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私は盛岡と東京を新幹線でよく往復する。盛岡・東京間の料金は、乗車券が8,190円、自由席特急券が5,140円となっている。特に「はやて」が運行してからは、盛岡・東京間の所要時間は2時間20分となり、午後に東京で会議がある場合、午前中に診療してから盛岡を出発して会議に出席し、最終の新幹線で盛岡に戻ることも可能となった。もしこの新幹線がなかったらどうだろう。午前中の診療を休み、朝一番で盛岡を出発して6時間位かけてくたくたで東京に到着。会議出席後は列車がないので一泊。翌朝1番の列車で盛岡へ向けて出発。盛岡到着は早くても昼過ぎになってしまうだろう。あらためて新幹線の恩恵に感謝である。これだけの恩恵があれば、特急料金5,140円を払うことに不満をいう人間はあまりいないだろう。![]() ![]() これを日常の臨床検査で考えてみよう。以前は、外来を受診すると、医師の診察終了後、採血室で採血し、検査結果は2週間後という具合になっていた。これに対し、我々検査専門の医師や検査技師は、機器・試薬メーカーと協調し、検査スピードアップの努力を積み重ねてきた。その結果、診察前に採血をすれば、1時間前後で結果が出され、その結果に基づいて治療方針が決定できるようになった。患者様は、2週間後に結果を聞きに来る必用がなくなり、その分会社を休まなくて良いので社会の生産性への貢献も大きい。また、正しい検査結果が出れば、それに基づいた正しい治療が行われるので、医療安全面での寄与も計り知れない。 しかし、これだけ患者様に恩恵のある迅速検査の料金に差別はなかった。鈍行列車と新幹線の料金が同じだったのである。これに対し、日本臨床検査医学会では「外来迅速検体検査実施加算(要望では50点)」の要望書を厚労省に提出し、平成18年4月からの診療報酬改定に盛り込まれる見込みとなった。これは我々検査部にとっては何よりの朗報であり、検査の外注化が加速する中で、病院検査室の存在意義を高める良いチャンスであると思う。なぜなら外注検査ではこのように診療前に迅速に検査結果を返すことは不可能だからである。これまでの検体検査は大量の検体をさばくことに重点が置かれてきた。しかし、今後はより正確な検査結果をより迅速に臨床側に返すこと、すなわち検査の質の時代に突入すると言えるだろう。その意味で、我々も現状に妥協することなく、より多くの検査項目をより迅速に結果が返せるように研鑽を積んでいきたい。 |
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