだあまり無理できないのだという意識を持って下さい。
>>電話で30分ほどおしゃべりをしただけなのに、ヒューヒューと喉から音が聞こえ、胸の奥が痛いような苦しさになる。ゆっくり歩かないとすぐに息苦しくなる。仰向けに休む事が出来ない。など、ベコタイド吸入が始まっても、軽くなったのは咳だけで、替わりに息苦しさが出てきました。
ベコタイドを吸っていてもこのような症状が残っているとすれば、ベコタイドの吸い方に問題があるか、日常生活上で無理をしている、風邪が治りきっていない、などがほとんどです。これらに問題がない場合は、主治医の言うように吸入ステロイドを倍くらいに増やしてみるのが良いでしょう。それでもピークフロー値が上がらないなら、かなり重症と考えられますから、一定期間経口ステロイドの適応になります。ベコタイドに見切りをつけるのはまだまだ早いと思います。
>>喘息ではないかもしれないと言われつつ、喘息の治療を受けていることが、根本的な原因の治療から遠ざかるような気がしていたので、はっきりさせたいと思ったのです。…喘息と診断されて安心すると言うのは変ですが、これまでの治療が決して無駄でも、回り道でもなかったと安心いたしました。
喘息かもしれないという不安を抱いている方が、喘息とはっきり診断されると、ショックを受ける方もおりますが、なぜかそれまでのモヤモヤが吹っ切れる方もいますね。
【018】30代後半の女性の方より
<追加メール2>
メールありがとうございます。
少しまた質問をさせてください。
ピークフローメーターの測定方法について:
毎日起床時と就寝時の2回だけの記録で良いとありますが、測定時刻は決めた方が良いのでしょうか?(私の場合、7時起床12時就寝なのですが)また、測定は座って行った方が良いのでしょうか? 立って行った方が良いのでしょうか?
吸入について:
「特集・吸入療法」、再確認の意味でもう一度読んでみましたが、やはり吸入方法が正しくなかった可能性がありました。1日4吸入をはじめたころは、ベコタイドがやたらと喉にしみて辛かったので、息こらえの10秒をかなり早く数えていたのかもしれません。同時に、息苦しくて胸いっぱい吸う事が出来ていなかったと思います。自分では一生懸命吸っているのですが、何か目の詰まりかけたフィルターを通して吸入しているような感じがありました。ですが、なれてきた所為か、吸入量が倍になった所為か次第にそういう事も無くなってきましたので、「ゆっくり吸って、きちんと10秒息をこらえる」を重点的に頑張ってみます。
お忙しいところたびたびすみませんが、宜しくお願いいたします。
<追加応答2>
>>ピークフローメーターの測定方法について:
→質問内容が具体的になってきましたね。大変嬉しく思います。
測定時間は、毎日決めた方が宜しいと思います。7時起床、12時就寝であれば、それで良いと思います。主婦の方で、昼間家にいる方であれば、昼ごろも測定されるとなお良いですね。本当は、午前3時頃(最も低い)と午後2時頃(最も高い)の2回の測定が値の差が大きく出るので理想的とされます。しかし、実際にそんな時間帯には測定できませんので、朝と夜で間に合わせるのです。
姿勢は、立って行うのがいいとされているようです。お腹の出ている方などでは、座るとお腹の脂肪で横隔膜が圧迫されるので、うまく吹けないためでしょうか? しかし、どちらでもいつも同じ姿勢で測定することが、最も大切です。朝は座って測定し、夜は立って測定というのはまずいですね。これまで座って行ってきた方は、そのまま続けて下さい。
>>吸入について:
→慣れもあるとは思いますが、少しずつ気管支の炎症が取れてきていることもあるでしょうね。発作がちょくちょく出るような時は、吸入がうまくできないものです。これが吸入ステロイドの欠点でもあります。
それでは、お大事に。
【018】30代後半の女性の方より
<追加メール3>
ホームページ、ガイドのお陰でとても見やすくなりました。何度か読ませて頂いていますが、もう一度読みたい場所に、以前よりうんと早くたどり着く事が出来ます。どこに何が書き込まれているのか、隅々まで把握していませんでしたから、本当に便利になりました。有り難うございます。
先日はいろいろとお答え頂き、有り難うございました。ピークフローを測定するようになって2週間が経ちました。吸入ステロイドも1吸入1吸入、丁寧に行ってきたつもりですが、また是非先生のアドバイスをお受けしたく、ご報告いたします。また、何点か質問させてください。お忙しい事とは存じますがよろしくお願いいたします。
月/ 日 朝 昼 夜
2/ 7−−−−−−−−−−290−−生理2日目
2/ 8−−290−−−−−−250−−発作
2/ 9−−260−−−−−−300
2/10−−340−−370−−330
2/11−−330−−370−−320−−疲労大・発作
2/12−−310−−380−−370
2/13−−350−−380−−340−−生理終了
2/14−−360−−390−−320
2/15−−320−−400−−340
2/16−−340−−340−−400
2/17−−310−−400−−360−−起床後息切れ
2/18−−380−−−−−−380−−疲労大・発作 アイロミール吸入
2/19−−360−−400−−400
2/20−−340−−370−−360
2/21−−320−−400−−400
2/22−−340−−400−−400
吸入ステロイドはベコタイド100を1日8吸入しています。発作は3回とも就寝後から翌日の明け方にかけて起こりました。小発作と言うのでしょうか。いつもより大きい喘鳴、咳、軽い息苦しさ程度でした(2/8は苦しさが強)。主治医から吸入ステロイドだけにするよう言われていますので、2/8、2/11の発作は自然に治まるのを待ちましたが、2/18にはなかなか寝付く事が出来ず、翌日に予定も入っていましたので、アイロミールを1吸入だけ使いました。(なぜ1吸入だけなのか、後で説明とそれに基づく質問をさせてください)
風邪気味で咳と痰が少々有り、またこの期間は通院と子供の行事でいつもより忙しく過ごしていました。けれど同じ条件なら以前よりずっと良い体調を以維持できたように思えます。生理からの立ち直りも早かったですし、家庭の2階くらいまでなら階段を駆け上がれる様になりましたし、小走りで歩き回る事も出来る様になりました。もちろん、まだあまり無理をしてはいけない事は分っているのですが、とにかく忙しく、気が付くと結構無理の利く自分の体調の良さに驚いてしまいました。以前は1日何度も吸入していたアイロミールも、多少は我慢したものの、ほとんど使わずに過ごす事が出来ました。
確かに以前と比べると吸入ステロイドが効いていると思うのですが、しかし一方では、毎晩横になると相変わらず喘鳴が始まってしまいます。ピークフローで400を吹いた私とっては調子の良い時でも、必ず夜は喘鳴がでます。起きている時はとても調子が良いのに横になったとたんです。ただ以前のように呼吸の苦しさを伴う事がとても少なくなりました。ところで「横になると喘鳴が起こる」これはどういうメカニズムなのでしょうか?
ピークフローを吹いた後も喘鳴が出ます。この時は、姿勢に関係なく、測定前の体調に関係なく出ます。思い切り吹かないと正確な値が出ないような気がして、頑張って吹いてしまうのですが、それで良いのでしょうか?(ちなみに子供のころブラスバンドをしていたので吹く事には慣れているつもりなのですが…)
私の条件でのアセスの標準予測値は422から423となっていますから、400ではその約94%吹けている事になりますね。それでも喘鳴が出てしまうと言う事は、400ではまだまだ低いという事でしょうか? 変動が大きいのも良くないのでしょうね。
またまた質問を続けさせてください。前に述べました「アイロミールを1吸入」に関する事です。少し長くなりますが、詳しく書きたいと思いますので宜しくお願いします。
以前は1回2吸入の当たり前の量を1日何度となく吸入する日が続いていたのですが、ベコタイド100を1日8吸入するようになって調子が少しずつ良くなり、アイロミールには用の無い日が一週間から10日続いていました。
良くなったと安心していたのもつかの間、風邪をひいて夜間の咳がまた出るようになってしまい、病院でユニフィル、PL顆粒、抗生物質を5日分いただき、もう少しというところまで良くなりました。
お薬が無くなり、ステロイドも倍になった事だし、後は自然の治癒力に任せようなどとのんきに構えておりましたら、2日後の夕方から息苦しくなり、アイロミールを2吸入しました。しかし3時間あまりで再び苦しくなりましたので、もう1時間待って(4時間空ける約束)また2吸入しました。
いつも通りすぐに呼吸が楽になりほっとしたのですが、20分から30分経った時でしょうか。体の震えとともに呼吸が早くなり、左の肩から胸にかけて重苦しくなりはじめました。空気は通っている感じなのにどうしようもなく呼吸が早くなって苦しく、喘鳴も聞こえます。咳も出てきました。寝ている事も出来ずにクッションを抱えて座り込んでいましたが、体の震えと苦しさは増すばかりで、おまけに汗も出てきました。見かねた主人に、とうとう夜間外来に連れて行かれました。
しかし病院では、十分酸素が体の中に取り入れられている事がわかり、呼吸音もきれいと確認され(聴診の間も私にはヒュウーと喉が鳴っているように聞こえたのですが)喘息発作ではない事がわかりました。
当直医に「口の周りがしびれたりしませんか?」と何度も聞かれましたが、それは全く有りませんでした。どういう作用のお薬かわかりませんが点滴と、同時にビニール袋の中で呼吸をゆっくりするするよう言われました。点滴のお陰かビニール袋のお陰か、呼吸はゆっくり出来るようになったものの、今度は痰が絡み始めて別の苦しさが出てきましたのでネブライザーもしていただき、やっと落ち着く事が出来ました。
呼吸が落ち着くとともに体の震えも治まっていました。悪かった顔色も良くなったそうです。これはいったい何だったのでしょう? アイロミールの副作用だったのでしょうか? いつもの苦しさとは少し違うもののような気がしました。
以来、β刺激剤を吸入する事がとても恐いのです。幸いアイロミールも次第に必要では無くなり、主治医もこれからはステロイドだけにしようという事でアイロミールの投薬をストップし、今わたしの手元に有るのは使いかけの1本です。そういう訳で2/18の発作の時は恐る恐る1吸入だけ使ってみました。結果として、副作用が出る事もなく発作も治まり、ぐっすり休む事が出来ました。
痰の絡みを何とかしたら、もっと早く劇的に良くなれるような気がします。ステロイドの吸入前にお茶を飲んだり、歯磨きをしたり(ホームページのどこかで読みました)いろいろやっていますが、なかなかきれない時も有ります。特に朝は吸入の息こらえもつらいことが有ります。そこでお尋ねしますが、ステロイド1日8吸入を、ピークフローの測定値が高くなる時間帯に集中的に行ってはいけないのでしょうか?
本来、主治医に相談すべきところでしょうが、正直なところ主治医とのコミュニケーションが十分取れないこともしばしばです。もちろん、これまでに主治医に質問をした事がないわけではありませんが、「心配要りません」、「気にしなくても良いです」、「それは仕方がありません」など一言で片付けられてしまうのです。
また、ステロイド1日4吸入が効かないため、気管支の状態がとても悪く毎日苦しいと訴えると、「だからもっと詳しく検査するのでしょう。そこで何も無かったら、その症状も気にしなくて良いものだと思います。」と、この時は怒鳴られてしまいました。
決して主治医の人柄が悪いなどと責めている訳ではありません。大きな病院ですから、外来患者の訴えに丁寧な応対をしている時間がないのだと思います。(外来当番の日は、先生方は昼食時間が取れない程忙しいという事も聞いた事があります)その上、私の尋ね方、答え方にも問題があるのでしょう。
けれどこのホームページを読み、直接アドバイスをして頂き、主治医の治療方針が間違いのないものと確信する事が出来ました。前回の先生のアドバイスのお陰で、主治医の言葉も好意的に受け取れるようになりました。
このホームページは、私にとって駆け込み寺のような存在です。ついつい甘えていろいろお尋ねしてしまいますが、お陰でこの病気は自分から前向きに治すものという意識を持つ事が出来ました。いろいろ一度にお尋ねして申し訳ありません。先生のお時間のある時に少しずつでもご回答頂けましたら幸いです。宜しくお願いいたします。
<追加応答3>
返事遅くなりました。
>>ホームページ、ガイドのお陰でとても見やすくなりました。
→ありがとうございます。今後も、もっと索引機能を充実させて行きます。
>>ピークフローを測定するようになって2週間が経ちました。
→ピークフロー値は、400が壁になっているようですね。しかし、着実に上昇していますね。
>>確かに以前と比べると吸入ステロイドが効いていると思うのですが、しかし一方では、毎晩横になると相変わらず喘鳴が始まってしまいます。ピークフローで400を吹いた私とっては調子の良い時でも、必ず夜は喘鳴がでます。起きている時はとても調子が良いのに横になったとたんです。ただ以前のように呼吸の苦しさを伴う事がとても少なくなりました。ところで「横になると喘鳴が起こる」これはどういうメカニズムなのでしょうか?
これは、まず400という値がまだ不完全ということだと思います。不完全なうちは、布団にはいると喘鳴が出ることはよくあります。理由としては、
(1)布団の埃やダニ
(2)身体が暖まって炎症が再燃
(3)体位(気管支が潰れやすくなる)
などが考えられますが、複合因子も考えられます。ピークフロー値がもっとよくなり、気道炎症が治まってくれば、消失するでしょう。
>>ピークフローを吹いた後も喘鳴が出ます。この時は、姿勢に関係なく、測定前の体調に関係なく出ます。思い切り吹かないと正確な値が出ないような気がして、頑張って吹いてしまうのですが、それで良いのでしょうか?(ちなみに子供のころブラスバンドをしていたので吹く事には慣れているつもりなのですが)
→これも、まだ気管支炎症が不完全な状態の時よく見られます。ピークフロー値を吹いた後に喘鳴が出るとしたら、あまり頑張って良い値を出そうとしないことです。喘鳴も喘息の一つの症状です。喘息でピークフロー値を吹くのは、症状が出るもっと以前の状態を検知する意味があります。喘鳴が起こっていれば、頑張って吹く意味はありません。状態がよくなると自然に吹けるようになります。
>>私の条件でのアセスの標準予測値は422から423となっていますから、400ではその約94%吹けている事になりますね。それでも喘鳴が出てしまうと言う事は、400ではまだまだ低いという事でしょうか? 変動が大きいのも良くないのでしょうね。
→その通りです。ましてや、吹奏楽をやって来た方は肺活量が人一倍のはずですから、もっと吹けることは間違いありません。「症例紹介(2)」の方も、以前ブラスバンドやっていた方ですが、150cmもない小柄な方ですが、600まで吹けるようになりました。
>>またまた質問を続けさせてください。前に述べました「アイロミールを1吸入」に関する事です。少し長くなりますが、詳しく書きたいと思いますので宜しくお願いします。(以下省略)
→一連の主治医とのやりとりは、「過換気症候群(精神的なもの)」を想定して治療されたようですね。「当直医に口の周りがしびれたりしませんか?」と聞かれたり、「ビニール袋の中で呼吸」がそれを物語っています。また、喘息の発作でもなかったようですので、喘息の悪化も考えにくいですね。アイロミールは数ある気管支拡張剤の中でも作用の弱いものですから、その原因とは考えにくいような気がします。事実、2月18日はアイロミールを吸っても大丈夫でしたよね。
もう少し経過を見てよいと思いますが、要は、吸入ステロイドを頑張ってアイロミールのお世話にならないようにもって行くことが大切です。しかし、苦しいときは我慢しないで躊躇せず使うべきですね。
>>ステロイド1日8吸入を、ピークフローの測定値が高くなる時間帯に集中的に行ってはいけないのでしょうか?
→結構です。ピークフロー値が高い、すなわち気管支がより開いているときに集中して吸入ステロイドを効かしてやれば効果的です。朝方の息苦しいときに行っても、薬を捨てているようなものです。
>>これまでに主治医に質問をした事がないわけではありませんが、「心配要りません」、「気にしなくても良いです」、「それは仕方がありません」など一言で片付けられてしまうのです。
→先生もお忙しいのではないですか? 悪気はありませんが、私も実際の診療でこういう口調で接していることがあるかもしれません(反省)。どちらにしろ、さほど重要なことでないときにそう言う傾向はありますね。でも、患者さんとしてはもっと詳しく知りたいのでしょうけど…。
>>また、ステロイド1日4吸入が効かないため、気管支の状態がとても悪く毎日苦しいと訴えると、「だからもっと詳しく検査するのでしょう。そこで何も無かったら、その症状も気にしなくて良いものだと思います。」と、この時は怒鳴られてしまいました。
→本当に苦しかったのですから、あなたは悪くはありません。当たり前のことを言ったまでです。怒鳴る主治医も悪いとは思いますが、忙しくて気が立っていたのかもしれませんね。いつもは良い先生なのではないですか?
それでは、また。
【018】30代後半の女性の方より
<追加メール4>
いつもご丁寧なご回答有り難うございます。
前回のメール発信直後、ピークフロー値が全体に上がりました。
2/23−朝−400−−昼430−−夜430
2/24−朝−380−−昼440
440は新記録です。ことさら頑張ったつもりもなく1回目からこの数値が出ましたので、測定後に喘鳴が出る事もありませんでしたし、もちろん横になっても喘鳴は起こりませんでした。
しかし、440を出したこの日は朝から雨で、午後から雨足が激しくなってきた所為でしょうか? その夜の測定は340に下がり、
2/25−朝−350−−昼340−−夜測定せず
と、数値も低調なら体調も悪く、先生にお礼のメールを送らなくては…と思いながらも、1日中ごろごろとしてしまいました。すみません。ご返事全体に通しておっしゃっておられるように、気管支がまだまだ不完全なのでしょうね。
>>ピークフロー値を吹いた後に喘鳴が出るとしたら、あまり頑張って良い値を出そうとしないことです。喘息でピークフロー値を吹くのは、症状が出るもっと以前の状態を検知する意味があります。喘鳴が起こっていれば、頑張って吹く意味はありません。状態がよくなると自然に吹けるようになります。
→確かに軽く吹いても高い数値の時があるということが、440を吹いた時にわかりました。
>>ピークフロー値が高い、すなわち気管支がより開いているときに集中して吸入ステロイドを効かしてやれば効果的です。朝方の息苦しいときに行っても、薬を捨てているようなものです。
→予想が当たって良かった。日中家にいる事の多い主婦ですから、そのメリットを生かして吸入ステロイドをしたいと思います。
また、アイロミールの件ですが、以前メプチンエアでも似たような状態になった事があります。手の震え、動悸、顔面蒼白(別人になったようだったそうです)がひどく、それがあってアイロミールに替えてもらいました。ともかく、おっしゃるようにもう少し様子を見てみます。ピークフロー値も1度は440が出たのですから、今度は高値の維持と500を目指して、吸入ステロイドを効かす事に努力する方が先のようですね。
本当にいつも暖かいメールを有り難うございます。
お礼だけと思いながらも色々と書き込んでしまいましたが、余談と読み流し下さい。
先生もくれぐれもご自愛のほど。
【018】30代後半の女性の方より
<追加メール5>
お久しぶりです。
近況をお知らせします。
先日まぼろしのようにのようにピークフロー値460(アセス)が出ました。以前440が出ましたとご報告してから、ピークフロー値が元に戻ってしまい、
朝は高い時で350前後、低い時は270
昼は高い時で400前後、低い時は350
という状態で、寒い時期よりも気温の変化や天候に敏感に反応するようになり、軽い喘鳴や咳痰が出、時には苦しくなりアイロミールを吸入する事も有りました。
もともと花粉症が有り、昨年の春はアレルギー性気管支炎とも言われましたから、この時期喘息がひどくなるのは花粉の所為に違いないと勝手に判断し、その対策として窓を閉め切り、外出を控えて2日目の昼、なんと! ピークフロー値460が出たのです! その前日は朝320昼400夜370でしたから、もう本当に驚きました。
しかし、まるで奇跡かまぼろしのようでした。1回目の測定で460が出たのに、2回目は400、3回目は360。その夜の測定値は400と高かったものの、翌日は必要に迫られて1時間程外出した所為か、朝340昼390夜360。その翌々日朝330、昼400。高くなりそうにも有りません。
あの460は何だったのでしょう? なぜ、たった1回きりで近い数値さえ出ないのでしょう?(ちなみに指示針はきちんと下げてから測定したつもりです)やはり外気を避けた事、外出による疲労を避けた事が功を奏したのでしょうか?
としても主婦ですから全く外に出ない訳にもいきません。ちなみに某製薬会社が発売している「花粉・ウィルス・ハウスダスト阻止マスク」を試してみたところ、確かに外出中も外出後も咳や痰が増える事はなかったのですが、残念な事に私にとっては通気性が今一つなのか、着用中とても息苦しかったのです。しかしマスクの着用はかなり効果的でしたので、いろいろ試してみる価値が有りそうです。
花粉症の到来とともに治まっていた咳や痰が出てきました。(不思議な事に今年は、鼻の症状は全くといって良いほど出ていません)主治医に相談したのですが、「ベコタイドだけで頑張れるよ」と、咳や痰の対策になるような薬は出してもらえませんでした。しかしここまで来たらあれこれ考えず、主治医の言葉を信じて、大船に乗った気でいようと思います。もちろん外出そのものを避けて体力を貯えたいと思います。
いろいろと有り難うございました。また近況をお知らせしたいと思います。
<追加応答5>
お久しぶりです。
460でましたね。弾みで良い値がでることは確かにありますが、良いことですから良い方に捕らえて下さい。つまり、460は吹ける気管支の太さがあるのだと…。自己ベストが、上がれば上がるほど、逆に自分のこれまでの値では不十分だったことに気付き無理をしなくなるとともに、もっと上を目指すようになるものです。私は、600近くまで吹けるようになるはずだといつも思っています。頑張って自己ベストを更新続けて下さいね。
では。