(1)普通の呼吸とはどういうものなのでしょうか?

【139】大学2年生の女性の方より

<質問>

(平成11年8月23日)

はじめまして。昨日、授業の空き時間に情報処理教室に行き何となく健康、喘息のホームページを開きました。情報量の多さと内容の充実度に驚きました。もっとはやく検索していれば、と思いました。30分程の時間しかなくおおまかにしか見ることができませんでしたが、その中で先生のアドレスを見つけました。

問いの答え、もしくは質問を受け付けていらっしゃるようですが、相談には応じて頂けるのでしょうか? できれば私の今までの喘息歴、現在の症状を知って頂き、それに対するアドバイスを頂きたいのです。お忙しいとは思いますが、お返事お待ちしています。

p.s.的外れなお願いだったらすいません。

<応答>

メール拝見しました。

>>問いの答え、もしくは質問を受け付けていらっしゃるようですが、相談には応じて頂けるのでしょうか? できれば私の今までの喘息歴、現在の症状を知って頂き、それに対するアドバイスを頂きたいのです。

→はい。質問に対する応答は、可能な限り行っております。また、メールの内容によっては、匿名にてホームページに掲載させていただくことがあります。

その点だけご了承下さい。

では、メールをお待ちしております。


<追加メール1>

※以下の体験談は、「特集・小児喘息」の「体験談・003」と同じです。

お言葉に甘えさせて頂き、早速、ぜんそく歴について書かせて頂きます。長くなりますがよろしくお願いします。

わたしがぜんそくを発病したのは記憶にない頃です。幼稚園のころにはすでにぜんそくで苦しんでいました。小学校中学年ぐらいまでは発作が起こったとき座椅子のようなものに横たわり一晩中水を飲んだりしながら過ごしていました。時には吐いていました。病院へ行き、吸入をしてもらいくすりをもらいました。母親は小児科の先生(かなり信頼している)に「ぜんそくは気のもちよう」と言われたためそう思っています。だから、ぜんそくになって苦しんでいるときでも「学校へ行け」、「甘えるな」、「早く寝ないのが悪い(疲れがたまるから)」という感じで怒りだし病気なのに怒られて二重に苦しみました。こういうことが続き、わたしは薬を飲むということを覚えました。小児科から内科(別の病院)にうつりテオドールとメプチンです。途中で変わったりしましたが種類は同じです。これを1錠ずつ、二週間分。朝、晩。よる、薬を飲んでいても発作が起きたとき用にスプレー(気管支拡張剤)をもらっています。

先生には「よくなったら減らすように」ぐらいしか言われていません。一時、夜飲むだけで済んだり、完全に飲まなくて済んだりということもありましたが、それも長くは続きませんでした。一応くすりでおさえていたので発作で一晩中苦しむということはなくなりましたが、息切れは激しく、人といるときは大変でした。

大学はトータル2時間ほどかかり、歩いていけた高校とくらべると疲労はおおきいです。入学当初は発作に見舞われていました。薬を飲んでいるのに夜は寝苦しく鼻はつまり、くすりでなんとかおさえてもそれからくる頭痛、はきけ、「おさえている」という感覚(とくにのど)で最悪な状況でした。ふだんあまりでない、たんやせきもでてきました。でももうこれ以上薬をふやしたくないので漢方に頼ることにしました。学校の近くです。そのおかげなのか鼻づまり、せき、たんもおさまり、息切れも前ほどひどくなくなりました。しかし薬は手放せません。

スプレーだけでは夜中発作で起きてしまい、薬をのみ、おさまるといった感じです。よくなったのははじめて2ヶ月目でそれから5ヶ月続けていますが変化が感じられません。値段が高いのでこれ以上改善が望めないのならやめたいと思っていますが、このあとどうすればよいかわからないので躊躇しています。(ちなみに漢方のことは親には秘密、もっとよくなったら話そうと思っていました)。薬は最近夜だけでも大丈夫になってはいます。でも飲まないときはぜーぜーではなくどちらかというとすーすーにちかいおとが息を吐くとき(深呼吸のように大きく息を吐いたとき)にあります。のどからむね、背中に違和感があります。肩で息をしているかんじで疲労感をともないます。ちなみにこのかんじで大学で内科検診を受けましたが異常ありませんでした。

これは普通の呼吸なのでしょうか? 普通の呼吸とはどういうものなのでしょうか? 喘息の原因はアレルギーだと思います。妹が昔受けた検査ではダニ、ほこりだったそうです。最近父親がうけた血液の検査で医者に「子供が喘息なのはあんたが原因」と言われたそうです。でもそれをちゃかして言うだけでわたしがごはんをたべているときでも平気でたばこは吸いますし、私と妹が毎月病院に通っている理由もしりません。

本当はもっと書きたかったのですが長くなり過ぎたのでこのへんでひとまず終わらせて頂きます。私の目標は「くすりのことを考えなくて済む生活」なのです。家族の協力が得られない以上、なんとか自分で解決したいのです。どうかいいアドバイスをください。よろしくおねがいします。

PS:このメールに関する疑問、質問があれば言ってください。

<追加応答1>

詳しい病歴ありがとうございました。

大変な苦労をされているのですね。最近になって、小児喘息時の辛かった体験談が結構舞い込んできます。不思議にあなたくらいの女性が多いのです。同じくらいの男性でも似たような体験はしているはずなのですが、あまりメールは頂きません。年齢的に手紙を書いたりするのが苦手な年頃だからでしょうか? だとすると、表面にでないだけで、同じような体験をしている方は結構いるはずですね。

>>わたしがぜんそくを発病したのは記憶にない頃です。

→何という悲しいことなんでしょう。ということは、これまで本当に空気が吸えるという感覚を味わったことがないとも言えますね。

>>母親は小児科の先生(かなり信頼している)に「ぜんそくは気のもちよう」と言われたためそう思っています。だから、ぜんそくになって苦しんでいるときでも「学校へ行け」、「甘えるな」、「早く寝ないのが悪い(疲れがたまるから)」という感じで怒りだし病気なのに怒られて二重に苦しみました。

→これは明らかに社会問題ですね。私は、今何とか一人でも多くの方のこうした声を拾って、なんとか世の中に訴えたいと考えています。どうか今後もご協力下さい。

>>でももうこれ以上薬をふやしたくないので漢方に頼ることにしました。学校の近くです。そのおかげなのか鼻づまり、せき、たんもおさまり、息切れも前ほどひどくなくなりました。しかし薬は手放せません。

→漢方以外に飲んでいる薬や吸入薬の種類を教えていただけませんか? 現在は定期的に通院していますか? 個人医院ですか? それとも総合病院ですか? あるいは小児科ですか? 内科ですか?

確かに漢方薬は高いですし、また多少効果はあるかも知れませんが、喘息の基本にある炎症を積極的に取り除くことはできません。やはり吸入ステロイド(ベコタイド、アルデシン、タナウス、フルタイド)こそ一番の近道です。現在使っていますか? もし使っていた場合、吸入回数やスペーサー使用などを教えて下さい。

>>ちなみにこのかんじで大学で内科検診を受けましたが異常ありませんでした。

→内科検診は聴診とレントゲンだけでしょうから、発作でなければ、異常としてひっかかることはありません。喘息で気管支に炎症があるだけでは、レントゲンも聴診所見も異常は出てきません。肺機能検査か手軽にできるのはピークフローメーターでしょう。ピークフローメーターはお持ちですか?

>>これは普通の呼吸なのでしょうか? 普通の呼吸とはどういうものなのでしょうか?

→発作がない時は、安静にしていればまったく普通の呼吸のように見えますが、気管支に炎症があると、走ったり階段を上ったりすると空気がたくさん吸えなくなって息切れがしてしまいます。普通の呼吸になれば、このようなことは起こりません。炎症が取れれば普通の呼吸をすることができるようになります。

>>喘息の原因はアレルギーだと思います。妹が昔受けた検査ではダニ、ほこりだったそうです。最近父親がうけた血液の検査で医者に「子供が喘息なのはあんたが原因」と言われたそうです。でもそれをちゃかして言うだけでわたしがごはんをたべているときでも平気でたばこは吸いますし、私と妹が毎月病院に通っている理由もしりません。

→両親が理解がないのでは、良くなるものも良くなりません。可能なら、ホームページの何カ所かをプリントして見せて上げてはどうですか?

>>本当はもっと書きたかったのですが長くなり過ぎたのでこのへんでひとまず終わらせて頂きます。

→時間があればぜひ色々なことを教えて下さい。喘息の体験談は人によって大きく異なります。それぞれが貴重でなかなか聞けない話しばかりなのです。どうか遠慮せず書き送って下さい。

>>私の目標は「くすりのことを考えなくて済む生活」なのです。家族の協力が得られない以上、なんとか自分で解決したいのです。

→あきらめず家族を説得することもあわせて頑張って行きましょう。また、薬に頼らないのは、我慢することではありません。吸入ステロイドをしっかり使えば、普通に呼吸ができるようになるはずです。

治療内容に関する返事を頂ければ、また何かアドバイスできるかも知れません。

諦めないで頑張って下さい。

では。


<追加メール2>

質問の解答です。

薬は現在フレムフィリン200とブリカ二ールです。これまでになんどか変わりましたが効果の内容は同じとのことです。スプレーはメプチンキッドエアーです。錠剤は朝、晩一錠ずつ。スプレーは夜中苦しくなったとき用。じつはいま妹のしかないのですが、多分一度に三回だったと思います。本などでスプレーのほうが副作用が少ない、とあったのであまり調子が悪くないときは薬の量をへらしています。でもだんだん減っているわけではなく日によって違います。通っている病院は個人病院です。二週間に一度、くすりのみで。ひどいときは吸入のために診察してもらっていました。内科です。ほかに皮膚科などありますが夫婦のみが診察します。

ステロイドは使ったことはありません。ピークフローもありません。どちらも本などではよく目にします。ピークフローはできれば購入したいのですが、どうすればよいのですか?

今、○○県の△△市というところに住んでいます。学校は□□です。JRと地下鉄を利用しています。定期があるので家、もしくは学校近辺でよい病院があれば紹介していただけないでしょうか? 返事はいそぎません。

家族からの理解ですが、ちょっと今のところ無理な気がします。さっきのメールにはいろいろ書いたのですが、ぐちっぽくなるのでやめておきます。9月には二十歳になります。どうにか自分でなんとかしたいのです。

また質問、そしてアドバイスがあればメールください。

おねがいします。

<追加応答2>

大体の経緯が分かりました。

>>薬は現在フレムフィリン200とブリガ二ールです。これまでになんどか変わりましたが効果の内容は同じとのことです。スプレーはメプチンキッドエアーです。錠剤は朝、晩一錠ずつ。スプレーは夜中苦しくなったとき用。

→担当先生はおそらく呼吸器が専門ではないですね。私は、この処方を見ただけで、どの程度喘息のことを知っているか分かります。上記の薬剤はすべて発作を止めるだけの対症療法で、基本にある気管支炎症を取る治療ではありません。ぜひ吸入ステロイドを導入すべきだと思います。吸入ステロイドを頼んでみるか、吸入ステロイドを処方してくれる病院を探してみて下さい。また吸入ステロイドで良くなれば、ご両親も喘息に対する考え方は変わってくるはずです。

>>ピークフローもありません。どちらも本などではよく目にします。ピークフローはできれば購入したいのですが、どうすればよいのですか?

→まず薬局で問い合わせてみて下さい。扱ってなければ、ミニライトというピークフローメーターは以下で直接買えます。3,500円くらいです。

〒103-0023
東京都中央区日本橋本町4-6-6
松吉医科器械株式会社
電 話:03-3279-1848
    03-3279-1844(直販)
FAX:03-3279-3943

>>今、○○県の△△市というところに住んでいます。学校は□□です。JRと地下鉄を利用しています。定期があるので家、もしくは学校近辺でよい病院があれば紹介していただけないでしょうか? 返事はいそぎません。

→私は土地勘がないので紹介できませんが、近くにある病院を列挙してもらえれば、良い病院をお教えできるかも知れません。

>>家族からの理解ですがちょっと今のところ無理な気がします。

→今は駄目でも決して諦めないで下さい。まずはあなた自身が良くなることです。

>>さっきのメールにはいろいろかいたのですがぐちっぽくなるのでやめておきます。9月には二十歳になります。どうにか自分でなんとかしたいのです。

→いえ、愚痴だと思うかも知れませんが、大切な情報が隠されている可能性があります。また、全部吐き出すと楽になりますよ。こちらは遠慮しないで下さい。

>>また質問、そしてアドバイスがあればメールください。

→まず喘息管理に必要な吸入ステロイドとピークフローメーターを入手して下さい。この2つがあれば喘息は何とかなります。諦めないで頑張って下さい。

では。


(2)母は病院に頼ろうとする考えには否定的です。

【139】大学2年生の女性の方より

<追加メール3>

(平成11年8月23日)

度々お返事を頂き、どうもありがとうございます。

さて、病院の件ですがやはり代えようと思っています。母親と妹との食事中に病院を代えようと思っていることを伝えました。とくに大きな反応はありませんでした。ただ、病院に頼ろうとする考えには否定的のようです。

どこの病院にするかはまだ未定です。情報を集めようと思い、本屋で、名医や名病院が一覧となっている本を何冊か読んでみました。その中の一冊ですが、看護婦さんが選んだという病院の中に○○県△△市にある「A病院」というのがありました。総合病院です。電車で3駅目なのでわりと近いですが行ったことはありません。こういう本を読むと、上位にランクされているのは大学病院や総合病院が多いことがわかります。そして□□近辺が多いことがわかります。家から□□までは約一時間で行けるのでそれぐらいなら可能なのです。そうなると選択幅が広がり、また悩んでしまうのです。

口コミでだれかが教えてくれるのが一番わたしにとってはいいと思いますが、まわりになかなかそういう人がいないのが残念です。先生のHPには患者さん(という言い方は少しへんかもしれませんが)同士でのやりとり(書き込み、のようなもの)の場は設けてらっしゃいますか? あとタウンページで「呼吸器(内)科」を引くといくつか病院が載っていました。どこがいい、という情報が得られない場合には「内科」より「呼吸器内科」が設けてある病院がよいのではないか、と考えてみたのですがこの考えにはどう思われますか?

ピークフロメーターは明日にでも薬局に尋ねてきます。一応、ドラッグストアは避けようと思っていますが、どうにか見つかってほしいものです。

では。

<追加応答3>

>>病院の件ですがやはり代えようと思っています。母親と妹との食事中に病院を代えようと思っていることを伝えました。とくに大きな反応はありませんでした。ただ、病院に頼ろうとする考えには否定的のようです。

→病院をかえるのは賛成です。病院に頼らないのも大切ですが、限度があります。とにかく良くなることで親にこれまで自分がいかに良くなかったことを訴えられると良いですね。

>>先生のHPには患者さん(という言い方は少しへんかもしれませんが)同士でのやりとり(書き込み、のようなもの)の場は設けてらっしゃいますか?

→PF値センターがありますが、あいにく△△付近の方は加入しておりません。

>>あとタウンページで「呼吸器(内)科」を引くといくつか病院が載っていました。どこがいい、という情報が得られない場合には「内科」より「呼吸器内科」が設けてある病院がよいのではないか、と考えてみたのですがこの考えにはどう思われますか?

→呼吸器内科のある病院ならほとんどは吸入ステロイドを使ってくれるでしょう。ベコタイド(あるいはアルデシン)かフルタイドかでも入手できたら、ホームページを参考にうまく効かせて下さいね。きっと良くなりますよ。

良い病院にあたるといいですね。

では。


(3)なぜ私の小児喘息は治らなかったのでしょうか?

【139】大学2年生の女性の方より

<追加メール4>

(平成11年8月23日)

先週の土曜日にやっと病院に行ってきました。大きめの病院は久しぶりだったし一人で行くということで不安や緊張がありましたがなんとか診察までこぎつけました。先生に今までの経緯や現在の症状などを話し(正確には、病歴が長いのでうまく説明できないと思い文章にまとめていったのを読んでもらった)色々説明を受けました。そのなかでわかっていても悲しかったのは「完治しない」ということを言われたことです。10年後例えば子供を産むとして、という話になったときそのときでもやはり吸入はし続けているという設定になっていました。(つまり内服薬はよくないということで)あと、小児喘息は90%は中学生が終わる頃には自然に治るということです。わたしはその10%に入ってしまったのかと思うと悲しいです。なんで治らなかったのでしょうか? 環境や治療が関係しているのでしょうか? 後悔してもしょうがないけどふと考えてしまうのです。

薬はべコタイド100(2吸入を一日2回)、インタール(2吸入を一日2回)、気管支拡張剤(ユニフィル錠200を食後に一錠)、そして発作時に吸入ベータ刺激剤(アイロミール)を処方されました。ピークフロメーターは病歴が浅いからかもしくは症状が軽いからかの理由と一度にやることが増えるとたいへんということで今は必要ないということになりました。スぺーサーも持ち運びがめんどうとかもうすぐ新しいのが出る(スぺーサーのことか吸入ステロイドのことなのかわからなかった)という理由で必要ないということになりました。

診察の後には血液と肺活量の検査をしました。結果と経過報告をかねて8月4日にまた病院に行くこととなりました。まだやって2日ぐらいしかたっていませんが普段の呼吸の困難は少しやわらいでいったような気がします。こうやってどんどん普通の人の呼吸に近づいていってほしいとおもいます。できれば薬とは無縁な生活をしていきたいとおもいます。あと、舌がやはり少しヒリヒリしているのでスぺーサーがほしいです。このことはまた今度の診察の時に言ってみようとおもいます。

アレルギーということで食べ物(生や、黄色の色の強いものはやめた方がよい)や寝具の指導もうけました。あといつになるのか、どういうものなのかよくわかりませんが、喘息教室にも参加させてもらえるそうです。

途中質問のようなことを書いてしまいましたが、今日で試験が終わるのでしばらく学校には来ません。来ても9月の頭ごろだと思います。その頃までに御返事が頂けると幸いです。しばらくインターネットができなくて寂しいです。

ということで報告でした。

<追加応答4>

>>そのなかでわかっていても悲しかったのは「完治しない」ということを言われたことです。10年後例えば子供を産むとして、という話になったときそのときでもやはり吸入はし続けているという設定になっていました。

→これは必ずしもそうとは限りません。私の患者さんでも、PF値をみて、内服薬はもちろん、吸入ステロイドさえも中止している方は結構おりますよ。ただし、完全に喘息を野放しにできるかという点では、現段階ではまだ難しいでしょうね。

>>小児喘息は90%は中学生が終わる頃には自然に治るということです。わたしはその10%に入ってしまったのかと思うと悲しいです。なんで治らなかったのでしょうか? 環境や治療が関係しているのでしょうか? 後悔してもしょうがないけどふと考えてしまうのです。

→気持ちは分かります。しかし、90%の方は治るというのも厳密には正しくないのです。「特集・小児喘息」でも触れていますが、小児喘息が治ったというのは、一見発作がないだけで、実は風邪を引いたりするとゼーゼーしたりする方が多いのです。従って、仮に90%に入ったとしても、今後喘息が再発しないと言う保証はどこにもないのです。その意味では、今後の喘息をよくコントロールして行くことの方がずっと大切です。

なぜ、遷延化してしまったかは難しいですね。不十分な治療、不十分なままでの忙しい日常生活、性格的なもの、環境因子等々、断定することは難しいでしょう。

>>ピークフロメーターは病歴が浅いからかもしくは症状が軽いからかの理由と一度にやることが増えるとたいへんということで今は必要ないということになりました。スぺーサーも持ち運びがめんどうとかもうすぐ新しいのが出る(スぺーサーのことか吸入ステロイドのことなのかわからなかった)という理由で必要ないということになりました。

→こちらは、どちらもぜひ欲しいですね。ピークフローメーターはもちろんですが、スペーサーもそんなに高いものではありませんから、新しいのが出るまで待たない方がいいと思いますよ。

>>まだやって2日ぐらいしかたっていませんが普段の呼吸の困難は少しやわらいでいったような気がします。こうやってどんどん普通の人の呼吸に近づいていってほしいとおもいます。できれば薬とは無縁な生活をしていきたいとおもいます。

→はい。ぜひそこまで良くなって下さい。ちょっとぐらいで良くなったと満足してはいけません。吸入ステロイドが本当に効くと、喘息が治ったように感じるはずです。

では。



(4)治療のことで母と大喧嘩してしまいました。

【139】大学2年生の女性の方より

<追加応メール5>

(平成11年8月23日)

こんにちは。今日はサークルの集まりで学校に来ました。今回は少しぐちなのですが聞いてください。

先日母親とぜんそくのことで大喧嘩をしてしましました。(正確には説教)わたしは先生のご指導のもと本などでも調べて病院を代え、治療方法も代えました。1ヶ月ぐらいたちましたが、まだ前から訴えている通り呼吸がいつもしずらい時が多いです。肩や胸が呼吸するときに少し動いてそのせいか肩から背中が筋肉痛といいますかおもかったりします。発作や飲み薬によるどうきやふるえ、ひどい頭痛がなくなっただけでも結構大きなことだったのですが。先生に訴えても聴診器をあてても音はないのでなんとなくかわされてしまします。そんな状態なのに母親が別のことで怒った時の「夜、飲食店ででもバイトに行ってこい」に反論したことからその説教ははじまりました。母親はわたしが病院を代えたのでもうすっかりよくなったのだと思ったようなのです。

説教はまるまる2日続きました。母親はどうもぜんそくがよくならないのはわたしのせいだと思っているようです。「治そうと努力しない」、「考えをあらためなさい」の二点張り。挙げ句のはてには「勝手に病気になっている」、「運動していればすぐ治っていたはずなのに」、「苦しいなら入院しろ」ほか、ここでは書けないこともいろいろ言われました。

母親はわたしがクスリにばかり頼っていることが気に入らないのです。本や冊子に書いてあるほかのこと(おもに運動などの体力づくり)を知っているのに実行しないことに腹を立てているのです。一度家の隣りにジムがあるので通おうとしたら「お金がかかる」、「ジムに行く以前の体力がないんだから」と言われました。

そのほか体力がつく方法として母親は家事10,000歩毎日歩く、広場でなわとび、ぜんそく体操をあげました。その他手軽な方法があったら教えてください。よくなった人の例があれば嬉しいです。ぜんそくは甘えが原因とも言われますよね。それでこうやって説教をしているのでしょうが、なんともやりきれない思いでいっぱいになることがあります。

その説教が一応一段落して今は野菜ジュースを毎日飲み料理以外は自分でするようにし、ごはん(白飯)を多く食べるようにしています。どうなるかわかりませんがまずは長く続けていこうと思っています。

あとは運動です。ぜんそく体操が一番効果的かなと思いますが先ほどにも書きましたがいい方法がありましたらよろしくお願いします。

まとまりのない文章で失礼しました。

<追加応答5>

病院を変えてもあまり病状に変化がないようですね。今回のメールから受けるご家族の印象から推察するに、このような環境では、喘息の治療に最も不可欠な安静が得られるとは思えません。

>>先日母親とぜんそくのことで大喧嘩をしてしましました。(正確には説教)わたしは先生のご指導のもと本などでも調べて病院を代え、治療方法も代えました。1ヶ月ぐらいたちましたが、まだ前から訴えている通り呼吸がいつもしずらい時が多いです。

→確か、べコタイド100は2吸入を一日2回ですよね。ホームページの至るところにでてきますが、ベコタイドはただ吸っただけでは効かない薬です。効かないときは、そのまま放置せず、吸入操作を確認して、それでも良くならないときは量を増やすなどの対処をしなくてはなりません。また、このこと(ベコタイドを吸っても良くならないこと)は、何度でも主治医に伝えなくてはいけません。ベコタイドが効かない場合は、人によって会う会わないの問題ではなく、効かせ方が悪いだけなのです。その点、内服薬とは違って面倒ではありますね。しかし、やはり簡単に喘息を治そうという思想が根底にあるとがあるとどうしてもベコタイドが面倒になりますし、効果が今一つだと、鍛錬とか健康食品などに走ってしまうことが多いようです。

もう一度吸入方法を確認し、場合によっては量を2倍、3倍と増やすことをお勧めします。

>>説教はまるまる2日続きました。母親はどうもぜんそくがよくならないのはわたしのせいだと思っているようです。「治そうと努力しない」、「考えをあらためなさい」の二点張り。挙げ句のはてには「勝手に病気になっている」、「運動していればすぐ治っていたはずなのに」、「苦しいなら入院しろ」ほか、ここでは書けないこともいろいろ言われました。

→なんとも読んでいて腹が立ってしまいます。絶対に精神的な要因で喘息になったわけではありません。ただ、絶対に良くなるんだと信じる気持ちを最後まで捨てないで下さい。

>>母親はわたしがクスリにばかり頼っていることが気に入らないのです。本や冊子に書いてあるほかのこと(おもに運動などの体力づくり)を知っているのに実行しないことに腹を立てているのです。一度家の隣りにジムがあるので通おうとしたら「お金がかかる」、「ジムに行く以前の体力がないんだから」と言われました。そのほか体力がつく方法として母親は家事10,000歩毎日歩く、広場でなわとび、ぜんそく体操をあげました。

→喘息が良くなれば、このような運動はいくらでもできます。あなたくらいの年代なら、健康であれば黙っていても身体を動かすでしょう。良くなる前に動く(安静が保持できない)から良くなるものも良くならないのだと思います。

>>その他手軽な方法があったら教えてください。よくなった人の例があれば嬉しいです。ぜんそくは甘えが原因とも言われますよね。それでこうやって説教をしているのでしょうが、なんともやりきれない思いでいっぱいになることがあります。

→お送りした寄稿集の本をもう一度お読み下さい。身体や心を鍛えて良くなる喘息などありませんし、仮にそうであっても見せかけだけのことがほとんどです。

>>その説教が一応一段落して今は野菜ジュースを毎日飲み料理以外は自分でするようにし、ごはん(白飯)を多く食べるようにしています。どうなるかわかりませんがまずは長く続けていこうと思っています。

>>あとは運動です。ぜんそく体操が一番効果的かなと思いますが先ほどにも書きましたがいい方法がありましたらよろしくお願いします。

→この発想で喘息が良くなると信じられていた時代はもうとっくに終わっています。一部の盲信的な人間だけがそう考えているだけです。喘息はしっかりした病気です。正しい治療をすれば良くなる病気です。

健康食品を続けることは構いません。しかし、喘息を治そうとしているときの運動は逆効果です。良くなってから身体を鍛えればいいのです。この点に関しては、私のホームページの至るところで取り扱っています。ぜひもう一度よく読んで下さい。

もう一度意識改革をしていただければと思います。