(3)フルタイド吸入が始まりました。
【096】34歳の男性(コンピュータ関係)の方から
<追加メール2>
○○在住35歳喘息患者で先生の喘息情報の恩恵によって日々快適に過ごせるようになりました者でございます。
前回のメールでフルタイドについて主治医の先生から「もう少し様子をみて良さそうなら試してみましょう」と言われたことをお伝えしましたが、去年12月17日の処方よりフルタイドを処方して頂くようになりました。先生曰く「新しい薬なので上手く効果がでるか分からないので、最初はベコタイドと併用してみましょう」とのことで、以下の様な割合で1月6日まで使ってきました。
・フルタイド100 ug=1ブリスター (朝)
・ベコタイド100=4パフ(夜)
・テオドール100=2錠/日
・メプチン錠=1錠/日(夜)
・サルタノール =1本/10日
1月6日の診察で、「フルタイドはどうですか?」との質問で、「症状は依然と変わらず安定しています。PF値は朝で620、ピークで720のラインは変わりません」という応えをしたら、「それではベコタイドは中止して、携帯性の良いフルタイドだけで試してみましょう」ということで、それ以降は以下のような処方を受けています。
・フルタイド100 ug=2ブリスター/日
・テオドール100=2錠/日
・メプチン錠=1錠/日(夜)
・サルタノール =1本
ベコタイドでかなり安定した状態であったので顕著な変化はありませんが、大事な点は次段階として気管支拡張剤の継続使用からの離脱で、まず吸入気管支拡張剤の常用からの離脱が第一歩と主治医の先生はお考えのようです。まだフルタイドを開始して日が経っておりませんので顕著な変化は出てきておりませんが、サルタノールの使用頻度が現状でも3/4に減少してきています。季節との関係もあり4、5、6月の状況で成果が顕著にでてくるものと思っています。
あと病院についてよもやま話を一つ。
私のかかっている病院は親子先生の個人開業医院で大先生が循環器、若先生が呼吸器を担当されています。正月休み前に薬を頂こうと思って、通院したのですがその時は若先生がいらっしゃらなくて、大先生に診断を受けることになりました。内心は、今新しい薬を相談しながら試しているとこなのに嫌だなと思っていたのですが、大先生曰く「いつものお薬をだしておきます」ということだったので、ちょっと安心していました。ところが処方箋をみてびっくりしました。ベコタイドもフルタイドも無かったんです。どうも大先生の方はステロイドなんてとんでもないという認識があるようです。ちょっと口論になってしまったのですが、これも自分の死活問題にかかわるので、粘って今まで通りの処方をして頂きました。
ホームページの投稿を見ていても不運な診察を受けた患者さんがいらっしゃいますが、まだステロイドという名前に極度なアレルギーをお持ちの先生はいやっしゃるのでしょうね。
では、お忙しいところ長くなってすいませんでした。
これにて失礼いたします。
<追加応答2>
いつも情報ありがとうございます。
フルタイド処方してもらったのですね。今回のような、ベコタイドの併用によってフルタイドへの移行を試みる方法など、非常にきめ細やかな先生である印象を受けます。
>>ベコタイドでかなり安定した状態であったので顕著な変化はありませんが、大事な点は次段階として気管支拡張剤の継続使用からの離脱で、まず吸入気管支拡張剤の常用からの離脱が第一歩と主治医の先生はお考えのようです。まだフルタイドを開始して日が経っておりませんので顕著な変化は出てきておりませんが、サルタノールの使用頻度が現状でも3/4に減少してきています。季節との関係もあり4、5、6月の状況で成果が顕著にでてくるものと思っています。
→まったく正しい認識であると思います。
私がこれまでフルタイドを使った方での印象は、いくつかのパターンがありまして、
(1)ピークフロー値が上昇する方。
(2)ピークフロー値はあまり上がらないが、発作止め頓用が減った方
(3)ピークフロー値は同じだが、より簡単にその状態を維持できる方
に分類できます。
(1)と(2)は、最大量1日800マイクロを使用している方に多いようです。(3)はほとんど処方制限のために最大量の恩恵を享受できない方に多いようです。しかし、服薬コンプライアンスはずっと良いようです。風邪を引いて発作を起こしたという方はおりますが、少なくともフルタイドに変えてピークフロー値ががた落ちした方は一人もおりませんから、まずまずの効果であると思います。
あなたの場合は、(2)と(3)の両方と言うところですね。しかし、まだ1日200マイクロですから、もっと吸えばピークフロー値は上がってくると思います。
>>PF値は朝で620、ピークで720のラインは変わりません。(…略…)サルタノールの使用頻度が現状でも3/4に減少してきています。
→ここが少し気になりますので、今度詳しく教えて下さい。ピークフロー値はかなり良い値を示しているようですね。しかし、サルタノールの使用回数が3/4に減少したということですが、これは、例えば、1カ月に4回しか使わなかったのが3回に減ったということですか? あるいは1日4回使っていたのが3回に減ったということですか? 前者であれば問題ないと思うのですが、逆に1カ月に4回しか使わなかったのが3回に減ったというのも、これは効果として実感できたとは判断しにくいですよね。通常、3/4に減ってフルタイドの効果を実感できたとおっしゃるのは、使用回数がまだ相当多い場合、すなわち後者の場合ではないかと思うのですが、如何でしょうか? (確か以前のメールでは、サルタノール1本/2週間ということでしたが、まだこのくらいですか?)
なぜこの点にこだわるかと申しますと、もしサルタノールの使用回数が多いとピークフロー値が見かけ上良く出ることがあるからです。従って、ピークフロー値が良い値を示していても実際はもっと気管支炎症が残っていることがあります。この場合、急速に薬剤を減らすのではなく、まずサルタノールを必要としなくなる(我慢ではありません)まで、十分な吸入ステロイド(フルタイドでも)を継続すべきだということです。
そこで、サルタノールを使わない状態(あるいは影響のない状態)でのピークフロー値をまずぜひ知りたいものです。これはもしかしたら、かなり低く出るかもしれません。仮に500という一見低い値でもサルタノールの影響がありませんから、信頼できる値と言えます。しかし、サルタノールが必要なくなると、今度はピークフロー値が上がってくるものです。そうなってくれば、気管支拡張剤内服は減らして構わないと思います。
ご理解いただけましたか? ぜひサルタノールの使用頻度などをお聞かせ下さい。
>>ところが処方箋をみてびっくりしました。ベコタイドもフルタイドも無かったんです。どうも大先生の方はステロイドなんてとんでもないという認識があるようです。ちょっと口論になってしまったのですが、これも自分の死活問題にかかわるので、粘って今まで通りの処方をして頂きました。
→お年よりのしかも呼吸器専門外の先生にはありがちですね。しかし、おっしゃるとおりやはり死活問題ですから、口論して良かったですね。
では。
<追加メール3>
丁重な返信ありがとうございます。また、親身になって私どもの病状についてお考えになって頂き本当に感謝しております。
はじめに詳細な情報を記述しなかった為に大変なお手数をおかけしてしまった点をお詫び致します。
まず、諏訪部先生のご指摘通りで、私と主治医の先生の認識として気管支の炎症についてはまだかなり残存しているものと考えています。その理由として以下の状況があります。
まず吸入気管支拡張剤なのですが、毎日常用しているということが挙げられます。私の場合、PF値620の状態でも呼吸すると不快感があるのです。そのままにしておくと徐々に悪化して550-520まで低下します。昼間の活動時に500台になるとちょっと走っただけで呼吸が苦しくなってくる状態になります。安静時は600あれば呼吸の不快感は感じませんが、これでは通常の生活は送れないので、吸入気管支拡張剤を使うわけです。定期吸入している訳ではないのですが、そのタイミングで使うと朝昼晩で2パフを3セットやっていたのが以前の状況です。私の呼吸が不快感の無い状況である時は活動時でPF値が660以上の時です。
ですから正確な表現を致しますと12月時点のベコタイドで良くなったいうのは、テオドール100とサルタノールだけで、発作のコントロールができる範囲に収まるようになったというレベルです。それでもステロイド吸入療法を実施する以前の私はベロテックを1週間で1本空けていたこともあったのですから、大きな改善でした。ただ気管支拡張剤を常用するということは根本原因は解決していないことですから、抗炎症作用の強いフルタイドを試しているというのが現状です。私の主治医の先生としては、フルタイドの効果により吸入気管支拡張剤の常用から離脱できる状態まで安定してくることを期待しているようです。そこで3/4減少したという根拠は具体的に以下の状態を言いました。
<従来>
朝(6:00-7:00)→PF620-630出社前に不快感がある時はサルタノール2パフ
昼(12:00)→PF720-740
昼(13:00-15:00)→不快感を感じる時間帯でサルタノール2パフ
夜帰宅後就寝まで(22:00-0:00)→不快感を感じる時間帯でサルタノール2パフ
<現状(ここ1週間程度)>
朝(6:00-7:00)→PF620-650不快感がない状態がほぼ毎日(ここが3/4と表現した部分です)
昼(12:00)→PF720-740
昼(13:00-15:00)→不快感を感じる時間帯でサルタノール2パフ
夜帰宅後就寝まで(22:00-0:00)→不快感を感じる時間帯でサルタノール2パフ
もともと安静時間が短いこともあり回復の進行が遅いのもあるかもしれませんがこの様な状況です。
フルタイドについては、いま適量はどのくらいか模索している状況のようです。私としては、まだ充分改善すべき状況なので、100 ugを2回で充分かという疑問があるのですが、しばらく様子見をして先生と相談しようと思っています。
では失礼いたします。
<追加応答3>
>>吸入気管支拡張剤なのですが、毎日常用しているということが挙げられます。
→やはりサルタノール使用回数が多いですね。これは気管支炎症が残っていてそれを吸入ステロイドで何とか押さえ込んでいるという感じです。PF値も一見高いですが、サルタノールの影響がでていますね。値も不安定です。
私の意見としましては、今は気管支拡張剤の減量はまだ早いと思います。とにかくサルタノールが必要なくるまで十分な吸入ステロイドを吸うべきだと思います。時には増量も必要です。増量は薬剤減量の方向と一見矛盾しますが、内服を減らすための増量です。もっともっと良くなるはずです。まず主治医とよく話し合ってみて下さいね。
>>私の場合、PF値620の状態でも呼吸すると不快感があるのです。そのままにしておくと徐々に悪化して550-520まで低下します。昼間の活動時に500台になるとちょっと走っただけで呼吸が苦しくなってくる状態になります。安静時は600あれば呼吸の不快感は感じませんが、これでは通常の生活は送れないので、吸入気管支拡張剤を使うわけです。定期吸入している訳ではないのですが、そのタイミングで使うと朝昼晩で2パフを3セットやっていたのが以前の状況です。私の呼吸が不快感の無い状況である時は活動時でPF値が660以上の時です。
→ピークフローメーターはアセスですか? 機種によっては、特に男性の場合、良い値を示していても良い状態と言えないことがあります。現在は、頻回のサルタノール吸入の影響がPF値に反映されていると思います。ですから、良い値を吹けて良い状態と思っていても急に乱降下することはあり得ると思います。
>>朝(6:00-7:00)→PF620-650不快感がない状態がほぼ毎日(ここが3/4と表現した部分です)
→状況はよくわかりました。
>>もともと安静時間が短いこともあり回復の進行が遅いのもあるかもしれませんがこの様な状況です。
→喘息の自己管理はイコール疲労対策と言われます。内服や吸入だけでなく、いかに疲労をためないか日常生活の改善に最大の注意を注いでみて下さい。
>>フルタイドについては、いま適量はどのくらいか模索している状況のようです。私としては、まだ充分改善すべき状況なので、100 ugを2回で充分かという疑問があるのですが、しばらく様子見をして先生と相談しようと思っています。
→そうですね。私も1日200では不足しているような気がします。ただし主治医が増量してくれるかが問題ですが、一度頼んでみるべきと思います。また仮に実現しても、忙しいと頻回に病院に薬をもらいにゆくことは不可能でしょうね。それがジレンマになります。
以上、せっかく良くなっていらっしゃるのに、否定的なことばかり述べてしまって申し訳ありません。しかし、私はもっと良くなるはずだと言う認識でいますので、こういうコメントになってしまうことをご理解下さい。どうか、「以前より良くなった」ことに満足せず、もっとを上をめざして下さい。
では。
【096】34歳の男性(コンピュータ関係)の方から
<追加メール4>
私の問い合わせと現状に対して非常に有益かつ今後の改善に結びつくアドバイスを頂きましたことを感謝しております。
度々お忙しいところメールさせて頂きまして申し訳ありません。主治医の先生と相談して処方方針を若干補正して頂いたのでご報告致します。
>>私の意見としましては、今は気管支拡張剤の減量はまだ早いと思います。とにかくサルタノールが必要なくるまで十分な吸入ステロイドを吸うべきだと思います。
→この件に関しまして、以下の対応をして頂きました。
(1)ベースの気管支拡張剤の増量→テオドール100(2錠/日)からテオドール200(2錠/日)
(2)フルタイドの増量→1日/300 ug(200ロタディスク 1ブリスタと100ロタディスク 1ブリスタ)
です。フルタイドについては、200 ugを2回で試したいことを伝えたのですが、2週間は300 ugでやってみて欲しいということで前記の結果になりました。PFメータもサルタノール吸入後の状態は避けるように計測しています。値は先生のご指摘通りで通常で630(±10)、サルタノールを必要と感じる時点で570になります。(PFメータ名は「パーソナルベスト」とかいう計算尺みたいなものです)。当然700台の値は出ません。
最近の変化として、サルタノール吸入がずいぶん減ってきています。テオドールも増量しているのでどの薬が効果を上げているのか分かりませんが、しばらく経過を記録してご連絡したいと思います。
>>せっかく良くなっていらっしゃるのに、否定的なことばかり述べてしまって申し訳ありません。しかし、私はもっと良くなるはずだと言う認識…。
→私自信も現在できることで可能な限り良くなりたいと考えていますので、大変に感謝しております。今後もお気づきの点などございましたらご指導の程よろしくお願い致します。
<追加応答4>
>>この件に関しまして、以下の対応をして頂きました。
(1)ベースの気管支拡張剤の増量→テオドール100(2錠/日)からテオドール200(2錠/日)
(2)フルタイドの増量→一日/300 ug(200ロタディスク
1ブリスタと100ロタディスク 1ブリスタ)
→現在の状態では好ましい方針変更であると思います。蛇足ですが、フルタイド200と100の複合処方はできないと思うのですが、主治医は工夫して下さったのでしょうね。
>>PFメータもサルタノール吸入後の状態は避けるように計測しています。
→測定は構わないですが、参考値と認識しておくことですね。PF値のグラフを付けていらっしゃる方は、サルタノール吸入後間もなくの値には何か印(*など)を付けておくと参考になります。
>>近の変化として、サルタノール吸入がずいぶん減ってきています。テオドールも増量しているのでどの薬が効果を上げているのか分かりませんが、しばらく経過を記録してご連絡したいと思います。
→はい。サルタノールを我慢することなく使用ゼロになるのがとりあえずの理想です。サルタノールがまったく使用しなくなれば、テオドールが減量できます。
では。