(1)笑いすぎて発作が起きます。

【050】小学4年生の喘息児をもつお母さんから

<質問>

小4の男の子です。6歳のとき喘息と診断されました。

生まれたばかりはアトピーがひどかったです。今なくなりました。

普段はサッカーをしたりしても発作は出ないんですけど、テレビを見て笑いすぎたりすると突然せき込んで息苦しくなります

一回入院をしてから母親の私も神経質なってしまって、あんなに笑って発作が起きなければいいんだけどと思ってしまいます。常に発作のことが頭にあります。その気持ちが通じてしまうのかと思う事もあります。

これから暑くなるのでクーラーが効きすぎないとか、やたらと気を使い過保護してしまっていると感じています。

親があまり干渉しない方がいいのでしょうか?

笑いすぎたり騒ぎすぎたりして発作が出ると言うことはこの先ずっとな治らないんでしょうか?

ちなみこういった発作が起きたときはすぐテオドール飲ませてしまいます。

すぐ薬を飲ませない方がいいんでしょうか? ひどくなってしまうかと思うと飲ませた方がいいと判断していますが、どうしたら改善できるのでしょうか?

ご指導の方宜しくお願いします。

<応答>

初めまして。

メール拝見しました。

>>普段はサッカーをしたりしても発作は出ないんですけど、テレビを見て笑いすぎたりすると突然せき込んで息苦しくなります。

→私の息子も小5でサッカーをやっております。テレビを見て笑いすぎると発作が起きるというのは喘息ではよくあることですね。しかし、そのようなときでもサッカーをやっても発作は起きないのですか? この両者は同じ時期に起きませんか? つまり元気にサッカーをやれる状態では笑っても発作はない、あるいは笑って発作が起きるような時はサッカーも頑張れない、とか。笑って発作が起きるような状態では運動をすると発作を起こすことがあり、どちらも喘息の状態が良くないことの指標になるからです。例えば、先週はサッカーを普通にできたのだけど、昨日は笑ったら発作が起きた、というのでは時間的ずれがありますので、先週はたまたま状態が良かったからサッカーができただけで、その後調子が悪くなって笑うと発作が起きてしまう、という関係です。

もう一つは、サッカーをしても何ともないという観察が正しいかどうかですね。お母さんはいつもサッカーをしているのをご覧になっていますか? 例えば、サッカーをしたとはいっても、調子が悪いのであまり思いきり走れないということもあるかも知れません。

さらに、外でサッカーをしているときは何ともないが、家の中に原因(ダニなど)が残っていて、家でテレビを見て笑うとそれが刺激になって発作を誘発してしまうという可能性もあります。

従いまして、もう少しよく観察してみて下さいね。

>>親があまり干渉しない方がいいのでしょうか?

→いちいち口出しして過保護になるのはどうかと思いますが、注意深く観察してやることは親として当然であると思います。

>>笑いすぎたり騒ぎすぎたりして発作が出ると言うことはこの先ずっとな治らないんでしょうか? ちなみこういった発作が起きたときはすぐテオドール飲ませてしまいます。すぐ薬を飲ませない方がいいんでしょうか?

→これは当然テオドールを飲ませるべきです。苦しいのを我慢させてはいけません。発作の間隔がそんなに短くなければ、このままの状態を続けても構わないと思いますが、頻繁に発作が起きるようなときは早めに発作予防、すなわち気管支炎症の鎮静化をはからなければなりません。小児では予防薬はインタール吸入が第一選択になっているようですが、不十分なときは吸入ステロイドを導入してみては如何でしょうか? ただし、先生によってまだ意見がバラバラですので、担当医とよく相談してみて下さい。

現在の状態が、大きくなっても残るのか、あるいは治まってしまうのかは、現在のところ予測するすべはありません。むしろ発作を我慢させたり、発作を頻繁に繰り返す状態を放置しておくことで、重症化し遷延化することが多いようです。また、早めの適切な治療で病気が重症化しないことも確かです。しかし、それが完全な意味での“治癒”であるかどうかは、難しい問題ですね。発作を抑えながら、様子を見て行くしかありませんね。

また、小4ですと、もうピークフローメーターを記録できるはずです。まったく自己管理をさせるのはまだ早いと思いますので、毎日歯磨きをするのと同じように、1日2回時間が来たらお母さんから、「吹いてごらん」と促してみてはどうでしょうか? 記録はお母さんがすれば、色々なことがわかるようになると思います。

では。