(8)抜歯後の痛み止めでショック症状に…。

【086】ご主人が喘息の28歳女性の方から

<追加メール8>

親不知を抜いた主人のその後の経過ですが…。いろいろ大変なことがありました。ロキソニンという痛み止めを1回2錠を1日4回ほど飲み続け、(それほどずっと抜歯したところが痛い状態でした)その他、抗生物質を1週間近く飲み続け、先日2/2の朝方、薬物アレルギーとみられる軽いショック(症状的には、顔面蒼白、あぶらあせ、手足が冷たい、ぐるぐるめまい、貧血)に陥り、救急外来へかけこみました。血圧が上60 下50という状態で、点滴を受け、2時間後は歩ける状態に戻りました。帰ってからは38.6度もの熱がでて、一時は敗血症などのこわい病気だったらどうしようと不安な気持ちでいっぱいでした。

すがる思いで抜歯していただいた大学病院の先生に電話でお話して症状を伝えると、「薬物アレルギーでしょう。薬を一切やめてみてください。抜歯の方の炎症も良くなってきていますから、細菌性のものではないですよ。熱はかぜからきたのでしょう。水分をたっぷり、栄養をとって、安静にすることです」と。

そして喘息の薬は、やはり飲んでおいた方がいいとのことでした。そして、今日。薬をやめて、3日目ですが、熱も下がり、血圧も正常で、歯の炎症もひいてきました。健康体が戻ってきたのです。(よかったです)

先生に質問なのですが、現在アルデシンはまだ再開していません。アルデシンの副作用(口内炎)ということを考えると、まだ炎症がいくらか残っている口の中なので、アルデシンはやめておいた方がいいのでしょうか。まだ主人の舌の先は、薬により、白っぽくなってむけているようですし。また、今後、薬に関してはどのような点に気をつけるべきなのでしょうか。薬がすべてダメということではなく、長期間服用はよくないという判断でいいのでしょうか。

よろしくお願いします。

<追加応答8>

ご主人大変でしたね。

たかが抜歯、されど抜歯です。

歯科医の先生は喘息の方だと本当に神経を使うようですが、その気持ちは良く分かります。

>>現在アルデシンはまだ再開していません。アルデシンの副作用(口内炎)ということを考えると、まだ炎症がいくらか残っている口の中なので、アルデシンはやめておいた方がいいのでしょうか。まだ主人の舌の先は、薬により、白っぽくなってむけているようですし。

→抜歯したことだけなら、すぐうがいさえすればアルデシンは吸入することは、問題ないと思います。口腔内の白いものが本当にカンジダによるものとすれば、抜歯した傷口から菌が入り込むといやですね。でも、歯科の先生は、それが明らかにカンジダによるものならば口の中を覗いているわけですから、気がつくはずです。多少あってもそこから菌が入り込む危険性がないと判断したのではないでしょうか? もし傷口から入り込むことが予想されれば、まずしっかり検査をして治療をしてから抜歯をすると思います。あるいはそうでなくても、口腔内は雑菌の宝庫みたいなところですから、あまり問題にしなかったのかもしれませんね。

舌の先が白っぽくむけているとのことですが、それがカンジダかどうかはこちらからは判断できません。また、アルデシンを再開するとすぐにそれが広がるのですか? だとすればもう少し落ちついてから再開する方が良いと思います。しかし、ピークフロー値は必ずモニターして、ピークフロー値が下がってきたら、やはり再開すべきです。潜在的に口腔内カンジダ症が全身に入って行く可能性(これは健康な方ならほとんど問題ない)と、発作がひどくなる可能性を天秤に掛けなくてはなりません。もし再開する時は、吸入後は徹底的にうがいをすることですね。

>>今後、薬に関してはどのような点に気をつけるべきなのでしょうか。

→これは非常に難しい判断ですね。少なくとも今回のロキソニンのように明らかなアレルギーを起こした薬であれば、次回以降は禁忌ですね。ではどの薬が安全か、その予測をすることはできません。従って、自己判断で服用することは避け、医師によく相談し、危険性と必要性を天秤に掛け、必要性が危険性を上回るときにのみ服用するようになくてはなりません。しかも、すぐ緊急連絡体制が取れるところでですね。

>>薬がすべてダメということではなく、長期間服用はよくないという判断でいいのでしょうか。

→薬剤アレルギーはたった1回の服用でも起こりますので、短期間だから大丈夫ということはありません。

では、お大事に。


(9)咽頭浮腫について。

【086】ご主人が喘息の28歳女性の方から

<追加メール9>

こんにちは。

おかげさまで、抜歯の後、順調に快復し、舌の白さもとれ、ようやく暗闇から抜け出すことができました。吸入ステロイドも再開して約2週間。ピークフローも580から650で安定しています。1日4回ですが、昼は職場で落ち着けないので、朝2回、夜2回にしました。(問題ないですよね?)

さて、本日メールしたのは、HPにのっていた70歳のお母様についての相談メールについてです。資料としてお読みください。主人の母も今年の年明けに、咽頭浮腫で入院したのです。毎年、大晦日から我が家に泊まりにくるのですが、朝は大変元気でしたが、夜から急にのどに異物感があり、元旦早々、寝込んでしまったのです。病院に行くと、風邪とのことで、抗生物質をいただきました。薬の名を見ましたが確かステロイド系の名前の薬もあったように思います。3日には帰ったのですが、4日には親戚のすすめもあり耳鼻咽喉科に行きました。そこで点滴をうけ、その結果、大学病院への入院となりました。その病気は、光ファイバーなどの刺激だけでも腫瘍がふくらんでくるようで、最悪窒息という危険な状態であったようです。確かに、我が家で寝込んでいるときも、つばをのみこむことができなくて、とても息苦しい、息ができなくなるようだ、といっていました。入院中は24時間体制で点滴を受け、1週間後には退院できました。今は元気です。母も普段からよく咳のでるタイプで、母の兄は喘息をもっています。母の実母はずっとリュウマチで、何年もねたきりでした。今回、HPの相談メールを拝見し、もし資料になればと記載した次第です。

<追加応答9>

メールありがとうございます。

ご主人、まずまずで、何よりです。

実は、私も親不知を抜くことを勧められていたのですが、今回のこともあり何となく断ってしまいました。虫歯で痛みが出てきたらその時は覚悟を決めて抜こうと思います。(笑)

>>1日4回ですが、昼は職場で落ち着けないので、朝2回、夜2回にしました。(問題ないですよね?)

→全然問題ないと思います。

咽頭浮腫ですが、情報ありがとうございました。確かに症状が似ていますね。治療は基本的に喘息と同じなのでしょうが、検査の刺激で窒息の危険があるというのは非常に恐いですね。

では。


(10)主人が薬をやめたいと言いますがどうしたらいいでしょうか?

【086】ご主人が喘息の28歳女性の方から

<追加メール10>

こんにちは。

暖かくなったと思ったら、また冬に逆戻りです。

本日は、主人のこのごろをお伝えします。

主人が薬をやめたくなっているのです。

ピークフローは毎日つけています。580から620くらいです。

「もう平気だから、治ったから、何もしない…っていうのはダメ?」ともちかけられました。もちろん「NO」と強くいいましたが、薬を飲んでいると病人のような気がする、という主人の気持ちもわかります。私は、前向きな気持ちで取り組んでもらわなければ、いやいややってもらっても、よくないと思うのです。主人は、家族の気持ちを知っているので、また自分自身のためにも結局は、毎日やりつづけると思います。

私もどうすれば、主人が喘息にとらわれずに生活を送れるのか考えました。とりあえず、朝アトック1錠と吸入はやめました。特別変化はありません。そして、夜帰ってきてから、ピークフローをはかり、その値で4回押しをしたり2回押しをしたりと調節しています。ユニフィルは2錠飲んでいますが、1錠に減らしてみようかと思っています。元気になってくると、薬や吸入が必要ないと思う人はきっとたくさんいると思います。その考えを、元気になったからこそ前向きな治療でもっと元気に!と思わせるにはどうしたらいいのでしょうか?

何か主人にアドバイスがあれば教えてください。

<追加応答10>

>>主人が薬をやめたくなっているのです。ピークフローは毎日つけています。580から620くらいです。「もう平気だから、治ったから、何もしない…っていうのはダメ?」ともちかけられました。

→ということは、大分調子がいいのでしょうね。

>>私もどうすれば、主人が喘息にとらわれずに生活を送れるのか考えました。とりあえず、朝アトック1錠と吸入はやめました。特別変化はありません。そして、夜帰ってきてから、ピークフローをはかり、その値で4回押しをしたり2回押しをしたりと調節しています。ユニフィルは2錠飲んでいますが、1錠に減らしてみようかと思っています。

→ピークフロー値さえ記録していれば、今の状態なら大きな発作に至ることはないと思います。慎重にユニフィルを減らしてみるのも一策ですね。また、ピークフロー値に応じて吸入回数を決めるのは良い考えです。私の患者さんもそのようにしている方が結構おあります。この方法が現在考えられる最も理想的で経済的な喘息管理法だと私は考えております。

>>元気になってくると、薬や吸入が必要ないと思う人はきっとたくさんいると思います。その考えを、元気になったからこそ前向きな治療でもっと元気に!と思わせるにはどうしたらいいのでしょうか? 何か主人にアドバイスがあれば教えてください。

→これは良い考えがあれば私も教えていただきたいくらいです。それくらい難しい問題です。しかし、これは日本人全般に共通する健康意識の欠如の結果だと私は常々感じております。学校教育に原因があると考えています。日頃から健康に留意し、自分の健康は自分で守るんだとの認識が、知識優先のシステムのためになかなか育たないのですね。

よほど死ぬくらいの発作を経験したか、絶えず発作で苦しんでいる方を目の当たりにするか(たとえば我々医療関係者がそうです)しないと、ついつい忘れてしまいます。では、毎回受診の際にそのような恐怖感を植え付ければ良いではないかとも考えますが、それは脅しの医療以外の何ものでもありません。

ですから、奥様にさえそのような意識があれば、今の状態でご主人は取り返しのつかない痛い目に遭うことはないと思います。何度か小さな痛い目に遭えばそのうち懲りて諦めてくれるでしょう。その意味で奥様がご主人の喘息から目が離れたときが恐いですね。

頑張って下さい。