(1)ピークフローを吹くと「ヒュウー」という音で抵抗感があります。

【079】36歳男性(会社員)の方から

<質問>

はじめまして。

伺いたいことがございまして、長文のメールを送信させていただきます。失礼をお許しください。

(1)年齢:35歳・性別:男・職業:会社員(電算機管理)・身長:168cm
(2)小児喘息の有無:有
(3)初めて喘息と診断された時期:4歳頃
(4)およその治療経過:
 4歳から20歳:
  薬:内服薬のみで詳細は不明。断続的に服用。
  発作:1〜2/月
  その他:20歳の頃減量を行う(80→60 kg)その後発作が減る。

 20歳から26歳:
  薬:ほとんどなし。
  発作:1〜2/年
  その他:26歳の頃、β刺激剤(吸入薬)を初めて使用した。効きめに驚く。

 26歳から34歳:
  薬:まったくなし
  発作:喫煙(30本/日)徹麻、ランニング等かなり無理なことをしていたがなし。

 34歳から35歳現在:
  97年9月:早朝息苦しくなりA病院でメプチンエアと内服薬(テオドール)を貰う。
       一週間程内服薬を服用。症状が消える。
  98年6月:風邪をきっかけに早朝等の息苦しさが再発。
       メプチンエアでごまかすが2ヶ月間症状が消えず。
  98年8月28日:メプチンエアが切れたのでB病院に行く。

(5)喫煙の有無あるいは喫煙歴:15年
(6)ペットなどの特殊な環境の有無:24歳より○○在住。97年3月より室内犬飼育。
(7)吸入ステロイド使用の有無:ベコタイド100
(8)使用しているスペーサーの種類:ボルマティック
(9)ピークフローメーター記録の有無及びその機種:ごく最近からミニライトにて計測開始。

ベコタイドの吸入回数:3噴霧X3/日
内服薬:なし
体重:70→65 kgに減量
喫煙:30本/日→4本/日に抑制

98年8月28日:
初めてベコタイドを使用。翌朝には息苦しさが解消された。効きめに驚く。以来β刺激剤(サルタノール)は必要ないので使用していない。

98年8月29日〜9月4日:
当初ベコタイドを1回につきスペーサーに3噴霧して2秒で吸引していました。妻がえらそうに「もっとゆっくり吸え」などというので、根拠を求めたところ貴ホームページが提示されたのです。
9月4日以降は貴ホームページの指示どおりの吸入方法に変更させていただいております。(助かりました)
9月4日に通院した際、担当医師よりピークフローの日記帳をいただきました。ミニライトもその時病院の売店で購入致しました。以下はそれ以降の記録です。

 日付  朝   晩  ベコタイド100 サルタノール 息苦しさ
9月04日    490  9        0       なし
9月05日 440 470  9        0       なし
9月06日 450 490  9        0       なし
9月07日 460 510  9        0       なし
9月08日 490 520  9        0       なし
9月09日 490

その他に気づいたこと及び質問。
身長153cm、32歳の妻のピークフローは常時500あります。妻がミニライトを吹いた場合「フッ」という切れのよい音がするのですが、私のそれは「ヒュウー」という音で抵抗感があります。またこの音はピークフローの値によっても違うように感じました。それからベコタイド使用以降、慢性的な鼻づまりが緩和されたように感じております。(鼻汁はほとんどでないが鼻閉がひどくて口で息をしなくてはならない)ナザールというスプレー式の市販薬を一日3〜4回使用していましたが現在は必要ありません。また、妻によると“鼾もあまりかかなくなった”とのことで不思議です。吸入ステロイドを鼻から出すと鼻づまりにも効くのでしょうか?

<応答>

初めまして。

メール拝見いたしました。詳しい病歴ありがとうございました。

>>97年9月:早朝息苦しくなり病院でメプチンエアと内服薬(テオドール)を貰う。
>>97年3月より室内犬飼育。

→これまで、小児喘息等の既往があったようですが、室内犬を飼い始めてから喘息が悪化したという可能性はないでしょうか?

>>98年8月28日:
初めてベコタイドを使用。翌朝には息苦しさが解消された。効きめに驚く。以来β刺激剤(サルタノール)は必要ないので使用していない。

→随分即効的に吸入ステロイドが効いたのですね。ただ、後でも述べますが、吸入ステロイドの本当の効果はこれからだと思います。

>>98年8月29日〜9月4日:
当初ベコタイドを1回につきスペーサーに3噴霧して2秒で吸引していました。妻がえらそうに「もっとゆっくり吸え」などというので、根拠を求めたところ貴ホームページが提示されたのです。

→奥様がホームページをごらんになっていたのですね。これまでメールは頂いたことはありませんので、そういう“隠れ読者”の方がいらっしゃるというのは励みになります。今回、吸入ステロイドを開始するようになったのは、奥様のお薦めもあったのでしょうか? 

>>身長153cm、32歳の妻のピークフローは常時500あります。妻がミニライトを吹いた場合「フッ」という切れのよい音がするのですが、私のそれは「ヒュウー」という音で抵抗感があります。またこの音はピークフローの値によっても違うように感じました。

→これは、実に良い点に気づきましたね。ベコタイドで発作がなくなったということですが、あなたの体格で500前後はまだまだ低いと思います。奥様の方が高いというのもその理由の一つで、さらにピークフローメーターを吹いた後の抵抗感です。恐らく、あなたは呼吸器筋力が相当強いのだと思います。だから、500近くも吹けたのであって、まだまだ気管支は細いのだと思います。今後、吸入ステロイドが効いてくれば、700以上は吹けるようになるでしょう。発作が治まったくらいで満足しないで、もっともっと気管支炎症を取って下さいね。

>>それからベコタイド使用以降、慢性的な鼻づまりが緩和されたように感じております。(鼻汁はほとんどでないが鼻閉がひどくて口で息をしなくてはならない)ナザールというスプレー式の市販薬を一日3〜4回使用していましたが現在は必要ありません。また、妻によると“鼾もあまりかかなくなった”とのことで不思議です。吸入ステロイドを鼻から出すと鼻づまりにも効くのでしょうか?

→これも面白い話しですね。実際に、ベコナーゼといって、ベコタイドと同じ成分の鼻用の噴霧剤が市販されていますので、鼻から吐いたベコタイドが鼻炎を鎮めてもおかしくはないですね。まさに一挙両得ですね。

今後も頑張って吸入し、いい結果をお聞かせ下さい。

では。


(2)素人判断でベコタイドの吸入回数を増やしたりするのに抵抗を感じております。

【079】36歳男性(会社員)の方から

<追加メール1>

少々調子が下降気味なのでまたメールさせていただきました。

アレルゲンに関して。
当医から“ハウスダストとダニ”といわれました。犬は関係なさそうだ。とのことでした。

夜間寒いのでおとといから羽毛の掛け布団を使っています。それから起床時に小さな喘鳴がしてPF値も下がっているようです。念のためベコタイドの吸入回数を増やしてみましたが、本日の起床時は少々息苦しく感じられたのでサルタノールを2吸入しました。サルタノール吸入後にPF値が50ほどあがりました。

温度変化や掛け布団が原因なのでしょうか? 

やはり素人判断でベコタイドの吸入回数を増やしたりするのに抵抗を感じております

先ず先生のご意見を賜ることができれば、と思った次第です。

度々のご迷惑をお許しください。

<追加応答1>

>>アレルゲンに関して。担当医から“ハウスダストとダニ”といわれました。犬は関係なさそうだ。とのことでした。

→とりあえず犬は関係なくて良かったですね。ただし、喘息発症の原因にはなっていないかもしれませんが、非特異的刺激の一つとして増悪因子になっている可能性がありますので、環境因子には今後とも注意を払った方がいいですね。

>>夜間寒いのでおとといから羽毛の掛け布団を使っています。それから起床時に小さな喘鳴がしてPF値も下がっているようです。念のためベコタイドの吸入回数を増やしてみましたが、本日の起床時は少々息苦しく感じられたのでサルタノールを2吸入しました。サルタノール吸入後にPF値が50ほどあがりました。温度変化や掛け布団が原因なのでしょうか?

→寒さと羽毛布団の療法が増悪の原因かもしれませんね。一度、日干しをしては如何ですか?

>>やはり素人判断でベコタイドの吸入回数を増やしたりするのに抵抗を感じております。

→増悪時には、吸入ステロイドをどのくらいまで増やすかは前もって主治医の指示があれば本当は良いですね。しかし、一般的には、吸入方法(特にうがいは必ず行う)さえ正しければ、自己判断で増やしても重篤な副作用は起こりません。ピークフロー値が下がっているようなので、喘息が悪化する方が恐いですね。ピークフロー値が元の値に復帰するまで吸入ステロイドを倍くらいまでに増やしてみては如何ですか?

では、お大事に。

<追加メール1―1>

早速の返信有り難うございます。

その後のピークフロー値変化です。

日付    PF朝 PF夜 BT100(吸入回数) 備考
1998/9/9 490 510  9
1998/9/10 460 520  9
1998/9/11 480 520  9
1998/9/12 480 470  9
1998/9/13 480 500  9
1998/9/14 480 500  9
1998/9/15 440 520  9
1998/9/16 450 490  9
1998/9/17 460 500  9
1998/9/18 490 470  9
1998/9/19 480 460  9
1998/9/20 450 510  9
1998/9/21 470 520  9
1998/9/22 470 520  9
1998/9/23 470 510  9
1998/9/24 480 480  9
1998/9/25 460 500  9
1998/9/26 470 490  9
1998/9/27 450 490  9          寒いので掛け布団使用開始
1998/9/28 450 480 12         朝喘鳴 就寝前、鼻詰まりが酷い
1998/9/29 400     4          朝喘鳴 サルタノール2吸入→450

>>増悪時には、吸入ステロイドをどのくらいまで増やすかは前もって主治医の指示があれば本当は良いですね。しかし、一般的には、吸入方法(特にうがいは必ず行う)さえ正しければ、自己判断で増やしても重篤な副作用は起こりません。ピークフロー値が下がっているようなので、喘息が悪化する方が恐いですね。ピークフロー値が元の値に復帰するまで吸入ステロイドを倍くらいまでに増やしてみては如何ですか?

→了解しました。ありがとうございます。

<追加メール1-2>

いつもお世話になっております。

先々日、主治医から下記の指示を戴きました。

1)ベコタイドの吸入回数に関して。
9/日〜12/日の範囲なら自己判断で増減しても構いません。

2)PF値のグラフ記入に関して。
気管支拡張剤を使った場合、可能なら使用後のPF値も記録しておいてください。

とのことです。ご教示有り難うございました。自分勝手にベコタイドの吸入量を増やしたりすると処方してくれなくなるのでは…、などと心配しておりましたが、余計な心配だったようです。


(3)喫煙の影響で吸入ステロイドの効果が阻害されているのでしょうか?

【079】36歳男性(会社員)の方から

<追加メール2>

お久しぶりです。

ホームページ「熊虎の足跡」を拝見しております。

『朝食後、薬を服用。プレドニン4錠。吸入のためアイロミール1吸入。アルデシン10吸入。すごく吸入が楽です。今までになくゆっくり吸えて、息も十分止められます。しかも、ゆっくり吐ける。肺活量が増えたような感じです。試しに、ピークフロー値。560です。500UPです。気管支拡張剤使用直後とはいえ、560です。ここまでは増えると言うことですね。プレドニンとアルデシンの相乗効果でしょうか』

→すごいと思います。やはりプレドニンとアルデシンの相乗効果なのでしょうか? 熊虎さんからは、“あなたはレベルアップはお済みですか?”というメールを戴きました。私は先生の頁の“短期的経口ステロイド投与の意義”を拝読させて戴き専ら禁煙中です(笑)。勿論ベコタイド100は12/日で吸入しています。もっと吸入量を増やしたいのですが、現在頂いている薬の量だと現吸入数で目一杯みたいです。本日で完全に禁煙して2週間経ちますが、PF値は470〜520というところで、あまり変化がありません。私は発作中でも咳や痰がほとんどでません。発作がなければまったくでないのです。気管支拡張剤を吸入し、発作が解除された後で、硬い痰がほんの少しでる程度です。こんな私でも喫煙の影響で吸入ステロイドの効果が阻害されているのでしょうか? また、経口ステロイドを使用した場合の効果は期待できるでしょうか?

<追加応答2>

お久しぶりです。

>>ホームページ「熊虎の足跡」を拝見しております。

→面白いホームページですね。今日は残念ながらピークフロー値は今一だったようですが…。なんでも、あなたが、ボルマティックを送って下さるとか、本当ですか? だとすればすばらしいネットワークですね。私からも、ありがとうございます。

>>すごいと思います。やはりプレドニンとアルデシンの相乗効果なのでしょうか?

→まだ安定していませんが、その効果はでてきていると思います。

>>本日で完全に禁煙して2週間経ちますが、PF値は470〜520というところで、あまり変化がありません。私は発作中でも咳や痰がほとんどでません。発作がなければまったくでないのです。気管支拡張剤を吸入し、発作が解除された後で、硬い痰がほんの少しでる程度です。こんな私でも喫煙の影響で吸入ステロイドの効果が阻害されているのでしょうか? また、経口ステロイドを使用した場合の効果は期待できるでしょうか?

→禁煙できているのはすごいですね。もうすぐホームページで流そうと考えているのですが、今度新発売されるフルチカゾンは、タバコによる慢性の病気(慢性気管支炎や肺気腫)にも効果が期待できるという報告があります。従って、あなたの場合、経口ステロイドはいらないかもしれませんね。ただ、では禁煙しなくても良いじゃないか、という風潮になるのが恐いですが…。

では、頑張って下さい。

<追加メール2-1>

>>面白いホームページですね。今日は残念ながらピークフロー値は今一だったようですが…。なんでも、あなたが、ボルマティックを送って下さるとか、本当ですか? だとすればすばらしいネットワークですね。私からも、ありがとうございます。

→いえいえ恐縮です。

先日熊虎さんか「届きました」とのメールを頂きました。ボルマチックでアルデシンを吸えるかどうかが心配でしたが、本日熊虎頁を拝見したところ、吸えたようなので嬉しかったです。

>>すごいと思います。やはりプレドニンとアルデシンの相乗効果なのでしょうか?>>まだ安定していませんが、その効果はでてきていると思います。

→熊虎さんは今日病院とのこと。プレドニンを頂くのですね。 熊虎さんの主治医はPFモニターをあまり評価されていないようですが、この変化にはきっと驚かれることでしょう。巷のお医者様にステロイドやPFモニターの価値を再認識して頂くことは、喘息患者全体の利益に繋がると思います。そのような意味では我々も責任重大ですね、熊虎さん。(笑)