(4)吸入ステロイドの増量はできないと言われました。

【049】39歳女性(自営業)の方から

<追加メール8>

こんにちは。

前回、先生よりメールを頂いた日の午前中に受診がありました。(いつも温かいメールをありがとうございます。気が滅入っていたり、挫折しそうなとき頂くので胸に熱いものがこみ上げてきます。また何のかかわりのない私のため考えアドバイスをしてくださる先生がいてくださると思うと、すごく励みにもなります)

ピークフロー値も250〜350を上下しているので、「プレドニンの連用を考えてみよう」と言われました。私としましては、アルデシンの増量を願っていたので躊躇してしまいました。それに不眠や皮膚のかゆみ等の副作用の他15日の短期服用でしたが、異常な腹部膨満感(完全な便秘ではありません)には、耐え難いものがあります。まるで妊娠中のようで普段の洋服が着られなくなり前にかがむ事ができません。私にとっては喘息発作より苦しいです。「症状が改善されれば切ってもらえますか?」と聞いたところ「何をやっても駄目だったからいいようなら切れないな〜」との答えに、連用はお断りしてしまいました。新しい吸入ステロイドが出るからそれに賭けてみようということになりました。この答えで良かったのでしょうか?

そして、本日の受診で先生からのアドバイスで頂いていた痰の検査のこととベコタイト100のことをお願いしてみたのですが、「昨年の今頃と比べるとずいぶん良くなっているようだから、今はいじらない方がいいでしょう。こんなもんでしょう」と何とも言いようのない受診でした。(確かに昨年の今頃はひどくて週に2、3回救急外来で点滴していました)

前回メールした喘鳴と発作の違いなのですが、私の言葉が足らなかったようでです。今まで小発作と言っていましたが、自覚症状から言いますと喘鳴のみです。チアノーゼが出てくると「いくらか息苦しいかな」と感じる程度です。自分から救急外来に行くよりも、周りから「苦しそうだ」と連れて行かれるほうが多いようです。私の場合チアノーゼの出る大発作か喘鳴のみしかないようです。中発作、小発作の苦しさは自覚できません。でも苦しくなくても病院に行くと酸素吸入、ボスミン注、ステロイド入りの点滴となると「やはり発作なのか」と思います。やはりこの状態は良くないですね。

だらだらと書きましたが、何も変わりはないようです。今は先生のおっしゃる<守りの治療>を心がけていきたいと思います。自分を大切にします。

<追加応答8>

>>ピークフロー値も250〜350を上下しているので、「プレドニンの連用を考えてみよう」といわれました。私としましては、アルデシンの増量を願っていたので躊躇してしまいました。

→この考え方は私としても納得できませんね。基本的にステロイドが効くなら、プレドニンもアルデシンも同じ事です。ただし、副作用を考えれば当然まずアルデシンの増量を考えるべきです。これは、(私の好きでない)「喘息治療ガイドライン」にもしっかり書かれていることです。アルデシンの増量は意味がないと言われたわけではありませんよね。次回でももう一度確認してみては如何でしょうか?

>>「症状が改善されれば切ってもらえますか?」と聞いたところ「何をやっても駄目だったからいいようならきれないな〜」との答えに、連用はお断りしてしまいました。新しい吸入ステロイドが出るからそれに賭けてみようということになりました。この答えで良かったのでしょうか?

→プレドニン連用をきちんと拒んだのは正しい判断だと思います。医療は、如何に優れた治療や検査であっても、きちんと納得した上で行われなければなりません。理由はわかりませんが、アルデシンの増量が無理だというなら、新しいフルチカゾンに期待しようと言う考えは仕方ないでしょうね。

>>そして、本日の受診で先生からのアドバイスで頂いていた痰の検査のこととベコタイト100のことをお願いしてみたのですが、「昨年の今頃と比べるとずいぶん良くなっているようだから、今はいじらない方がいいでしょう。こんなもんでしょう」と何とも言いようのない受診でした。(確かに昨年の今頃はひどくて週に2、3回救急外来で点滴していました)

→痰の検査はしてもらえなかったのですね? これも納得できませんね。

多くの患者さんが吸入ステロイドで良くなると「大分楽になりました」とおっしゃいますが、通常この状態でもピークフロー値はイエローゾーン内にあります。しかし、それではまだまだ不十分なのだという考え方は、残念ながらまだ一般的ではありません。このことが、多くの喘息の方が“過少治療(アンダー・トリートメント)”を受けている原因であると私は考えています。

>>自分から救急外来に行くよりも、周りから「苦しそうだ」と連れて行かれるほうが多いようです。私の場合チアノーゼの出る大発作か喘鳴のみしかないようです。中発作、小発作の苦しさは自覚できません。でも苦しくなくても病院に行くと酸素吸入、ボスミン注、ステロイド入りの点滴となると「やはり発作なのか」と思います。やはりこの状態は良くないですね。

→脅かすようで申し訳ありませんが、これがもし本当だとしますと、あなたの喘息はもっと真剣に考えて対処しないと危険を伴うと思います。呼吸困難に相当慣れてしまっているのではないかと考えられます。これ以上悪化しないためには、自覚症状でなく、ピークフロー値を参考に自分の状態を判断して下さいね。それが大事に至らない唯一の方法かもしれません。

あまり我慢せず、十分にお気をつけて下さいね。

<追加メール9−1>

こんにちは。いつもていねいなお返事ありがとうございます。

主治医の先生がアルデシンを増量してくれないのは、私の気管支の炎症は先の細いところにあるので「アルデシンでは届かない」の一点のようです。では、今している8吸入/日は何のためなのか疑問でした。「これ以上炎症を拡げないため」だそうです。たとえ駄目でも、「副作用のない吸入ステロイドでチャレンジしてやろう」という気持ちになって欲しかったと思います。

今のところ歯車が狂ったのか、どうも不信感が強くなってしまってます。でも、今の段階での転院は得策ではないように思ってます。これから出るフルチカゾンを処方してもらるには、ここが一番の近道のように思えるのです。主治医を変えてもらうことは可能でしょうが、細かなことまで(家庭環境や自覚症状がないことなど)把握してくれているし、今までお世話になったことを考えると勇気がでません。

自覚症状のことは先生のおっしゃるように、ピークフロー値をみながら慎重に対処していきます。(まだ死にたくないですから…笑)苦しさは感じなくても咳は激しく出ますので、それも一つの目安になるかと思います。

余談になりますが、私の住んでいる所は喘息患者がとても多いです。組内の住人45人中小児喘息をあわせて6人います。環境が悪いのでしょうか…。杉が多数すぐそばにあり、国道が2本合流するところに住んでいます。でもここから逃げられない…。

また、報告させていただきたいと思います。


(5)気管支拡張剤の定期吸入は気管支の過敏性を亢進するのですか?

【049】39歳女性(自営業)の方から

<追加メール9−2>

こんにちは。お忙しいようですが、お元気でお過ごしでしょうか?

本日は、近況報告と質問をさせてください。

最近は、天候の不順なことと家業のほうが忙しいことが重なったせいか、毎日のように朝になると小発作(喘鳴のみ?)がおきていました。久しぶりに救急外来で点滴することになったり、あまり良い状態ではありません。

先日の外来でも吸入ステロイドの増量はかないませんでした。そのかわりホクナリンを寝る前に定期的に吸入することとなりました。しかし「気管支拡張剤の定期吸入は、気管支の過敏性を亢進する」と何かで読んだような気がするのですが、そのような事はないのでしょうか?(ベロテックは頻脈になり、メプチンは手のふるえがひどくなります。サルタノールはむせてしまい吸入できません。ホクナリンはあまり切れのある効き方はしませんが、副作用がないので使っています)そのおかげか、ここの所、朝の発作はありません。

プレドニンを発作時の頓服として「点滴に行くようかな。と思うときに飲んで」と頂いたのですが、あまり即効性がないと伺っていましたので、プレドニンを服用するタイミングがよくわかりません。点滴に行くようかなと思った時ではもう遅くて結局、点滴することになってしまうのではないのでしょうか? それとも病院へ行くまでのつなぎと考えていた方がいいのでしょうか? つまらない質問ですみませんが、よろしくお願いします。

なかなか喘息治療によい環境づくりは難しいです。一人で頑張ってもどうにもならないことが多すぎます。今はそれが一番つらいです。治療にあたっての土台作りが、私にはまだまだできていないようです。

先生からのアドバイスを心に留め、フルチカゾンが出るのを待っている次第です。

<追加応答9>

お久しぶりです。

その後もいろいろと苦労しているみたいですね。

>>先日の外来でも吸入ステロイドの増量はかないませんでした。そのかわりホクナリンを寝る前に定期的に吸入することとなりました。しかし「気管支拡張剤の定期吸入は、気管支の過敏性を増進する」と何かで読んだような気がするのですが、そのような事はないのでしょうか?

→確かにそのように言われていました。しかし、最近、「気管支拡張剤の定期吸入」も「発作時のみの頓用」も、気管支の過敏性を亢進させる作用には差がないとの報告もあり、見解は一定していないのが実状のようです。両方同じなのだから、わざわざ毎日吸入しなくてもよいのではないかと言う考えもあるし、毎日吸入しても過敏性に対する影響が同じなら、それで症状が良くなるなら毎日やっても良いのではないかという考え方もあります。

私は、あなたの場合は、それで症状が治まっているなら続けるべきではないかと思います。副作用もないようですし…。これは、永久的にということではなく、フルチカゾンが発売されるまでの暫定処置と考えれば、さほど気道過敏性の悪化は考えなくてよいでしょう。

>>(ベロテックは頻脈になり、メプチンは手のふるえがひどくなります。サルタノールはむせてしまい吸入できません。ホクナリンはあまり切れのある効き方はしませんが、副作用がないので使っています)そのおかげか、ここの所朝の発作はありません。

→まずは症状がないことが何よりです。そうして吸入ステロイドが効くようになれば申し分ないのですが…。近々、ホクナリンテープというのが発売されるそうです。少しは期待できるかもしれませんね。

>>プレドニンを発作時の頓服として「点滴に行くようかな。と思うときに飲んで。」と頂いたのですが、先生よりあまり即効性がないと伺っていましたので服用するタイミングがよくわかりません。点滴に行くようかなと思った時ではもう遅くて結局、点滴することになってしまうのではないのでしょうか? それとも病院へ行くまでのつなぎと考えていた方がいいのでしょうか?つまらない質問ですみませんが、よろしくお願いします。

→即効性はなくても、時間をかけて病院へ行くのを考えれば、早めにプレドニンを飲んだ方がいいですね。病院へ移動することも時には発作増悪の因子になることがあります。

目安はあくまでピークフロー値を基準にした方がいいと思います。

プレドニンでも駄目なら、病院へ行かなくてはならないのは勿論です。

>>なかなか喘息治療によい環境づくりは難しいです。一人で頑張ってもどうにもならないことが多すぎます。今はそれが一番つらいです。

→まったくそのとおりですね。私も早く色々な誤解が解けるように頑張って行きますので、あなたも負けないで頑張って下さいね。

では。