(3)レベルアップ作戦を理解してもらえませんでした。

【077】46歳男性(公務員)の方から

<追加メール3>

医者に行って来ました。なかなか決まった日に休みを取れないものですから、今後を考え、土曜に診てもらえるところと思い、喘息の専門だと、人に聞いた個人病院に行って来ました。

レベルアップ作戦を理解してはいただけませんでした。プレドニンは出してもらえず、点滴を受けました。吸入式β刺激剤は出してないようでベネトリンを貰いました。当分40パフのPFレベルアップ作戦を続けたいと思います。今後は、1日20パフ分のアルデシンは出してもらえるようです。今後とも、アドバイスよろしくお願いいたします。

診断の要旨は、

今朝のピークフロー値、及びかすかな喘鳴から点滴とネブライザー。
点滴は、気管支を広げる薬と、炎症を鎮める薬との説明。薬品名は不明。
血液に白血球が多い。喘息から来てると思う。
レントゲン、腹膜があがっているが、肺に異常はない。
心電図に異常はない。
今、受けてる治療はアルデシンが8パフは少ない。
40パフは多すぎる、20パフが限度。
内用薬は標準的で、どこでもほとんど同じ治療になる。
ただ、あなたの場合は点滴が必要だったと思います。
ベロテックはいただけませんでした。
ただ、アイロミールの吸入量が多すぎるからとあまり吸入しないように言われました
ベネトリンを8日分、16錠もらいました。
発作が出そうになったら、1日4錠を限度に1回1錠かつ間隔を1時間以上開けることといわれました。
また、具合の悪いときは、点滴に来いと言われました。
経口のβ刺激剤だと思いますが、夕方咳が出ることが多いので、4時頃にでも飲んでおくと良いのでしょうか。
来週土曜日に来院と言われました。
ベロテックを出してくれるよう頼むべきでしょうか。

身勝手な、相談で申し訳ありません。

レベルアップ作戦も軌道に乗りかけていますのでよろしくお願いいたします。それでは、失礼いたします。

<追加応答3>

今度の先生は、後で述べますが、喘息専門医ではないと思います。

>>レベルアップ作戦を理解してはいただけませんでした。プレドニンは出してもらえず、点滴を受けました。吸入式β刺激剤は出してないようでベネトリンを貰いました。

→レベルアップ作戦は理解して貰えないのはわかるとしても、頓用で経口のベネトリン錠を渡すというのは、我々呼吸器専門医では、最近はもう考えられない処方です。それでも効けばそれはそれで良いとは思いますが…。

>>血液に白血球が多い。喘息から来てると思う。

→これは、現在のプレドニンの副作用の一つです。プレドニンを長く飲むと白血球が増えてくることは有名です。

>>今、受けてる治療はアルデシンが8パフは少ない。40パフは多すぎる、20パフが限度。

→これは、恐らく保険適応上の話しだと思います。保険では1日16パフが限度で、それ以上は申請しても削られるので、医院の損失になってしまいます。しかし、喘息治療ガイドライン(→「特集・喘息治療ガイドライン」参照)では、重症では1,200マイクロ(1,600まで考慮)となっていますので、アルデシンなら24パフ(32パフまで考慮)となります。あなたは、過去に救急車で2度も搬送されたことがあり、重症に分類されます。もっと悪く言えば、喘息死する確率が高い喘息と言えます。私は、ガイドラインは嫌いですが、それでさえも32パフまでは認めているのです。

>>ただ、アイロミールの吸入量が多すぎるからと、あまり吸入しないように言われました。ベネトリンを8日分、16錠もらいました。

→「吸入するな」と言われても苦しいんだから困りますね。ベネトリンは、サルタノールという発作止め吸入と同じ成分です。発作で経口薬を頓服するなんて、効き目が出るのに30分以上かかってしまいます。ひどい発作では役に立ちません(アイロミールもひどいときは効きませんが…)。

>>また、具合の悪いときは、点滴に来いと言われました。

→これは良かったですね。夜間や休日はどうなのでしょう。

>>経口のβ刺激剤だと思いますが、夕方咳が出ることが多いので、4時頃にでも飲んでおくと良いのでしょうか。

→飲むとしたら、そうですね。早めの方が良いと思います。副作用が出ないと良いですが…。

>>来週土曜日に来院と言われました。ベロテックを出してくれるよう頼むべきでしょうか。

→ベネトリンの内服で効かなければ、言ってみるべきでしょうね。

まだピークフロー値が安定しないようですが、ボルマティック・ハードが入ったようですから、頑張って下さい。ボルマティック・ハードは、アルデシンはうまくはまらないと思いますが、気にしないで、中に吹き付けたら、吸っている間ははずしても構いません。それから、吸い口をがっちり歯で噛んで、喉を大きく広げて、ゆっくり吸って下さい。特に吸い始めは、そーっと吸って下さいね。それがコツです。

色々な医者がいますが、喘息を治すのはやはりあなたご自身の努力だと思います。頑張って下さいね。

では、この辺で。

<追加応答3-1>

すごいですね。670ですか? やりましたね。

アセスというピークフローメーターだと、700から900という結構良い値が出ることがありますが、アセスでの670は見事です。アセスなら恐らく振り切れているでしょう。実は、身長183 cmの私のミニライトのベストも670です。しかし、あなたは完全に気管支の炎症が取れると、私以上の値が出ると確信しています。どうか極限へ挑戦してみて下さい。

可能な限り、今の回数を維持され、ピークフロー値がそれ以上上がらなくなったら、ピークフロー値を見ながら1日12から16吸入へ減らしてみて良いと思います。今度は、1噴霧1吸入で行って下さいね。こうなると少量の吸入ステロイドで十分な予防効果が期待できるようになるでしょう。

ちなみに、ベネトリンは内服しているのですか? 以前、ベネトリンはサルタノールと同じと書きましたが、サルタノールとアイロミールは同一薬剤であることを書き忘れていました。従って、剤形が違うだけで、皆同じ薬と言うことになりますね。

あなたのように劇的に改善した方はAICHAN以来ですね。実に見事です。しかし、ここで油断することなく、もう一度、兜の緒を締めて下さいね。そしてできることなら、ホームページを通して、どうして良くなったかを皆さんに伝えていって下さい。第2のZensoku Webとして…

では。


<追加メール3-1>

いつも、アドバイスありがとうございます。

おかげで、確信を持って続けることができます。

>>すごいですね。670ですか? やりましたね。

→ありがとうございます。今月のはじめには、アイロミールを使って350でしたので、自分でも驚いています。

>>どうか極限へ挑戦してみて下さい。

→自分のベストを知りたいので、どこまで行くのか、楽しみながらやってみます。まだ、変動が大きいので、当分、40吸入を続けてみます。 吸入の仕方ですが、1回1噴霧で吸入しています。これが良かったのでしょうか。また、詰まっていた鼻が通り、鼻で息ができるようになったのも、改善が早かったの理由の一つかもしれないと思います。できるだけ早くポリープを取りたいと、前より真剣に考えています。

>>ちなみに、ベネトリンは内服しているのですか?

→いえ、夕方に咳の予兆がないので、服用していません。

>>第2のZensoku Webとして…。

→まだ検索エンジンに登録していませんでしたが、登録して、多くの人に伝えたいと思っています。それが、先生やAICHANへの恩返しになると思っています。また、自分の励みにもしたいと思います。もう、以前の状態に戻りたくないですから。

それでは、失礼します。

これからも、よろしくお願いします。

<追加応答3-2>

熊虎さん。

いつもホームページを拝見しております。

あまりにも順調で、感激するばかりです。

さて、アルデシン40吸入でもうすぐ2週間が過ぎますね。予備はまだありますか? もし、少しでも症状が残っていれば、なくなるまでこの量を維持してみて下さい。(ただし、残量とのかねあいがあります。副作用は心配しなくていいです。このまま維持してもうがいさえやっていれば大丈夫です)もし、症状がなければ、1日16吸入くらいへ減らしてみてはどうでしょうか?

これは、もう目標に達したというのではなく、一度量を減らして様子を見、減量することで、ピークフロー値の推移を見るためです。ピークフロー値が下がったりすれば、気管支炎症はまだ不完全と判断して、再チャレンジすることもできます。

そろそろ、区切りかと思ってメールしましたが、今後継続するかどうかは、あなたが決めて良いと思います。

もし、レベルアップ作戦が成功したと判断し、このまま減量するとしたら、最後に私から一言だけ言わせて下さいね。それは、「これからこそが自己管理の始まりである」ということです。つまり今後は、レベルアップしたピークフロー値を、早め早めの自己管理によって維持することです。これからは症状が出る前に、気管支炎症の悪化をピークフロー値で判断して対処して下さい。また、今までは上を見てきましたから、病状を良い方に良い方にと考えてきました。しかし、これからは悪い方に悪い方に考えてみて下さい。症状が良くなってくると、このくらいなら大丈夫と楽観視すると、いつのまにか病状は悪くなってしまうものです。ましてや、今の状態がベストかどうかわからないわけですから、細心の注意が必要です。

今年は、スキーに行けるかもしれませんね。

いろいろと生意気なことを書きましたが、ぜひ頑張って下さいね。

では。

<追加応答3-3>

熊虎さん。

いつもホームページを拝見しております。

メールを送ろう送ろうと考えてはいたんですが、忙しくて送れませんでした。
本日たまっていたメールをすべて出し終わり、少し時間が取れました。

まず驚いたことは、吸入ステロイドを減らしたとたんにピークフロー値が下がったことです。私も不思議でした。もし吸入ステロイドを減らしたこと以外に何の原因もなく、ピークフロー値が低下したとしたら、まだまだ減量は早かったことになると、私自身反省していたのですが、減感作療法を“やられていた”のですね。これで、少しは納得できました。それにしても、ひどいですね。何の断りもなしに注射されるとは…。

それから痰が多いようですが、アイロミールを吸ってから痰が出るのでしょうか? それともアルデシンを吸入した後に出るのでしょうか? アイロミールを吸って痰が出るのなら、アルデシンの吸入前に十分に時間をかけて痰を切って下さい。また、アルデシンの後に痰が出るなら、例えば、5吸入してからしばらく待って一度痰を切って、それから残りの5吸入を行ってみては如何ですか? アルデシンを吸った後に痰が出てくるとしたら、アルデシン吸入は無効と言うことになりますから…。

減感作の影響が早くなくなると良いですね。不慮の横槍にがっかりです。

また、イエローゾーンでは風邪を引きやすいのが心配です。十分以上に気を付けて下さいね。

では。