(1)1回きりの発作だけで治ったなんて話はないのでしょうか?
【137】23歳女性(自衛官)の方より
<質問>
(平成11年5月31日)
はじめまして。
私は23歳の婦人自衛官です。
このあいだ、喘息と診断されたんですが、今後のことについてかなりの不安を持っています。去年の4月、A地からB地に赴任してきて、古い官舎で一人暮らしを始めるようになってから、就寝時の咳、鼻水が気になりだして、とうとう今回のような事態になりました。
1週間ほど風邪のような症状が続いた後、呼吸の度、ひゅーひゅーという音が大きくなっていって、階段を上ると息が出来ないほどくるしくて、しばらく動けなくなったりしました。19日、医務室に「咳が出て苦しいので」と受診を申し込んだら「身体検査のため休診」でした。
5月20日夜中に呼吸困難に陥ったのですが、気管支炎の症状だと思いこみ苦しいがそのまま朝まで我慢して出勤し(車で1分程度の距離)、医務室にかかって初めて「気管支喘息」だと診断されました。あまりにも無知でした。(退院し、喘息のページを読んで初めて喘息の症状を知りました)
即入院、点滴と酸素吸入、ネブライザーの処置を受けました。入院時はピークフロー測定不能、アルデシン(インスパイアイース使用)も吸入出来ないくらいの状態でしたが、1週間入院し27日に退院するころにはピークフロー200、咳と痰はまだ出ている状態でしたが、普通の速度の歩行程度なら苦しくないような状態になりました。
退院後良くなり今は以前と変わらぬような状態です。小走りでも苦しくないですし、発作もありません。このまま、あの1回きりで終わってしまうような感じです。ですが、ほかの方の喘息の症状など読むと「1回喘息と診断されたらもうずっと…」ですし、それならば、私のように今なんの症状もないように感じても、それはやはりアルデシンの効果なんでしょうか? ずっと吸入しなければならないのでしょうか?
アルデシン(2パフ×4回)、テオロング、ムコダインを退院後処方されています。ハウスダストが気になるためマスク着用で普段はすごしています。ピークフローメーターは貸し出しだったため、退院後は測定しておりません。
自衛官という職業柄(今はデスクワークが主)体力は最低条件のため今後の仕事にもかなりの不安がありますし、結婚、出産等も不安になります。これから発作が起きるという不安を抱えていかないといけないのであれば、症状が重くならない内に退職し空気のきれいな地元に帰ろうかとも思います。
先生、1回きりでその後発作が起きず治ったなんて話はないのでしょうか? 未だ自分が喘息だなんて信じられずにいます。
・23歳、女、自衛官、153センチ。
・今回初めての発作でした。
・入院2日前からタバコは吸っていません(禁煙中)。
・2年ほどハムスターを飼っています。
・アルデシン100・インスパイアアース使用。
・ピークフローメーターは退院時返納しました。
あと、私は今は訓練担当事務をやっております。もうすぐ本来の仕事「ヘリコプターの整備員」として勤務するつもりでした。「整備員」とはいえども、自衛官の必須訓練などは頻繁にあるため寝ずの訓練、重い装備を背負っての行進訓練などやらないといけません。
よろしくお願いいたします。
<応答>
初めまして。
>>去年の4月、A地からB地に赴任してきて、古い官舎で一人暮らしを始めるようになってから、就寝時の咳、鼻水が気になりだして、とうとう今回のような事態になりました。
→官舎にはカビとか埃とか多かったのでしょうか? 残念です。
>>退院後良くなり今は以前と変わらぬような状態です。小走りでも苦しくないですし、発作もありません。このまま、あの1回きりで終わってしまうような感じです。ですが、ほかの方の喘息の症状など読むと「1回喘息と診断されたらもうずっと…」ですし、それならば、私のように今なんの症状もないように感じても、それはやはりアルデシンの効果なんでしょうか? ずっと吸入しなければならないのでしょうか?
→病歴も短いですし、A地での抗原暴露だけが原因の発作だとすれば、今の環境なら治癒(に近い状態)まで到達できるかも知れませんね。できれば、ピークフローメーターをもう一度借りるか購入されるかして、値が安定するまで吸入ステロイドを続けるのがよいと思います。完全に炎症を取ってしまえば、あとは様子を見ながら中止できることもあります。
喘息の記憶は一生消えませんが、喘息の発作から解放され続けることは、たとえ吸入を中止しても可能です。ただしそれなりの日常努力は必要です。自己判断による焦った中止は、喘息再燃の落とし穴ですから気をつけて下さい。
>>自衛官という職業柄(今はデスクワークが主)体力は最低条件のため今後の仕事にもかなりの不安がありますし、結婚、出産等も不安になります。これから発作が起きるという不安を抱えていかないといけないのであれば、症状が重くならない内に退職し空気のきれいな地元に帰ろうかとも思います。
→確かにそちらは環境的には喘息には好ましくないですね。身体のことだけを考えるなら空気のきれいな土地の方が良いに決まっていますが、仕事や生き甲斐などを考えますと無碍にその土地を離れるわけにも行きませんね。同じ職で転勤希望が叶うならそれは理想です。
もうひとつ、転地療法を考えているがどうだろうか? という質問を受けますが、確実な返事はできかねます。そのままでもうまく治療し健康に気を使えば喘息は悪くならないこともあるだろうし、良い環境でも無茶をすれば良くならない場合もあります。難しい選択ですね。
>>1回きりでその後発作が起きず治ったなんて話はないのでしょうか? 未だ自分が喘息だなんて信じられずにいます。
→これは可能性はあります。諦めないで下さい。
一つ質問ですが、胸部レントゲンは撮りましたか? A地での古いカビた場所で生活すると、過敏性肺臓炎と言って、カビなどが抗原となって咳や息切れが出ることがあるのですが、入院して抗原から離れるだけで良くなる場合もあります。しかし、また元の場所に戻ると再発する病気です。これは、症状があるときレントゲンを撮ると影がありますから分かります。でも、喘息と診断されたのですから、レントゲンでは異常はなかったのでしょうね。
>>入院2日前からタバコは吸っていません(禁煙中)
→これは今回に限らず、今後のためにぜひ禁煙を続けて下さい。
>>2年ほどハムスターを飼っています。
→できれば抗原から隔離できる特定の場所に置いて、触れるときはマスクなどをした方が良いですね。ハムスター喘息、結構多いのです。
再発しないことを祈っています。
では、お大事に。
<追加メール1>
(平成11年6月4日)
大変お忙しいところアドバイスいただいて感激しております。
ただ、私の書き方が雑だったのかもしれません。今私の住んでいる官舎(B地)がカビ、埃のひどい古い官舎なのです。A地にいるときは建ったばかりの清潔な寮だったせいか、全くなんの症状もありませんでしたから、そう考えてもやはり今の官舎がなんらかの原因にはなったのではと思います。そこにこれからも住んでいくのはやはり喘息にはよくないのでしょう。とはいうものの、金銭面、通勤など考えると他の場所には移りにくいのです。空気清浄機などでは対処できないものでしょうか? その場しのぎの策と言うわけではありません。しかし、すぐ移るということはちょっとむりなので…。仕事のことについても考えたいですし。
生活については禁煙も続いていますし、ハムスターも里親を探している最中です。処方されている薬もちゃんと服用していますし、先生の言われる通りにすれば治癒(に近い状態)まで到達できると信じています。希望が持てました。諦めませんよ。
ありがとうございました。ホントに。
この頃いろいろ考えてばかりいたんですけど、今朝、ホントパーッとモヤモヤが晴れたような感じがしました。日常努力ですね。わかりました。心がけます。
ありがとうございました。
<追加応答1>
官舎がA地と現在が逆だったのですね。
>>空気清浄機などでは対処できないものでしょうか?
→当然ないよりはいいですね。畳の部屋なら健康面を理由に管理人と相談して取り替えてもらう(ある程度の自己負担もやむを得ない?)、できるだけ掃除機をかける(マスク必須)、できるだけ日光に当てる、などできることから開始することでしょうか?
それでも駄目ならやはり引っ越すしかないでしょうね。
吸入ステロイドだけに限らず、禁煙や環境整備にも配慮して頑張って下さい。
では。
<追加メール2>
(平成11年6月7日)
>>当然ないよりはいいですね。畳の部屋なら健康面を理由に管理人と相談して取り替えてもらう(ある程度の自己負担もやむを得ない?)、できるだけ掃除機をかける(マスク必須)、できるだけ日光に当てる、などできることから開始することでしょうか?
→週末、空気清浄機を手に入れました。確かにないよりはましなようで、鼻がムズムズすることも無くなったようです。やはり、清潔にするということが基本なのですね。朝7時には出勤し、帰宅は夜9時10時ということがざらで、掃除をするには近所の迷惑になるかと気が引けていましたが、なんとか清潔に保つ努力をしてみます。
>>吸入ステロイドだけに限らず、禁煙や環境整備にも配慮して頑張って下さい。
禁煙は続いていますよ。更に他人の煙まで大げさに避けるようにして、職場でも「私の周りで吸わないように」ときつく言っておき恐れられています(笑)。吸入ステロイドはもちろんきちんと吸っています。もともと何事も継続しない質なのですが、良くなるためにがんばって継続します。
ありがとうございました。がんばります。