(3)34歳、男性(会社員)

吸入ステロイドでストメリンDの屯用が減った。


この方は、Zensoku Webを通じて私のホームページにアクセスされ、主として「知識」コーナーの「吸入ステロイドはなぜ喘息発作を起こさなくするのか?」や「質問と応答」のコーナーなどを通して、吸入ステロイドの意義と吸入操作の大切さをお知りになり、正しい吸入操作のもとに吸入ステロイドの回数を増やしました。その結果、発作の減少ひいてはストメリンDの使用回数を減少させることができました。

また、良く私に質問を下さり、いろいろの疑問点を解決されているようです。そのいくつかは「質問と応答」に公開されていますので、是非参考にして下さい。

彼は、非常に勉強家であり喘息についてはかなり高度な知識をお持ちのようで、また喘息日誌などを細かく記録しています。先日、その資料をお送りいただきましたので、私がその一部をデータにまとめ下図に示しております。

図にはストメリンD、ベコタイド、インタールの3種類の吸入薬の1日の吸入回数を示しております。彼は、この他に、メプチン(50)を1日2錠、テオドール(200)を1日2錠、アレジオン1日1錠、オノンカプセル1日4錠、ツムラ90番1日2包を内服しております。

図を見ていただくとおわかりのように、平成9年6月中旬頃からベコタイドの増量に入り、まもなく明らかにストメリンDの発作時使用回数がほぼ0になっていることがおわかりでしょう。症状やピークフロー値は記載されていませんが、ストメリンDの使用回数の推移ははほぼ喘息の病態と平行していると考えて宜しいと思います。

この期間中、内服薬は変更がありません。ただし、吸入ステロイドの増量に入る頃にケナコルトという持続性のステロイド剤を筋注しております。これは、1回の注射で約1カ月持続的にステロイドの効果を発揮し喘息発作を鎮める薬剤ですが、効果はよいのですが、いわゆる全身性ステロイドなので、長期使用により効高率に副作用が出てしまうのです。一見この注射の後にストメリンDの回数が減っているように見えますが、ベコタイド増量をしていない約1カ月前のケナコルト筋注では、さほどストメリンDの使用回数が減っていないことが一目瞭然です。従って、これは明らかにベコタイドの効果であると言えます。このように正しい吸入操作で吸入ステロイドの回数を増やすだけで、劇的な効果が得られるのです。

最下図にインタール吸入回数も示されています。この点については、「質問と応答」コーナーにその両者の関係が示されております。この方は、私の応答を読まれ、インタールを減量したようです。もちろん、ベコタイド増量の影響がありますが、インタールを中止してもストメリンDの使用回数は減る一方です。これは、「質問と応答」コーナーで述べてありますが、ベコタイドもインタールも気道の炎症を抑える抗炎症効果はありますが、その効果はベコタイドはインタールの比ではないのです。つまり、インタールにはベコタイドを上回る効果が何もないことを彼が見事に証明してくれていると思います。ただし、いくら強力な吸入剤でもベコタイドに重得な副作用があるなら、インタールを使うしかないでしょう。しかし、ベコタイドは正しく吸っていればほとんど副作用がないとされていますので、両者を併用する意味はほとんどないのです。

前回のケナコルト筋注直前には、その効果が切れてきたためストメリンDの使用回数が増えているのがわかります。しかし、後で最新の彼からのメールを紹介しますが、前回のケナコルト注射から1カ月経つ現在も、ストメリンDを必要とする発作は一向に起きないそうです。それどころか、内服薬の減量に踏み切ったそうです。


平成9年8月19日

1ヶ月ぶりに先生のHPを覗いたらレイアウトが変わっていたのにちょっとびっくりしました。一瞬間違ったかと思いました。最近はマルチ画面が多いですね。検索が便利で使いやすいと思いました。

ところで、私は7月10日以来ベコタイド50に換算して16〜20吸入/日を果して来ました。7月24日にはケナコルトの注射をしましたが、8月19日時点で苦しくなっていません。今のところケナコルトを必要になるとは思えません。これまではケナコルトを射ってから約30日で苦しくなり始めたのですが、そんな様子は皆無です。また、8月7日から朝、薬を飲まないようにしているのですが、全く苦しくなりません。ちなみに朝飲むべき薬は次の通りです。

メプチン50 1錠
テオドール200 2錠
アレジオン 1錠
オノンカプセル 2錠
ツムラ90番 1包

夜はこの中からアレジオンを除くだけですから、実質半減しているものと思いますが、それでも一向に苦しくならないとはステロイド吸入の威力を感じぜずにはいられません。

思えば平成元年11月より本格的な喘息になって早9年。この治療をもっと良く理解して実践していればとうの昔に良くなっていたかもしれないと思うと、これまでの闘病人生は何だったのかと思わずにはいられません。今、通院している所は都合4件目ですが、3件目の所でもアルデシンを処方されていました。その時、自分自身がもっと重要性を理解していたら、また、その時私自身に納得がいくようにアルデシンの効果と適当な使用量、使い方を知らしめてくれる医師がいたなら、転院などしなくても済んだでしょう。今の所は片道35Kmもあり、通院には時間と金がかかります。ですから喘息自体の苦しみに耐えることと、時間と金も無駄にしていたことになります。(まだ完全に治ったわけではないのでそうとは言い切れないかもしれませんが…)もし先生のことを知らなかったら、未だに毎日気管に痰がまとわり着く感覚と、苦しさに悩まされていたことでしょう。

私はインターネットに接続でき先生のアドバイスが受けられてこのように自信が持てる体になりました。本当に感謝をしています。…(以下省略)


平成9年8月19日<応答>

最後に1つだけ私からアドバイスさせて下さい。それはピークフローを毎日つけて欲しいことです。ベコタイドの効果があって「発作」は減ったかもしれませんが、「発作」という自覚症状を目安とした薬剤減量は危険を伴います。ベコタイドを毎日きちんと正しく吸っているのに、いつしか発作を起こしてしまう方がしばしばおります。また、今後何年間も吸入ステロイドを続けてゆくと、時にその吸入操作は惰性になり形式的になりがちです。また、いずれは吸入ステロイドをも止めれたらいいとは思いませんか?それらすべてに答えを出してくれるのがピークフローです。どうかご一考下さい。


平成9年10月28日

いつもお世話になっております。

吸入の件ですが、前述しましたように最近とても息苦しくなっておりまして、メプチンを一日6パフ程度使わざるをえなくなっております。アルデシンは20パフ程度にしています。メプチンを使って十分に気管支を広げ、その上でアルデシンを使っているのですが、どうしても咳込んでしまうのです。アルデシンを吸う前には自分なりに十分去痰しているつもりなのですが、アルデシンを吸う度に痰がこみ上げてきて咳をしてしまうのです。

先生のホームページの中では、咳をすると、折角薬剤が気管支粘膜に染み込んでも剥がれてしまう、とありますし、私もそう思っていいて、咳込んでしまうのは良くないと感じているのですが、どうしたらいいのかわかりません。

ちなみに私の吸入方は、メプチンを使って出来るだけ気管支を広げ且つ去痰し数分経過した後、出来るだけ息を吐き出してから10秒程度かけて吸い込むようにしております。この息を吐き出す時に咳込んでしまうのです。私の吸い方は間違っていますでしょうか?お忙しい中、恐縮ですがご指導賜りたくお願い申し上げます。


平成9年10月28日<応答>

ひとつご質問の中でこのなかで、「咳をすると、折角薬剤が気管支粘膜に染み込んでも剥がれてしまう」とありますが、薬剤が剥がれるのではなく、「気管支粘膜の上皮が剥がれ喘息がよくならない」という意味です。

喘息は、炎症性細胞の遊離する傷害性物質や繰り返す咳によって気管支粘膜を覆う皮が剥がれてしまう病気です。皮膚の皮(かわ)が剥けるのと同じようにジクジクしているのです。傷ついた皮膚でもいったん治ってしまえば、何ともなくなります。気管支喘息では、しばしば粘膜が完全に治らないうちに無理をしたり慢性に色々な刺激を受けるので、なかなか治らないのです。私が咳は極力抑えた方が良いという理由は、せっかく治りかけている気道粘膜が咳を続けることでまた剥がれてしまい、元の木阿弥になってしまうからです。よく咳が出はじめても「発作がないからいい」という患者さんがいますが、その状態を続けると気道粘膜剥離がおき結局発作が起きてしまうので、咳は極力起こさない方がいいのです。我慢しろという意味ではありません

息を吐いたときに咳込むとすれば吸入操作あるいはその薬剤が刺激になっているとは考えられません。吸入方法が正しくないとすれば吸い込んだときに咳がでるはずです。息をゆっくり吐いていますか?ゆっくり吐いても咳がでるとしますと、やはり喘息の状態が良くないと考えられます。このようなとき吸入はかえって逆効果になります。吸入ステロイドは優れた薬剤ですが、咳や発作がひどいときや痰が多いときは限界です。ただ、恒常的に吸入ステロイドが効かなくなった重症喘息になったというわけではありませんので、決してがっかりしないで下さい。吸入ステロイドが気管支粘膜に到達しないだけです。

気管支拡張剤や水分補給でできる去痰には限界があります。もしあなたの喘息自体(気道炎症)があまり良くない状態のために痰が多くなっているとしますと、これは吸入ステロイドは限界で一時的に全身性ステロイドを使って気道を広げる必要があるのではないかと感じます。これは、吸入ステロイドを効かせるための補助療法です。全身ステロイドの適応だから重症というわけではありませんのでくれぐれも誤解なく。ただし、これは主治医により判断が異なりますので、よく相談して下さい。

吸入ステロイドで一度よくなった喘息が、少しずつ調子が悪くなると、「自分の病気が悪くなっている」と認めるのはなかなかできないことで、人の常として良い方良い方に考えてしまう傾向があります。しかし、私はそうやって病状判断を誤り、次第に悪化して行く方をたくさん知っています。特に長い間喘息を患っている方は、我慢強い頑張り屋さんが多いので、特にその傾向があり心配です。喘息の治療はその病状の進展に見合った治療をしなければならないのです。最近の私のジレンマは、喘息を良くしてあげるとその病状を過信してしまい、少しぐらい調子が悪くても「まだ大丈夫」と無理をしてかえって悪化してしまう方が多いことです。あなたは決してそのようなことはないと思いますが、くれぐれも気をつけて下さいね。

今度「咳がでて痰がよく切れず、吸入がよく入って行かない」と相談してみては如何ですか?きっと何らかのよい手を打ってくれると思います。


平成9年11月29日

いつもいつもご丁寧なお返事にとても感謝しております。本当にありがとうございます。吸入だけではそろそろ限界かなと思っておりましたので、今日点滴を受けに行こうと思っております。自分も長い間喘息を患い、無理がきかないこと、無理をするとかえって周りに迷惑をかける事を知っていますので。

ちなみに私は、たばこは吸った事が無いのですが、職場が喫煙者にとってとても嬉しい環境なのです。ですから体の状態が悪くなってくると、たばこの煙が気管支を刺激していると感じる事があります。とにかく本当にありがとうございました。


平成9年10月29日<応答>

メール拝見しました。

>>吸入だけではそろそろ限界かなと思っておりましたので、今日点滴を受けに行こうと思っております。自分も長い間喘息を患い、無理がきかないこと、無理をするとかえって周りに迷惑をかける事を知っていますので。

ご自分の病状を良く理解されている方だなと、ほとほと感心しました。

>>ちなみに私は、たばこは吸った事が無いのですが、職場が喫煙者にとってとても嬉しい環境なのです。ですから体の状態が悪くなってくると、たばこの煙が気管支を刺激していると感じる事があります。

困りましたね。タバコを吸う方が吸っていないときでも、そのこびりついた臭いで発作が起きるというのに、煙がもくもくでは、最悪です。せめて勤務時間内でも禁煙するか、他の場所で吸えると良いですよね。禁煙運動したりすると、周囲から冷たい視線で見られるのでしょうか?

では、お大事に。無理をせず、一刻も吸入ステロイドが効く状態になって下さいね。


平成9年10月29日

今日通院しました。この状態を放っておくのは得策ではないと判断し、点滴くらいはしてもらえるだろうという思いから行ってみたのです。運良く呼吸器専門の先生に診てもらう事ができまして、サクシゾンとネオフィリンの入った点滴を500mlくらいしてもらいました。おかげで随分と楽になりました。

今でこそステロイドの入った点滴を受けるのにためらいはありませんが、実は私、以前はこのような点滴を受ける事がとても苦痛だったのです。理由は、(1)ステロイドだということ、(2)喘息の発作を鎮めるための単なる対症療法でないかと思っていたことです。

もう少し詳しく説明しますと、発作時におけるステロイドの効果は知っていましたし、大量投与でも短期間なら大した問題にはならずむしろ効果の方が大きいという事は見聞きしていたのですが、やはりステロイドというマイナスイメージのある薬を使って欲しくないという思いが常にあり、又、一旦良くなっても又すぐ悪くなってしまったことが多く、結果としてステロイドの過剰投与になってしまうような気がして心配だったことが原因です。更に点滴をした後の体のだるくなる感覚も嫌でした。

でも、今は違います。それは、ベクロメタゾンの吸収を助けるためにまず全身性のステロイドで気道の炎症を抑えなければという思いが生まれたからです。こんな感覚は先生のホームページを見るまでありませんでした。更に先生のホームページを見たからこそ、点滴を受けないようにするにはどうしたらいいのかがわかったつもりです。ですから今日の通院には何の不安もありませんでした。ただ、もし、先生のホームページを見ていなかったらと思うとぞっとしてしまうのですが…。

それと、今日ボルマチックを手に入れる事ができました。私の病院ではベクロメタゾンはアルデシンしか使っていないようなので心配でしたが、聞いてみるとあったのです。ただ、受け取ったのは期待していたボルマチックハードではなくて、ソフトでしたが…。でもこれまで使っていたペットボトルよりずっと効果が高そうです。今はホッとしています。


平成9年11月12日

いつもお世話になっております。先日の点滴以来、毎日プレドニンを2錠(10mg)飲んでいます。しかし、まだ炎症が残っているようで、この対策としては、アルデシンを吸いまくるしかない、と主治医から言われました。やはりそれしかないのですね。なかなか好転しなくて、ちょっと弱気になっていましたが、気を取り直してアルデシンを1日に20パフ〜25パフ程度吸い続けております。吸入量を増やし始めて3週間経ちましたが、この2、3日なんだか良くなってきた気がします。夕方になると感じていた痰が絡んでくる感覚と咳が、あまりなくなってきたのです。特に今日は夜になっても咳もあまりでないし、歩いても全く苦しくなりませんでした。ようやく1ヶ月前の状態に戻ってきた気がします。つい嬉しくなって他愛のない事を書いてしまいました。


平成9年11月12日<応答>

調子が良くなってきて良かったですね。良くなっているというメールは何度頂いてもこちらもうれしいものです。

吸入ステロイドは気管支が広がれば広がるほど効果を発揮します。その方がより薬剤が気管支粘膜に到達するからです。そして、ピークフロー値が回復してくれば回数を減らすこともできます。「これでもか、これでもか」と徹底的に炎症を取って下さい。

頑張って下さい。

では。


平成9年11月25日

いつもお世話になっております。さて、先日ご連絡しましたように、喘息の状態が日毎に好転してまいりました。下の表は11月の記録です。ピークフロー値で空欄は測定していないものです。ちなみに私の現在の身長は174cmです。

【11月吸入、ピークフロー値記録】

日  メプチン アルデシン 朝  帰宅時 就寝前
01  0     26   450  770
02  0     27   600  770  660
03  0     28   770  530  770
04  2     21   370
05  0     16       450  750
06  0     24   500  620  500
07  0     16   400      720
08  0     30   670      770
09  0     22   400  770
10  0     26   440      750
11  0     23   550  700  770
12  1     16   520      710
13  0     24   700  770  770
14  0     22   770  770  770
15  0     26   700  770
16  0     24   730      770
17  0     14   770  770
18  0     21   770  700  770
19  2     16   700      770
20  0     22   770  770  770
21  1     20   550      770
22  0     22   630      770
23  0     20   770      770
24  0     20   650  720
25  0     24   770  700  770

今服用している薬は以下の通りですが、他の患者さんに対して、私のように重症(自分でいうのも何ですが)患者でもステロイド療法によってこれほどまでに高いピークフロー値を維持できるという参考にでもなれば、と思いメールを送った次第です。

【服用している薬】
        朝  昼   夜
プレドニン  10   0   0(mg)服用しはじめて2ヶ月になります)
テオドール  200   0  200(mg)
オノン    2錠  0錠  2錠
ブロニカ   0錠  0錠  1錠
ムコダイン  2錠  2錠  2錠(最近痰が出ないので止めようと思っています)
アゼプチン  1錠  0錠  1錠
スピロペント 2錠  0錠  2錠


平成9年11月25日<応答>

お久しぶりです。ピークフロー値が素晴らしく良い値で安定していますね。PF値は最高が770ですがこれは振り切れているのではないですか?すごいと思いました。

今のうちに吸入ステロイドで気道炎症を取れるだけ取って、吸入ステロイドだけでコントロールできるようになれば、内服薬も減らせれると思います。プレドニンだって減量可能だと思いますよ。主治医とよく相談して下さいね。

では。


平成9年12月21日

ご無沙汰しております。

さて、私、約1ヶ月前に絶好調宣言したというのに、今はどん底の状態になっております。原因は良く分からないのですが、悪くなりはじめた頃、暖房を入れ始めたことや丁度仕事が忙しくなったせいなのかな、と勝手に思っております。ようやく良くなったと思ったのに又悪くなるとは本当に気が抜けませんね。喘息は奥が深いですよね。

ところで、こうして悪くなって思った事に、メプチンなどの気管支拡張剤はどのように使っていったらいいのか、ということがあります。先生のホームページの中で、咳をすると気管支の粘膜の上皮が剥がれるのでできるだけ咳をしない方がいいとありますよね。この意見には自分でも納得しているのですが、今の状態では苦しさを感じてきたらメプチンを吸わないと咳が出っ放しになってしまいます。でもメプチンの説明には苦しくても2吸入まで、しかも吸入の間隔は4〜6時間あけるようにとありますね。今私は4パフ/日程度で済ませていますが、どうも良くならないのです。もちろんステロイド吸入は30パフ程度行っております。私の疑問とは、苦しさを感じたらすぐメプチンを使っていいのか、或いは当分苦しさを感じなくとも定時間隔で吸入した方がいいのか、そして1日の限度はどれくらいなのか、という事なんです。どうか先生のお考えをお聞きしたく宜しくお願い致します。


平成9年12月21日<応答>

お久しぶりですね。喘息はやはり一筋縄では行かないようですね。でも、一つ一つ問題点を解決し反省して行くうちに必ず自分に最も即した治療法が見えてくるはずです。

メプチンエアーの吸入ですが、あなたの悩みはよくわかります。

これはあくまで私の考えですが、メプチンなどのβ刺激剤吸入を1日何吸入までという注意書きはほとんどが、使いすぎを戒めるためのもので、私の経験では、1日に何吸入してもどうなるものでもないと思います。実際にそういう方が結構いるのです。この場合注意しても聞かない方がほとんどですが…。

ですから、苦しいときは回数を気にせず使って構わないと思います。むしろ今日はもう4回使ってしまったからもう使えないなどと我慢することはもってのほかです。使用回数は厳密に気にしなくて良いですが、要はその状態を長く放置しないことが最も大切です。対策としては、安静を保持する、吸入ステロイドを増やす、点滴を受ける、経口ステロイドを一定期間増量する、などがあります。あなたの場合はもう吸入ステロイドを増やしても仕方がないので、点滴か経口ステロイドの増量が必要です。最も必要なのは一定期間の安静なのですが…。これは、仕事をもっている方には無理なことかもしれませんね。それが、喘息治療の難しい点です。ただ忙しくても自分なりに安静を保てる工夫はできるはずだと思います。

もう一つ、あなたは以前ストメリンDを使っていましたから、メプチンでは弱すぎると思います。ストメリンDやベロテックは問題になっている吸入剤ですが、私はあなたのように長い間これらにお世話になってきた方には、必要な薬剤であると認識しています。ベロテック規制に反対してきたのはそのためです。メプチンを10回吸うよりストメリンDを1回吸った方がずっと効率がいいのです。せめてベロテックでも良いと思いますが…。

メプチンを苦しい苦しくないに関わらず吸入する定期吸入は、5年ほど前に主流であった方法ですが、現在では行われなくなりました。定期的にβ刺激薬を吸入すると気道過敏性が亢進すると言われるようになったからです。苦しいときの屯用が主流です。

良くなったのがまた悪くなってがっかりしているかもしれませんが、この一進一退を繰り返してこそ喘息は良くなるのですから、腐らないで喘息とつきあって下さいね。


平成9年12月22日

早速のお返事ありがとうございます。

言い忘れましたが、最近具合が悪くて、とうとう先週の夜、救急外来で、点滴(サクシゾンの入った250ml程度)を受けてしまいました。これは長年の経験で、これ以上我慢しても良くならないと感じたからです。その結果、少しは好転するきっかけが掴めかたと思っています。

12/27日から1/5迄冬休みに入りますので、それまであと少し辛抱して、その後ゆっくり休養したいと考えています。

とにかくメプチンの使い方については、先生のおかげで不安が解消できました。これを励みに養生したいと思います。

それと、ストメリンDの件ですが、自分としてはもうあまりストメリンDの必要性は感じておりません。といいますのも苦しいときでもメプチン1パフで十分楽になるからです。そしてその時間もストメリンDのときと大差無いと感じられるからです。もちろん、とても苦しいとき(最近では先週がそうでしたが)はストメリンDを使います。まだ2本程度新品がありますのであと何年かはもつでしょう。(それまでに全く不要になっていたいものですが…)ですから、一応必要に応じて使い分けているつもりです。


平成9年12月22日<応答>

状態が悪くて点滴を受けることは、必要なことで何も恥じることはないと思います。ましてや、早めに手を打っていることは極めて重要で、皆さんに是非紹介したいくらいです。

長期休みが取れるそうで何よりです。この「症例紹介」コーナーの(2)の方のように最大限の自宅安静ができるといいですね。

そして来年こそは完全に喘息を克服できますよう、頑張って下さい。

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