オーダリング開始以前、血液凝固の検査結果への電話での問い合わせのなかでPT(INR)と言いますと、「PT
アイエヌ? えっ? あの、申し訳ありませんが報告書を再発行して気送子で送って下さい。」という場面を何度か経験しました。
現在、当検査室はPT(プロトロンビン時間)の結果を秒数、PT(Ratio)、PT(INR)の3種類で報告しています。患者秒数のみでは病的意義の評価がむずかしいので、患者秒数を正常者秒数で割った、PT(Ratio)で報告しますが、この値が1.0より数値が大きくなるほど凝固時間の延長を意味します。しかし、この検査は@正常秒数の決定方法
A使用する試薬の種類(由来する動物や臓器の違い)B使用する機器の種類などによって結果が大きく異なるなどの問題点が指摘されており、これを是正するためにPT(INR:
International Normalized Ratio) が使用されるようになりました。
これは、PT(Ratio)に試薬ごとの国際感度指数 (ISI: International Sensitivity Index)
を乗じた値で、以下のように計算されます。
例えば、患者秒数16.4秒、正常者秒数12.1秒では、現在当検査室で使用の日本ビオメリュウ社、シンプスチンLのISIは2.00ですから、以下のように計算されます。
INRの基準値は0.8〜1.0ですから、この患者の凝固能は低下していることを意味します。最近では、学会発表や論文投稿時にこのINRで結果表示をしないと認められなくなってきています。計算式からわかるように、PT(INR)
は従来の検査結果に試薬ごとのISIを乗じているだけですから、別の採血を必要とするわけではなく、また保険点数で査定されることはありません。
INRに関する問い合わせは凝固検査室(内線 3632)までご連絡ください。
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