(1)ピークフロー値160しか吹けませんでした。

【053】25歳女性(アルバイト)の方より

<質問>

こんにちは。

ホームページは毎日チェックしています。先日開いたら自分のメールが「付録集・読者からの感想」のコーナーに載っていて、驚くやら恥ずかしいやら…。でもコメントまでつけて頂いて、ちょっと嬉しかったです(笑)

前回、数ヶ月ぶりに病院に行ったと書きましたが、その後ピークフローメータが手元に届きました。早速帰宅後使用してみたのですが…目を疑ってしまいました。140しか吹けないのです

「吹き方が下手なのかも」と思い、何度やっても160以上にはなりません。同居している友人に試しに吹いてみてもらったところ、軽く400を超えていました。ショックでした。「ピークフローメーターで客観的にわかるっていうし。自分には大変かも、って思ってるけど、測ってみたら絶対たいしたことないんだから」と楽観視していたのですが、逆効果でした。

朝起きると息苦しく、出社の準備をしているうちに息切れしてしまうので、メプチンを1パフ。これで楽になります。その後アルデシンを3パフ。昼休みになると、また息苦しくります。帰宅後と就寝前にも同じ状態になるので、メプチンを1パフずつ吸入していました。アルデシンは朝・昼休み・就寝前の3回×3パフ吸入しています。(今は帰宅後も3パフ吸入しています)

それでも2週間ほど、一向によくならず、朝も夜も、最高で210がやっと…という状態が続いていました。喘息を診てもらっている病院は実家の方なので簡単に通うことができません。いっそのこと諏訪部先生にお聞きしようか…とも思ったのですが、何を聞いていいのかもわからず、けれども体調は悪く、ピークフロー値もあがらず、不安でメールを出す気にもなれませんでした。

が、先日このホームページで「正しい吸入方法」を確認したところ、間違いがあることに気づきました。1パフ1吸入ではなく、3パフまとめて1吸入していたのです。しかも鼻から息を吐くのではなく、袋の中に吐いていました。(これは薬局でそう説明されたのですが…)そこで早速正しい方法で吸入するようにしてみました。

まだ3日目ですが調子がいいです。(ピークフロー値は260が出せたことがありました)1日4回吸入しないと、息苦しくてめまいがしてきたメプチンエアーが、昨日は3回ですみました。今日もいけそうです。そこで、なんだか安心してきたら、お聞きしたいこともまとまってきたのでメールさせていただいた次第です。お時間の許すときでかまいませんので、教えていただけると嬉しいです。

ピークフロー値を測定するときは、薬を飲んだり吸入したりしていないとき…といいますが、具体的にはどのくらいの時間が経ったらなのでしょうか。例えば夜7時頃にメプチンエアーを使用したら、いつ頃になると「薬を使用していない状態」になるのかがわかりません。苦しくなったら「あ、効き目が切れているてる」とは思うのですが…。

もうひとつ、アルデシンの吸入は増やしてもよいのでしょうか?(というか、増やした方がよいのでしょうか)最初は1日3回×2パフと言われていたのですが、その後診察していただいたときに「3パフにして」と言われました。更にその後、母が代わりに聞きに行ってくれて、「1日4回×3パフ」になりました。

病院の先生には「これを見て加減してごらん」とプリントを一枚頂いたのですが(「これは医者が使うものなんだよ」と言われました)、帰宅後読んでみたのですがよくわかりません。ピークフロー値が予測値の50%以下なので「重症」なのかと思ったのですが、「夜間発作」などは全くないし…。それとも就寝前にメプチンエアーを吸入するからないだけなのでしょうか。HPのガイドラインも拝見しました。メプチンエアーがないと歩くのも辛いので、Step3かな? とも思うのですが…でも「発作」らしきものはないし…。もし、そうだとしたら、飲み薬もあったほうがいいのでしょうか?

とりとめのない質問になってしまい、申し訳ありません。本当にお手すきの時で構いませんので、よろしくお願いします。必要事項は最後に記述させていただきます。

不精者の私が、2週間以上記録を続けています。自分にとっては快挙です(笑)。この調子でがんばって治療も続けていきたいと思います。

先生も、お忙しいとは思いますが、お身体だけは本当にお大事になさってください。

乱文で失礼いたします。

・年齢:25歳
・性別:女
・職業:アルバイト(コンピュータ関係と早朝のパン屋のレジ)
・身長:159 cm
・小児喘息の有無:有
・初めて喘息と診断された時期:幼稚園の時(たぶん5歳くらい)
・およその治療経過:

幼稚園の時、夜発作を起こして3日間意識不明だったそうです。以来1年の3分の2は入院してました。小2で扁桃腺を全部取ってから、入院するほどの発作はなくなりました。夜中に病院に行く発作は年に4回くらい?高校1年の冬に一度入院。以来メプチンエアーを頂いて、夜中に通院するほどの発作はありません。(メプチンエアーを使用すると治まるから)昨年春にアルデシンを頂いたのに勝手に中断、悪化しました。先月改めて受診し、現在に至ります。

・喫煙の有無あるいは喫煙歴:無。家族にもいません。
・ペットなどの特殊な環境の有無:無。
・吸入ステロイド使用の有無:有。(1年前に2ヶ月でやめ、2週間前に再開)
・使用しているスペーサーの種類:インスパイアイース。
・ピークフローメーター記録の有無及びその機種:有。ミニライト(?)
・性格:私の性格は、たぶん、「辛抱強い」とか「耐え忍ぶ」とか、そういう言葉とは縁遠い気がします(笑)。以前手相占い師に、「姑と気が合わなければ我慢せずに追い出すタイプ」とまで言われましたし(笑)、ちょうど昨日同居人とも、「私は我慢しない」という話をしていました。いけない、いけない…。

<応答>

こんばんは。

>>140しか吹けないのです。同居している友人に試しに吹いてみてもらったところ、軽く400を超えていました。ショックでした。

→ついに入手しましたね。このショックこそが今後の喘息治療の大きな励みになるのです。誰でも通る大きなステップです。落ち込まないで下さい。私から言わせてもらえれば、それほど治しがいがあるというものです。

>>朝起きると息苦しく、出社の準備をしているうちに息切れしてしまうので、メプチンを1パフ。これで楽になります。その後アルデシンを3パフ。昼休みになると、また息苦しくります。帰宅後と就寝前にも同じ状態になるので、メプチンを1パフずつ吸入していました。アルデシンは朝・昼休み・就寝前の3回×3パフ吸入しています。(今は帰宅後も3パフ吸入しています)

→基本的に現在の状態はレッドゾーンです。ピークフローメーターはレッドゾーンではあまり役目を果たしません。あまり思いきり吹くことも好ましくないですね。調子が良くなれば、軽く吹いても必ず良い値が出るようになります。

>>先日このホームページで「正しい吸入方法」を確認したところ、間違いがあることに気づきました。1パフ1吸入ではなく、3パフまとめて1吸入していたのです。しかも鼻から息を吐くのではなく、袋の中に吐いていました。(これは薬局でそう説明されたのですが…)そこで早速「正しい」方法で吸入するようにしてみました。まだ3日目ですが、調子がいいです。(ピークフロー値は260が出せたことがありました)1日4回吸入しないと、息苦しくてめまいがしてきたメプチンエアーが、昨日は3回ですみました。今日もいけそうです。

→1度に3パフではもったいないですね。それから、しばらくは400を目指して吸入ステロイドを頑張って下さい。今は遠い目標ですが、必ず吹けるようになります。本当の目標は500以上ですが…。

>>ピークフロー値を測定するときは、薬を飲んだり吸入したりしていないとき…といいますが、具体的にはどのくらいの時間が経ったらなのでしょうか。例えば夜7時頃にメプチンエアーを使用したら、いつ頃になると「薬を使用していない状態」になるのかがわかりません。苦しくなったら「あ、効き目が切れているてる」とは思うのですが…。

→これは、その時の喘息の状態によっても、あるいは発作止めの種類によっても違うので一概に言えません。メプチンであれば3、4時間くらいは持続するので、その間は薬剤の影響は残ると思います。

しかし、大切なことは、今の状態ではピークフロー値はあくまで参考という気持ちでいて欲しいことです。苦しければ、メプチンを吸うことは一向に構いません。ピークフロー値の測定に影響するからと、吸入をためらったりするのはもってのほかです。メプチンを吸った後のピークフロー値は良くても悪くてもあくまで参考です。

当面の目標は、メプチンが不要になるまで、吸入ステロイドをしっかり吸うことです。時には増量も必要です。吸入ステロイドがしっかり効くようになれば、メプチンは不要になります。症状も大分楽になるでしょう。しかし、こうなって初めてピークフロー値を記録する意味が出てくるのです。つまりこの段階でようやくイエローゾーンに達したということです。イエローゾーンでは、どういうときにピークフロー値が変動し発作が起きるか、またピークフロー値が下がったとき自分は何をしなければならないか、色々なことがわかってきます。

>>アルデシンの吸入は増やしてもよいのでしょうか?(というか、増やした方がよいのでしょうか)最初は1日3回×2パフと言われていたのですが、その後診察していただいたときに「3パフにして」と言われました。更にその後、母が代わりに聞きに行ってくれて、「1日4回×3パフ」になりました。

→もちろん増やすべきです。いや増やさなくてはいけません。「1日4回×3パフ」とのことですが、メプチンが不要になるまでは、この量以上に増やすことも必要です。アルデシンの1日12吸入はまだまだ不十分であると思いますが、これは主治医ともよく相談してみて下さいね。

>>HPのガイドラインも拝見しました。メプチンエアーがないと歩くのも辛いので、Step3かな?とも思うのですが…でも「発作」らしきものはないし…。もし、そうだとしたら、飲み薬もあったほうがいいのでしょうか?

→ガイドラインはまだ工事中ですが、私があの表を提示したのは、あれがあまり当てにならないのではないかということを言いたかったからです。楽しみにしていて下さいね。従って、飲み薬はプレドニン以外はあまり気にしないで下さい。とりあえず、吸入ステロイド一つで頑張ってみて下さい。

>>職業:アルバイト(コンピュータ関係と早朝のパン屋のレジ)

→ここが少し気になりますのでコメントさせて下さい。早朝とは何時頃ですか? あなたはお若いですから、恐らく夜の生活などもいろいろと不規則なのではないでしょうか? ましてや、早朝からの仕事となると、喘息を良くする上では、好ましくありませんね。これは、仕事を辞めた方がいいと言っているのではありません。生活費のこともあるでしょうから、当然仕事はしなくてはなりません。ただし、朝早くから仕事をしているのなら、疲れを残さないように早く寝るとか、それ以外のことで可能な限り身体を休めて欲しいと言うことです。いくら良い薬があっても、無理な生活を送っていては喘息コントロールは不可能であるというのが現状です。生活のリズムやパターンを見直して、基本的に健康管理を行って行く姿勢が重要です。しかし、ピークフロー値が500を越えて安定できるようになれば、今度は多少は無理が利くようになります。そこに到達する前に、多くの方は元に戻ってしまうのです。

>>私の性格は、たぶん、「辛抱強い」とか「耐え忍ぶ」とか、そういう言葉とは縁遠い気がします(笑)。以前手相占い師に、「姑と気が合わなければ我慢せずに追い出すタイプ」とまで言われましたし(笑)、ちょうど昨日同居人とも、「私は我慢しない」という話をしていました。いけない、いけない…。

→この性格は、喘息治療にとっては無理をしないという点では好ましいですね。しかし、おそらく謙遜も入っているのではないかと思います。苦しいときは我慢しないで苦しいと言って下さいね。

以上です。頑張って下さいね。


<追加メール1>

早速お返事を頂いて、ありがとうございます。

>>基本的に現在の状態はレッドゾーンです。ピークフローメーターはレッドゾーンではあまり役目を果たしません。あまり思いきり吹くことも好ましくないですね。

→やはりですか(笑)。本人も「もしかして…」とうすうす思ってはいたのですが、なんだか認めることに抵抗があったのです…。でも、はっきりしましたし、そういう自覚のもとに生活&治療をしていこうと思います。

>>それから、しばらくは400を目指して吸入ステロイドを頑張って下さい。当面の目標は、メプチンが不要になるまで、吸入ステロイドをしっかり吸うことです。

→頑張ります。この「400」というのは、「メプチンエアーを使用することなく生活している

状態」でのことですよね? まずはそっちが先決ですね…。先日夜360という値が出て、喜んだのですが、夕食後にメプチンを使用していたのでした…。これは「参考」ということですね。

アルデシンの増量は、主治医の先生に相談してみます。ただ、遠くてなかなか通えないのが難点なのです…。近くのお医者さんはアルデシンを知らないらしく、以前風邪で診ていただいたときに事情を話たところ「メプチンも使ってるし、ステロイドのとりすぎだよ」と言われてしまったのです。(ただ否定されている感じではなく、「もう一度、今の薬の名前教えて」とおっしゃっていたので、多分よくご存知ないのだと思いました)近くでいただけると、一番いいのにな…と思います。

>>従って、飲み薬はプレドニン以外はあまり気にしないで下さい。とりあえず、吸入ステロイド一つで頑張ってみて下さい。

→これは飲み薬はとりあえず不要…ということなのでしょうか。それとも主治医の先生に相談してみた方がよいのですか? 「プレドニン」という名前は聞いたことはあるのですが、頂いたことがないので気になってしまいました。

>>早朝のバイトの件ですが、朝の7時〜10時までです。その後、すぐ近く(徒歩5分)にあるもう一つのバイト先へ来ます。朝は6時少し前に起きます。「お召し上がりコーナー」もあるパン屋なので、煙草の煙は正直ちょっと辛いです。体にはよくないのかな〜とは思うのですが…。でも辞めたくないのです。生活費のこともなのですが、ストレス発散になるので…(笑)。なので、先生のおっしゃるとおり、「早く寝る」とか「体を休める」ことを、今より真剣に考えてみようかと思っています。先週〜来週はいつも週3回のところ、2回しか入っていないので、かなり楽です。

あ、それから。夜遊びはあまりしないんですよ。仕事が6時に終わるとまっすぐに帰って、家事をすませてから本を読んだり、音楽を聴いたり、テレビゲームしたりして過ごしています。体力はあまり使っていないつもりなのですが…。でも寝るのは遅いので、早くします…頑張ります…。

またまた長くなってしまいました。最後に、ストレスと喘息の関係について少し。高校から大学卒業後1年くらい、症状がとても安定していたのです。が、一昨年の秋に対人関係でとてもショックなことがありまして、以来調子が悪いのです。それまではメプチンも不要だったのに…。直接的には関係ないにしろ、やはり何かしら関係はあるのだと思うのです。こういう方は、結構いらっしゃいますか? そうすると、やはり「喘息って甘えのせいもあるんじゃ…」などと思ってしまいます。自分が自分に甘いからだ…という気がしてしまうんです。(人のことはあまり思わないんですが…)でも、結局本当のところがどうであろうと、喘息をコントロールできるようになって、自分自身をコントロールできるようになれば、人間的に成長できるような気がしています。なので、頑張ろうと思います。なんだか観念的な話になってしまいました。不快に思われたら、すみません。

病院の診察室では、次に待っている方が沢山いらっしゃるのが気になってしまって、うまく説明できません。だからって諏訪部先生のお時間を頂いてしまって、これも申し訳なく思います。でも、メールなどだと、文字で自分のペースで読めますし、後で復習できますから、とても理解しやすいです。なので、今度主治医の先生のところに伺うときは、予め紙に聞きたいことなどを書いて、要領よく受診しようと思いました。今度はHPに載っていた方々のように「500を超えました!」メールを出したいです。まだまだ先の話かもしれませんが…。

お時間をとらせてしまって申し訳ありませんでした。そして、大変親切でわかりやすいお返事を、本当にありがとうございました。HPもいつも楽しみにしています。無理をなさらず頑張ってください。また何かありましたら、そしてお時間が許しましたら、お返事を頂けると嬉しいです。

勝手ばかり書いてしまいました。今日も乱文で失礼いたします。

<追加応答1>

>>「プレドニン」という名前は聞いたことはあるのですが、頂いたことがないので気になってしまいました。

→重症ではプレドニンなどの経口ステロイドを必要とします。あなたは、現在使っておりませんが、いつまでもレッドゾーン内で発作を繰り返しているようなら、プレドニンも考慮した方がいいですね。しかし、ピークフロー値が上昇してきているようです。発作の回数も減ってくれば、吸入ステロイドだけでコントロールできるようになるでしょう。

>>「喘息って甘えのせいもあるんじゃ…」などと思ってしまいます。

→確かに、発症のきっかけになることはあるでしょうね。しかし、甘えが喘息の基本病態を形成しているわけではないと思います。あくまで眠っていたものが表に出るということだと思います。

では。