(1)心身症からくる喘息についてどうお考えでしょうか?

【117】喘息歴14年の主婦の方から

<質問>

はじめまして。

喘息歴14年の主婦です。吸入ステロイドをかれこれ10年くらいしていますが、なかなかうまくコントロ−ルできないでいます。

今年に入ってからフルタイドを吸入しています。今現在ベコタイト100を6吸入、フルタイド200を1吸入、朝プレドニン1/2錠、夜テオド−ル200を1錠、ニポラジンを1錠飲んでいます。1日1〜2回インタ−ルにベネトリンを混ぜて吸入しています。ピ−クフロ−はアセスで、吸入前は350、後は450、というのが平均です。去年の11月頃から、あまり発作は起きなくなり、体調は良好なのですが、プレドニンを飲んでいること、ピ−クフロ−が吸入前後で開きがあることが、問題としてあります。

実は、3年ほど前から、胃の痛み、吐き気、食べれなくなるという症状が、周期的にでてきて、その度入院となるのですが、検査でも原因がはっきりせず、一週間ほどで治るということを繰り返していました。去年の10月に、テオド−ルの血中濃度が高いというので、テオド-ルを夜に1錠に減量してから、今のところお腹の痛みはでなくなりました。

その後、ピ-クフローの上下が激しく、ほぼ毎日のように小中の発作が出るし、お腹の痛みもあるということで、プレドニン1/2錠を飲み始めて、10ヶ月くらいになります。去年11月より、発作もでなくなり安定していますが、やはり吸入後に上がるというのは、炎症が残っているということでしょうか? 主治医は、暖かくなったら考えましょう、とおっしゃっています。

もうひとつ、先生は、心身症からくる喘息についてどうお考えでしょうか? 心の葛藤は発作を誘発すると私も思いますが、うまくコントロ-ルできない自分に、精神的に弱いからかな−と落ちこんだりして…。やはり、一筋縄ではいかないですね。

<応答>

初めまして。

>>今年に入ってから、フルタイドを吸入しています。今現在ベコタイト100を6吸入、フルタイド200を1吸入、朝プレドニン1/2錠、夜テオド−ル200を1錠、ニポラジンを1錠飲んでいます。1日1〜2回インタ−ルにベネトリンを混ぜて吸入しています。ピ−クフロ−はアセスで、吸入前は350、後は450、というのが平均です。去年の11月頃から、あまり発作は起きなくなり、体調は良好なのですが、プレドニンを飲んでいること、ピ−クフロ−が吸入前後で開きがあることが、問題としてあります。

→発作がなく安定しているようなのに、ピークフロー値の変動や吸入前後で大分開きがあることなどを心配なさっているようで、かなりの喘息の知識・管理をお持ちですね。

いくつか、まずお聞きしたいのは、(1)ベコタイドの吸入方法です。私のホームページの「特集・吸入療法」はご覧になりましたか? ゆっくり吸入されていますか? (2)ベコタイドとフルタイドを併用されていますが、これはフルタイドを毎週あるいは2週間に一度もらいに行くのが不可能だからでしょうか? あるいはフルタイドだけに移行するには不安があるからでしょうか? 私は、今の状態から脱却したいなら、まずフルタイドを1日800へ増加してもらうべきではないでかと思います。しばらくは通院が大変ですが、ピークフロー値が安定しプレドニンを減量できれば、400くらいへ減らして、ベコタイドはとっておいて、ピークフロー値が下がったときに増量するのに使ってみては如何でしょうか?

あとは、主婦と言うことですが、お子さんは小さくて世話がかかるのでしょうか? いくら吸入していても、パートやお子さんの世話で忙しかったり、夜更かししたり、タバコ(本人でなくてもご主人とか)やアルコール、ペットの刺激など、生活上の不規則さやストレスが原因でピークフロー値が回復できないことはよくあります。ですから、もし今の状態からピークフロー値を上げて安定させたいとすれば、自分なりに生活のストレスを一定期間避けることが必要です。もう一度、現在の生活を見直してみて下さい。

>>実は、3年ほど前から、胃の痛み、吐き気、食べれなくなるという症状が、周期的にでてきて、その度入院となるのですが、検査でも原因がはっきりせず、1週間ほどで治るということを繰り返していました。去年の10月に、テオド−ルの血中濃度が高いというので、テオド-ルを夜に1錠に減量してから、今のところお腹の痛みはでなくなりました。ピ-クフローの上下が激しく、ほぼ毎日のように小中の発作が出るし、お腹の痛みもあるということで、プレドニン1/2錠を飲み始めて、10ヶ月くらいになります。去年11月より、発作もでなくなり安定していますが、やはり吸入後に上がるというのは、炎症が残っているということでしょうか? 主治医は、暖かくなったら考えましょう、とおっしゃっています。

→プレドニン半錠くらいならずっと飲んでも重篤な副作用はないと思いますが、問題はやはりご指摘のようにピークフロー値が安定せず、気管支に炎症が残っていることですね。これを安定させるためのチェックポイントはすでに書きましたが、でも少なくとも、今現在のような認識でいれば大きな発作を起こしたりする危険性は少ないですね。

>>心身症からくる喘息についてどうお考えでしょうか? 

→精神的な要因が原因で、不完全な炎症から発作を起こすことは十分考えられます。しかし、ピークフロー値がもっと高く安定するようになれば、同じ様な心因果加わっても発作は起きないと言うのが私の持論です。

>>心の葛藤は発作を誘発すると私も思いますが、うまくコントロ-ルできない自分に、精神的に弱いからかな−と落ちこんだりして…。やはり、一筋縄ではいかないですね。

→そうですね。確かに良くなるまでの一定期間を乗り切るには強い意志が必要です。ですから、どんな方でも、理想状態に到達できるわけではないことは事実です。しかし、だから自分の意志が弱いと考えるのは間違いだと思います。むしろ、責任感が強すぎて、自分の身体のことなど二の次に考えてしまうような、損な性格が喘息治療の大きな妨げであると私は考えています。少しぐらい苦しくても横にならず、無理をしてしまう頑張り屋の性格の方が多いですね。意志が弱く怠け者である方が、喘息は悪化しないのではないでしょうか? 事実私がそうです。ちょっと疲れると早く帰ってすぐ寝てしまうし、風邪も拗らせる前に薬を飲んで早めに治してしまいます。

まだ諦めることなく、吸入方法をチェックする、フルタイドを増量する、生活を見直してみる、など色々と頑張ってみて下さい。ご家族の理解を得ることも時には重要です。

では、こんなところで。

PS:今後のために、本名かペンネーム、所在地(架空でも結構です)、年齢(こちらは正直に)などを次からお願いします。

<追加メール>

お返事ありがとうございました。

年齢は35歳(もうすぐ36歳になります)。

自分で言うのもなんですが、結構喘息については勉強しました。吸入もべコタイトはスペ−サ−を使ってゆっくり吸い息を止めるようにしています。このところベレトリン吸入しなくてもピ−クフロ−が400近くあるので、少しずつですが、上向いているのかなと実感しています。

ベコタイトとフルタイトの併用は、月1回の診察なのでそうなりました。子供たちも小学生なので、時間がもてないというわけではないのですが、通院が大変なのでそうしてもらいました。フルタイド1日800については次回主治医と相談してみます。

病気に対して家族はとても理解し、協力してくれます。本当に感謝しています。おかげで、心身ともに健康でいるということについて、食べ物にせよ、環境にせよ関心を持ち勉強できたと思っています。この頃は、自分でも呼吸が楽ちんだぁ−という感じなので、この良い状態を保てるように、しっかり吸入し、心も楽ちんにしていこうと思います。

患者会に入っていても、出席できなかったり、交流が難しかったのですが、インタ−ネットも少し覚えてきて、いろいろ勉強させてもらっています。最終的には自分の判断になると思いますが、たくさんの知恵をもらって、よりよい気管支になりたいと思います。

アドバイス本当にありがとうございました。