(29)血痰って何なのでしょうか。
【002】40歳男性(配達自営業)から
<質問>
以前に通院していた病院に血痰外来というのがありました。当時は私も何度か血痰が出たことがあったので受診しようかとも思いましたが、忙しさからできませんでした。その後、血痰が出なくなったので気にしないでいましたが、最近、痰が多くてふと当時のことを思い出し、あのころはなぜ痰に血が混じっていたのかと気になりだしました。喘息患者には普通にあることなのでしょうか。炎症によって気道粘膜で出血するとしたら痰に血が混じっても不思議ではないですね。それとも他の病気のせいなのでしょうか。
<応答>
血痰外来なんてあるんですね? 初めて聞きました。私も、呼吸器外来患者さんはまんべんなく診ていますが、血痰を主訴に初診で来院する患者さんは5%位かと思います。確かに慢性的に血痰が出る方もおりますので、全体でも1割と言うところでしょうか? それ専門の外来とすると血痰の出る患者さんが紹介されて集まってくるのでしょうね。
さて、血痰の出る部位も、気管支系(くだ)と肺胞系(ふくろ)に分けられます。気管支系の血痰は、肺癌、気管支拡張症などがほとんどです。ただし、時に正常な方でも激しくせき込んだ後に、粘膜が切れて血痰が出ることはよくあります。ましてや、喘息では気管支炎症がありますから、咳をすると血痰が出るのは珍しくないでしょう。タバコによる慢性気管支炎でも同じ事です。気管支拡張症はあまり聞き慣れないかも知れませんが、これも慢性気管支炎の一種ですが、どちらかというとタバコが原因ではなく、先天的要素が強いことが多いですね。気管支は枝分かれしながら細くなって行きますが、このような患者さんは、繰り返す炎症のため、末梢の方が拡張していたり、所々袋状になっていたりするのでこの名前があります。これにはエリスロマイシンが有効です。
肺胞由来の血痰は、有名なところでは肺結核ですね。その他に重箱の隅をつつくような疾患はたくんありますが、省略します。