(1)フルタイドの減量でピークフロー値が下がってしまいます。

【124】38歳の喘息の奥様を持つ男性の方より

<質問>

(平成11年3月17日)

昨年の10月以来、先生のホームページを大変有り難く拝見させて頂いている者です。

3年前から私の家内が喘息になり、対処が難しい治療に何かないかと探していた昨年の秋、先生のホームページを見て、近くの病院でフルタイドを処方してもらいました。その後、発作はなくなり、毎日PF値を計りながら完治に向けてフルタイド200を吸入しております。

そこで、質問ですが、

完治のための吸入の期間をどのように判断すれば良いのか、一生付き合っていくものなのか、完治できるものなのか、教えて頂きたい。

現在、家内は、38才、身長16 0cm、体重55 kg。現在、吸入して3、4日時間を明けて吸入しています。すると、3、4日でPF値が下がり、少し苦しくなります。(良いときのPF値は300以上で、それ以下になると苦しくなります)

処方頂いている病院で、相談したところ、「フルタイド100を毎日2回吸入しなさい」と言われております。

以上 大変、ご多忙とは存じますがご相談致します。

れからも、ご活躍をお祈り致します。

<応答>

初めまして。

メール拝見いたしました。

奥様が喘息なのですね。フルタイドとピークフローメーターを導入されているとのこと、さすがですね。

>>その後、発作はなくなり、毎日PF値を計りながら完治に向けてフルタイド200を吸入しております。

→これはフルタイド100を1日2回吸入で200しょうか? 200を1回吸入で200でしょうか? ぜひ1日量をお教え下さい。

>>完治のための吸入の期間をどのように判断すれば良いのか、一生付き合っていくものなのか、完治できるものなのか、教えて頂きたい。(…略…)現在、吸入して3、4日時間を明けて吸入しています。すると、3、4日でPF値が下がり、少し苦しくなります。(良いときのPF値は300以上で、それ以下になると苦しくなります)

→その前に私からいくつか質問があります。

(1)ピークフローメーターの導入とフルタイドの導入は同じ時期でしたか? つまりフルタイドを使用する前の値はわかりますか?
(2)フルタイドを使用してからの最高値はどのくらいですか?
(3)フルタイドは最初からこのような使用方法でしたか? あるいは、最初は毎日吸っていたのが、発作がなくなったからと減量体制に入って、このような使用方法にしたのですか? また、これは主治医の指示でしたか?

フルタイドをやめて3、4日でPF値が下がり、苦しくなる理由はただ一つ、まだ減量が早いと言うことだけです。不十分に炎症が残っている、つまりまだまだPF値は良くなることを意味します。

私のホームページでも、何人か吸入ステロイドのオン・デマンド療法と言ってPF値を参考にその日の吸入ステロイドの回数を決めている方がおります(「寄稿集(09)・45歳男性」参照)。しかし、これができるのは、ある程度完全に気管支の炎症が取れてPF値が安定していることが条件です。

症状がないからと、すぐに吸入ステロイドの減量を急ぐのは決して得策ではありません。内服ステロイドならそうするべきですが、吸入ステロイドは全身副作用がないので焦る必要はないのです。PF値ができれば500以上に上がるまで、フルタイドを毎日吸うべきです。今の状態なら、もう少し毎日しっかり続ければ必ず達成できる値です。

>>処方頂いている病院で、相談したところ、「フルタイド100を毎日2回吸入しなさい」と言われております。

→これは、現在の「200マイクロ1日2回、3、4日間隔」では不十分だから、「フルタイド100を毎日2回吸入しなさい」という意味でしょうか?

上の質問と関連しますが、維持量というのは安定してからの量であって、症状が不十分のうちは維持量には移行できないのが原則です。主治医は、「フルタイド100を毎日2回吸入しなさい」とおっしゃいますが、私は、維持量に到達するためにも、可能なら現在の最大量1日800をPF値が高く安定するまで使うべきだと思います。その方が早く安定させたれるし、その後は1日200へでも、3、4日で1回へでも、減らすことは可能です。あるいは、PF値さえ付けていればしばらく休止することも可能です。その間に環境を整備し、無理のない日常生活を送るような習慣を身につけれれば、喘息はそう悪化するものではありません。

薬剤は小出しにせず、使うべき時にはどーんと使うのがコツです。いつまで使ったらいいかは症状ではなくPF値が教えてくれます。

また、ある程度短期間にPF値を増加させようとお考えなら、フルタイドの増量は前提ですが、その期間は極力安静にしていなくてはなりません。中途半端は何事もいけないと言うことですね。

では、この辺で。

奥様にお大事にとお伝え下さい。

<追加メール1>

ご多忙の中、早速返信のメールを頂き、ありがとうございます。

こちらからの知識のない軽率な質問にも、詳しくご説明頂き、
「フルタイドを3、4日明けて吸入しているために、早い減量につながっている」
ことが良く解りました。

さらなる対処の方向性を求めて先生からの幾つかの質問に応えさせて頂きますので、ご教授の程、よろしくお願いします。

>>これはフルタイド100を1日2回吸入で200しょうか? 200を1回吸入で200でしょうか? ぜひ1日量をお教え下さい。

→一日量はフルタイド200を1回です。これを3、4日あけて吸入していました。

>>(1)ピークフローメーターの導入とフルタイドの導入は同じ時期でしたか? つまりフルタイドを使用する前の値はわかりますか?

>>(2)フルタイドを使用してからの最高値はどのくらいですか?
>>(3)フルタイドは最初からこのような使用方法でしたか? あるいは、最初は毎日吸っていたのが、発作がなくなったからと減量体制に入って、このような使用方法にしたのですか? また、これは主治医の指示でしたか?

→ピークフローとフルタイドの導入は、同じ時期で、平成10年12月22日が最初です。(先日のメールでは、秋頃からと申しましたが、私の勘違いでした。失礼しました)その最初のPF値は180でした。最初は、日に2回、フルタイド200を吸入してました。約1週間継続し、発作がなくなりましたので、自主的に時間をあけて吸入し始めました。12月22日から現在までPF値を毎日2回、朝と夕に測定しノートに記していますが、PF値の最高点は440です。但、約3ヶ月で400を超えたのが、3、4回ほどです。

>>これは、現在の「200マイクロ1日2回、3、4日間隔」では不十分だから、「フルタイド100を毎日2回吸入しなさい」という意味でしょうか?

→近くの病院の先生は「3、4日空けの吸入で、最初の発作が発生していた悪い状況と比較して改善されている」との判断からです。

>>私は、維持量に到達するためにも、可能なら現在の最大量1日800をPF値が高く安定するまで使うべきだと思います。その方が早く安定させたれるし、その後は1日200へでも、3、4日で1回へでも、減らすことは可能です。あるいは、PF値さえ付けていればしばらく休止することも可能です。その間に環境を整備し、無理のない日常生活を送るような習慣を身につけれれば、喘息はそう悪化するものではありません。

→このまま3、4日空けてのフルタイド吸入では、発作の小康状態が続くように思うので、先生が言われるように、使うべき所でどーんと使ってPF値を増加させるよう試みてみます。

これからも、先生のホームページとメールを道標にガンバッテみます。

先生もご活躍のほど。

このあたりで失礼します。

<追加応答1>

状況はよく理解できました。

やはり症状を判断とした薬剤減量であったということですね。PFの最高値は440はまあまあのようですが、最低でもそのくらいで維持できるようになるまで、もう少し減量しないで様子を見た方が良さそうですね。

レベルアップした報告が聞けるのを楽しみにしております。

では。