岩手医科大学臨床検査医学講座

第7号 〜



これからの検査部は... ◇

中央臨床検査部・後藤 健治 

 

 1978年検査技師学校を卒業しこの仕事を始めた頃、診療報酬はまだ出来高払いに近く検査室は病院収入に大きく貢献できた時代でありました。生化学を始めとする多くの自動分析機が検査室に導入され多検体多項目処理が行われてきました。27年たった現在では度重なる医療法改正によるマルメ・包括化そして日本版DPCの導入により検査部の収入が把握しづらくなってきました。臨床検査は出来高払いから包括化、生産性から非生産性部門に移行しつつあるのが現在の検査部です。
 コスト削減・精度向上が求められるなか病院経営に参加しない、経営改革に取り組もうとしない検査室にはブランチ・FMSなどのアウトソーシングが容赦なく導入されてきました。当検査部をみると昨年11月の免疫検査分析装置ロシュモジュラー・アナリティクスの導入、今年2月には生化学自動分析装置BioMajesty2250を含むOpenLA21 CLINILOG Ver.3、検査システムCLINILAN Ver.7に更新され検査の迅速化・診療前検査が、また自動分析機が機能的、適正に配置運用された事によるスペースの有効活用が可能となりました。物理的壁がある中、可能な限り検体部門を統合・集約し臨床側からの要望の高い生理機能検査の充実を図る必要があります。
 今後、検体部門はEBMに基づいた医療が展開されることより、従来から行われている検査の精度管理は当然のことながら、検査データの品質管理、報告される検査結果の品質保証を行わなければなりません。検体を受け取り測定・報告するだけではなく採血時から大きく関わることが必要となります。
 「臨床検査技師・衛生検査技師等に関する法律」改正案が国会を通過し、1年以内に施行予定となりました。臨床検査技師は検査技術・検査機器の高度化、複雑化に十分対応できるよう資質の向上に努めなければならないと記されています。病院管理部門から何が求められているか、臨床側が何を必要としているかを考え行動し、「開かれた検査室」構想をより充実させ、依頼する医師、患者様にとってより目的にかなった医療サービスが提供できるよう柔軟な体制を作り、日常業務を改善・改革して行きたいと考えています。



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