5分遅かったら命を落とす状態でICUのお世話になりました。

【129】52歳男性(事務系)の方より

<質問>

(平成11年3月23日)

私は3年前喘息に罹患した52歳の男性です。

5分遅かったら命を落とす状態でICUに入り、退院後アルデシン朝・夕2プッシュ。オノン、テオドール(100 mg)を朝・夕それぞれ1錠づつ服用しています。

退院後1年は順調でしたが、昨年春より発作が出始めました。その処置はオノン、テオドール(100 mg)の増量と点滴そしてプレドニゾンが加わる事があります。

日常の健康に関しては食べ物をふくめ気を使っていますが、このホームページを見て負けてなるものかと思いました。

ピークフローも手に入れる事が出来、頑張りますますのでお手を貸して頂ければ有り難いと思います。

<応答>

初めまして。

>>私は3年前喘息に罹患した52歳の男性です。

→私の記憶が正しければ、患者さんご自身がメールを下さった中では、最もご年輩の方ではないかと思います。インターネット歴はかなり長いのでしょうか?

>>後5分遅かったら命を落とす状態でICUに入り…

→喘息発症後どのくらいでこの重篤な発作がおきたのでしょうか? 入院前は、喘息の診断はついていたものの、治療をなされてなかったのですか? 少し脅すようで申し訳ありませんが、重篤な発作でICUに入り人工呼吸器を装着したことのある方は、相当気を付けないと喘息死する確率が高いと言われております。ですから、今後は十分な自己管理が必要ですね。

>>退院後アルデシン朝・夕2プッシュ。オノン、テオドール(100 mg)を朝・夕それぞれ1錠づつ服用しています。退院後1年は順調でしたが、昨年春より発作が出始めました。その処置はオノン、テオドール(100 mg)の増量と点滴そしてプレドニゾンが加わる事があります。

→同じように治療されていても、その方がどのような環境の中でどのように日常生活を送るかによって喘息の進行は大きく変わってきます。一般的にアルデシン(50?)の1日4噴霧は200マイクロですから、最低量と言っていいですね。それで維持できているば構いませんが、発作がおきているとすれば、吸入ステロイドを倍くらい増量する必要があります。一端良くなって、ピークフロー値を記録していれば、またもとの量に戻すことも可能です。喘息は努力次第でいくらでも良い状態へ、また少しでも少ない薬の状態へともって行くことが可能です。

>>日常の健康に関しては食べ物をふくめ気を使っていますが、このホームページを見て負けてなるものかと思いました。ピークフローも手に入れる事が出来、頑張りますますのでお手を貸して頂ければ有り難いと思います。

→はい。とりあえず、喘息の「常識・非常識」の問題にチャレンジされては如何でしょうか?

では、頑張って下さいね。

<追加メール1>

早速のご返事有り難う御座います。

>>私の記憶が正しければ、患者さんご自身がメールを下さった中では、最もご年輩の方ではないかと思います。インターネット歴はかなり長いのでしょうか?

→インターネットは3年前よりはじめました。まだまだ駆け出しですが興味は人一倍あります。職業は某外食産業のメニュー商品開発をしており、食べる事が仕事です。糖尿予備軍と診断された事があり体重を82 kgから70 kgに8年前落としました。

>>喘息発症後どのくらいでこの重篤な発作がおきたのでしょうか? 入院前は、喘息の診断はついていたものの、治療をなされてなかったのですか? 少し脅すようで申し訳ありませんが、重篤な発作でICUに入り人工呼吸器を装着したことのある方は、相当気を付けないと喘息死する確率が高いと言われております。ですから、今後は十分な自己管理が必要ですね。

→新築のための引っ越し整理などで年末から過労、ほこりの吸引。そして風邪症状が出たのが春3月、近所の開業医にかかり喘息と診断され、アルデシンと咳止めを服用したが、アルデシンによってかえってむせ返り苦しくなったので、使用したりしなかったりが続いた。明け方3~4時頃決まって咳き込む事が続き、拡張剤(以前新聞で騒がれた使用方法に注意が特に必要吸入薬)で済ましてきた。日中階段を上るのが辛いときもそれで済ましてきた。

7月仮住まいで発作が起こり、何時ものように拡張剤を使用したが効かず、数回続けて吸引するも治まらず、ひざまずき両手で体を支えるような形で救急車を待つ状態でした。心臓は約150回/分位の速さでした。(脂汗・意識が朦朧・死の恐怖…)酸素吸入・ステロイド注射で一命を取り留めました。退院後はアルデシン、オノン、テオドールを現在の倍量服用していましたが、徐々に減量して今日に至っています。

先生のHPにアクセスしたきっかけは約3年も毎月検診に通院し、薬も服用して何故良くならないのかと疑問に思ったからです。(この間に点滴を8回しています)ステロイドの副作用が気になりインターネットで「喘息」を探しているときに、御会いする事が出来ました。

これだけ明快、且つ患者の気持を理解して適切なアドバイスをインターネットを通じて公開している先生を私は知りません。(患者が必要とする最新情報を分かり易く公開、説明してくれています。公開する事は常に勉強をしていなければならず、勇気と自信がなければ出来ません)

吸入ステロイドに関する知識も明確になりましたし、喘息の研究も進み海外の医療現場の方が日本に比べ数倍結論が早くでているように感じますが(裏を返せばそれだけ慎重であるかも)、先生の進める療法(?)はその中で最良だと確信しています。

喘息の「常識・非常識」の問題にチャレンジをはじめました。

追伸:臨床検査とはどのような御仕事ですか?

<追加応答1>

数々のお褒めの言葉ありがとうございます。

私も大変励みになります。

>>臨床検査とはどのような御仕事ですか?

→大変嬉しい質問をありがとうございました。私は、元々内科(呼吸器内科)の出身でしたが、ボスが10年前にできたこの臨床検査医学講座の助教授として移ってきた関係で、7、8年前に私も内科から移ってきました。

一般病院では、病院における臨床検査(採血検査や心電図、呼吸機能、脳波など)は臨床検査技師が担当します。大学病院でも検査部があり、山形大学医学部附属病院では約20名の検査技師さんが働いております。

一般の方に病院で働いている方を挙げて下さいと質問すると、医師、看護婦、事務員、放射線技師、栄養士、薬剤師、理学療法士、警備員、掃除のおばさん…、と続くのですが、臨床検査技師の名は、掃除のおばさんより後になっても思い浮かばないほどの知られていない職種なのですが、病院では臨床検査技師は非常に重要な仕事を担当しています。

臨床検査医学講座は、系統的に医学生に検査のことを教育するための講座として10年くらい前に新設されました。現在は、教官が4名しかいない小さな講座ですが、普段は学生の教育(授業や臨床実習)を行っておりますが、検査技師さんの日常業務や研究を医師の立場として指導・支援しています。各科からの検査に関する質問に応じたりもします。実際に検査をすることはありません。空いた時間は自分の研究をし、新しい検査法の開発なども手がけています。また、元々内科医なので、それぞれの出身内科の外来(私は呼吸器の外来)を手伝ったりもしています。入院患者はおりませんので、現在は病棟で仕事をすることはありません。こんなところです。

喘息の「常識・非常識」の問題頑張って下さい。

では。