(35歳男性・会社員の方からの応答の続き)

平成10年2月26日:

ご無沙汰しております。

ところで不思議な事がありました。といいますのは、私はこの2ヶ月どうもよくありません。前回も一筋縄ではいかないと書きましたが、その頃からずう〜とよくないのです。もちろんアルデシンは25パフ/日程度しておりますし、先生のチェックリストを照らし合わせても吸い方に問題はないと思われます。でも、どうしてもよくならないのです。苦しさのパターンは、朝は駅の階段を登るとかなり苦しく、昼は苦しさを感じない程度、4時から5時頃にかけてじわじわと苦しくなり、9時頃には咳と苦しさで歩くのもへとへと、やっと家に辿り着いているといった状態です。

不思議なのは、先週スキーに行っても咳はおろか苦しさを微塵も感じなかった事です。夜にはいつものようにとても苦しくなってしまったのですが…。スキーに行くという事が好転をもたらしたのか、空気が済んでいたからなのか、それとも普段の生活から一時的にせよ逃げ出せたからからなのかもし知れませんが、とにかく不思議な体験でした。

もう一つ不思議な事があります。先日会社で苦しくなった時に手元にメプチンが無かったため、持ち合わせのストメリンを使いました。(もちろん殆ど使っていません)ところが都合3パフ吸入しても肺がすっきりせず苦しさも取れないのです。その後メプチンを1パフしてみました。するとストメリンより遥かに肺がすっきりした感じになり、苦しさも随分と和らぎました。先生は以前ストメリンを使っていた人はメプチンに替えた時に効果が期待できないことがあるとおっしゃいましたよね。私のようなケースはどうお考えになりますか?

ところで、過去を振り返ってみますと、12月から3月迄の約4ヶ月は自分にとって良くない季節のような気がします。実際最初に入院したのが12月でした。最初に死ぬかと思った程の発作を起こしたのは1月でした。2度目に死ぬかと思った発作を起こしたのは12月でした。確かこの時は動脈の血中の酸素量を調べた所、通常の半分程度しかなく、チアノーゼも出て、3日程度苦しんだ記憶があります。もう5年以上も前の話です。この他にも結構1泊2日程度の入院をしていましたが、冬以外は長期入院はないのです。特に8月から10月迄は点滴さえ殆どしなかったのです。

その後、医者を変えて、そこでケナコルトを射つようになり、冬の間でも点滴をする程の発作はおきなくなりました。でも昨年は違ったのです。ケナコルトを射っていたのに苦しくなり点滴を必要とするまでになってしまったのです。遂には歩けなくなり現在の病院へ救急外来となりました。

ですから、私の場合は冬が(よく風邪もひきます)良くない季節だと思うのですが、どうも辛いのです。ここ1ヶ月でサクシゾンの入った点滴を6本(1本300ml程度か?)も受けてしまいました。一時的に楽になるのですが、4、5日するとまた良くない状態となってしまいます。入院しているように何もしなければいいのかなとも思いますが、仕事を持っている以上そうもいきません。おまけにここ数日、強く息を吸ったり吐いたりする時にみぞおちのあたりの気管支あたりに痛みを感じるようになってきました。背中や脇の下の筋肉にも痛みがあります。こうした状態から抜け出すためにはどうしたらよいでしょうか? アルデシンの更なる増量が必要でしょうか? それとも入院しなければならないでしょうか? あるいはこのままの状態で暖かくなるまでじっと耐えるしかないのでしょうか? スキーのときは一時的に良くなりましたが、それ以外は休日さえも快調と感じられる日が無いのです。

先の見えない状況に滅入っています。是非先生のお考えをお聞かせ頂きたくメールを差し上げております。


平成10年3月1日<応答>

お久しぶりです。しばらくメールがなかったのでどうしているのか心配でした。調子の悪いときは、なかなかメールを送る気になれないかと思いますが、今回のように、悪いときこそメールを頂けたらと考えています。

>>私はこの2ヶ月どうもよくありません。

→アルデシンの25パフは、1250マイクログラムです。私の患者さんに照らしても、さほど多いとは思いませんが、アルデシンだと量を増やそうとすると回数が増えるのでやっかいですね。もうすぐ、アルデシン100が発売されるという話しを聞きました。そうなると楽ですね。

今後も、ぜひお願いしたいのですが、ピークフロー値の大体の変動を、簡単に教えていただけませんか? 症状だけだと私はあなたを診察したことがないので、どうしても適切なコメントができないように思います。ピークフロー値があれば、私は過去の経験から、大体その方がどのような喘息の状態にあるか判断できますので、宜しくお願いいたします。

痰は多くないですか? また仕事はきつくありませんか? 日常生活は不規則ではありませんか? 吸入ステロイドを正しく吸うことだけで、すべての喘息がコントロールできるなら、私の患者さんも定期的に診察をする必要がなくなるわけですが、実際はそううまく行かないところに、喘息治療の難しさがあるのだと思います。恐らく、このホームページを隅々まで読んでも、喘息治療のすべてを伝えることはできないように思います。恐らく、あなたへの固有のアドバイスが必要なのではないかと思います。担当の先生にもどしどし疑問をぶつけて下さいね。

>>不思議なのは、先週スキーに行った時の事なのですが、…(略)…とにかく不思議な体験でした。

→確かに、不思議な現象ですが、ピークフロー値はどの程度でしたか? 同じように800近く吹けているのに、調子が悪い時があったり、このように何ともないことがあったりするのであれば、私は考え方を変えなければなりません。しかし、800近くふけるあなたが、500前後にいてこのような現象が起きるとすれば、それはある程度説明できると思います。それは、気管支炎症が不完全な状態にあると、精神的なものが原因で、発作がおきたり、発作がおきなかったりすることはよくあることだからです。「寄稿集(8)」の方は、560のピークフロー値がふける方でしたが、350くらいの時、ステロイドだといって中味は空の点滴をされたら、ピークフロー値が20から30上昇したことがありました。これを、プラセーボ効果といいます。イエローゾーン内あると、色々なことがおきるものです。

>>もう一つ不思議な事があります。…(略)…私のようなケースはどうお考えになりますか?

→人によって気管支拡張剤の効果には差があることは事実ですが、ストメリンの効かない息苦しさが、メプチンで効くということは普通考えにくいですね。それまで3回吸ったストメリンの効果が出てきたときにたまたまメプチンを吸っただけかもしれません。しかし、ストメリンよりメプチンが効くとしたら、そんなに良いことはありませんね。

>>私の場合は冬が(よく風邪もひきます)良くない季節だと思うのです…。

→喘息には、アトピー型と感染型というのがあるのはおわかりかと思いますが、あなたの場合は後者なんでしょうね。後者の方は、やはり冬は鬼門です。もし、毎年そうなることがわかっているのであれば、そのまま冬に突入するのは賢い対処とは言えないのではないでしょうか? 花粉症なども、明らかに季節的に流行がわかるはずですから、前もって予防薬を内服するなどが推奨されています。あなたも、例えば、インフルエンザのワクチンを打って、風邪を引いても悪くならないようにするとか、吸入ステロイドを増やしておくとか、風邪薬や手持ちのステロイドを多めにもらっておくとか、いくらでも手を打つことができると思います。

せっかく、毎年の冬の傾向が分析できたのですから、ぜひそれを来シーズンに生かして下さい。

>>ここ1ヶ月でサクシゾンの入った点滴を6本(1本300ml程度か?)も受けてしまいました。…(略)… 先の見えない状況に滅入っています。是非先生のお考えをお聞かせ頂きたくメールを差し上げております。

→まず、先ほども申し上げましたが、ピークフロー値を教えて下さい。今の状態から脱却するには、ただひとつピークフロー値を安定させることしかありません。もしそれができなければピークフローの値と相談しながら生活を送ることしかありません。

喘息の方でも安全にスキーはできるようになります。しかし、スキーに行っては危険な状態があることも事実です。私が、「喘息でもスキーはできる」と言ったからと行って、ピークフローが200くらいしかない状態でスキーに行くとしたら、それは死にに行くようなものです。スキーができるなら死んでも良いと思うのであれば、それは誰も止めることができません。

アルデシンの増量は、やってみる価値はありますが、痰が多いとか、仕事が忙しいなどの場合には、ある程度限界があります。経口ステロイドを一定期間増やしてもらうべきだと思います。入院ができるならそれは一番良いことです。しかし、仕事でそれができないとしたら、しばらくはどうやって自分の身体を休めるか、どうやってその時間を作って行けるか、一生懸命考えてみて下さい。家族の協力も必要になるでしょう。いくら忙しいと言っても、24時間働きづくめということはないはずです。スキーには行けるのですから、土・日も休めないことはないはずですよね。スキーは、喘息がよくなったら来年いくらでも行けるようになるはずです。

これくらいなら苦しくないから動ける」ことと「これくらいなら動けるけどあえて動かない」ことは雲泥の差です。喘息を良くするには後者が必要です。ある程度動けるくらいの時に色々と喘息を良くする手を打って行くべきです。今のあなたの喘息管理は、すべて後手後手に回っているような気がします。担当先生と良く相談して、一刻も早く自信を取り戻せるようになって下さい。


平成10年3月1日:

いつもお世話になっております。

さて、ピークフロー値についてですが、スキーに行く日の朝は600ありました。ここ2週間状態が悪すぎて、ろくに測っていませんでしたが、その日の朝は割と楽な感じがして測ってみると600あったのです。当然これはメプチンを吸入する前の値です。もし、500以下の状態であれば、スキーには行ってもやらないつもりでした。そしてその日の夜はこれまでの経験からして300程度の状態だったと思います。

昼は仕事という事もありピークフローを測定していないのですが、感覚からしてだいたい600前後と思われます。総じてこの2週間朝は350から500程度。夜は苦しくてメプチンをやってしまう事が多く測っていませんが350程度と思われます。スキーに行った日は、昼だけよかったという感じです。また、それ以前の2ヶ月は、朝が600前後、夜が700前後ありました。只、私の場合は770(測定最大値)吹けても息苦しさを感じる事があります。

仕事は、肉体労働ではないので疲労はないのですが、常にストレスを感じており特にここ数ヶ月それが強くなっており精神的に参っています。また、痰の色が少し黄色いので感染症を起こしているのかもしれません。こうした事が原因で状態が悪いのかもしれませんね。ただ、風邪は治せても、仕事はどうにもなりませんから憂鬱になってしまいます。

とにかく苦しさを感じはじめたら、メプチンを吸い、それにあわせてアルデシンも増量する、という事を続けてきました。1日25パフというのがその結果です。もっと増やしてもいいのかなとも思いますが、それ以上増やして効果があるのかどうかわからないのと、私のところでは1ヶ月に4本しかアルデシンが認められていないため、その回数となったのです。ただ、私は、以前、ベコタイドを熱心に吸入していなかったので、在庫があったため、これまで25パフが可能となったのです。でもとうとう在庫も底をつきました。

7月頃にはアルデシン100もでてくるらしいという事も聞きました。これで一安心です。フルチカゾンについても聞いてみましたが、近いうちに認可という事はなさそうですね。ちょっと残念です。

また、後手後手の件ですが、自分としてはかなり先手を打っていたつもりだったのですが、まだまだ足りなかった様ですね。今後はもっと自分をいたわりたいと思います。

では。


平成10年3月1日<応答>

>>ここ2週間状態が悪すぎて、ろくに測っていませんでした…。
>>私の場合は770(測定最大値)吹けても息苦しさを感じる事があります。

→調子が良くないときは、ピークフロー値を無理に記録する必要がないことは、私のホームページの随所で述べています。必要なのは、どうやって値が悪くなって行ったか、その原因が何だったかを分析することです。

単に、仕事が忙しかった、風邪を引いた、だから当たり前だ、と思うのはもう少し待って下さい。いつも振り切れるくらい吹けていたのに、風邪を引いたり、無理をすることで、急に値が悪くなるとしたら、あなたの潜在的能力はもっと上であって、現在のピークフローメーターでは、それを評価できないということになります。もっとバネの強いのに変える必要があるのではないかと思います。現在のはアセスですか? 実は、私もアセスは振り切れてしまうのですが、ミニライトという機種は、振り切れないので、私でもきちんと値が読めます。

ぜひ、自分の状態を客観的につかめる指標を持つよう心がけてみて下さい。症状からピークフロー値が予測できるようでは駄目なのです。ピークフロー値を吹くのは、自覚症状が現れる以前に喘息悪化(気管支炎症増悪)の兆候をつかむことに最大の意義があります。それが、よりよいコントロールを生む秘訣です。

>>仕事は、肉体労働ではないので疲労はないのですが、常にストレスを感じており特にここ数ヶ月それが強くなっており精神的に参っています。

→あなたの場合も必ず喘息を克服できるはずです。良くならない喘息は絶対にありません。仕事がストレスなのはわかりますが、その中から、ぜひ解決の糸口を見つけていって欲しいと思います。

>>痰の色が少し黄色いので感染症を起こしているのかもしれません。

→単に喘息の悪化だけでも、痰が黄色くなることはよくあります。好酸球が増えるとそうなります。一度痰の検査をしてもらうのがいいでしょう。

>>もっとアルデシンを増やしてもいいのかなとも思いますが、それ以上増やして効果があるのかどうかわからない…。

内服ステロイドを増量してもらうのは、ためらわれますか? 私は、今はその適応だと思います。私の患者さんでも、メドロールを1から2錠飲んでいる方に、調子が良くないと2週間単位で1日6〜8錠まで増やすことは、日常茶飯事のように行っています。重篤な副作用は何も起きませんし、痰が減ってくれば、吸入ステロイドが効くようになるので、またもとの量に戻すことができます。

>>フルチカゾンについても聞いてみましたが、近いうちに認可という事はなさそうですね。ちょっと残念です。

→これは、まったく残念なことです。でも、フルチカゾンに期待せずとも、手持ちの駒をうまく使えばあなたの喘息はまだまだ良くなると思いますよ。

>>後手の件ですが、自分としてはかなり先手を打っていたつもりだったのですが、まだまだ足りなかった様ですね。今後はもっと自分をいたわりたいと思います。

→がっかりしないで下さい。恐らく目標値の設定が正しくなかっただけです。こうしたことはよくあることです。一段高い目標を設定して頑張って下さい。

今は辛いときです。しかしきっと良くなります。こんな時は暗くなってはいけません。明るく行きましょう。

頑張って下さい。


平成10年4月6日:主治医交代で不安になっています。

いつもお世話になっております。

さて、先日よりこれまでの担当医の転勤に伴い、今日、新しい先生の診察を受けました。その結果、同じ喘息専門といっても前任の先生とは随分と考え方の異なる先生との印象を持ちました。

今日は初診という事で、私の症状をよくわかってもらうために、過去4ヶ月のピークフロー値とメプチンやアルデシンの吸入記録を持参しました。案の定「どうですか?」と質問されましたので、持参したデータを説明しました。(最近の私は朝が400〜500位、就寝前がが600から700位です)すると、次のような事を言われました。

(1)朝と夜の変化が激しい(朝が悪い)

(2)プレドニンを毎日2錠飲んで、アルデシンを20パフやっていてこの状態とはかなり悪い。

(3)アルデシン20パフ/日はプレドニン1錠に相当する。長くやっていれば副作用もある。

(4)朝の状態をよくするために夜のテオドールを300mgにする。

私は、朝と夜のピークフロー値に差がある事で自分の喘息は重症であると自覚しておりますので、改めて重い喘息だと診断された事は驚きませんでしたが、アルデシンにも副作用があるということと、更にテオドールを増量するという話にはがっかりしてしまいました。これで、私の服用する薬は以下のようになります。まあ、アルデシンの処方は今まで通りでしたが…。

       【朝】   【夜】
テオドール  200mg  300mg(以前は200mg)
アゼプチン  1錠
プレドニン  2錠
オノン    2カプセル
スピロペント 2錠
ブロニカ        1錠

一時的にプレドニンを増やす様なときは別として、もし今後経口薬を更に増やすような処方をされた場合どのようにすればよいでしょうか? こちらの方から吸入量を増やしたいと言ってみるべきでしょうか?

少し前から気になっていたのですが、私はもう半年強、毎日プレドニンを10mg飲んでいます。この間にも状態は良くなったり悪くなったり、点滴をしたりですが、結局炎症はとりきれていないのではないかと思います。でもプレドニンの半年の連続投与は長すぎないでしょうか。もう少し短期的に増減する等して止める方向に持っていけないのでしょうか? 私たち患者の方からこう言ってもいいのでしょうか? 今日の診察で私が一生プレドニンを飲まなければならないような事を言われて一気に不安が爆発してしまいました。先生はどのように思われますか?

それと、先日「アセス」を手に入れて以来ピークフローは「アセス」を使っていますが、これまで使っていた「ザ・ピーク」に比べて低めの数値が出るようです。その差は感覚的には100程度あるように思えます。たった2社でこれだけ違うとなると、他のものもまた違うような気がして医師が判断する絶対的なものが無いように思えちょっと心配になりました。ちなみに今日の昼、800吹けました。今は絶好調ではないので私のピークはもっと上にあると思えます。となると500や600がいかに悪い状態なのかちょっと恐ろしくなりますが…。

以上とりとめがありませんが、宜しくお願いいたします。


平成10年4月8日<応答>

担当医が変わったのですね。

>>同じ喘息専門といっても前任の先生とは随分と考え方の異なる先生との印象を持ちました。

これは仕方ない“現実”ですね。ただし、喘息の自己管理に関しては、あなたはもう十分な知識をお持ちです。主治医からの指示やアドバイスの受け入れられる点は受け入れて、受け入れられない点は納得するまで話し合って下さいね。

>>主治医の判断について:

「朝と夜の変化が激しい」のは私も同感で、あなたは600前後はイエローゾーンであると思います。

「アルデシンにも副作用がある」ですが、最新情報をこのホームページの「診療日記」で取り上げておりますが、この先生の判断は、一般的に「アルデシン20パフ/日はプレドニン1錠に相当する」から長く続ければ副作用も起きうると言う意味であると思います。しかし、あなたはすでにプレドニンを2錠内服していますから、アルデシンの副作用はこれ以上は問題にならないと思います。問題は、早く理想状態に到達し、如何にプレドニン1日2錠をどこまで減らせるかです。その後はじめて、アルデシンをどこまで減らせるかを考えるべきです。

また、一般的にアルデシン1日20パフは決して多い量ではありません。これくらいなら私の患者さんにもたくさんいます。

テオドール増量が不満ならはっきり申し出てみては如何ですか? 嫌なことは無理に従わなくても良いはずです。

>>一時的にプレドニンを増やす様なときは別として、もし、今後経口薬を更に増やすような処方をされた場合どのようにすればよいでしょうか? こちらの方から吸入量を増やしたいと言ってみるべきでしょうか?

はっきりあなたの意見を言うべきです。納得するまで話し合うべきです。患者さんが納得できないのに良好な治療などできるはずがありません。

>>少し前から気になっていたのですが、私はもう半年強毎日プレドニンを10mg飲んでいます。この間にも状態は良くなったり悪くなったり、点滴をしたりですが、結局炎症はとりきれていないのではないかと思います。

私もそう思います。

>>でもプレドニンの半年の連続投与は長すぎないでしょうか?

長すぎるとは思いますが、喘息の状態が良くないのですから仕方のないことです。しかし、いくら重症で期間の長い喘息でも、私は必ず気管支炎症は取れると思います。色々な要因があって完全に取りきれないでいるだけなのだと思います。私は、あなたよりずっと重症な喘息の方でも、すっかり良くなった方を経験していますから、その点はぜひ希望を持って下さい。また、うまくプレドニンから離脱できれば、あなたはまだ若いですから、時間をかければそれまでの副作用から回復できます。

>>もう少し短期的に増減する等して止める方向に持っていけないのでしょうか? 私たち患者の方からこう言ってもいいのでしょうか? 今日の診察で私が一生プレドニンを飲まなければならないような事を言われて一気に不安が爆発してしまいました。先生はどのように思われますか?

私はそうすべきであると思いますが、これは他の先生はなかなか受け入れてくれないかもしれません。粘り強く相談してみて下さい。

>>先日「アセス」を手に入れて以来ピークフローは「アセス」を使っていますが、これまで使っていた「ザ・ピーク」に比べて低めの数値が出るようです。その差は感覚的には100程度あるように思えます。たった2社でこれだけ違うとなると、他のものも又違うような気がして医師が判断する絶対的なものが無いように思えちょっと心配になりました。

機種間の値の違いはよくあることです。ですからあまり絶対値にはこだわらないで下さい。変動を見て行くことが肝要です。

>>ちなみに今日の昼、800吹けました。今は絶好調ではないので私のピークはもっと上にあると思えます。

800でもまだ振り切れていませんよね。繰り返しますが、もし振り切れているようなら、申しわけありませんが、もっとバネの強い「ミニライト」などを購入することをお勧めします。あなたの最大値がどこにあるかがわからないでいるわけですから、振り切れるようなピークフロー値は役に立ちません。

>>となると500や600がいかに悪い状態なのかちょっと恐ろしくなりますが…。

そのとおりです。決して恐ろしくなることはありません。結局、これまであなたの気道炎症の程度を過小評価してきたことが良くならない大きな原因であると言えるのです。私が、あなたの喘息がもっと良くなるはずだと確信している理由はここにあるのです。諦めないで頑張って下さい。

では。


平成10年4月21日:ピークフロー値830吹けました!

いつもお世話になっております。最近の病態を報告致します。

先日のメール後、アルデシンの増量をやってみました。これまで20パフ/日だったのを30パフ/日程度にしてみたのです。これは、これまでの私の吸入記録から、アルデシンを増量した後はメプチンを減らせる傾向が見えたからです。その結果、

(1)喉が痛くなって声がかすれた。(但し喉が痛くなったのは、私がうがいを1パフ毎にしていなかったせいでしょうね。今は2〜3パフ毎にやっているため喉も痛くないですし、声も出るようになってきました)

(2)苦しさの質が変わったような気がする。(これは、これまでは苦しくなるとメプチンを吸ってもなかなかその苦しさがとれなかったのに、メプチンを吸うとすぐに苦しさがとれるようになったのです。また、これまでまとわり着くような感覚のあった痰が少なくなってきた感じがします)

となりました。私としては後者の傾向がちょっと気になるのですが、先生は如何思われますでしょうか?

それと、私は来週から割と長い(10日間ほど)休みが取れますので、安静治療に専念してみたいと思います。何かアドバイスがあったら、宜しくお願い致します。


平成10年4月21日<応答1>

調子良さそうですね。

>> 先日のメール後、アルデシンの増量をやってみました。これまで20パフ/日だったのを30パフ/日程度にしてみたのです。これは、これまでの私の吸入記録から、アルデシンを増量した後はメプチンを減らせる傾向が見えたからです。

アルデシン増量が効いているのでしょうか? いつも繰り返しますが、喘息の状態の判断は、自覚症状に頼らずピークフロー値で行って下さいね。

>>(1)喉が痛くなって声がかすれた。(但し喉が痛くなったのは、私がうがいを1パフ毎にしていなかったせいでしょうね。今は2〜3パフ毎にやっているため喉も痛くないですし、声も出るようになってきました。)

うがいで良くなったのですから、吸入ステロイドが刺激になっていたのでしょうね。

>>(2)苦しさの質が変わったような気がする。(これは、これまでは苦しくなるとメプチンを吸ってもなかなかその苦しさがとれなかったのに、メプチンを吸うとすぐに苦しさがとれるようになったのです。また、これまでまとわり着くような感覚のあった痰が少なくなってきた感じがします。)となりました。私としては後者の傾向がちょっと気になるのですが、先生は如何思われますでしょうか?

“気になる”というのは、心配という意味ではありませんよね。まとわりついていた痰が少なくなったのはとても良い兆候です。吸入ステロイドの効果も期待できるでしょう。

>>来週に診察があるのですが、私は来週から割と長い(10日間ほど)休みが取れますので、安静治療に専念してみたいと思います。何かアドバイスがあったら、宜しくお願い致します。

絶好のチャンスですね。ぜひ自宅安静療法を試してみて下さい。ご家族には迷惑をかけることになるかも知れませんが、健康にはかえられないと思います。

アドバイスですが、安静の程度は、あなたは恐らく我慢強い方でしょうから、自分のレベルでの安静では不十分です。入院している気持ちになって安静を維持して下さい。

では。


平成10年4月21日:ピークフロー値830吹けました!

いつもご丁寧にありがとうございます。

最近調子がいいのですが、それはピークフローにも現れています。右肩上がりで値が上昇しているのです。特に先日の午後830吹けました。朝も700近く吹けます。こうなるとなんだか嬉しくなります。この状態を維持できるようにアルデシンをしっかり吸っていきたいと思います。


平成10年4月21日<応答2>

830ですか!! すごいですね。もしかして振り切れているのではないでしょうか? なんだかそちらの方が心配になってきました。

休日作戦が成功しますことを祈っていますので、頑張って下さいね。

では。


平成10年5月6日:連休作戦は風邪で失敗。

その後ですが、実は喉が痛み出し、案の定、その後発作が起きてしまいました。サクシゾン200mg〜400mgの点滴を受け、その後徐々に回復しているような状況です。ですから、休日作戦では、ピークフロー値がピークフロー値が思ったように上昇せず効果は“?”となってしまいました。ただ、体は休めましたので、その分いつもより楽でしたし、じっくり吸入する事ができました。

前回830吹けたピークフローも夢のように思える程になってしまいましたが、それでも少しずつですが、良くなっていると感じています。只、朝は辛いのでまだプレドニンを続けた方がいいかと思っています。

ところで、アルデシンを吸っている時にふと疑問に思ったのですが、息こらえをする時間は長いほど良いのでしょうか。極端なところ20秒こらえれば10秒の時の半分の吸入量ですむのでしょうか。最近アルデシンの在庫が乏しくなってきましたので少しでも効果的な吸い方はないものかと思いまして、どうしても先生のお考えを知りたくなってしまいました。

お忙しいところ恐縮ですが宜しくお願い致します。


平成10年5月6日:<応答>

こんにちは。

風邪を引いてしまったのですね。残念です。いくら調子が良くても、風邪で一気に発作を起こすことはよくあることです。ただそう言うときに考えることは、やはり830でもまだまだなのだと言うことでしょう(830は一度きりですから、恒常的に830程度ふけるようになれば別なのですが…)。ミニライトという抵抗のきついピークフローメーターでどの程度ふけるのか興味のあるところです。

でもチャンスは今回だけではありません。次の機会に、今回の反省をふまえて、またトライしてみて下さいね。何回かトライ&反省を繰り返しながら少しずつ良くなっている方も結構おります。失敗から色々なことを学んでいって下さい。

息こらえの時間ですが、長くした方がいいのは事実とは思いますが、10秒より20秒が良いというデータはないと思います。また、20秒も息を止めるのでは、息が苦しくなります(あなたは低酸素になれているから苦しく感じないかもしれませんが…)し、回数が多くなるとますます大変でしょう。試されるのは構いませんが、ほどほどのところで吐き出した方がいいと思います。

もうひとつ、もうすぐアレデシン100が登場するという話しですが、今のままでは回数が多くて大変でしょう。あなたの病院には、ベコタイド100はおいてないのですか? またあるとすれば、月何本まで処方可能なのですか?

では。


平成10年5月11日:

今日、受診してきました。先週サクシゾンを300mg点滴したのですが、それでも今日既に苦しくなってしまい、気道の炎症がとりきれていないと感じました。

実は連休中も、ピークフロー値とメプチンの使用量からしてその思いはあったのです。そこで、気道の炎症がとりきれていないのではないかという事を話して、結果的に1週間プレドニンを4錠/日処方してもらいました。その後の1週間は2錠/日です。私としては2週間4錠/日程度処方してもらいたいと思いましたが、それはかないませんでした。これで少しは好転するでしょうか? ちょっと楽しみです。とにかく気道の炎症をとることを第1の目標として取り組んでいきたいと思います。ちなみに今日もサクシゾンを300mg投与しました。

また、今日アルデシンの量を増やす必要があるかもしれないと言われました。今は16〜24パフ/日ですと話したのですが、それでも増やす必要があると考えてくれ、回数を考慮してベコタイド100の検討もしてくれる事になりました。ベコタイドを処方できない事なんてないそうです。じゃあこれまでの苦労は何だったのかという気もしますが…。本当に処方されたら随分違うでしょうね。

いつもご指導ありがとうございます。それではこの辺で失礼します。


平成10年5月11日<応答>

ベコタイド100は最初からあったのですね。どうしてアルデシン50にこだわったのでしょうか?

主治医の先生の言うとおり、今は量は気にしないで結構です。アルデシンで24パフは、1日12マイクロですから、もっともっと増やすべきです。私は、1日3200〜4000マイクロまで増やしたことがあります。そもそも、日本では吸入ステロイドの導入に際して、その警戒心から初期濃度が低く設定されてしまったのです。それが、しばらく効果が得られなかった大きな原因であると言われています。状態が良くないうちは、吸入ステロイドの量は気にしないで下さい。まず、今の状態から脱却することが先決です。たとえそれで良くならなくても、それは吸入ステロイドが気管支にうまく入って行かないからだと考えて下さい。吸入ステロイドの効かない喘息など存在しません。

それにしても、少しづつ主治医が状況をわかってくれるようになったのではないでしょうか? 良かったですね。外来では、悪く悪く訴えてみて下さい。

では、頑張って下さい。


平成10年6月11日:プレドニンの減量。

いつもお世話になっております。毎日先生のページを拝見しております。特に「質問と応答」を見るのが楽しみなのですが、私もかなり重症と思っておりましたが、世の中にはもっと重い人がいるんですね。自分は軽症かなと錯覚してしまいました。それにしても、先生の対応は大変ですね。丁寧な解説を交えて下さり、殆どの人が感謝して理解していると思います。ですから、先生のプライベートの時間が益々なくなるのではないかと心配です。

ところで私はといえば、ピークフローが700±100といった感じで推移しています。でも、残念ながらまだプレドニンから離れられそうにもありません。2週間前から1.5錠/日の処方となったのですが、3日位で苦しさを感じるようになって、偶然貯め込んだプレドニンを増量しています。服用は以下の通りです。(全て1日の量です)

5/28 1.5錠
5/29 1.5錠
5/30 1.5錠
5/31 3錠
6/01 2錠
6/02 2.5錠
6/03 2錠
6/04 3錠
6/05 4錠
6/06 4錠
6/07 4錠
6/08 1.5錠
6/09 2.5錠
6/10 1.5錠

今日以後どうなるのかは予想付きませんが、自分としては1.5錠であまり持たないのがとても残念です。アルデシンは35パフ程度しているのですが…。やはり気道の炎症が取りきれていないのでしょうか? もう少し増量期間を取るべきでしょうか? プレドニンの増量提案は切り出しにくいです…。

それと、最近血圧が高いのです。今日昼上が150ありました。下は96でした。これまで自分は過去10年間の健康診断では昨年まで上が120〜130、下は50〜80の間です。また、その間にもあがってきたような傾向があったわけでもありません。でも今日は高かったし、2ヶ月位前病院で測ったときも高かったのです。ただ、夜、家で測ると上が120で下が60位ですし、現に今もそうでした。プレドニンと関係があるのでしょうか? ちょっと、いやいやとても気になっています。

以上近況をお伝えしました。


平成10年6月11日<応答>

プレドニンの減量・離脱に苦労していますね。

>>2週間前から1.5錠/日の処方となったのですが、3日位で苦しさを感じるようになって、偶然貯め込んだプレドニンを増量しています。

→これは、先生からの指示による処方ですね? であれば、貯め込んだものを使うのは仕方ないとしても、やはり余分に処方をお願いした方が良いのではないでしょうか? 例えば、1日2錠を定期、その他の1週間分くらい頓用で服用するように20錠とか…。プレドニンのレスキュー・ユーズは、今では一般的ですし、ステロイドだから出さないという呼吸器専門医もそんなには多くはなくなっていると思います。

>>自分としては1.5錠であまり持たないのがとても残念です。

→調子が悪いのに、無理に減らさなくて良いと思いますよ。

>>アルデシンは35パフ程度しているのですが…、やはり気道の炎症が取りきれていないのでしょうか? もう少し増量期間を取るべきでしょうか?

→アルデシンは、とりあえずベコタイド100が手に入るまで、このままで行くしかありませんね。これ以上の増量は時間がかかり大変でしょう。この年末にはフルチカゾンが発売されますので、それまでなんとかアルデシンやベコタイドで維持して欲しいところですね。プレドニンは、先ほど申し上げましたように、無理に減量しないことですね。

>>プレドニンの増量提案は切り出しにくいです…。

→「プレドニンさえ飲んでいれば他の薬はいらないんだ」とプレドニンにだけ頼っているように解釈されるとまずいですね。先生としても、プレドニンはなかなか処方しにくいものですが、それで入院となったり喘息死されたりしたら困りますから、そんなにプレドニンを拒むことはしないでしょう。

>>最近血圧が高いのです。今日昼上が150ありました。下は96でした。これまで自分は過去10年間の健康診断では昨年まで上が120〜130、下は50〜80の間です。また、その間にもあがってきたような傾向があったわけでもありません。でも今日は高かったし、2ヶ月位前病院で測ったときも高かったのです。ただ、夜、家で測ると上が120で下が60位ですし、現に今もそうでした。プレドニンと関係があるのでしょうか? ちょっと、いやいやとても気になっています。

→血圧は、元々家系的に高くないとすれば、明らかにプレドニンの影響ですね。私の患者さんにも長い間ステロイドを服用している若い男性で血圧が高い方がおります。塩分、糖分、脂分は、取りすぎないように、あるいはいつもより減らすようにした方がよいですね。その意味でも吸入ステロイドだけで維持できるように、早めに経口ステロイドからは離脱をはかるべきですね。しかし、急激なプレドニンの減量は慎むべきです。今のあなたにとって、プレドニンを飲まない弊害と、高血圧で2次性の影響が出るのとでは、明らかに前者の方が恐いからです。まず喘息を良くし、プレドニンを減らせらば、次第に高血圧は食事療法などで治まってくるでしょう。

では。


平成10年6月13日:

どうもありがとうございました。特に血圧の件が気になっていたのですが、やはりプレドニンのせいですか。会社にも喘息を持っている人がいて、やはり健康診断で血圧が高かったと言っていました。その人は170あり、医師にも、薬のせいだと言われたようです。それで、薬と高血圧は関係しているのかな、とも思っていましたが、やっとすっきりしました。早くプレドニンから脱したいです。

ところで、先日のメールから更に2日経ちましたが、まだプレドニン1.5錠で大丈夫です。今のところ悪くなる兆候はありません。あとは先生の言われるような計画を実践してゆきたいと思います。ありがとうございました。


平成10年8月18日:ピークフローメーターが振り切れた!

ご無沙汰しております。5月以後特に仕事が忙しくなり、メールを出すのも億劫になってとうとう8月になってしまいました。その間も良くなったり悪くなったりの繰り返しですが、最近又ピークフローの値が良くなってきました。つい10日前は、メプチンの間隔も短くて8パフ/日も必要で(アルデシンは40パフ/日程度していました)、とうとう点滴かと思っておりましたが、その後プレドニンを4錠/日を4日程度服用してから、楽になり、ここ5日間は、プレドニンを1錠/日でピークフローが800前後で安定しております。私はアセスを使っているのですが、一度振り切れてしまった(880)こともありました

以前先生が心配してくださったことがありましたが、その時は、自分には無理だと思っていましたから意外でした。でも嬉しいものです。良くなってきた理由の一つにベコタイド100の吸入があるように思えます。そうなんです。やっと7月の末に処方されたのです。丁度1年前まで使っていましたが、その時はスペーサーを使っておらず、我流の吸い方でした。今、スペーサーを介して吸入してみると、アルデシンに比べて充填度が高いような効率がいいような気がします。とにかく効き目がありそうな気がします。また、何より回数が半減したのがいいですね。体が楽です。私も12日間の夏休みに入ったことですし、この期間を利用してたっぷり吸入して一刻も早く、炎症を取る事に専念したいと思います。

一方的な報告ですみませんが、ちょっと嬉しくなりましたのでメールしました。山形の方は、天候が不順だと聞いています。先生もお体に気をつけて下さい。

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