(5)17歳男性・高校生。

ピークフローモニターで喘息薬なしで経過観察中。


高校生の彼は、小児科に通院中は、発作時にはメプチン屯用のみで喘息をコントロールしていました。高校に入学するので、今後は内科の方からメプチンを処方してもらおうと紹介されてきた時に、幸か・不幸か内科の先生(私ではありません)につかまり、吸入ステロイドとピークフローを勧められたのでした。その先生が他の病院に転勤になったので、彼は私が診ることになりました。

私はその内科の先生は、よくぞ吸入ステロイドとピークフローを勧めてくれたと感謝しております。お母さまが熱心な方でしたので、きちんと吸入ステロイドピークフローをやらせていたようでした。定期外来も、彼自身はなかなか来れないので、お母さまがピークフロー記録用紙を持参して来てくれました。

元々彼は、ピークフローの値が高く、あまり変動はないようでした。吸入ステロイドが効いてきてメプチン屯用も減ってきた頃、私の方からお母さまに、
「今日から吸入ステロイドを止めてみませんか?そのかわりピークフローだけは記録させて下さい」
と持ちかけました。まだ若い高校生ですから、お母さまも一生吸入ステロイドを続けなければならないのかと言う疑問を抱いていたので、タイミングがぴったりでした。
「ただし、ピークフロー値が低下したら、早目に元に戻るま吸入ステロイドを再開して下さい」

しばらく、ピークフロー記録を見せに来る日々が続きましたが、ピークフローは一向に低下しませんでした。

しかし、3カ月たった頃から、発作ではありませんでしたが、ピークフローが低下する日がみられるようになりました。苦しいわけではありませんでしたが、気になったのかメプチンを早目に吸ったようでした。もしかしたら、これが気道炎症再燃の前兆なのかもしれませんでしたので、お母さまにはくれぐれも注意して見守っていただくようにお願いしておきました。

吸入ステロイドで気道の炎症が取れ、すっかり良くなっても、吸入を中止すると約3カ月で炎症は再燃するというのは本当なのかもしれません。しかし、彼のようにピークフローをつけていれば、発作の原因である気道炎症再燃を未然に防止できるのかもしれません。

今後も注意して見守って行きたいと思います。