<フルタイドの特徴>

平成10年11月末に新しい吸入ステロイド・フルタイドが発売されました。以下のような特徴を有する優れた薬剤です。フルタイドには50、100、200の3種類が用意されています。

(1)粉末の吸入ステロイド:

従来のベコタイドやアルデシンと異なりフロンガスを使っていませんので、環境に優しい製剤です。粉末ですが吸ってもむせることはありません。

(2)簡単な吸入操作:

一気に吸入しますので、1回の操作が短時間で終了します。これまでのような、ゆっくりした吸入や長い息こらえは不要です。うがいは従来通り必要です。

(3)強力な抗炎症効果:

従来のベクロメタゾンの2倍の抗炎症作用があります。さらに同じ量を吸入してもベクロメタゾンへの気管支粘膜への到達率が良好なので、臨床効果は4倍の効果があるとされています。
例えば、これまでベコタイド100で1日8吸入(=800マイクログラム)で維持してきた方は、フルタイド200で1日1回(=200マイクログラム)〜2回(=400マイクログラム)で維持可能になります。すなわち、たった1日1〜2回のみの少ない吸入で十分です。

図1:気道過敏性への影響
 →気管支の過敏性を改善させます。

図2:基底膜への影響
 →気管支のリモデリングの指標とされる基底膜の肥厚を抑制します。

図3:臨床治験からの脱落率
 →フルチカゾンを使用しないと発作などを起こし、トライアルから脱落する率が増えますが、フルタイドは濃度依存性にその脱落を防止(残存率を向上)します。

図4:ピークフロー値の増加
 →フルタイド200ugではベコタイド400ug以上のピークフロー値増加作用があります。

(4)少ない全身副作用:

これまでの吸入ステロイドも経口薬に比べて少ない副作用でしたが、フルタイドはさらに副作用が少ないとされています。

図5:骨代謝への影響
 →骨代謝の指標とされる2つの物質の量に影響を与えません。

図6:血中コーチゾルへの影響
 →副腎皮質の機能を反映する血中コーチゾル濃度への影響はありません。

(5)経口ステロイドの減量効果:

これまで経口ステロイドから離脱できなかった方でも、フルタイドを使うと減量あるいは中止が可能です。

図7:経口ステロイドからの離脱率(1)
 →経口ステロイドの増量を余儀なくされるような方でも、フルタイド使用で傾向ステロイドの減量または離脱が可能です。

図8:経口ステロイドからの離脱率(2)
 →経口ステロイドを使用している患者さんの約90%が減量または離脱が可能です。

(6)小児への適応:

欧米では、4歳以上の小児ですでに使用され、すぐれた効果と安全性が証明されています。希望があれば、小児喘息へも処方可能です。

(7)タバコによる肺疾患への効果:

慢性肺気腫や慢性気管支炎などに多い咳・痰や息切れなどの症状を和らげ、呼吸機能を改善するという報告があります。ただし、だからタバコを止めなくてもいいかというとそれは別問題です。

(8)処方上の問題点:

発売後2年間は、1回の診察で7ディスク(1ディスクには薬の入った穴が4つあります)までしか処方できません。この量は、これまでベコタイド100で1日8吸入してきた方は、フルタイド200だと1日2吸入で十分ですのが、2日で1枚使いますので、7枚では2週間しかもちません。しばらくは2週間に1度は病院を受診しなければなりません。

(9)その他:

吸引力の弱いお子さんや年輩の方はうまく吸えないかもしれませんので、その際は主治医へご相談下さい。