(1)私もダイバー希望です。

【140】24歳女性(公務員)の方より

※この記事を最後までお読みになられた方は、「診療日記」の「105:喘息患者さんのダイビングについて」を必ずご参照下さい。(平成12年1月23日記)

<質問>

(平成11年5月14日)

はじめてメールを差し上げます。いきなりメールに変なタイトルをつけてしまってすいません。でも、今とても私が感じていることなので…。先生のHPに出会い、それからリンクされたHPへとゆっくり、じっくり一つ一つ読んでいて本当にそう思います。この画面の向こうに同志がいるんだな、と。一人じゃないんだと。心が暖かくなりました。自分の無知さにもまたショックを受けました。喘息歴23年という長い病歴を持っているくせに、自分の病気をあまりにも知らないので自分で自分に呆れています。きっと歳をとるごとに生活に困らなくなるまでに症状が軽くなってきたからなのだと思います。

今までの私だったら、そのままだったと思います。薬飲まなくても苦しくないんだからいいや。薬を飲まないことはいいこと、治ったと見てもいい、もし苦しいときだけ吸入して治ればそれでいい。秋口の冷たい空気を吸ったり、動物で具合が悪くなるのはもうしょうがない。これ以上は良くならない。ずっとそんな風に思っていました。でも今は違います。見せかけの健康ではなくて本当の健康になりたい。本当にそう思います。

先生、私もダイバー希望です。ダイビングをやりたくていろいろな本を読みました。でもどの本をみても「あきらめろ」とばかりでした。でも、「薬飲まなくても発作が起きないから大丈夫だろう」と思い実際にダイビングに詳しい医師のもとで肺機能を測ってもらいました。結果は「だめ」でした。「この肺機能の状態だともし水中で発作がおきたら死にます」とまで言われました。気分が盛り上がっていた分ものすごく落ち込みました。しかしその先生には「あと4、5年心肺機能を鍛えればあるいはできるかもしれない」とも言われたので、仕事の合間にジムへ通いはじめたのですが、自信を無くしていました。そんな時教えていただいたのが諏訪部先生のHPでした。

質問と応答(【010】スキューバーダイビングはできるでしょうか?)のところにやはりダイビングをはじめたいという女性の方がいましたね。あの時の先生のお答え、本当にうれしかったです。「大丈夫だよ。がんばればできるよ」といわれているようで、すごくほっとしました。そして喘息と慣れあうのではなく戦う意欲が湧いてきたのです。喘息だからってダイビングを諦めたくありません。精一杯戦います。

さて、戦おう!というところでいくつか疑問がでてきてしまったので、ぜひ私にも質問をさせてください。

質問の前に私の自己紹介

年 齢:24歳。性別:女。職業:公務員(事務職ほんとに時々力仕事)。身長:164センチ。

小児喘息:ありました。初めて喘息と診断されたのが1歳位。

喫煙:全く。(以前吸ってみたことはありますが…)

ペット:実家に猫が2匹。実家では動物が絶えたことがない。

ピークフローター:使用したことはない。諏訪部先生のHPを見るまで、その存在すら知らなかった。

治療経過:

あまり小さい頃は記憶があいまいで、どのような薬を使っていたかなどはよく思い出せない。発作が起きるとアロテックを使っていた。「使いすぎると心臓に負担がかかる」と母親が厳重管理をしていたので、あまり回数はやらなかったと思う。

8歳のころ転院。アレルギー、喘息で有名なある総合病院へ通うようになる。そこで小学校4年生ぐらいから入退院を繰り返すようになる。薬はテオドールなど6種類ぐらい(思い出せないです。情けないです…)スプレータイプの吸入剤よりは安全だろうということで、(喘息死の原因のようにいわれていたので)自宅にモーターの吸入器を購入、ベネトリン、ビソルボンの「3:7」吸入を自宅でもしていた。(このモーターは高校の修学旅行の時ははるばる長崎までついてきました…。高校を卒業して以後は全く使っていないのですが…)入退院は1回だいたい10日ぐらい、ひどい時は退院して1週間でまた再入院などということもあったが、19歳の時の入院を最後に今の所はなし。いつも原因は風邪を引いて、だったと思う。

20歳頃(テオドール3錠、セルテクト1錠、ベネトリン1錠を朝晩飲んでいた。朝は忘れても平気だったが、夜忘れると必ず発作を起こしていた)薬を全く飲まずに1週間ほどいられるようになり、驚く。が、喜んでいるうちに、アレルギー性結膜炎になってしまう。そのうちまた薬が必要になってくるが、夜だけしか飲まなくなる。ベネトリンを飲むと手の震え、脱力感が出るので、中止になる。

21歳就職、独立して一人暮し(寮)を始める。薬を飲まなくても発作がでないので、勝手に薬をやめてしまう。具合の悪い時、実家に帰ったとき、(猫等の理由でどうしても具合が悪くなるので)だけテオドール2錠、セルテクト1錠、苦しいときにはサルタノール1吸い(本来は2吸い×一日3回までの処方)で発作をとめている。

現在:

薬は飲まない。苦しいな、と思っていても仕事をしたりしているうちに治ってしまうのであまり気にしていなかった。実家へ戻ると夜にテオドール2錠とセルテクト1錠を飲む。実家では薬なしでは生活はできない。苦しい時はサルタノール1吸いで抑える。このごろはテオドールとセルテクトだけでも動悸や脱力感がある。風邪では発作は起こさない。

こんな感じでよいのでしょうか? 治療経過についてはほんとにお粗末な内容で申し訳ありません。勝手に薬をやめたりなどなどお叱りを受けそうな内容ですが、正直に書きました。先生の聞きたいことはちゃんと入っているでしょうか…? ちなみに運動などですが、元気な時は普通にやっていました。学生時代マラソン大会もでましたし、リレーの選手などもやっていました。旅行(海外も含めて)なども大丈夫です。

質問1

病院を変える際、そこの病院でのカルテはたとえば写しなどでも貰えないのでしょうか?

先にも書いたとおり、病院へはここ半年以上も行っていません。薬のストックが大分あるのでこのままだとあと半年は行かないのではないかなという状態です。私の通う病院は喘息治療では結構有名な所とは聞くのですが、実際にはある程度病状が軽くなった患者には2時間待ちの2分診察状態です。聴診器で聞いても音がしないからだと思うのですが、たまに血液検査と肺機能を検査するぐらいであとは特に治療もありません。(質問などしないわたしも悪いのですが)胸の音がなければ、なんの処置もないのです。この病院で、吸入ステロイドとピークフローターを欲しい、吸入ステロイド剤を使った治療をしてくれ、と言って聞いてくれるだろうか? と思ったときふと転院と考えたのですが…。8歳からの病歴が連なる私のカルテは今タウンページの半分ぐらいあるのではないかなと思います。それを持っていけば、きっと役にたつと思うのですが…。それにしても、みなさん転院には本当に苦労されているのですね。私もできることなら諏訪部先生に診て頂きたいです。もう少し近ければ可能かもしれないのに。インターネットの画面を通り抜けて診察に伺えたらいいのになとつい真剣に考えてしまいました。病院がみつかるまでせめてピークフローだけでも、と思うのですが、薬局などでは売ってないのでしょうか?

質問2

ここ最近なぜか息が半分しか吸えないような感覚になる時があるのです。喘鳴もなく、走ってバスにのったり、仕事をしたりまったく普通の生活をしているのですが、なぜか息を吸うと吸いにくいのです。睡眠も普通です。今までこんなことはなかったので、おかしいな、と思っています。これも喘息だとは思うのですが、こんな症状もあるのでしょうか? また、プール、お風呂などへ入ると、胸が圧迫されて(水圧だと思うのですが)ほんの少し苦しくなったりもします。(水から出ると治り、水に沈むとまた苦しい)こんなことも初めてです。

ここまで簡潔にわかりやすくと努力したのですが、こんなに長くなってしまいまして申し訳ありませんでした。文章下手なもので、どうかお許しください。回答、ぜひいただけたらと思います。どうかよろしくお願いいたします。

風邪が流行っております。私も引いてしまいました。先生もどうかお気をつけてお仕事をしてください。読んでくださってありがとうございました。

<応答>

初めまして。

ダイバーがやりたいのですね。ぜひできるように頑張って下さい。

>>ペット:実家に猫が2匹。実家では動物が絶えたことがない。

→現在は、ご実家とは離れて寮で過ごしていらっしゃるのですね? 実家に帰ると猫などと接して悪くなるようですが、実家にはどれくらいの頻度で通っているのですか?

>>質問1:病院を変える際、そこの病院でのカルテはたとえば写しなどでも貰えないのでしょうか?

→これは現在問題になっているカルテ開示と関連しますね。厚生省はカルテ開示を積極的に進めていますが、日本医師会は基本的に反対で様々な制約をつけているようです。従って現在のところは、病院や医師の判断によると思います。

しかし、タウンページの半分もの分厚いカルテを持ってこられても目を通すのに相当な時間がかかりますから、担当医に簡単な紹介状を書いてもらえば十分でしょう。また、それもままならないときは、上の病状をもう少し簡潔にしてプリントアウトして持参するのも一策ですね。我々が患者さんを新しく紹介されたとき最も重要な情報は、現在服用している薬剤、これまで使って副作用が出たことのある薬剤、できれば、過去に効かなかった薬剤、それくらいです。簡単な病歴とこれらの情報を持って行けば十分と思います。

>>この病院で、吸入ステロイドとピークフローターを欲しい、吸入ステロイド剤を使った治療をしてくれ、と言って聞いてくれるだろうか?と思ったときふと転院と考えたのですが…。

→一応聞いてみては如何ですか? 転医まで考えているなら駄目で元々です。

>>病院がみつかるまでせめてピークフローだけでも、と思うのですが、薬局などでは売ってないのでしょうか?

→病院の売店や調剤薬局に相談してみて下さい。

>>質問2:ここ最近なぜか息が半分しか吸えないような感覚になる時があるのです。喘鳴もなく、走ってバスにのったり、仕事をしたりまったく普通の生活をしているのですが、なぜか息を吸うと吸いにくいのです。睡眠も普通です。今までこんなことはなかったので、おかしいな、と思っています。これも喘息だとは思うのですが、こんな症状もあるのでしょうか? また、プール、お風呂などへ入ると、胸が圧迫されて(水圧だと思うのですが)ほんの少し苦しくなったりもします。(水からでると治り、水に沈むとまた苦しい)こんなことも初めてです。

→喘息の症状だとは思いますが、こんな時サルタノールを吸ってみて下さい。劇的に改善すれば喘息の一症状と考えられます。また、このままの状態が続けばやはりダイビングは難しいですから、やはりピークフロー値を導入し、正しい病状把握と適切な治療が必要です。ピークフロー値が良い値で安定すれば、ダイビングも可能になるでしょう。

希望を持って治療や自己管理を進めて下さい。

では。

<追加メール>

(平成11年5月22日)

こんばんわ。

お忙しいところご丁寧なメール本当にありがとうございました。
とてもうれしかったです。また力が沸いてきましたので、さっそく行動を起こします!

幸いなことに明日は土曜日、以前病院へは土曜日に通っていましたので、行ってこようと思います。先生のおっしゃるとおり、「だめもと」で、ステロイド治療の事を話してみようと思います。早く元気な体になって思う存分青い海を楽しめるように、がんばります。

ピークフローターを購入したら、またメールをだします。よろしければまたいろいろ相談にのっていただけますでしょうか? どうかよろしくお願いいたします。

本当にありがとうございました。

取り急ぎお礼まで…。

追伸:今私は寮で暮らしているのですが、実家は同じ東京にあります。1時間半ほどで帰れるのですが、猫のことなどもあり、今は、1月に1回、一泊ほど帰るか帰らないか、という状態です。お正月などは2、3泊ぐらいはするのですが…。


<追加メール1>

(平成11年5月24日)

先日はありがとうございました。

土曜日に病院へ行き、診察を受け、無事にステロイド吸入とピークフローターをいただいてくることができました。吸入ステロイド剤の名前はベコタイド100、比較的症状が軽い方だということで1日2回、1回2吸いするよう処方されました。早速スペーサーを使い、吸入をしています。

先生、スペーサーというのは便利ですね。初めて3日目、まだまだ吸い方は下手ですけれど、それでもとてもしっかり肺の中へ入っていくような感じがします。HPを見て研究して、もっとしっかり吸入できるように練習したいと思います。スペーサーを使えば、サルタノールなどももっと上手に吸入できるようになると思うのですが、ベコタイドとサルタノール、スペーサーは共用してもかまわないのでしょうか?

また、ピークフローですが、病院の売店で購入しました。携帯できる、外国製品のようです。記念すべき(?)第1回目の測定の結果は400で、日曜(の夜)が350、今日が400と、だいたい400あたりをうろうろしています。

まだまだ、ですね。がんばります。

<追加応答1>

吸入ステロイドとピークフローメーターがトントンと取得できたのですね。おめでとうございます。

>>スペーサーを使えば、サルタノールなどももっと上手に吸入できるようになると思うのですが、ベコタイドとサルタノール、スペーサーは共用してもかまわないのでしょうか?

→全然構いません。サルタノールもスペーサーで吸った方がすぐ効くんですよ。外出時などは駄目ですが、家で吸うときはスペーサーを使った方が良いですね。 

>>また、ピークフローですが、病院の売店で購入しました。携帯できる、外国製品のようです。記念すべき(?)第1回目の測定の結果は400で、日曜(の夜)が350、今日が400と、だいたい400あたりをうろうろしています。

→値はまずまずですね。吸入ステロイドが効果を発揮すればもっと良い値が出せるでしょう。

頑張って下さい。

では。


(2)治療について悩んでいます。

【140】24歳女性(公務員)の方より

<追加メール2-1>

(平成11年7月22日)

その節はどうもありがとうございました。その後何のメールも差し上げず申し訳ありません。本来なら、「治療経過」をメールでご報告できるはずなのですが…。

今非常に悩んでいます。

実は病院からベコタイドを貰い、吸入を始めて1週間で、治療を打ちきってしまいました。原因は両親との意見の食い違いです。ステロイド剤の使用、というところに両親が「アレルギー」を起こしてしまったのです。母親には薬剤師の友人がいて、その人からいかにすべてのステロイド剤が恐ろしいか、副作用があるか、という事をさんざん聞いたようで、私の話には耳を貸そうとはしません。

父親も肺気腫という病気を持っているため、喘息の治療と近いことをしているのですが、自分自身が、薬と吸入による(?)体の不調を感じていて、(頭痛・足の痛み(爪の壊死)等)やはりステロイドに良い印象を持っていません。私の現在の病状が一見安定して見えるので、何故わざわざステロイドなど…という気持ちのようです。

また私がちょうど結婚適齢期というものにさしかかっているので、結婚し、子供への影響というものについても延々述べられ、説得されました。ダイビングなどというものはやってもやらなくても人生には関係無いのだから、危険な治療なんかやめて、自分の体や将来の子供のことを考えろ。というのが、両親の考えです。

両親の気持ちもとても良く分かります。ステロイドへの不安は私にもあるからです。今現在は予定等は全くないのですが、将来結婚しないという確証はありませんし、子供ももちろんそうです。先生のHPを見て、いろいろな方の症例や、質問を見ても正直不安は拭えないのです。(先生ごめんなさい)

でも、やっぱりダイビングがしたい。たった一回しかない人生なんだから、自分の本当にやりたい事をやってみたい。

先生、今ステロイド治療を受けたとして、数年後たとえばそれを打ちきり、その後の子供への影響というのはあるのでしょうか? どうか教えてください。よろしくお願いいたします。

以下は最近の症状です。

(1週間ベコタイド1回2吸入1日3回を続けてみた結果)

目に見える効果なし。

(ピークフローター)

400がずっとつづく。7月上旬に測ってみたところ420を計測した。

(現在の状態)

あまりよくない。コロンやシーブリーズなどのメンソール系の匂いで呼吸が苦しくなる。その他お風呂の湯気等刺激されるとおかしくなる。過去の発作から比べれば、発作とも呼べないのだろうが、その際スペーサーでサルタノール2吸いで全快。それがほとんど毎日つづいている。薬の服用なし。今日、サルタノール吸入後ピークフローターを測ったら、460を計測した。

<追加応答2> 

お久しぶりです。

大分色々なことがあったのですね。

あらためてステロイド・アレルギーの根強さを感じます。お母さんの知り合いの薬剤師さんまでがそのようなお考えだとは正直驚きです。でも、同じような考えの薬剤師さんも多いのでしょうね。医師でさえそうなのですから…。なんとなく、私が怪しい「吸入ステロイド・新教」みたいなものを布教している感覚になってきました。

>>実は病院からベコタイドを貰い、吸入を始めて1週間で、治療を打ちきってしまいました。
>>先生のHPを見て、いろいろな方の症例や、質問を見ても正直不安は拭えないのです。
>>(1週間ベコタイド1回2吸入1日3回を続けてみた結果)目に見える効果なし。

→これらを総合しますと、あなたご自身が効果を実感できていないことも吸入ステロイドの継続に踏み切れない背景にあるようですね。

たしかベコタイド100で1日4回でしたよね。これは一般的な初期量ですから、あなたのように長い病歴をお持ちの方には、まだまだ足りないですね。また、1週間では効果はでないことも十分考えられます。

>>父親も肺気腫という病気を持っているため、喘息の治療と近いことをしているのですが、自分自身が、薬と吸入による(?)体の不調を感じていて、(頭痛・足の痛み(爪の壊死)等)やはりステロイドに良い印象を持っていません。

→お父さまが肺気腫なんですか。こちらも最近は吸入主体の治療が主流なのですが、あまり効いてないということなんでしょうね。肺気腫なら喘息の苦しさが分かってくれても良さそうなのですが…。

>>また私がちょうど結婚適齢期というものにさしかかっているので、結婚し、子供への影響というものについても延々述べられ、説得されました。ダイビングなどというものはやってもやらなくても人生には関係無いのだから、危険な治療なんかやめて、自分の体や将来の子供のことを考えろ。というのが、両親の考えです。

→親とすれば気持ちは分からないでもありません。しかし、あえて言わせて頂ければ、ダイビングはさておき、安心して結婚、出産を考えればこそ、私は吸入ステロイドが必要なんだと考えます。病状を読ませていただく限り、今は発作もなく、一見安定しているようですが、喘息はいつ顔を出すか知れません。それが人生の大事な瞬間でないことを祈るばかりです。いや、吸入ステロイドを吸っていても決して安全とは言えない状況を考えますと、吸入ステロイドを使わない状況を私はあまり考えたくはありません。

決して脅しているわけではありません。私はむしろダイビングができるくらいにまで喘息を良くすることが、結婚や出産にも安心して臨むことができる唯一の条件だと信じています。その意味で、ダイビングを目指すあなたを応援したいです。

>>先生のHPを見て、いろいろな方の症例や、質問を見ても正直不安は拭えないのです。(先生ごめんなさい)

→どうか私に謝ることだけはしないで下さい。それでは私が吸入ステロイドの継続を強引に勧めているような錯覚に陥ってしまいます。私は、これまで1度だって吸入ステロイドを吸わなくてはいけないと、患者さんに強要したことはありません。あくまで、選択はご自身でなさるべきで、たとえ吸入ステロイドを使わないことになっても、それはそれで構わないはずです。あなたが吸入ステロイドを吸わないことで、私が苦しむのなら文句や不満を並べるかも知れません。

>>でも、やっぱりダイビングがしたい。たった一回しかない人生なんだから、自分の本当にやりたい事をやってみたい。

→どちらにしても最後はやはりご自身で決めることでしょう。もう一人前の大人なのですから…。

>>今ステロイド治療を受けたとして、数年後たとえばそれを打ちきり、その後の子供への影響というのはあるのでしょうか? どうか教えてください。よろしくお願いいたします。

→影響があったという例は報告されていません。むしろ使わないがために、母子ともに死亡したという悲惨な例は知っております。

ところで1週間吸入ステロイドを吸われたとのことですが、何か副作用がありましたか? なければ、そのまま一生続くと考えて下さい。いや20年くらいは続くと言った方が正確かな? 吸入ステロイドは発売されて20年くらいしか経過してないので、それ以上のことは保証できないと言っておいた方が正確ですね。それより先は、証拠がありませんから、メリットとデメリットの天秤で決めることです。しかし、これは吸入ステロイドに限ったことではなく薬剤全般に言えることです。

>>(現在の状態)あまりよくない。コロンやシーブリーズなどのメンソール系の匂いで呼吸が苦しくなる。その他お風呂の湯気等刺激されるとおかしくなる。過去の発作から比べれば、発作とも呼べないのだろうが、その際スペーサーでサルタノール2吸いで全快。それがほとんど毎日つづいている。薬の服用なし。今日、サルタノール吸入後ピークフローターを測ったら、460を計測した。

→ここが気になりますね。普段の症状、サルタノール後の上昇。まだまだ気管支炎症が残っているシグナルです。

ぜひもう一度考えて結論を出して頂ければと存じます。

では。

<追加メール2-2>

こんにちは。早速お返事の、本当にありがとうございます。お返事を何度も読み返し、いろいろ考えました。母親とも話しあいました。

>>あらためてステロイド・アレルギーの根強さを感じます。お母さんの知り合いの薬剤師さんまでがそのようなお考えだとは正直驚きです。でも、同じような考えの薬剤師さんも多いのでしょうね。医師でさえそうなのですから…。なんとなく、私が怪しい「吸入ステロイド・新教」みたいなものを布教している感覚になってきました。

→失礼なメールを差し上げてしまい、反省しています。どうかご自分を「怪しい布教者」などと思われないでください。

>>たしかベコタイド100で1日4回でしたよね。これは一般的な初期量ですから、あなたのように長い病歴をお持ちの方には、まだまだ足りないですね。また、1週間では効果はでないことも十分考えられます。

→吸入量についてはもう一度病院へ行き、相談してみようと思います。ただ、ベコタイドが手付かずのままなので、まずそれを使用してから行く事にしました。

>>どうか私に謝ることだけはしないで下さい。それでは私が吸入ステロイドの継続を強引に勧めているような錯覚に陥ってしまいます。私は、これまで1度だって吸入ステロイドを吸わなくてはいけないと、患者さんに強要したことはありません。あくまで、選択はご自身でなさるべきで、たとえ吸入ステロイドを使わないことになっても、それはそれで構わないはずです。あなたが吸入ステロイドを吸わないことで、私が苦しむのなら文句や不満を並べるかも知れません。

→私が謝りたかったのは、ステロイド吸入をしない事に対してではなく、先生のおっしゃっていることや、このHPを信じていない、とでも言うような事をメールに書いてしまったことに対してなのです。どうかお気を悪くなさらないでください。先生は「吸入ステロイド新教の布教者」なんかでは絶対ありません。

>>どちらにしても最後はやはりご自身で決めることでしょう。もう一人前の大人なのですから…。

→本当にそのとおりですよね。後悔しないように生きていこうと思います。物騒な言い方ですが、「あー満足な人生だった!!」と言って死んでいけるように(喘息で死ぬという意味ではないです!)。私にとって、後悔する事は今ダイビングをあきらめることだと思います。

>>ここが気になりますね。普段の症状、サルタノール後の上昇。まだまだ気管支炎症が残っているシグナルです。

→はい。自分でも気管支の痛みを感じていて、いつもと違う違和感を感じています。私の場合、夏場に具合が悪くなることはめったにないのですが、(むしろ調子がいい)季節の変わり目なのか、具合はあまり良くありません。今テオドール2錠(就寝前)と場合によってサルタノールで、発作を抑えています。ただ、テオドールのせいなのかは分からないのですが、薬を飲むとどうも別の意味で具合が悪くなるような気がします。脱力感や震えなど…薬が効きすぎているのかなとも思うのですが…。

先生応援してくださってありがとうございます。いつか必ず、「ダイビングライセンス取得!! 喘息だってやればできる!!」というご報告をします。

乱文失礼いたしました。


(3)体験ダイビングをしました!

【140】24歳女性(公務員)の方より

<追加メール3-1>

(平成11年8月30日)

残暑お見舞い申し上げます。

こちらは暑さが少しづつですがゆるみはじめて、確実に秋が近づいているような気がします。夏休みももうすぐ終わりですが、先生はどんな夏休みを過ごされましたか?? 私は7月に○○、8月には△△島へ行き、毎日泳ぎまくった結果、見事に真っ黒になり、「もういい歳なんだから!!」と親にうんと叱られました。シミやソバカスの恐怖にいまさらながらおびえています…。

さて前置きが長くなってしまいましたが、先生にぜひお話したいことがあってメールを書いています。うれしいご報告です。△△島で体験ダイビングをしました。たった20分間、しかも後ろからイントラの羽交い締め付きというなんとも情けない格好ではありましたが無事水深約6メートルのところまで潜り、海中散歩を楽しんで来ました。サンゴがありました。クマノミのペアが卵を守っていました。名前はわからないけれど1メートルはあるであろう魚が悠然と泳いでいました。それらの海中の景色に太陽の光線が差込み、光のカーテンを作っていました。きっと一生忘れられないであろう風景でした。親を心配させてしまったけれど無茶をして良かったと思いました。喘息の人にもダイビングはできます。確信が持ててとても嬉しかったです。これから体を鍛えて、心肺機能を高めて気道の炎症を取って…ゆっくりあせらず、でもダイビング始めます。ライセンスが取れたらまた真っ先に先生にご報告いたしますね。

乱文失礼いたしました。 

追伸:以下の文は今回体験ダイビングをして感じた事を書いてみました。長くなってしまってごめんなさい。

「ウエットスーツ」

ダイビングをする際には必ず必要なもので、いろいろな素材(表だけゴム製、両面ゴム製など)がありますが、概して体にぴったりのものなので脱着が苦しいです。私の着たものはたぶん両面がゴム製のもので水をスーツの中に流しながらやっとの思いで着ました。

慣れもあるのでしょうが、かなりの圧迫感で、体調が悪ければ息苦しくなるのでは無いかなと言う感じでした。下半身の圧迫は慣れたのですが、上半身の圧迫は慣れずじまい、脱ぐ時は二人がかりでした。ぎりぎりまで着ないのが懸命かな、と思いました。

「酸素」

「ダイビングは酸素の入ったタンクを背負って潜りますが、このタンクにはいっている酸素は冷たく乾いていて気管支疾患のある人には発作を誘発する恐れがあるため止めた方が良いです」というのが、ダイビングの入門ガイドなどに書いてあり、これが一番心配していたことでした。水の中に入り、タンクの付いた浮き袋(BCといいます)を着せてもらってまずは水面で息を吸ったり吐いたりする練習をしました。二、三回やっていよいよ水中…まず思ったのが息のしづらさでした。吸うのは簡単、しかし吐きずらい。力をいれて吐く、と言う感じでした。吐いた息は泡となって水面へ上がっていきます。しっかり吐かないと新しい空気は余り吸えず、結果酸素不足になってしまいます。また水中では息を止めてはいけないと言われたのでとにかく大きくゆっくりと呼吸を止めないようにとずっと心の中で言い聞かせていました。

最初こそ緊張していましたがじょじょにリラックスし、また景色に目を奪われ呼吸に集中するのは忘れてしまいました。ゆっくり落ち着いて空気を吸う事によって水中にいられる時間も長くする事ができるのだそうです。

また「冷たくて乾いた空気」の感想ですが、クーラーの冷風を吸っているような感じでした。(あまり冷たくないもの)

初冬の朝早く暖かい家から出ると空気が冷たく、吸いこむと苦しくなることがありますが、そんな冷たさではありませんでした。

ただ確かに乾燥はしていてたった20分でも喉がかすかにかわきました。深さ6メートルぐらいなら30分から1時間近くは潜っていられると思いますので、それぐらい潜ったらどうなるのかなとは思います。咳きこんだりはしませんでしたが…。

「圧力・薬」

「ダイビングをする際には耐圧実験にパスした薬剤以外は飲まない方が無難である。圧力下で人間の体内に入った薬剤の効果がどう変化するのか変化しないのかはまだわかってない」ということを本で読んでいたので、念のためテオドール2錠のところ1錠にして臨みましたが、(吸入は通常どおり行いました。)体には異常は何もでませんでした。があくまでも6メートルまでのことなのでそれ以上はどうなのかは「???」状態なのですが…テオドールも耐圧実験やってくれないだろうか…と思っていますが。

耐圧実験ってどうやってやるのでしょうか…?

それより実際潜ってみて呼吸器より鼻の方が心配になりました。高速エレベーターなどに乗ると耳がおかしくなり、つばを飲み込んだりして直しますが、それができない!うまく治らないのです。下手なのもありますが、アレルギー性鼻炎もあるのでそれも関係しているかもしれません。点鼻薬に関しては耐圧実験済みのものがあるそうなのでそれで大丈夫かとは思いますが…

18メートル潜ったらどうなるか、というのも自分で早くためしてみたいです。

<追加応答3>

ダイビングなされたのですね。

これは多くの読者の希望になるでしょう。

また、今回の体験記は、とても参考になりますね。喘息の方(特に状態の悪い方)には、あまり良い条件ではないようですが、しっかりコントロールし、ピークフロー値などをモニターすれば、なんとかなりそうだなと感じました。

>>耐圧実験ってどうやってやるのでしょうか…?

→私も興味があります。おそらく、動物に薬剤を投与し、圧力の高いチャンバー内で飼育し、採血したり、臓器を調べたりするのでしょう。

>>18メートル潜ったらどうなるか、というのも自分で早くためしてみたいです。

→すぐに“人体実験”と言うわけには行きませんが、18メートルにチャレンジできるためにもしっかりコントロールつけて下さいね。

更なる良い報告を期待しています。

<追加メール3-1>

お返事ありがとうございます。

体験ダイビングの話を先生のHPで紹介していただけるなんて光栄です(^^)。よろしくお願いいたします。

海の中の世界をしってからというもの、早く潜りたくて潜りたくてうずうずしていますが、ここはじっとがまん、「健康第一」で治療に専念します。

よーしがんばるぞ!