(1)主治医は吸入ステロイドの必要なしといいます。
【039】34歳男性より
<質問>
始めまして。
そちら様のホームページを新聞にて知り早速、拝見させていただきました。とてもためになる内容で、新たなる認識を致しました。と、同時に自分の認識に間違いがあったことも気づきました。
最大の誤認は、発作がないときは健康な人と同じと考えていたことです。また、アレルゲンから離れることが最大の防御だと言うことです。私の、アレルゲンは、ハウスダストです。このため、フローリング、空気清浄機、またハウスダストをまき散らす猫(因みに猫を飼っています)等の対策が必要と考えました。
しかし、今回オームページを拝見して、アレルゲンからの待避のみならず、未発作時にも気管支の慢性炎症があるようなので、この治療が必要でないのかと考えました。治療の必要性は分かったのですが、具体的にどの様な行動をとるのかがよく分かりません。病院に行って、吸入ステロイド治療をしたいと言っただけで、先生が理解してくれてはいどうぞと簡単には行きそうもないのでは。十分理解(適切な治療を受けられる)している先生がいる病院が何処なのか分からないので、どの様にアクションするのが的確か分からず何もできないという感じです。
若干、私の経緯をお話しします。
まず、小学生くらいの時に小児喘息を患っていました。入院はしたことがないのですが、発作がひどいときは、確かボスミンの注射を打っていました。発作の頻度は、覚えていません。吸入のインタールもしていました。中学生になった頃から、発作を起こさなくなり、最近まで何も無く普通に生活していました。
4年くらい前から発作が起こるようになり、病院にてテオドール剤の処方をして貰っていました。発作の頻度は、3ヶ月で3日くらいでそんなに重症ではありませんでした。夜中の3、4時に発作が起きて、朝家を出ると不思議と20分くらいで全く苦しく無くなっていました。家を出る前に薬は飲んでいないのですが、治っていました。危なそうなときは、夜、テオドール飲む事をしていました。
それが、1年前に急激に発作がひどくなり、昼になっても発作が止まらなくなり、また、何日も発作が続くようになって、病院に行ったら、吸入剤を処方されました。それが、例の報道にあげられたものです。あまりに最初に劇的な効果があったもので、乱用してしまい処方されてから1週間目にはなくなっていました。全く、効果がないばかりでなく、悪化し、呼吸困難で、倒れました。救急入院となりました。家族には、助からない可能性があると告知されたようです。
1週間、人工呼吸器を取り付けられて、麻酔で眠らされていました。そのあいだに、ステロイド、バンコマイシン(?)を限界量の数グラムの投与が有ったと聞きました。結局2ヶ月間の入院になりました。医者の話ですが、あの状態からの回復は、劇的なものであったと聞きました。一般論から言うと、2倍くらいの期間が掛かってもおかしくない状態だったそうです。しかし、入院の2ヶ月の間は、色々な諸症状で苦しみましたが…。
それから1年が立ち現在です。この1年間の間に、2、3回軽い発作が有ったのみです。この1年間は朝、夜、テオドールを100mg、飲んでいます。
最近は、テオドールも飲まなくなりましたが、今の所、何とも有りません。
入院中に、吸入ステロイド治療の話もあったのですが、退院後の経過が良いので数カ月前に聞いた医者の話では、必要無しとのことでした。
と言うわけで、このまま、テオドール剤を飲むにとどめておいて良いのか吸入ステロイド治療を行うべきか、考えています。最初に話したように、ホームページをみての知識では、吸入ステロイド治療を行うべきと思っていますが、医者の必要無しの判断をどうとるか、ご指導をしていただきたくお願いいたします。
以上、長文で申し訳有りませんが、お手数ですが、アドバイスをお願いいたします。
<応答>
初めまして。
メール拝見させてもらいました。
>>しかし、今回ホームページを拝見して、アレルゲンからの待避のみならず、未発作時にも気管支の慢性炎症があるようなので、この治療が必要でないのかと考えました。治療の必要性は分かったのですが、具体的にどの様な行動をとるのかがよく分かりません。病院に行って、吸入ステロイド治療をしたいと言っただけで、先生が理解してくれてはいどうぞと簡単には行きそうもないのでは。十分理解(適切な治療を受けられる)している先生がいる病院が何処なのか分からないので、どの様にアクションするのが的確か分からず何もできないという感じです。
→どちらにお住まいかかによりますが、是非呼吸器専門医のいる病院を探してにかかって下さい。呼吸器専門医でなくても、吸入ステロイドを積極的にしようする先生はいますし、また呼吸器専門医でも吸入ステロイドに積極的でない先生もまれにはおります。しかし、後者はまれですから、呼吸器科のある病院なら吸入ステロイドを処方してくれるはずです。もし、十分な吸入指導が受けられない場合でも、吸入ステロイドさえ手に入れば、このホームページの「特集・吸入療法」を熟読してもらえれば、きっと効果が現れるでしょう。
>>このままテオドール剤を飲むにとどめておいて良いのか吸入ステロイド治療を行うべきか、考えています。最初に話したように、ホームページをみての知識では、吸入ステロイド治療を行うべきと思っていますが、医者の必要無しの判断をどうとるか、ご指導をしていただきたくお願いいたします。
→過去に、吸入ステロイドの話しがでたことがあるのであれば、現在の先生は、呼吸器専門医のようですね。現在は症状がないとのことで、主治医の判断では、吸入ステロイドは不要ということですね。
ただし、ひとつ重要なことは、あなたが過去に喘息発作で救急入院や人工呼吸器のお世話になったことがあるという事実ですね。決して脅かしているわけではありませんが、このような喘息の方の場合、喘息死する確率が高いという調査結果がでております。従って、吸入ステロイド適応の如何に関わらず、今後喘息管理は厳密に行っていった方が良いと言うことです。
喘息管理は何も薬を飲んだり吸入をしたりすることだけではありません。生活に注意し、風邪を引かないようにする。環境や喘息発作の誘因を極力避けることですね。また、もし不安なら、ピークフローメーターを毎日あるいはときどき記録して、症状のないうちから自分の最良値をモニターしておくことです。そして、症状がなくてもピークフロー値が低下してきたら、極力生活上の注意をすることです。なんでも早め早めに対処すれば、喘息は決して恐い病気ではありません。なお、ピークフローメーターの導入は主治医の判断によらなくてもいいと思いますので、ぜひ今のうちから積極的に導入することをお勧めします。
では、こんなところで。