(1)小児喘息でも慢性的な気管支炎症が原因という認識で行くべきで良いですか?
【101】9歳喘息女児のお父さんから
<質問>
(平成10年12月18日)
はじめまして。自分の9歳の女児が2歳から喘息です。
私が約7年前に○○に転勤になり、寒冷地の過ごし方に疎いまま、子供は風邪を引き、ダストを吸って喘息になったと判断し、親として責任を痛感しています。
一度3年前の9月大型台風が来た際に2日のみ入院し、点滴治療を受けた以外は、中発作で、今は、メプチン、インタール、テオドールを夜に服用し、発作を起こさないようにしていますが、それでも2ヶ月に1回程度は中等の発作があり、この10月に初めて先生に吸入ステロイドを勧められました。
その時は3日間程吸入し治まったので、またいつものパターンに変えたのですが、この12月にまた軽い発作があり、この時も3日間吸入ステロイドをして、今はまたいつもの通りです。
但し、このような状態では、繰り返しになるのは間違いなく、いささかまいっています。
以下質問です。
(1)喘息という病気は、アレルギーや体質のもので、根本的には体を鍛えることが大事という認識だったんのですが、いろいろなメールを拝見し、気管支の慢性的な炎症である認識を持ちましたが、それでいいのでしょうか?
(2)そうであるのなら、炎症を治さないことにはだめになるわけで、その炎症にはどうも吸入ステロイドがもっとも効果があるようですが、その認識でいいのでしょうか?
(3)吸入ステロイドを9歳の子供に服用してもホントウに副作用(背が伸びない、太る、骨がもろくなる)はないのでしょうか?
(4)吸入ステロイドは1日の吸入回数どれくらいにしてどのくらいの期間継続することが完治のためには必要なのでしょうか?
以上お時間あればご助言お願いします。
<応答>
返事遅くなりました。
>>私が約7年前に○○に転勤になり、寒冷地の過ごし方に疎いまま、子供は風邪を引き、ダストを吸って喘息になったと判断し、親として責任を痛感しています。
→お気持ちはわかりますが、このことだけが喘息になった原因かどうかは分かりませんので、あまりご自分を責めないで頂きたいと思います。このような原因がなくても喘息を発症することはいくらでもあります。喘息を発症することは悲しいことではありますが、喘息児が正しい社会の理解の下で、正しい治療を受けられるようにすることが我々親の役目であると考えます。両親が喘息だといくら愛し合っていても産まれてくる子は喘息になる確率が高いから子どもは生まない方がいい、と言う考え方ではいけないと思います。
>>その時は3日間程吸入し治まったのでまた、いつものパターンに変えたのですが、この12月にまた軽い発作があり、この時も3日間吸入ステロイドをして、今はまたいつもの通りです。
→このような吸入ステロイドの用い方は予防とは言えませんね。もう少し長く使用しなければ本当の効果は得られないと思います。また、病状判断にはピークフローをお勧めします。9歳ならもう十分可能です。
>>(1)喘息という病気は、アレルギーや体質のもので、根本的には体を鍛えることが大事という認識だったんのですが、いろいろなメールを拝見し、気管支の慢性的な炎症である認識を持ちましたが、それでいいのでしょうか?
→それでよいと私は思います。正しく言えば、多くの内科医、一部の小児科の先生はそういう認識ですが、一部の小児科の先生はそういう認識ではないことも事実です。何故このように認識に違いがあるかという理由ですが、大人の喘息の場合、慢性的な気管支炎症を証明することは、患者さんの理解があれば可能です。すなわち気管支鏡(カメラ)の検査を行い、気管支粘膜を一部採取してきて顕微鏡で調べれば、証明することは可能ですし、実際に証明されてきました。
しかし、小児、とくに年齢の低い喘息児ではこのような証明は普通はできません。人道的にもこの検査は可哀想ですし、検査をするとなると子どもですから全身麻酔をしなくてはなりません。喘息の病態を証明するためにこの検査に協力してくれる親はほとんどいません。仮に何人かは証明できても、まとまって検査結果を報告するほどには症例は集まりません。従って学会発表もありません。
この点が、小児喘息の認識に対する大きな障壁になっているのです。一部の小児科医は、「小児喘息では慢性の気管支炎症は証明されていない」ことを楯に取り、吸入ステロイドの小児喘息への適応をかたくなに拒んでいることも事実です。
しかし、病因はどうあれ、小児へ吸入ステロイドを正しく適応しますと、喘息がすっかり良くなります。私は、逆にステロイドが効くのは慢性炎症が存在しているからだ、と考えております。このことが小児喘息でも慢性的な炎症が存在している証しであると考えています。
仮に小児喘息への吸入ステロイドの導入がなくても、「喘息はアレルギーや体質のもので、根本的には体を鍛えることが大事という認識」で、多くの喘息の子が幸福な生活を送れるなら、何も吸入ステロイドなどいらないのです。しかし、喘息死はなかなか減らないし、喘息死しなくても喘息に苦しみ、悩み続けている親はどれだけいることでしょうか? 学問的に喘息の原因を明らかにすることはもちろん大切でしょうが、目の前の病める病人を楽にして上げることこそ医療の原点であると思います。
>>(2)そうであるのなら、炎症を治さないことにはだめになるわけで、その炎症にはどうも吸入ステロイドがもっとも効果があるようですが、その認識でいいのでしょうか?
→いわゆる抗炎症作用を有する薬剤は、他に内服薬やインタールなどがあります。しかし、これらの中でもっとも強力な抗炎症薬は吸入ステロイドであることは事実です。
>>(3)吸入ステロイドを9歳の子供に服用してもホントウに副作用(背が伸びない、太る、骨がもろくなる)はないのでしょうか?
→いくら安全といわれている薬剤でも個々の人間にホントウに副作用が起きないという保証はありません。あくまで確率論ですが、これまでの欧米のデータでは、4歳以上なら成長に対する作用は少ないと言われております。
しかし、吸入ステロイドの悪いデータを発表するグループでも、骨の量が減るとか、内因性のホルモンが減少するという検査データを示すのみで、実際にそれが続くと発育不全につながるというデータは示されません。それは、喘息自体の悪化による成長不全もありますので、純粋に吸入ステロイドだけの影響を証明することは不可能だからです。
少なくとも一つだけ言えることは、喘息がひどくなると全身性ステロイドの世話にならなくてはならなくなりますが、その際の影響を考えれば、吸入ステロイドの副作用はあったとしても微々たるものです。誰だって、できることなら薬を使いたくないのです。考えられる副作用はあるが、今は必要だから使っているのです。
また、もう一点つけ加えさせてもらえれば、これまで何人かのお子さんに吸入ステロイドを使ってきましたが、すっかり良くなって吸入ステロイドを使わなくなった子はおりますが、途中で止めたいと言った方は一人もおりません。喘息が良くなるばかりで、目に見える副作用などまったくないからだと思います。いつもその効き目の良さ、副作用のなさにびっくりされ、感謝されます。
>>(4)吸入ステロイドは1日の吸入回数どれくらいにしてどのくらいの期間継続することが完治のためには必要なのでしょうか?
→ガイドラインでは1日100〜200マイクロから始めるように書かれています。しかし、年齢にもよりますが、私は効果がなければ、400〜800くらいまでもう少し増やしても構わないと考えています。症状が治まり、ピークフロー値が安定すれば、減らしたり中止したりすることも可能です。
期間に関しては一概には申し上げられません。その子が、どのような環境の中で生活しているか、どのくらい風邪を引くか、どれくらい無理な生活をしているか、などなどで予後は大きく変わってしまいます。
一生吸わなくてはならない場合もありますし、半年ぐらいでやめれる場合もあるでしょう。しかし、半年吸ったら後は一生吸わなくて良いかというとそうとは言えません。また悪化して吸入ステロイドが必要になることはありえます。また、一定期間吸入ステロイドを吸えば喘息が完治するとお考えでしたら、ぜひ改めていただきたいと思います。喘息は、吸入ステロイドなどで発作がない状態を維持することは可能ですが、それで喘息の記憶を消せるわけではありません。喘息の記憶は一生残ります。それが、喘息の完治はあり得ないと言われる由縁です。いったん良くなったように見えても、いつ再発するかはわかりません。
もし、ずっと吸入ステロイドを吸いたくない、しかし喘息が悪くなりたくないと言う贅沢な要求に応えられるとしたら、私は一生ピークフロー値をつけて下さい、といつも答えております。
何の努力もしないでしかも病気にならないでい続けることは、残念ですが、一部の幸運な人間だけに許されているようで、多くの人間にはどうしても神が許してくれないようです。
以上、不完全かもしれませんが、後は「ガイド」から「喘息の完治について」から関係する箇所を読んでみて下さいね。
では、お大事に。
<追加メール1>
大変ごていねいにありがとうございます。とても心強いと感じました。
実は、くまとらさんのメールから先生のホームページを知り、遅まきながら「喘息」の認識を改めた次第です。
それで、うちの主治医の先生にも先日お話を伺ってきたのですが、まったく先生と同意見でした。
今まで、家内が先生の意見を聞いていたのですが、どうも吸入ステロイドに対する偏見が強く、聞かないことにしていたようです。
その意味でも先生のホームページをみたことはとても幸いでありました。
とにかく、メプチン、インタール、テオドールを飲用していても、2ヶ月に1回小から中の発作があるということにずーッともやもやしており、たしかに入院するようなことはないものの、「完治」には向かっていない気がしていました。
体を鍛えようと水泳にいっても風邪や軽い発作が起きるため、継続できない。何かの原因で急に悪くなり、2日程度学校をやすむ、といった具合で、このままズルズルと引きずる気がしていましたが、少し光明がみえた感じです。
早速、ピークフローを購入し、吸入ステロイドでの治療を始めます。
但し、
・ピークフローでの変調が見えた場合は、吸入ステロイドの量をどう調整したらいいのかのみ、教えていただければ幸いです。
今は、主治医の先生からは、まったく音がしないので1日1吸入で実施しようということになっています。
以上。
<追加応答1>
>>ピークフローでの変調が見えた場合は、吸入ステロイドの量をどう調整したらいいのかのみ、教えていただければ幸いです。今は、主治医の先生からは、まったく音がしないので、1日1吸入で実施しようということになっています。
→これは本来なら主治医の指示に従って下さい、としか言えないことなのですが、とにかく吸入は全身作用がないので、主治医の指示範囲でなら、自己判断で増減して構わない、というのが一般的です。そのためにピークフローメーターを付けているわけです。
主治医の指示がないなら本当はいけないのですが、私は普段1日1吸入なら、1日4吸入(あるいはもう少し6吸入)位までなら、増やしても問題ないと思います。少なくとも私は患者さんにはそう説明しています。
しかし、ぜひ主治医に、「PF値が下がったとき増やして構わないですか? 何吸入までですか?」と聞いてみて下さい。
では。
(2)吸入ステロイドですっかりよくなりましたが減量はまだ早いですか?
【101】9歳喘息女児のお父さんから
<追加メール2>
(平成11年1月6日)
あけましておめでとうざいます。
12月中旬から、かかりつけの先生とも相談し、諏訪部先生のアドバイスに従いテオドール、インタール、メプチンを一切やめ、1日1回(就寝前)の吸入ステロイドに切り替えたところ、非常に調子がいいようです。
特に、今まで風邪をひくと必ず小発作的になっていたのが、まったく大丈夫で、近所の子供と走りまわると必ず苦しくなっていたのもなくなっています。
本人も「もう治ったのかな?」といっています。今まではやはり学校でも1日1回は少し苦しくなっていたようです。
かかりつけの先生とも相談しますが、今のところまったく聴診器でも音もせず、いい感じなので1日1回から2日に1回に移行したいと考えていますが、どんなものでしょうか?
<追加応答2>
あけましておめでとうざいます。
>>12月中旬から、かかりつけの先生とも相談し、諏訪部先生のアドバイスに従いテオドール、インタール、メプチンを一切やめ、1日1回(就寝前)の吸入ステロイドに切り替えたところ、非常に調子がいいようです。
→内服薬も中止できたのですね。良かったですね。
>>特に、今まで風邪をひくと必ず小発作的になっていたのが、まったく大丈夫で、近所の子供と走りまわると必ず苦しくなっていたのもなくなっています。
→喘息のお子さんは普通の子より体力があるというのが私の持論です。お子さんやお父さんは驚かれたかもしれませんが、私にはむしろ当然のことと言えます。いやもう少し良くなればもっと走れるようになるでしょう。他の子を走って追い越せる日がくるでしょう。
>>今まではやはり学校でも1日1回は少し苦しくなっていたようです。
→良かったですね。今まで当然であった呼吸困難や息切れなどが、吸入ステロイドで良くなってみて初めて「あんなところも悪かったんだなぁ」と気付くことがよくあります。従来の治療だけで単に発作がないことだけで判断し満足している親や医者には分からないことです。
>>かかりつけの先生とも相談しますが、今のところまったく聴診器でも音もせず、いい感じなので1日1回から2日に1回に移行したいと考えていますが、どんなものでしょうか?
→そうですね…。まだ1カ月経ってませんよね。通常、薬剤の減量時の目安は3ヶ月の症状安定と言われています。
大分症状が改善され、本人も治ったと思っているようですので、普通は減らせるとは思うのですが、ピークフロー値を付けていませんので、「自覚症状に基づいた薬剤減量」には私は慎重な姿勢をとっています。それは、私は実際にお子さんを診ていないので、何か客観的な指標がないとインターネットを通じたアドバイスには限界があるからです。
私の意見としましては、もう少し今のままで吸入ステロイドを継続されては如何かという点です。理由は、
(1)良くなったとは言っても恐らくまだ炎症は不完全に残っていて、これは逆にまだまだ良くなること(他の子を走って抜けるようになること)が期待できること、
(2)吸入ステロイドは経口ステロイドと異なり副作用が少ないので減量を急ぐ必要はないこと、
(3)吸入ステロイドで良くなると子どもの一般的傾向として無理をしてしまい少しでも気管支に炎症が残存していると風邪などをきっかけに悪化することがあること、
などです。
(1)に関しては、何もそこまで期待していないとおっしゃる親御さんがおります。私ももっともだと思いますが、気管支に不完全に炎症が残っていること、どうしても風邪などで再燃し安いんですよね。炎症がほぼ完全に取れれば、環境整備や生活習慣の改善などを徹底すればその悪化は防げるんでしょうが、そうでなければ少量でも吸入ステロイドは続けるべきだというのが私の考えです。
吸入ステロイドは気管支炎症の悪化防止薬であって、喘息を根治させる薬剤ではありません。
また以前にも申し上げましたが、気管支に炎症が残っているかどうかの判断は、現在のところピークフロー値を付けて経過を見ることしかありません。ぜひ導入をお勧めします。
では、お大事に。
【101】9歳喘息女児のお父さんから
<追加メール3>
(平成11年2月2日)
先生、ご無沙汰しています。
先生のご意見の通り、吸入ステロイドにし、約1ヶ月半が経ちましたが、その間発作どころか、せき込んだり、つまったりすることもなく、今のインフルエンザさえもまったく関係なく、元気になっています。
先日はスキーに2泊しましたが、ガンガン滑っても、息切れすることなく、親もついていけない体力ぶりです。
ピークフローも購入し、朝、夜やっていますが、大体250〜270の間に安定しています。
現在1日1吸入をかかりつけの先生にも言われしばらく続けていますが、そろそろ回数減らすことはどうなのでしょうか?
本人は、スキーも上達し、走っても苦しくならないので、やや自信がでてきたようです。
<追加応答3>
娘さん、調子良さそうで何よりです。
>>ピークフローも購入し、朝、夜やっていますが、大体250〜270の間に安定しています。現在1日1吸入をかかりつけの先生にも言われしばらく続けていますが、そろそろ回数減らすことはどうなのでしょうか?
→現在1日1回ですから、これ以上の減量は、2日に一度とか、3日に一度になりますね。このくらいならずっと続けても構わないとは思いますが、減らしても構わないと思います。それはピークフロー値を記録されているからです。場合によっては、ピークフロー値さえ記録していれば、しばらく中止して様子を見る方法もあると思います。ピークフロー値の基準を作って、例えば200以下に下がったら症状がなくても(いや、症状がないうちに)吸入ステロイドを再開するとか…。でも、この点はやはり主治医に相談してみて下さい。
>>本人は、スキーも上達し、走っても苦しくならないので、やや自信がでてきたようです。
→嬉しいことですね。今のうちに、環境整備とか体を鍛えるとか色々努力されて、ピークフロー値を付けながら薬に頼らない習慣が付けられれば最高ですね。
では。
(4)1年半ぶりに風邪を引いて発作が起きました。
【101】9歳喘息女児のお父さんから
<追加メール4>
(平成12年10月22日)
ご無沙汰しております。
先生のご指導を受け、約2年前から、ピークフローとベコタイドによる「炎症を抑える」と共に「発作を出さないことで喘息を直す」という治療に変えたところ、非常に順調に改善し、ここ約1年半はまったく発作がでなくなりました。
しかし、油断は禁物、先日、鼻かぜをひいてたところ、突然発作がおき随分昔の話…と思っていた我が子の喘息をひさしぶりに垣間見、ああ…治ってないんだ…と妻と共にうなだれてしまいました。ついつい親としての管理をぬかってしまった(ピークフローもここ1年近くやってなかったり、定期検診も行ってなかったり)ことを猛省してます。年はもう10歳でそろそろ生理なるものも始まる年頃でここを持ち越すとややこしいことになるのではと、やや心配です。
これから、またピークフローをつけ、しばらくは朝・晩のステロイド吸入で炎症を抑えようと思いますが、やはり、どんなに元気でも毎日ピークフローの計測は必要と痛感しました。
(1)この年頃での約1年半ぶりの発作というのは、小児喘息にはよくあるものなのでしょうか?
(2)また、子供自身にまだ自己管理能力がない(帰ってからの手洗い・うがい・お風呂あがりの髪の毛乾かさない等々)のも、悩みの種で是非、先生(先生は我が家ではかなり崇拝されてますので)から娘宛てに喘息を直すための心構え、注意点をアドバイスをメールで頂けないでしょうか?
先生のメールを読めば、かなり意識も変わると思います。
勝手なお願いですが宜しくお願いします。
また、私と同じように、しばらくの間、元気でいるとやや安心してしまう方々も多くいらっしゃると思いますので今回の小生の事例をあげ、完全に直りきるまではピークフロー、定期検診をぬかりなくするようお伝えください。
<追加応答4>
お久しぶりです。
お嬢さま、随分良かったようですが、風邪を引いてから発作が起きてしまったのですね。
ピークフローメーターはさぼっていたそうですが、吸入ステロイドもでしょうか? 仮に吸入ステロイドをやめてもピークフローメーターだけでもときどき吹いてみれば良かったですね。
>(1)この年頃での約1年半ぶりの発作というのは、小児喘息にはよくあるものなのでしょうか?
あります。結局ピークフローメーターをつけていれば分かったことですが、突然発作が起きたように見えても気道炎症が徐々に悪化して発作に至るというケースなのでしょうね。ですから、決して突然と言うことではないと思います。
>(2)また、子供自身にまだ自己管理能力がない(帰ってからの手洗い・うがい・お風呂あがりの髪の毛乾かさない等々)のも、悩みの種で是非、先生(先生は我が家ではかなり崇拝されてますので)から娘宛てに喘息を直すための心構え、注意点をアドバイスをメールで頂けないでしょうか?
お子さんに自己管理能力を求めるのは無理だと思います。やはり親御さんがときどき促してあげなければ長続きしないと思います。今は、まだ言うことを聞く年代ですから良いですが、高校から大学、社会人になりたての頃が喘息コントロールの最も難しい年代です。
<○○さんへ>
初めまして。
喘息ホームページを運営している山形大学医学部の諏訪部章(すわべあきら)と言います。
お父さんからこれまでの経過を聞いていました。吸入ステロイドとピークフローメーターで随分良くなっていたのに、風邪を引いてから発作が起きてしまったのですね。
でもがっかりしないで下さいね。きちんとやることをやればまた良くなります。
喘息は発作がないからと言って治ったと考えてはいけません。苦しくなくても○○さんの気管支には炎症が起きています。そして風邪を引いたり無理をしたりすると、また発作が起きてしまいます。吸入ステロイドはこの炎症を抑えてくれる重要な薬です。そしてピークフローメーターは炎症が治まっているか悪くなっているかを教えてくれます。
ですから、発作が起きないようにするには、毎日ピークフローメーターをつけて必要なときに吸入ステロイドを吸うことが大切です。こういう努力をして行けば、同級生と同じように勉強も運動もできるようになります。また、悪くならないように努力を続けて行けば、いつかきっと吸入ステロイドもいらなくなるでしょう。(ピークフローメーターだけはときどきつけた方がいいですが…)
先生は、喘息で良くなっている人や悪くなっている人をたくさん診ています。きちんとやることをやっている人は決して悪くなりません。しかし、やることをやらないで無茶ばかりしていると、最初は軽かった喘息も段々悪くなってきます。悪くなったら、学校へも行けないし遊ぶこともできなくなってしまいます。だから、○○さんもこうならないように、お父さんとお母さんの言うことをよく聞いて、毎日頑張ってはやく喘息を良くして下さいね。
先生も応援していますから、頑張って下さいね。
以上。