◆患者さんの意見◆


●平成12年7月8日。

48歳女性。

我が夫のことし3月発症時から現在の経過です。

専門病院で確定診断して貰ったのですが、本人は簡単に治る病気と未だに思っています。が、私は初期治療の大切さを感じるばかりです。

ガイドライン>我が家の場合:

1) 喘息の診断がついた段階で、BDP: 800 ug〜(+経口ステロイド:セレスタミン)程度の初期治療を行ないました。

2) 経過を観察しながら、ステップダウンを行い、良好なコントロールができる状態を探しました。

→ピークフローメーターの導入

3) FT400 ugを2 ヶ月使用後、吸入ステロイド中止。

→ピークフローメーターでモニタリング継続


●平成12年7月8日。

42歳女性の方。

日本のガイドラインの重症度分類は、やっぱりしっくりきません。週2回以上発作があっても、ステップ2というのは…。

良好なコントロールを維持するために必要なステロイドの量で重症度を分類する”という発想はいかがでしょうか?

1) 喘息の診断がついた段階で、

    BDP: 800 ug〜(+経口ステロイド)

 程度の初期治療を行う。

2) 経過を観察しながら、ステップアップ、ステップダウンを行い、良好なコントロールができる状態を探す。

    →ピークフローメーターの導入

3) 良好なコントロールが維持できる状態に必要なステロイドの量によって、およその重症度を判断する。

ステップ1: BDP: 200 ug程度まで

ステップ2: BDP: 200 ug〜400 ug

ステップ3: BDP: 400 ug〜1200 ug

ステップ4: BDP: 1600 ug〜

または、プレドニン10 mg 相当量
または、プレドニン 5 mg 相当量+BDP


●平成10年11月26日。

26歳女性、大学院修士課程在籍の方。

喘息の診断基準と言うか、「軽症」、「中等症」、「重症」の診断基準、全然良くわからないというか、喘息患者の実態に全く即していませんね。私の場合、発作らしい発作(ぜんめい)がほとんどなくて、咳ばかりでしたが、日常生活はほとんど制限されていました。一時期は、5秒と黙っていられない、(すぐに咳が出てしまう)、夜寝ようとして横になると5時間くらい連続して咳込んでしまう…というのが毎日のように続いていました。でも、きっとこの診断基準によると軽症に分類されてしまうのでしょうかね? 何だかとっても不思議です。


●平成10年7月18日。

(1)日本アレルギー学会の「喘息治療ガイドライン」に対する意見
『Zensoku Web』・AICHAN・40歳・男

・現在のガイドラインは不適切
 日本アレルギー学会の「喘息治療ガイドライン」(以下、「ガイドライン」と記述)は、見たところ医師向けに作られたものだと思う。医師にとって喘息は対処の難しい病気なのだろう。
 喘息患者は、たとえ重症者でも発作のないときはケロリとしていることが多い。聴診器を当てても判然としない人もいる。肺機能検査でもはっきりとした結果が出ない人もいるという。「最初はただの風邪だと言われた」という多くの喘息患者の証言が、喘息診断の難しさを物語っていると思う。
 診察を受けたが喘息と診断されなかったため適切な治療を受けなかったという喘息患者は、おそらく無数にいる。“おそらく”と控えめに書いたが、私の実感ではほとんどの喘息患者はそういう経過をたどって重症化していると思う。『Zensoku Web』に寄せられるメールを読んでいるとそう思わざるを得ない。
 軽度の喘息患者を「喘息です」と診断を下すことは実際には難しいのだろう。そのため、診断基準としてのガイドラインはあったほうがいいと思う。
 ただし、現在のガイドラインでは不十分、というよりは不適切な部分があると思う。現在のガイドラインを参考に診断を下すとすると、喘鳴がなく肺機能検査も異常なしと出た人はすべて「喘息ではない」とされてしまう。しかし、現実にはそういう人でも確かに喘息である場合が多い。また、その時点では喘息ではなくても、喘息になる恐れのあるケースも多いと思う。そうしたケースを拾う(診断する)ことのできないガイドラインは無意味である。
 喘息は初期にこそ十分な治療を施すべき病気だと思う。そうすることによって重症化を防ぐことができるからである。初期に適切な治療を受けていれば重症化せずに済んだというケースは数え切れないほどあると思う。このことは、私自身の体験と『Zensoku Web』に寄せられるメールから判断して確信できる。
 このような現実があることから、診断基準としてのガイドラインとともに、喘息の適切な治療法についてのガイドラインも必要だと思う。
 ただし、これまた現在のガイドラインでは不適だと思う。現在のガイドラインでも軽症から吸入ステロイドを使うように書かれているが、それは一つの選択肢になっているにすぎない。他にも使用薬剤が併記されているので、これでは現場の医師が混乱するに違いない。
 喘息の原因は慢性の気道炎症にあるわけなので、この炎症を取り除く治療がメインに推奨されていなくてはならない。吸入ステロイド療法がそれである。

・“使える”ガイドラインを望む
 一患者として言わせていただけば、ガイドラインはシンプルでいい。喘息の症状を「前段階」「軽症」「中症」「重症」に分け、それぞれの診断基準を定めておく。その基準は主にピークフロー値で決める。治療方法としては、「前段階」から「中症」までは「吸入ステロイド療法をメインに、必要に応じてRTC療法や減感作治療を併用する」とし、「重症」は「吸入ステロイド療法に経口ステロイド療法を併用する」ということで十分だと思う。
 ひと昔前の喘息治療の基本は「発作を抑える」ことにあった。RTC療法等によって発作が出ないようにコントロールすることであった。しかし、喘息の原因が気道の慢性炎症にあるとわかった現在は、コントロールの意味合いが大きく変わった。吸入ステロイド剤によって気道炎症を沈静化させて「発作が出ない状態を保つ」ことがコントロールの意味になった。
 したがって、喘息治療のガイドラインの目的は「喘息の原因である気道炎症を取る」ことであるべきであり、そのための治療法、つまり吸入ステロイド療法の導入がメインになってしかるべきである。
 現在のガイドラインはその目的があいまいである。「発作が出ない状態を保つ」吸入ステロイド療法の重要性を認識しつつも、「発作を抑える」という昔の治療法を大きく引きずっている。喘息治療に必要なガイドラインは「発作が出ない状態を保つ」吸入ステロイド療法の導入を前面に打ち出すものでなければならない。その方向で作り直すことが急務だと考える。

・吸入操作についての記述も重要
 ガイドラインは、吸入ステロイド療法をメイン治療法に掲げたものにしなくては喘息治療には役立たない。しかし、吸入ステロイド療法の導入を推奨するだけでは不十分である。適切な吸入量の提示と正しい吸入操作についての説明が不可欠だと考える。
 吸入ステロイド療法の効果に疑問を持つ医師、患者は多い。それは不十分な吸入量と不適切な吸入操作のせいだと思う。
 吸入量に関しては、例えば現在のガイドラインの「軽症」の治療項目には吸入ステロイド剤の吸入量を200マイクロミリグラムと提示している。一般的な吸入ステロイド剤であるアルデシンで言うとこれは4吸入である。ベコタイド100で言うとわずか2吸入になる。これで果たして効果が出るかどうか疑問である。
 「重症」の場合でも最大で1日16吸入と提示されているが、人によってはこれでも不十分なことがあると思う。副作用を恐れて控えめの吸入量を提示しているのだろうが、ほとんど副作用のないことはすでに証明されているので、提示する吸入量はもっと多くしてよいと思う。いや、多くしなければ現実にそぐわないガイドラインになってしまうだろう。
 また吸入操作については記述がどこにもない。吸入ステロイド剤は、正しく吸入しないとほとんど効果が出ない。スペーサーを使用して1回ずつゆっくりと吸入し、10秒程度の息こらえをする必要がある。吸入後のうがいも必須である。スペーサーなしで直接、口の中に噴霧して勢いゆく吸入してすぐ息を吐いては、おそらく効果はまったく期待できないであろう。吸入後にうがいをしなければカンジダ症になる恐れがある。
 したがって、ただ単に吸入ステロイド療法の導入を薦めるだけではなく、その吸入方法についても詳しい説明を紹介する必要があると考える。

・“患者第一”の視点で作ってほしい
 ガイドラインを作り直すとすれば、製薬会社、行政、医師の利益を抜きにしたところで行われなくてはならないと思う。
 ガイドラインの目的は「喘息の原因である気道炎症を取る」こと、つまり吸入ステロイド療法の導入がメインになって当然である。この当たり前のことが長らく前面に出されずにきた。それはなぜか?
 その理由のひとつは吸入ステロイド剤の副作用に対する懸念があったことだろう。しかし吸入ステロイド剤に副作用がほとんどないのはすでによく知られている。
 理由のふたつめは、製薬会社の思惑であろう。吸入ステロイド療法一本になると多くの製薬会社は困る。特に抗喘息薬や抗アレルギー剤といった新薬は開発に膨大な金がかかっているので、今さら「必要ない」と言われても製薬会社にしてみれば承服するわけにはいかないだろう。製薬会社に支援を受ける政治家や医療関係者も同じ思惑を持つだろう。
 したがって、ガイドラインの作り直しは、そうした“関係者”の影響のないところで行われる必要がある。
 ガイドラインは喘息治療のために存在するものである。とすれば患者のために作られたものでなければならない。自分たちの利益のみを考える人々が介入しては、またしても現実に即しないガイドラインになってしまうだろう。

・これからの喘息治療のために
 ガイドラインの作り直しは重要だが、それは喘息治療に関する正しい情報の伝達の一環として行われるべきものだと考える。
 喘息に対する誤解や偏見は、一般人だけでなく医師の間にさえまだ根強く存在する。前述したように吸入ステロイド剤の副作用に対していまだに大きな懸念を持つ医師は多い。そうした医師たちの啓蒙は急務である。一人でもそういう医師があれば何十人、何百人もの喘息患者が苦しむことになるからである。
 喘息、または喘息治療に関する正しい認識を医師間に徹底させることは何にも優先して行われなくてはならない課題であろう。
 また、製薬会社や医療行政も良識ある行動を取らなくてはならない。ほとんどの喘息は吸入ステロイド剤だけで十分に治療可能なことがわかった今、自分たちの利益のみを考えて「あまり効かない」「少なくとも喘息の原因を取り除く働きのない」薬を政治的力を借りて売り込むのは人倫にもとる行為である。
 抗喘息薬や抗アレルギー剤も、必要とする人はいる。だから存在価値はあるが、それらを喘息治療薬のメインであるかのごとく錯覚させるような売り込み方は控えるべきである。実際に処方する医師も、本当に必要な薬だけを処方するという良心を忘れないでいただきたい。
 そして患者も、喘息治療に関する正しい知識をどん欲に吸収し、治療について自らの考えを医師に提示できるほどになる必要があると考える。そのような患者の努力は医師の意識を高め、より効果的な治療へと結びついていくに違いない。


●平成10年7月16日。

(1)『喘息治療ガイドラインについて』

まだ私が喘息治療について情報収集のためにいろいろなホームページを見て回っていたときにもこのガイドラインを見ました。

正直なところ「わかるようなわからないような」と言った内容だと思いました。「臨床症状の特徴」は、患者が読んでもピンとこないのではないでしょうか?

私なども発作の回数は軽症でも睡眠は妨げられることもありますし、1週間に起きる発作は2回以下でも1ケ月単位でみると夜間の発作は2回以上あったり、「症状の特徴」だけを読むと自分が軽症なのか中等症(step2)なのか判断しかねます。(ある程度喘息について勉強しない限り患者がPEF値を参考にすることは少ないと思うので…)

PF値を参考にすると私は「軽症」だと思いますが、「治療」の欄に関してもこれを見て自分は適切な治療を受けているのかどうか、わかりにくいです。

私は最初、自分では「喘息じゃないか?」と思っていたのに、どこの病院に行っても「風邪のせいでしょう」という感じで言われてしまって、でも梅雨や秋になると発作が出るし咳は止まらないし困った挙げ句、インターネットで情報収集して、喘息とはどういうものでどういう治療が効果的かを知り適切な治療をしてくれるお医者さんをやっとのことで見つけましたから、もし患者にわかりやすく患者のためのガイドラインがあったら私のように病院探しに困っている人の役に立つかもしれないなと思いました。

それにしても、このガイドラインは専門医の先生なら自分の知識と経験をプラスして利用できるかもしれませんが、専門でないお医者さんの役に立つのでしょうか? 素人目に見ると疑問に感じるのですが…、現に私は3つの病院で「喘息」とは診断されませんでしたが、その理由がどこも「喘鳴がない」からということでした。それでも気管支拡張剤を出してくださる病院はまだしも、咳止めと去痰剤だけで終わってしまう病院もありました(それが、なんと呼吸器科と書いてある病院なんです)。

患者からしてみれば初期症状のうちに適切な治療をしてもらうことが一番です。初期症状のうちほど「喘息」との診断が難しいようですが、患者側が、まず行く病院は近くの内科であって、最初から専門医にかかることは少ないと思いますから、そういう初期症状の参考になるようなガイドラインがあって、どこの内科にかかっても最低限の適切な治療と指導、アドバイスを受けられるようになると良いのになと思います。

(2)ガイドラインについて

ガイドラインとは、先生がホームページに載せていらっしゃる“長期管理に関する表”だけを指すのでしょうか?

今回、改めて、“成人喘息に関するガイドライン(1995年改訂版)”の全文を読み直してみました。“患者が喘息に対してどのように対応すべきか?”について、具体的に記載されているように、感じました。

特に、

(1)発作の時の家庭での対応方法
(2)どのような症状が現れた時、緊急をようするのか
(3)発作時の経口ステロイドの頓用について(ステップ4の場合)

に関して、具体的に書いてあるような印象を受けました。

ガイドラインの文面からは、“患者が喘息のことを正確に理解し治療に積極的に参加すること”を支持しているように感じられたのですが…。間違いでしょうか?

ガイドラインの内容が、“玉虫色”であるというご批判は、専門家の先生の間ではあるのかもしれません。

しかし、患者の立場から考えると、

“ガイドラインの治療指針を基本にしながら、それぞれの人に対応した治療方針を主治医の先生と一緒に探していく”

ことが、大切なことのように思いました。

“患者が治療に積極的に参加すること”

をガイドラインが否定してはいないと思います。