(1)経口ステロイドを減らせますか?
【034】33歳男性(会社員)の方より
<質問>
(平成10年5月27日)
はじめまして。長文になり申しわけございませんが、よろしくお願いします。
■自己紹介
・年令:33才
・性別:男
・職業:会社員(事務職)
・身長:163センチ
・小児喘息:ありません。
・喫煙歴:18才から23才くらいまでありました。
・家族:妻と長男
■相談事項
22才の時から経口ステロイド(リンデロン錠 0.5mg×2錠/日)を内服しています。続発性副腎皮質機能不全を起している可能性がありますが、吸入ステロイドと気管支拡張剤等だけで喘息をコントロールできるでしょうか。
最近、ニフティーのすこやか村・喘息館フォーラムに入会し、そこではじめてスペーサーとピークフローメーターのことを知り、喘息の治療のことも少しだけ勉強させてもらいました。
久保裕先生が書かれた「喘息のベストコントロール法」に記載されていたオプティヘラー(スペーサー)とパーソナルベスト(ピークフローメーター)が合同出版社より購入できましたので、早速スペーサーを使用してアルデシンを吸入たころ、耳が聞えにくくなるという副作用が改善されました。
昭和大学医学部教授・足立満先生が書かれた「ぜんそく治療の常識が変わった」に記載されている、吸入ステロイド薬のガイドラインによると、私のような重症の患者は
・BDP800〜1200マイクログラム/日(1、、600マイクログラムまで使用を考慮する)
・経口ステロイド薬の短期間中〜大量投与後、維持量はなるべく少量とし、隔日または毎日1回
でコントロールするとあります。
5/24よりアルデシンを上記の理由で、自分の判断で8吸入×4回/日=1600マイクログラム吸入したところ、リンデロン錠を0.5mg×1錠/日で喘鳴がなくなり安定しています。ピークフローは400くらいです。私の標準値はわかりませんが、おもったよりすくないです。かなり気管支が狭くなっているようのでしょうか。
本来は主治医に相談すべきなのでしょうが、スペーサーのことを言わないということは、あまり吸入ステロイドについて詳しくないようです。先日受診した時にアルデシンが使用できるようになったので喘息が安定してきましたと言ったら(スペーサーを使用したとは言ってません)、自分でリンデロンをコントロールしてくださいと言われました。アルデシンの吸入量のことも、リンデロンの減量の仕方も言われませんでした。
転院したほうがよいと思うのですが、近くに吸入ステロイドに精通した喘息の専門医がみえません。吸入ステロイドに詳しい先生がみつかるまで、1件1件開業医をはしごするしかありません。
そんなことは不可能なので、諏訪部先生にメールを出す決意をしました。お忙しいところ誠に申しわけございませんが、アドバイスよろしくお願いいたします。
■喘息履歴
17才:
夏頃、やけに咳をして気管支がへんな感じがする風邪を1週間くらい引いたという思い出があります。風邪ではなく、これが最初の発作だったのかもしれません。
18才:
大学に進学し、その地に転居したら喘息が本格的に発病しました。大学病院の呼吸器科に通院を開始しました。治療法は、吸入ベータ刺激剤とテオドール錠とスピンヘラーでインタールカプセルを吸入していました。そのほかに何か内服していたと思います。
あまりよくならないので、9月頃から別の病院へ通院を開始しました。この病院の院長が本を出版されていて、それを読んで知りました。金製剤を毎週注射するという治療法でした。発作時には吸入ベータ刺激剤は使用せず、ボスミン(これはステロイドとは違うのですか?)をネブライザーで吸入して抑えていました。後はメプチンとテオドールと坑アレルギー剤を内服していました。
22才から現在まで:
一旦はよくなったのですが、喫煙をまた再開するとまた発作起きました。再度、通院を開始しましたが、今度は一向によくならず、この時はじめて、リンデロンを処方してもらいました。最初は、1日1錠を半分に割って朝晩2回飲んでいましたが、それでは発作がおさまらず、1日1錠ずつを朝晩に飲むようになりました。
大学を卒業し、地元に戻って就職してからは、近くの総合病院に通院していました。そこでも気管支拡張剤と坑アレルギー剤とリンデロンの内服でした。過労で2回ほどそれぞれ1ヶ月ほど入院しましたが、体に負担がかからない職に転職して、また、リンデロンの内服で発作を抑えることができるようになりました。
その後、仕事が終ってからでも通院できる開業医へ転院しました。そこではじめてアルデシンを処方されましたが、吸入すると耳が聞えにくくなるのと、喉が痛くなるので使用しませんでした。主治医にもこのことを伝えましたが、スペーサーのことは一言も言われませんでした。それからは、薬では喘息は治らないのだと思い、1日でも早くリンデロンから離脱したく、鍼灸・カイロプロテック等の民間療法にせいをだしていましたが、結局あまりかわりませんでした。
今年の2月頃から、リンデロンを内服していても常に軽い喘鳴がするようになり、ベロテックの回数が増えだし、何か手だてはないかとおもい、ニフティーの喘息フォーラムに入会しました。
そこで諏訪部先生のホームページのアドレスを知りました。
以上。
<応答>
こんにちは。
>>22才の時から経口ステロイド(リンデロン錠 0.5mg×2錠/日)を内服しています。続発性副腎皮質機能不全を起している可能性がありますが、吸入ステロイドと気管支拡張剤等だけで喘息をコントロールできるでしょうか。
→続発性副腎皮質機能不全を起こしているかどうかは、ホルモン検査をすればわかりますが、かなり長期に渡りステロイドを使用しておりますので、機能が低下している可能性は高いと思います。白内障や骨粗鬆症など不可逆的な副作用は元に戻りませんが、副腎機能低下であれば、それまでどんなに長い間ステロイドを使用してきたとしても、回復の望みは捨ててはいけません。ただし、時間(月単位から年単位)がかかります。また、ホルモン機能が回復しているか定期的に検査し、その結果をみながらの減量でなくてはなりません。どうしても回復しないときはやはり最低限のステロイドを一生補充してやらなければなりませんが、この場合は足りない分を補充するわけですから、重篤な副作用はおきないと思います。
しかし、経口ステロイドの減量は吸入ステロイドで喘息のコントロールをしっかりつけてから考えることです。このホームページの「特集・吸入療法」を熟読して下さい。スペーサーを使用し、ゆっくりとした吸入操作を再確認し、それでも効果がないときは、いくつかのチェックポイントがありますから、そこを重点的にチェックして下さい。その際、やはりピークフロー値をきちんとモニターすることです。ステロイドを始めとする薬剤減量は、発作という自覚症状に頼っていてはいけませんので、毎日ピークフロー値をモニターすることが大前提ですね。
主治医は、ピークフロー値に精通していないと言うことですが、まだ呼吸器専門医の間でもさほど普及はしていませんので、それだけで主治医に見切りをつけるのは早いと思います。こまめに、ピークフロー値を記録し、症状がなく、これだけピークフロー値が安定しているという証拠を突きつけて、よく話し合って慎重に減量をして欲しいと思います。
>>発作時には吸入ベータ刺激剤は使用せず、ボスミン(これはステロイドとは違うのですか?)をネブライザーで吸入して抑えていました。
→ボスミンは強力な気管支拡張作用を有する薬剤です。ステロイドではありません。心臓に対する作用が強く、心停止し運ばれてきた方に心蘇生の一環で注射されることもあります。しかし、発作がひどいときは、注射や吸入で使用することがあります。
>>早速5/20よりスペーサーを使用してアルデシンを吸入たころ、耳が聞えにくくなるという副作用が改善されました。
→吸入ステロイドで耳が聞こえなくなると言う副作用は初めて聞きました。おそらく、じかの吸入で咽頭粘膜に炎症を起こし、その炎症が中耳へ波及し、一種の中耳炎を起こしたのではないかと思います。スペーサーの使用で良くなったのですね?
>>5/24よりアルデシンを上記の理由で、自分の判断で8吸入×4回/日=1,600マイクログラム吸入したところ、リンデロン錠を0.5mg×1錠/日で喘鳴がなくなり安定しています。ピークフローは400くらいです。私の標準値はわかりませんが、おもったよりすくないです。かなり気管支が狭くなっているようのでしょうか。
→一つ確認ですが、吸入ステロイドを自己判断で増量しても問題はありませんが、長い間服用してきた経口ステロイドを自己判断で、リンデロン錠0.5mg×2錠/日を1錠に減らしたとすれば、少し問題があります。主治医と相談の上であれば問題はないと思いますが、経口ステロイドの減量は長い目で慎重に行って下さいね。
私の経験では、長い間喘息を患ってきた男性の方のピークフロー値400はたとえ基準をクリアしていてもまだまだ低いと思います。最低でも550以上ないと経口薬減量は安全にはできないと思います。繰り返しになりますが、経口ステロイドの減量は、もう少しピークフロー値が高い値で安定してからの方が宜しいかと思います。400前後で減量しますと、最初は良くても、何かのストレスで発作を起こすことはよくあるからです。
>>本来は主治医に相談すべきなのでしょうが、スペーサーのことを言わないということは、あまり吸入ステロイドについて詳しくないようです。5/26に受診した時にアルデシンが使用できるようになったので喘息が安定してきましたと言ったら(スペーサーを使用したとは言ってません)、自分でリンデロンをコントロールしてくださいと言われました。アルデシンの吸入量のことも、リンデロンの減量の仕方も言われませんでした。
→確かに、あまり吸入療法に精通しているという感じではないようですね。ただし、スペーサーのことは打ち明けても良いと思いますよ。これだけ情報が氾濫している時代ですから、むしろ患者さんの方から積極的に教えてあげて下さい。それで、怒ってへそを曲げるような先生なら、そこで見切りをつけるべきでしょう。
>>転院したほうがよいとおもうのですが、近くに吸入ステロイドに精通した喘息の専門医がみえません。吸入ステロイドに詳しい先生がみつかるまで、1件1件開業医をはしごするしかありません。
とりあえず、現状のまま、吸入ステロイドを継続して行けばよいのではないでしょうか? そのうち良い医者が見つかるでしょう。
では、この辺で、今回は失礼します。また経過などをお知らせ下さい。
<追加メール1>
(平成10年5月30日)
さっそくの回答ありがとうございます。
>>副腎機能低下であれば、それまでどんなに長い間ステロイドを使用してきたとしても、回復の望みは捨ててはいけません。ただし、時間(月単位から年単位)がかかります。どうしても回復しないときはやはり最低限のステロイドを一生補充してやらなければなりませんが、この場合は足りない分を補充するわけですから、重篤な副作用はおきないと思います。
→少しほっとしました。
>>吸入ステロイドで耳が聞こえなくなると言う副作用は初めて聞きました。スペーサーの使用で良くなったのですね?
→そうです。主治医は、上記の副作用があると言っていました。私は蓄膿症もあり、半年くらい前には中耳炎にもなりました。風邪を引くと鼻をよくかむので、耳に負担がかかっているのでしょうか。蓄膿症は10年くらい前に手術をして、完治はしていませんが、日常生活には支障はありません。
>>一つ確認ですが、吸入ステロイドを自己判断で増量しても問題はありませんが、長い間服用してきた経口ステロイドを自己判断で、リンデロン錠0.5mg×2錠/日を1錠に減らしたとすれば、少し問題があります。主治医と相談の上であれば問題はないと思いますが、経口ステロイドの減量は長い目で慎重に行って下さいね。
→最近7〜8年をふりかえってみると、喘息を治すことよりも、リンデロンを飲まないようにすることを考えていたような気がします。少しでも調子がよいと飲まないようにして、結局喘息を悪化させてしまいました。
調子がいいときにいきなり飲まないようにすると、まぶたのあたりがすごく重くなり、とにかく眠くなるのですが、この症状は副腎機能低下と関係があるのでしょうか。
>>経口ステロイドの減量は、もう少しピークフロー値が高い値で安定してからの方が宜しいかと思います。400前後で減量しますと、最初は良くても、何かのストレスで発作を起こすことはよくあるからです。
→主治医と相談し慎重に減量を行うようにします。
先生のホームページを熟読して勉強したいと思います。また、経過をお知らせしますので、よろしくお願いします。
<追加応答1>
>>主治医は、上記の副作用があると言っていました。私は蓄膿症もあり、半年くらい前には中耳炎にもなりました。風邪を引くと鼻をよくかむので、耳に負担がかかっているのでしょうか。蓄膿症は10年くらい前に手術をして、完治はしていませんが、日常生活には支障はありません。
→もともと、鼻や耳に慢性的に基礎疾患みたいなものがあり、そこに吸入ステロイドの直接噴霧で、中耳炎が増悪して、耳が聞こえなくなったのでしょうか?
最近、蓄膿症や慢性副鼻腔炎などには、エリスロマイシンを少量長期的(半年から1年)な投与が有効であるとされています。喘息を合併している方は、鼻の病気が良くならないと絶えず増悪を繰り返すようですので、鼻をしっかり治して上げることも喘息治療には大切なことです。エリスロマイシンは、喘息で出る痰を減らす作用もあり、またステロイドを減量できる効果(ステロイド・スペアリング効果)も期待されています。主治医の好みにもよりますが、相談してみる価値はあると思います。
>>調子がいいときにいきなり飲まないようにすると、まぶたのあたりがすごく重くなり、とにかく眠くなるのですが、この症状は副腎機能低下と関係があるのでしょうか。
→これらは、あまりよく見られる症状ではないようですが、このようなときに、リンデロンを増やすとこれらの症状が回復するとすればやはり、減量の影響でしょうね。
では。
【034】33歳男性(会社員)の方より
<追加メール2>
(平成10年6月1日)
回答ありがとうございました。
またまた質問で恐縮なのですが、リンデロン錠について教えて下さい。
喘息で使用される経口ステロイドは、プレドニン錠がよく使用されるようですが、昭和大学医学部教授、足立満先生が書かれた「ぜんそく治療の常識が変わった」には、「プレドニゾロンは初期のステロイド薬にくらべ、グルココルチコイド作用を4倍に高める一方、ミネラルコルチコイド作用を0.8倍に抑えた薬とされています。」と記載されています。リンデロン錠(ベタメタゾン)はどうでしょうか。
また、気管支ぜんそく重症度判定基準(日本アレルギー学会気管支ぜんそく重症度委員会)に「プレドニンゾロン換算量1日10 mg」という言葉がでてきますが、リンデロン錠ではどのくらいになりますでしょうか。
14才の時にネフローゼを発病し、プレドニンを1年間くらい飲んでいましたが、その時のほうがムーンフェイスはひどかったような気がします。たんに、たくさん食べただけかもしれませんが…。
最近のピークフロー値は450くらいです。リンデロン錠は1.0 mg/日です。
また経過をお知らせしますので、よろしくお願いします。
<追加応答2>
>>リンデロン錠について教えて下さい。喘息で使用される経口ステロイドは、プレドニン錠がよく使用されるようですが、昭和大学医学部教授 足立 満先生が書かれた「ぜんそく治療の常識が変わった」には、「プレドニゾロンは初期のステロイド薬にくらべ、グルココルチコイド作用を4倍に高める一方、ミネラルコルチコイド作用を0.8倍に抑えた薬とされています。」と記載されています。リンデロン錠(ベタメタゾン)はどうでしょうか。
→大変専門的な質問ですね。下記にステロイドの作用比較表を記します。
ステロイド剤 |
重量比 |
抗炎症効果 |
ナトリウム貯留効果 |
ハイドロコーチゾン | 20 mg |
1 |
(++) |
プレドニン | 5 mg |
4 |
(+) |
リンデロン | 0.75 mg |
35 |
(-) |
ここで「ナトリウム貯留効果」が「ミネラルコルチコイド作用」に相当します。プレドニンのミネラルコルチコイド作用が、初期のステロイド薬(ハイドロコーチゾン)の0.8倍というのは、恐らく(++)が(+)になっていることを指しているのでしょう。リンデロン0.75 mgは、プレドニン5 mgの8.75倍(=35÷4)強い抗炎症作用を有していることになります。従って、リンデロン1 mgは、その1.33倍(=1÷0.75倍)ですから、プレドニン5 mgの11.67倍(=8.75×1.33、約12倍)強い抗炎症作用を有していることになります。従って、副腎皮質抑制作用もプレドニンより強いことは確かでしょう。
リンデロンは、ベータメタゾンというステロイドで、ミネラルコルチコイド作用はなく、強い抗炎症効果を期待して開発されたステロイドということになります。あなたが、どういう経緯でリンデロンを使うようになったかはわかりませんが、プレドニンでは喘息発作が抑制されなかったのでしょうか?
>>また、気管支ぜんそく重症度判定基準(日本アレルギー学会気管支ぜんそく重症度委員会)に「プレドニンゾロン換算量1日10 mg」という言葉がでてきますが、リンデロン錠ではどのくらいになりますでしょうか。
→プレドニン10 mgと同等の抗炎症効果を得るための、リンデロンは約0.17 mgですから、計算するまでもなくリンデロン1 mg/日の内服では、重症に分類されてしまいますね。
しかし、このホームページの「知識(1)・喘息のことがよくわかるミニツアー」にも書いてありますが、吸入ステロイドのベクロメタゾンは、プレドニンの数百倍も強い抗炎症効果があります。しかも、全身性作用のない薬剤ですから、吸入ステロイドを十分吸えば、気管支の炎症は除去することは可能です。
ただし、吸入ステロイドで喘息が良くなったからといってすぐにリンデロンを中止してはいけません。現在のリンデロンは、喘息の炎症を鎮める効果も担っていますが、現在抑制状態にある副腎皮質ホルモンを補っている意味もあります。従って、喘息が良くなったからといって、急に中止しますと、内因性のホルモン産生が低下していますから、危険な状態(喘息悪化ではなく血圧低下や抵抗性の減弱など)に陥ります。少しずつ検査結果を見ながら、減量して行かなくてはなりません。
この際、吸入ステロイドと内服ステロイドは、ステロイド作用(副腎皮質抑制作用)において相乗効果はありませんので、吸入ステロイドを吸っているからリンデロンはいらないのだという考えは間違いです。吸入ステロイドで気管支炎症を抑えながら、リンデロンを徐々に減量し、副腎皮質機能を回復させて行って下さい。なお、詳しくは、「知識(4)・全身性ステロイドはなぜ急にやめてはいけないのか? 」を参照して下さい。
>>14才の時にネフローゼを発病し、プレドニンを1年間くらい飲んでいましたが、その時のほうがムーンフェイスはひどかったような気がします。たんに、たくさん食べただけかもしれませんが…。
→これは、ミネラルコルチコイド作用の違いによるのでしょうね。
>>最近のピークフロー値は450くらいです。リンデロン錠は1.0 mg/日です。
→私の経験では、PF値450は、若い男性の場合、発作で苦しめられることはないですが、風邪などで容易に発作を起こす、不安定な状態と言えます。吸入ステロイドをもっと効果的に作用させればもう少し上昇するでしょう。
頑張って下さい。
では。
<追加メール2−2>
ご返答ありがとうございました。
>>リンデロンは、ベータメタゾンというステロイドで、ミネラルコルチコイド作用はなく、強い抗炎症効果を期待して開発されたステロイドということになります。あなたが、どういう経緯でリンデロンを使うようになったかはわかりませんが、プレドニンでは喘息発作が抑制されなかったのでしょうか?
→○○病院で、特にプレドニンをどうのということなく、処方されました。その後転院した病院では、今までリンデロンを飲んでいましたと言ったら、処方してくれました。喘息に使うステロイドは、リンデロンが一般的だと勝手におもっていました。
>>私の経験では、PF値450は、若い男性の場合、発作で苦しめられることはないですが、風邪などで容易に発作を起こす、不安定な状態と言えます。
→発作がないと、まるで治ったような気分になるのが喘息の恐ろしいところで、以前失敗しました。今回は気をつけます。
今後とも、よろしくお願いします。
(3)クラリスで慢性副鼻腔炎が良くなりフルタイドも吸えるようになりました。
<追加メール3>
(平成12年5月28日)
諏訪部先生 様
ホームページ開設3周年おめでとうございます。
大変ご無沙汰しております。
最初にメールさせて頂いてから今日で丁度2年になりました。次男も生まれ、長男も保育園に通い始め、時の流れがものすごく早く感じられるこの頃です。
喘息の近況を報告をします。
1. 転院について:
専門は胃腸科なのですが、吸入ステロイド、ホルモン検査を行っていただける開業医が見つかり、現在も通院しています。
2. リンデロンからの離脱について:
現在は、ケナコルトを離脱目的で1ヶ月に1mg注射しています。1日尿を貯めて、その一部を検査するという方法でホルモン検査を行いました。2年間の間で、計5回行いましたが、結果は、0.1〜0.3くらいでした。(単位を忘れてしまいましたが、正常値が10くらいだったと思います)一向に良くならないようです。
3. 耳が聞こえにくくなるという副作用について:
スペーサーを使用して改善されたように思われたのですが、結局また聞こえにくくなりました。耳鼻科で診察して頂いたところ、滲出性中耳炎と診断されました。鼓膜を切開したり、チューブを入れたりしましたが、粘っこい膿みないなものが溜まるため、まったく改善しませんでした。(滲出性中耳炎の薬は処方されていませんでした。滲出性中耳炎は薬では治らないというようなことを言われました)
ケナコルトを注射するようになってからは、ケナコルトが喘息をおさえてくれるため、あまりフルタイドを吸入しなくてもよくなりました。(当然ですが)調子が悪くてなってフルタイドを吸入しても、ケナコルトが滲出性中耳炎もおさえてくれるため、大丈夫でした。薬がきれかかり、喘息も悪くなり、フルタイドを吸入するとまた耳に膿が溜りました。
4. 私の喘息の原因は慢性副鼻腔炎の合併症(?):
通院していた耳鼻科が、失礼ですが少々雑でしたので、今年の4月に新しく開業された耳鼻科で診察してもらったところ、慢性副鼻腔炎を治さないと滲出性中耳炎は治らないと言われました。そして、エリスロマイシンではありませんが、マクロライド系抗生物質のクラリス200を処方してもらいました。(200 mg/日服用)前の耳鼻科は漢方薬を中心に処方しており、このような抗生物質を長期服用には賛成ではないようでした。
『最近、蓄膿症や慢性副鼻腔炎などには、エリスロマイシンを少量長期的(半年から1年)な投与が有効であるとされています。喘息を合併している方は、鼻の病気が良くならないと絶えず増悪を繰り返すようですので、鼻をしっかり治して上げることも喘息治療には大切なことです。エリスロマイシンは、喘息で出る痰を減らす作用もあり、またステロイドを減量できる効果(ステロイド・スペアリング効果)も期待されています。主治医の好みにもよりますが、相談してみる価値はあると思います』
今年のゴールデンウィーク前から飲み始めたのですが、最近ではフルタイド200を2ブリスター/日服用しても、耳は大丈夫です。おまけに慢性のはずの副鼻腔炎も喘息も調子がいいです。
慢性副鼻腔炎だと、鼻水がのどにおりるのが喘息に悪影響を及ぼす様で、小学生4年くらいから発病し、しっかり治療せずに今日まで来たのが、喘息を発病させ、悪化させた原因のかなりを占めるのではないかと思いました。
ステロイドからの離脱は当分無理ですが、とりあえずフルタイドが吸入できるようになり、大変嬉しいこの頃です。
以上、長文になってしまい申し訳ございませんでした。先生のホームページでいろいろ勉強させて頂き、どうも有難うございました。
これからもよろしくお願い申し上げます。
先生もお忙しい毎日を過ごされてしるかと存じますが、どうかご自愛のほど心からお祈り申し上げます。
<追加応答3>
お久しぶりです。
3周年の感想・経過報告ありがとうございました。
もう2年が経過したのですね。いろいろと紆余曲折がありますが、少しづつ良い方向へ向かっているようですね。
>>現在は、ケナコルトを離脱目的で1ヶ月に1 mg注射しています。1日尿を貯めて、その一部を検査するという方法でホルモン検査を行いました。2年間の間で、計5回行いましたが、結果は、0.1〜0.3くらいでした。(単位を忘れてしまいましたが、正常値が10くらいだったと思います)一向に良くならないようです。
リンデロン減量のためにケナコルト使用とのことですが、確かにケナコルトは使用間隔が長いですが、持続性で強力なステロイドです。これでは、副腎皮質機能の改善は望めないと思います。
やはり耳鼻科と呼吸器専門医を受診し、慢性副鼻腔炎を治療し、フルタイドをしっかり吸えるようにし、時間はかかりますが、徐々に全身性ステロイドからの離脱をはかることです。
>>ケナコルトを注射するようになってからは、ケナコルトが喘息をおさえてくれるため、あまりフルタイドを吸入しなくてもよくなりました。(当然ですが)調子が悪くてなってフルタイドを吸入しても、ケナコルトが滲出性中耳炎もおさえてくれるため、大丈夫でした。薬がきれかかり、喘息も悪くなり、フルタイドを吸入するとまた耳に膿が溜りました。
下記でエリスロマイシンで慢性副鼻腔炎も良くなっているようですから、早くフルタイドが効くようになって欲しいです。
>>今年の4月に新しく開業された耳鼻科で診察してもらったところ、慢性副鼻腔炎を治さないと滲出性中耳炎は治らないと言われました。そして、エリスロマイシンではありませんが、マクロライド系抗生物質のクラリス200を処方してもらいました。(200 mg/日服用)前の耳鼻科は漢方薬を中心に処方しており、このような抗生物質を長期服用には賛成ではないようでした。
クラリスもエリスロマイシンと同じような使い方をします。前の耳鼻科の先生は、この抗生物質の使い方をご存知ないようですね。しかし、今の耳鼻科の先生は理解があるようで何よりです。
>>今年のゴールデンウィーク前から飲み始めたのですが、最近ではフルタイド200を2ブリスター/日服用しても、耳は大丈夫です。おまけに慢性のはずの副鼻腔炎も喘息も調子がいいです。
それは良かったですね。でももっと早くこうなれば良かったのにと残念です。
全身性ステロイドの離脱への道はこれからですね。焦らず頑張って下さい。
では。