(1)「妊娠中じゃぁねぇ。産婦人科の先生に相談してよと取り合ってはもらえませんでした。

【092】32歳女性(妊娠9カ月)の方から

<質問>

はじめまして。

こちらのWEBサイトはZensoku WebAICHANから教えていただきました。喘息かどうかもわからないのですが、今までの症状と今後どうすべきかアドバイスを頂けたらと思い、失礼ながらメールを出させていただきました。

私は現在妊娠9ヶ月(32週)の32才の妊婦です。今まで喘息とは(たぶん)縁のない生活を送っていましたが、妊娠3ヶ月頃からひどい咳に悩まされるようになりました。もともとが花粉症アレルギーをもっているため、「妊娠中で薬が飲めないから、咳も出るのかな。5月になればやむだろう」くらいの認識でいました。A病院の産婦人科では漢方薬「小青竜湯」を処方されました。

咳の症状としては、この頃はただひたすら止まらない、という感じでした。

しかし、5月になっても6月に入っても咳は止まりません。だいたい午前3時位からケホケホ、ゴホゴホ始まり、そのまま朝までぼんやり過ごしています。(夫が眠れなくなるので、寝室にいると迷惑)それから、横になっているとき、息を吸い込むと「ヒュー、ヒュー」音がするようになりました。

「小青竜湯」が効かないということで、「麦門冬湯」に変わりました。ちょっと、のどのイガイガが収まったような気がします。

4月に、産婦人科の漢方薬だけでは我慢ができなくなり、同じA病院の耳鼻咽喉科にかかりましたが、「妊娠中じゃぁねぇ。産婦人科の先生に相談してよ」と取り合ってはもらえませんでした。もう、4年も花粉アレルギーでかかっていたというのに、あんまりだわとしょんぼりしてしまいました。

ちなみに、家庭環境はといいますと、親戚に喘息もちはいません。私自身はたばこは吸いませんが、主人は吸います。それから実家の両親と兄がヘビースモーカーでした。それから、猫を飼って丸3年になります。飼う前に猫アレルギーのテストをしてもらい、アレルギーはないと診断されました。部屋はけっこうほこりっぽいと思います。どうも、掃除が苦手で…。それに花粉症のシーズンになると外に干せないので。

それから病歴ですが、5年前に子宮内膜症で手術を受けています。治療はその1年程前から、ボンゾ−ルなどを用いた療法を受けています。塗り薬にひどくかぶれるようになり、検査の結果クロマイ・アレルギ−と診断されました。クロラム・フェニコール、硫酸フラジオマ、プレドニンの3種類の薬品に対してのアレルギーだそうです。花粉症自体は治療はここ4年ほどですが、記憶を辿れば中学3年の頃から秋になると鼻水がとまらなかったので、ブタクサ・アレルギーだったのでは、と思います。

さて、妊娠経過の方ですが、これが至って順調なのです。超音波で見る度に「元気な赤ちゃんですね」と言われるし、産婦人科の先生も、指圧&はり・灸の先生も太鼓判を押してくれています。本当に、咳以外は滅茶苦茶順調なのです。ですから、出産が済んで授乳も済んでから、それでも咳が止まらなかったら医者にかかればいいと思っていたのです。

だけど、インターネットでちょっと覗いたZensoku WebやこのWEBサイトの様々な例を読み、認識を改めました。先生のアドバイスをいただければ、と思います。

はじめてで長文のメールをおくってしまって大変失礼しました。

<応答>

はじめまして。

AICHANからあなたのことは聞いておりました。

咳の他に、ヒューヒューという特徴的な気管支けいれんの音が聞こえるのであれば、間違いなく喘息ですね。まだ、呼吸器専門医を受診されていないようですので、ぜひ出産前に一度受診しておいた方がよいでしょう。出産・陣痛に際して、当然呼吸は早くなりますので、発作を増悪しないように持って行くことが大切です。また、喘息コントロールが不十分だと、例えば不意の帝王切開時の麻酔にも影響します。ぜひ最良の状態で出産に臨めるように万全を期して下さい。

現在の漢方ではあまり効いていないようです。症状は我慢すべきではありません。咳をすると横隔膜が収縮しそれが胎児を圧迫しかねません。早期破水の原因になるかも知れません。

一刻も早く正しい診断を受けて、発作止めや吸入ステロイドを導入してもらうべきでしょう。幸い妊娠も後期ですので、薬剤の胎児奇形などに対する問題が生じる時期は過ぎております。また、発作止めやステロイドは、妊娠に対してははむしろ好影響を及ぼします。例えば、発作止めのβ刺激薬は子宮筋の緊張を和らげますので、流産防止として使われているくらいです。ステロイドは胎児の発育を促します。使いすぎると巨大児が生まれることもありますが、吸入ステロイドならその心配はありません。

いろいろと驚かせたかもしれませんが、落ちついて行動すれば大丈夫です。そして元気な赤ちゃんを生んで下さいね。

では。

<追加メール>

早速のアドバイスをありがとうございました。

先生からのメールは主人にも転送しました。この週末に病院情報を調べて、来週にでも診察を受けようと思います。

本当にどうもありがとうございました。また、分らないこと、疑問が生じましたらメールをさせていただくかも知れませんが、よろしくお願いします。


(2)妊娠中ではどうしようもない、あと1ヶ月の辛抱だから出産後にいらっしゃいということでした。

【092】32歳女性(妊娠9カ月)の方から

<追加メール1>

先日はアドバイスをありがとうございました。

昨日、病院に行って参りました。産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科でお世話になっているいきつけのA病院です。呼吸器系は内科に含まれていると言うことで、内科にかかりました。

結果は…:
やっぱり諏訪部先生のような方は稀な存在なのですね。妊娠中ではどうしようもない、あと1ヶ月の辛抱だから出産後にいらっしゃいということでした。レントゲンは撮れないし、肺機能検査も通常の価がわからないから比較のしようがないし、血液検査も、各種アレルギーをもっているため陽性反応が出てもあてにならないだろうし、仮に喘息であったにせよ、治療の施しようがないと、こんこんと諭されてしまいました。「治療方法はあるってインターネットで見た」と訴えたのですが…。

とても優しそうな先生だし、親身になってくれているのはわかるのですが、それだけに余計に悲しかったです。こんなに親身になってくれる先生ですら、妊婦に対する治療をしてくれないのなら、他のどんな病院に行ったとしても、無駄足になってしまうだろうし、看護婦さんも同情してくれて、「かわいそうにねぇ」と言ってくれました。そして、場合によっては帝王切開の方がいいかも、とも言われました。

今後、どうするかはまだ決めていません。とりあえず、呼吸法の練習を熱心にして、出産当日パニックにならないようにしようと思います。

取急ぎ、報告でした。

<追加応答1>

今回の件、私としては大変な憤りを感じております。

以下のメールは、もしかしたら現在の先生への不信感を募らせるだけなので、送ろうかどうか非常に迷ったのですが、私だけの特殊な考え方ならともかく、妊娠と喘息に関しては常識となっていることなので、あえて送ることにしました。でも最終的にはあなた自身が判断することですから、よく考えてご判断して下さいね。

>>呼吸器系は内科に含まれていると言うことで内科にかかりました。

→これは通常呼吸器科専門医はいないことを指します。

>>やっぱり諏訪部先生のような方は稀な存在なのですね。

→前回の私の意見はごく一般的な考え方です。今回の場合は、私(だけでなく恐らく他の先生も)はどうしても内科の先生の考えはおかしいと思います。

>>妊娠中ではどうしようもない、あと1ヶ月の辛抱だから出産後にいらっしゃいということでした。レントゲンはとれないし、肺機能検査も通常の価がわからないから比較のしようがないし、血液検査も、各種アレルギーをもっているため陽性反応が出てもあてにならないだろうし、仮に喘息であったにせよ、治療の施しようがないと、こんこんと諭されてしまいました。「治療方法はあるってインターネットで見た」と訴えたのですが…。

→推測ですが、この先生は呼吸器は専門外で、まったく喘息のことなど知らない、しかも喘息に関しては教科書通りの治療しかできない若い医者のような感じを受けます。(違っていたら申し訳ありません)妊娠だからレントゲンを撮れないなんて、妊娠初期ならともかく臨月を迎えている方にはあてはまらない話しです。もちろん無用なレントゲンを浴びるのはいけないことですが、母体に危険が迫っているならば当然必要なことです。

喘息合併の妊娠は妊婦の喘息治療を最優先させる」これは我々の一般常識です。その点をわきまえず、我慢するだけなんて(非常にきつい言い方ですが)医者とは思えません。

>>とても優しそうな先生だし、親身になってくれているのはわかるのですが、それだけに余計に悲しかったです。

→優しさも大切ですが、「医者は患者を良くしてなんぼの商売」であることには変わりありません。優しさは時に優柔不断の裏返しであることも事実です。

>>こんなに親身になってくれる先生ですら、妊婦に対する治療をしてくれないのなら、他のどんな病院に行ったとしても、無駄足になってしまうだろうし。

→繰り返しになりますが、他の病院へ行くことが無駄足とは思えません。ただ、産婦人科と違う病院になってしまうことが心配なだけですね。

>>看護婦さんも同情してくれて、「かわいそうにねぇ」と言ってくれました。そして、場合によっては帝王切開の方がいいかも、とも言われました。

喘息の治療をきちんとすれば帝王切開などしなくて済むのに、もし本当に手術になったら非常に残念です。脅かすようで申し訳ありませんが、その手術にしたって決して喘息がコントロール不良なら安全とは言えないはずです。

>>今後、どうするかはまだ決めていません。とりあえず、呼吸法の練習を熱心にして、出産当日パニックにならないようにしようと思います。

→パニックにならないように心がけてそうできるなら何も問題はありません。喘息の治療をきちんとすることこそ万全の準備だと思います。

今回のメールを読めば非常に迷われると思います。しかし、私のホームページを見てもわかるとおり、私はこれまでこのようなメールを送ったことはありません。それだけ、今回は内科の先生の判断はおかしいと思います。

もちろん、このまま出産を迎えて何も起こらないかもしれません。しかし、きちんと治療するすべがあるのに、わざわざ何もしないで出産に臨むこと、すなわちあなたと赤ちゃんの命を賭けるのは、あまりにも危険な賭けではないでしょうか?

ぜひ専門病院へ行くことをお勧めします。

では。


(3)赤ちゃんからのSOS。

【092】32歳女性(妊娠9カ月)の方から)

<追加メール1-1>

メールをありがとうございました。

先生からのメールをじっくり何度も読み返しました。以前に頂いたメールも読み返し、ホームページを再度読み、じっくりじっくり考えました。

諦めないで、専門医に診てもらうべく努力します。本屋さんで見かけた病院リストに喘息のページもあったはずなので、それを参考にします。ちょっと遠いので挫けていたのですが、私一人のことではないし、このまま今の病院ではらちがあかないし、臨月になる前に動いておきたいし。

今日、実は産婦人科の検診があったのですが、赤ちゃんの心音がちょっと変だったのです。(今朝も発作があって、午前1時から4時までケホケホやってました。昨日の内科での診断がショックだったもので、精神的にも参りました)それで、今までは悠長だったお医者さんがびっくりしたみたいで、あたらしい咳止めと、お腹の張りをとめるウテメリンを処方されました。そして、とにかく発作が起きたら病院に来るようにとの指示でした。

赤ちゃんからもSOSが出ているということですよね。

とりあえず、決意表明でした。結果については、後日メールさせていただきます。


(4)急激な腹痛で自宅安静となりました。

【092】32歳女性(妊娠9カ月)の方から

<追加メール2>

いつも、メールでのアドバイスをありがとうございます。

実は自宅安静ということになってしまいました。昨夜、みぞおちの部分が激痛に見舞われ、緊急外来で病院にかかりました。一時はこのまま入院、下手したら出産(手術)かもしれない事態でしたが、子宮の収縮が原因ではなく、ともかく自宅安静を申し付けられました。今はウテメリンと咳止め(粉状、茶色の龍角散みたいな味)を飲んで、安静にしています。

ステロイド治療をやってくれる病院を本で調べると、うちから電車で2時間はかかるところにしかなくて、困ってしまいました。

それから、あのひどい診断を下した内科医の先生ですが、どう若く見積もっても45才はくだらない「おじさん」でした。どうせ、主治医は産婦人科だから管轄外、余計なこと(レントゲンとかステロイドとか)はしない、リスクは負わないという方針なのでしょうか。

なんて、愚痴っても、身体は治りませんね。ともかく、今日は安静に過しますが、来週早々には往復4時間に耐えるべく、あきらめずに頑張ろうと思います。

お腹の中の赤ちゃんは、激しい蹴りを入れて、存在を誇示しています。この「生命」、あと1ヶ月はお腹の中でちゃんと守らなければ…。

<追加応答2>

急に激痛が来たのですね。その後大丈夫ですか? しかし、2時間かけて通院というのも大変ですね。ご主人に車ででも送ってもらえると良いですね。

>>それから、あのひどい診断を下した内科医の先生ですが、どう若く見積もっても45才はくだらない「おじさん」でした。どうせ、主治医は産婦人科だから管轄外、余計なこと(レントゲンとかステロイドとか)はしない、リスクは負わないという方針なのでしょうか。

→失礼しました。ベテランの先生のようですね。確かに主治医は産婦人科医だと考えているのかもしれませんね。

では、良い病院を見つけて下さいね。


(5)とうとう発作が起きてしまいました。そして診てくれた先生は…。

【092】32歳女性(妊娠9カ月)の方から

<追加メール3>

いろいろアドバイスをありがとうございました。
先週からの経緯を報告します。

その後、本にある専門医のいる病院に問い合わせたところ、どこも妊婦と言うことで産婦人科の主治医の紹介状が必要と言われました。週明けを待って産婦人科へ、のつもりでしたが、月曜の明け方に発作状態になってしまい、主人が産婦人科に連れていってくれ、「咳止めが効かない!とにかく呼吸器系の医者に見せたいから、レントゲンの許可と紹介状を!!」と掛け合ってくれました。産婦人科の先生はあっさり許可してくれ、内科の中の呼吸器専門の医者に回してくれ、診察の結果「ぜんそく」ということになり、吸入ステロイドを処方していただきました。

諏訪部先生には親身になってアドバイスして頂いて、本当に感謝しています。

ありがとうございました。

<追加応答3>

とうとう発作が起きましたか…。やっぱりという感じで残念です。しかし、吸入ステロイドが処方してもらえて良かったですね。発作の頻発する時期は、吸入ステロイドを吸ったからと言ってすぐ良くなるとは限りませんので、発作止めなどをうまく使って、早く良くして下さいね。

ところで紹介してもらった呼吸器科というのは、現在の産婦人科の病院とは別の病院ですね?

では、お大事に。

<追加メール3-1>

いつも迅速なレスをありがとうございます。

>>ところで紹介してもらった呼吸器科というのは、現在の産婦人科の病院とは別の病院ですね?

いいえ、同じ病院の別の医師です。

この辺の事情を詳しく説明します。

まず、先週の金曜日に、本に掲載されていた「ぜんそく治療で有名な病院」数件に電話で問い合わせをしました。たいていの病院は看護部長が応対をしてくれました。しかし、どこも妊娠9ヶ月と言うことでやんわり断わるか、あるいは産婦人科も移さない限り診られないというのです。片道2時間かかるところでお産をしろ、というわけです。そして主治医の紹介状が必要だ、というのです。

いっときはウィークリーマンションを借りて、治療&お産に備えようかという考えもありました。

とにかく必要なのは主治医の紹介状、というわけで週明けを待っておりました。そして先にメールしましたように、明け方病院に担ぎこんでもらったのです。当直の産婦人科の先生は、いつも診てもらっている女医さんとは違う方(恐いおじさんタイプ)でした。

一目症状を診て、「ぜんそくだね、妊娠してからなる人けっこういるんだよ。レントゲンをとっても問題はないから」とのことでした。その際に、内科で受けた診察のこと、門前払いにあったことなどを訴えて、同じ思いをするくらいなら、そして治療の仕様がないのなら、他の病院に行くと伝えました。すると、他の病院でもいいけど、A病院内科にも呼吸器系専門の医師がいるから、(吸引ステロイド治療があるから)とスケジュールを調べてくれて、治療依頼を出してくれたのでした。

つまり、先日診察した先生は呼吸器系の先生ではないということです。だけど、同じ病院なのだから、ちょっと産婦人科に確認するなりしてもらえばすぐに結果が出せたのに…。専門外ならそうとはっきり認めたらいいのに。(←不満爆発!!)ちなみに、この前の先生の専門は腎臓だそうです。

文句を言い出せばキリがないけど、この前のお医者さんや看護婦さんに病院内で会ったら睨み付けちゃいそうだけど、遠回りしましたが、なんとか治療の第一歩を踏み出せました。

患者から見れば同じ病院なのに、産婦人科にせよ内科にせよ、先生によってこうも違うのかと驚いてしまった一週間でした。

長々とすみません。発作が治まったら、急に胎動が力強くなったのは気のせいかしら。元気な元気な赤ちゃんが産めそうな気がしてきました。この赤ちゃんの命と健康は、諏訪部先生のアドバイスやAICHANの応援あってのものだと思います。あと1ヶ月ちょっと、頑張ります。