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細菌検査室・小畑 律子 |
MRSAをはじめとする薬剤耐性菌は世界的に蔓延しつつあり、岩手医大においても現実的な脅威となっています。岩手医大における最近の耐性菌の分離状況を表に示しました。 |
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MRSA |
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MRCNS |
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PISP |
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PRSP |
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BLNAR |
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ESBLs 産生菌 |
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MBL 産生菌 |
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MDRP |
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VRE |
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※ 本院, 歯学部附属病院, 循環器センター, 花巻温泉病院を含む、 2004年のみ1月から6月まで、 (カッコ内)は提出件数10,000件あたりに換算した分離数 |
MRSAの分離株数は年々減少していますが、検査部へ提出される検体数も年々減少していますので、検出検体総数で補正すると耐性菌の割合は増加していることがわかります。Stahylococcus aureusの中のMRSAが占める割合は60〜70%でほとんど変化がありません。最近、院内で問題となっているメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生菌は、2002年に初めて検出されて以来、現在まで15例が分離されました。MBLやESBLs産生菌は、岩手医大の場合、重篤な疾患や免疫力が低下した患者様に多く、レスピレータや尿道カテーテルのデバイスの留置がされていました。これらの耐性菌はほとんどの抗菌薬に抵抗性があるため、治療が困難になる場合があります。また、耐性菌の遺伝子はプラスミド性のため、菌種を越えて菌から菌へと伝達されるため院内感染の原因となり注意が必要です。薬剤耐性菌を増加させないため院内抗菌薬適正使用ガイドラインに基づいた適切な抗菌薬を使用し、院内感染対策基幹マニュアルに基づいた接触感染予防策の徹底が必要であり、院内感染防止のために病院全体で取り組んでいくことが今後ますます重要と思われます。 |
MRSA MRCNS PISP PRSP BLNAR ESBLs MBL MDRP VRE |
(Methicillin-resistant
Staphylococcus aureus メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) (Methicillin-resistant coagulase negative Stahylococcus メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌) (Penicillin intermediate Streptococcus pneumoniae ペニシリン中等度耐性肺炎球菌) (Penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae ペニシリン耐性肺炎球菌) (β-lactamase negative ampicillin resistant Haemophilus influenzae β-ラクタマーゼ陰性アンピシリン耐性ヘモフィルス属) (Extended-spectrum β-lactamase拡張型β-ラクタマーゼ) (Metallo-β-lactamase メタロ-β-ラクタマーゼ) (Multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa 多剤耐性緑膿菌) (Vancomycin-resistant Enterococcus spp バンコマイシン耐性腸球菌) |
生化学検査室, 尿検査室・中居 惠子 |
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