(1)私の喘息はどの程度でしょうか?

【075】25歳女性(大学院修士課程)の方から

<質問>

こんにちは。初めまして。

相談したいことがありメールしました。

相談内容は、

1.私はぜん息なのかどうか?
2.現在の治療は適切かどうか?
3.ぜん息だとしたら程度はどの位か?

…等についてです。他の方の相談のメールを見ていると、「ぜんそく」と診断されるまでに、皆さんながーい経過をお持ちですが、私も類に漏れず「何だか息苦しい」「どうしてだろう」と、様々な医療機関へ足を運びましたが、なかなかわかってもらえず、苦しい経験をしました。ちょっと長くなるのですが、わかってもらえない医療機関に対する恨み(?)を浄化させるためにも、書いてみたいと思います。

<今までの経過1:何となく息苦しい時期>

1998年1月(今年の1月)、このころものすごくはやったインフルエンザにかかり、39度近くの熱を出しました。病院に行って、熱は治まったものの、後半にはものすごい咳が出て、話などをしてもすぐせき込み、3分くらい止まらない状態がかなり長く続いたことを覚えています。でも、もともと風邪を引くと、熱が治まった頃に咳がひどくなり、よく病院で咳止めをもらっていたため、「まあ、そのうち治るだろう」と思って、今回も病院で咳止めなどを処方してもらっているうちに咳は出なくなりました。

咳が出なくなってから、また普通に生活していましたが、今年の2月位のある時、「そういえば、何だか最近、朝方に息苦しくて目が覚めるよなあ…」と気づきました。朝の3時や4時くらい、眠っていると夢の中でものすごく息が苦しくて、呼吸をしていないのです。そして、目覚めるとやっと息が吸えるのです。「もしかして、最近はやり(?)の睡眠時無呼吸症候群かなあ」「そういえば、日中でも痰もからむし、特による寝る前は痰がからんでるよなあ。のどの炎症があるのかな?」と思っていました。そうこうしているうちに、息苦しくて眠ることができない(ちょっとうつらうつらすると息苦しくて目が覚める…の繰り返し)ようになり、近所の耳鼻科を受診しました。「あー、のどが腫れて炎症を起こしていますね」…ということで、「抗炎症剤」と「抗生物質」を処方されて飲むことになりました。2週間くらい飲み続けても、あまり症状に改善が見られず、4月、一晩中苦しくて眠れないまま「これは、何かあるのかも」と思って、総合病院の内科(割と大きな所)を受診しました。ここでは、問診とレントゲンを撮って、「レントゲンには異常が無いねえ。ぜん息だったら、もっと明らかにわかる発作があるし…」ってな感じで、「息苦しいというのは、精神的に何かが押し迫ってくる感じなの?」とか言われて(えー…本当に呼吸してないんだけどな…それに痰も絡むし)と思ったのを覚えています。まあ、とりあえず「内科的には何も問題がない」と言われたので、ちょっと安心をして耳鼻科の治療を専念することにしました。5月にはいると、かなり症状が安定してきて、夜中苦しいことも少なくなりましたが、耳鼻科から処方された薬が切れるとすぐにまた苦しくなるので、あししげく耳鼻科に通っていたことを覚えています。耳鼻科で処方された薬の名前は、メモをしていなかったので詳しくはわかりませんが、「クラリシッド」や「ルリッド」だったと思います。

<経過2:せきが止まらない>

そうこうしているうちに8月になり、耳鼻科のお医者さんに「ずいぶん長い間抗炎症剤を飲んでいて、副作用が出てしまうから、もう内服薬は止めて、通院して吸入をしましょう」と言われ、「えー…でもまだ息苦しいのに…」と言ったのですが、聞き入れてもらえず、薬を処方してくれなくなりました。

薬を飲まなくなって3日目くらいに、突然せきが出始めました。耳鼻科のお医者さんは「のどの炎症のせいだから」といって、相変わらず何の処置もしてくれず、不信感がつのりました。

そのまま、忙しかったせいもあり、耳鼻科には顔を出さなくなり、その間ずっとせきが出続け、時にはせきが止まらなくて息苦しくなることも。8月下旬には、話をして笑ったり、ちょっと埃っぽい空気を吸うだけで、せきが止まらず、一日中せきをしている状態になりました。特に、夜中や、横になるとひどく、せきで目が覚めることも。

<経過その3:呼吸器科受診、ぜんそくじゃないの?>

1ヶ月近くせきが出続けた8月、さすがに苦しくて、今度は総合病院のかなり大きな所の呼吸器科を受診しました。この頃には、「名医のわかりやすいぜんそく」等を読んでいたので、ぜん息が必ずしも喘鳴を伴うものでは無いと言うこと等、学習していて「私、ぜん息なんじゃないかな」と思っていたので、「ああ、やっぱりなあ。でもこれでやっと治療をしてもらえる…」とすごくほっとしたのを覚えています。その日には、血液中のアレルギー検査と喀痰検査と、薬をもらって、2週間後にまた受診するよう指示されました。(2週間分)。

出された薬:

 ・オノンカプセル(朝・夕2錠)抗アレルギー薬
 ・テオドール100ミリ(朝1錠・夜3錠)気管支拡張剤
 ・サルタノールインヘラー 噴射式気管支拡張剤

<経過その4:でもやっぱり苦しい!>

何だかほっとして帰ってきたのもつかの間、処方された薬を処方通り飲んでも、吐き気がするだけで、咳も止まらない。また、痰が奥深く乾き、出しづらくて、鼻水も止まらなくなった。鼻水の中には、黄色い、細長い痰が混じっていて、「名医のわかりやすいぜんそく」で見た、ぜん息の死亡患者の気管支に詰まった痰の写真を思い出させた。サルタノールも、咳がひどくていまいち効いているのかわからない。「このまま、痰が詰まって死んでしまうの…?」「何だかよけいに苦しいぞ」…こう思った私は、お友達の看護婦さんに症状を話したところ、「病院に行って、去たん剤もらうと楽になるよ」と言われ、苦しくて眠れなかった夜に休日診療の病院へ行ったのです。そこでは、割とゆっくりと話を聞いてくれ、また診察の間中ものすごい咳をしていたのを観察し、「咳ぜん息ではないか」とのこと。レントゲンも撮ったのですが、やはり異常はなかったようです。

今までもらっていた薬に加えて、

 ゼスラン(抗アレルギー剤)
 レアノール(気管支拡張剤)
 フスタゾール(咳止め)
 ブローミー(去たん剤)
 (3日分、全て1日3回、1錠ずつ)

また、テオドールを1日3回飲むよう指示されました。

咳の量が減り、痰も柔らかくなって出しやすくなりました。でも、その次の日、咳のしすぎで、肋骨が痛くなり、外科を受診。漢方薬と胸に巻くベルトを処方される。まあ、今は全く痛くなくなったので、これはもうOKです。

<経過5:去たん剤なくなる>

休日診療でもらった薬が、3日で終わってしまったため、近所の別の病院に行く。(休日診療の病院は、その時ちょうどお休みだったし、総合病院も2週間後の予約だったので)

 ・アトック錠40(気管支拡張剤)
 ・アスベリン錠20(咳止め)
 ・ムコソルバン錠15(去痰剤)
 ・ジョサマイシン錠200(抗生物質:感染症の薬)

を4日分処方される。でも、ちょっと息苦しくて、痰が出しづらくなったのを覚えています。そうそう、そしてこの薬を全部飲むと(オノンとテオトールも一緒に飲むよう指示された)、動悸が激しくなり、吐き気がし、手が震えてしまい、余計に具合が悪くなってしまったのです。看護婦の友人に相談したところ、「テオドールの量が多すぎるのでは?」とのこと。また、「名医のわかりやすいぜんそく」にもテオフィリンの血中濃度が高すぎると上記のような副作用が出ると書いてある。素人判断で申し訳ないが、主治医に相談する時間も無いし、テオドールの量を(朝1錠・夜2錠)に減らしたところ、上記の副作用は無くなった。

やっと、予約していた総合病院の呼吸器科を受診する日が来ました。「どうでしたか?」と聞かれ、この2週間の経過を伝えると、「じゃあ、僕の出した薬は効かなかったんですね…」と、ちょっと不満そう。アレルギー検査の結果、アレルギーはなかったとのこと。また、痰の検査の結果でも好酸球の量は多くなかったらしい。主治医は、「おかしいですねえ…」と、考え込むこと50秒。でも実は、この喀痰検査、すっごくたんが切りづらかった時で、(去たん剤をもらう前)、無理してたんを出そうとすると、苦しくて吐きそうになったので、量が少なかったのです。

そんなこんなで、私は学生であるため時間的な余裕があり、また○○でひとりでいるのもつらかったので、1ヶ月ほど△△の実家に帰って療養しようと思っていたので、「紹介状を書いて下さい」というと、「でも、別に診断めいたものはできないなあ」と、ちょっと渋っていたけれど書いてくれました。

そして処方された薬。(2週間分)

 ・テオドール(朝・夜1錠ずつ)
 ・コルドリン(朝・昼・晩1錠ずつ)
 ・ムコソルバンL(晩1錠)
 ・エリスロシン200(朝・晩1錠ずつ)
 ・ツムラ竹じょ温胆湯(チクジョウンタントウ)(朝・昼・晩1袋ずつ)

<経過6:夜になるとせき込む>

9月に△△に帰ってきた私は、久しぶりの実家で、ほっとした日々を過ごしました。この頃は、ちょっとずつ量は減ってはいるものの、やはり咳とたんがひどく、特に夜は咳で眠れないほどです。でも少しずつ良くなってきているし、空気の良い△△でのんびり過ごせば良くなるだろう…と思い、調子の良い日中にはプールに行ったりして過ごしていました。

<経過7:やっと、現在の状態>

そうして、△△の病院に行ってみたところ以下の薬が処方されました。

 ・フスコデ錠(咳止め:リン酸コデイン、塩酸エフェドリン配合)
 ・ペクタイト錠(去たん剤)
 ・クラリシッド錠200ミリ(抗生物質)
 ・テオドール100(朝1錠・夜1錠)
 ・頓服薬としてリンコデ100倍散「ヒシヤマ」

これらの薬を飲んだ所、日中のせきはほっとんど無くなり、夜せき込むこともすごく少なくなりました。せきが止まらなくなったときには「リンコデ」を飲むとだいたい止まります。

しかし、せきは無くなったので日中はかなり普通通り生活できるようになったのですが、夜中の1時くらいから朝の5時くらいまで、今度はまた息苦しさが復活してきました。「ぜーぜー」というよりは、息を吐くときに「ひゅー」とか「すー」と言うのです。でも、呼吸の回数は多くはなく、むしろ息が吸いづらくかつ吐き出しづらいため、深呼吸じゃないと息を吸った気がしません。また、横になると余計に苦しく、気管が締め付けられるような感じです。のどに異物感があり、呼吸を重ねると、吐き出せなかった空気が気管にたまってきて、それがまた苦しく、無理をして「げっぷ」でたまった呼吸を出すと、2秒くらいは楽になります。また、テオドールは、夜2錠、朝1錠に変えてもらいました。この時になって、夜中息苦しかったときにサルタノールを試してみたところ、「あー確かに楽になった…」のです。でも、本に書いてあるような「大発作!」とかいう感じではなく、どちらかというと常に息苦しい感じで、夜になるとその度合いが50パーセント増しになる、といった感じです。

というような状態なのです(すいません長くて)。先ほど出したように、質問は、

1.私はぜん息なのかどうか?
2.現在の治療は適切かどうか、また、他によりよい治療方法があるかどうか?
3.ぜん息だとしたら、ぜん息の程度はどの位か?

ですが、私は学生で時間の余裕はあるためか、日々ぜん息関係の本や、薬の本を読みあさっています。今話題の、「ぜん息日誌」や「ピークフロメーター」、「吸入ステロイド」にもすごく興味があります。もう、この苦しい毎日から逃れられるなら、日記だってつけるし、ピークフローも計るし、吸入だってしてやるぅ…(笑)。

あと、本では肺機能検査とか載っていますが、そういった検査は一度も受けたことがありません。また、喀痰検査ももう一度行いたいです。今度○○へ帰ったら、じっくりと治療に取り掛かりたいと思っています。

余談ですが、ぜん息検定試験(だっけ?)満点、本当にうれしかったです。また、コメントも誠意を感じました。正直に言って、ここ2ヶ月、体調が悪くて気分も落ち込みがち、夜は苦しくて朝方5時くらいにならないと症状が治まらないため、寝付けず、そうすると完全自由時間のためついつい朝寝坊になりがちで、家族からは「怠けている」とか「だらしない」と思われてしまい、またそこですごくつらい思いをしています。素直に「息苦しくて眠れない」と言えば良いのですが、甘えたくないプライドとか、あるのか意地を張ってしまい、「言わなくてもわかって欲しい」と思って泣いてしまったりしています。(ああっ! 不安定だあ! 子どもじゃないんだから言わなきゃわからないとは思っているんですけどね…とほほ)でも、メールをいただいて、何だかとても元気が出てきて「生への欲望」がむくむくと沸き上がりました。もう、よりよい状態になるためになんだってしてやるー! ありがとうございます。

ちなみに私は、「臨床心理学」の勉強をしていますが、今回の一連の出来事は、「援助」とか「医療」というものを考えさせられる良い機会でした(…って、まだ終わってないけど)。患者が、本当に必要としていることはなんなのか。実感させられました。

そうそう、もう一つ質問。

ぜん息患者さんは、夜苦しくなりがちなため、昼夜逆転してしまいがちと聞きました。また、鬱状態になる患者さんも多いそうですね。私のように、時間の融通がきく場合、夜苦しくて眠れなくて、朝6時くらいに寝てしまう場合、無理してでも次の日早くに起きた方がいいのでしょうか? 規則正しい生活が健康に良いなんて100も承知だけどさあ…、やっと眠れて、しかも睡眠は息苦しいためどうしても浅くなりがちで、ついついだらだらと寝過ごしてしまいます。

では、大変長々と、申し訳ありません。

<応答>

はじめまして。

>>(経過1)ここでは、問診とレントゲンを撮って、「レントゲンには異常が無いねえ。…ぜん息だったら、もっと明らかにわかる発作があるし…」ってな感じで、「息苦しいというのは、精神的に何かが押し迫ってくる感じなの?」とか言われて(えー…本当に呼吸してないんだけどな…それに痰も絡むし)と思ったのを覚えています。

→こういうケースが非常に多いですね。動脈血液(酸素)検査や呼吸機能検査は行っていませんでしたね? 初期には何も出ないことがありますが、たとえ正常でも、気管支拡張剤を吸入するとぐっと値が良くなることがあります。これは、気管支喘息の特徴です。

精神的なものと断定するには、もっと検査をして、他に病気がないことがわかってからにして欲しいものですね。

>>とりあえず「内科的には何も問題がない」と言われたので、ちょっと安心をして耳鼻科の治療を専念することにしました。5月にはいると、かなり症状が安定してきて、夜中苦しいことも少なくなりましたが、耳鼻科から処方された薬が切れるとすぐにまた苦しくなるので、あししげく耳鼻科に通っていたことを覚えています。耳鼻科で処方された薬の名前は、メモをしていなかったので詳しくはわかりませんが、「クラリシッド」や「ルリッド」だったと思います。

→内科的には、そう重篤な病気でないことがわかっただけですね。「クラリシッド」や「ルリッド」は抗生物質ですが、それが効いていたというと、いわゆる感染型喘息で、細菌感染がなかなか取れず息苦しさの原因となり、抗生物質をやっているうちは何とか増悪を抑えていたのが、投与を止めるとまた再燃する、という場合です。このような場合、喘息(だと仮定して)による気管支炎症を同時にとってやらなければ、なかなか感染の方も良くなりません。

>>(経過2)そうこうしているうちに8月になり、耳鼻科のお医者さんに「ずいぶん長い間抗炎症剤を飲んでいて、副作用が出てしまうから、もう内服薬は止めて、通院して吸入をしましょう」と言われ、「えー…でもまだ息苦しいのに…」と言ったのですが、聞き入れてもらえず、薬を処方してくれなくなりました。薬を飲まなくなって3日目くらいに、突然せきが出始めました。耳鼻科のお医者さんは「のどの炎症のせいだから」といって、相変わらず何の処置もしてくれず、不信感がつのりました。

→症状があるのに、投薬を中止するのは困りますね。副作用が心配なら他の薬剤に変更するとかくらいはして欲しいものです。

>>そのまま、忙しかったせいもあり、耳鼻科には顔を出さなくなり、その間ずっとせきが出続け、時にはせきが止まらなくて息苦しくなることも。8月下旬には、話をして笑ったり、ちょっと埃っぽい空気を吸うだけで、せきが止まらず、一日中せきをしている状態になりました。特に、夜中や、横になるとひどく、せきで目が覚めることも。

→こうした期間が多くの喘息の方では、何年も続くようです。そうしているうちに真の喘息が顔を出してくるのでしょう。

>>(経過3)1ヶ月近くせきが出続けた8、さすがに苦しくて、今度は総合病院のかなり大きな所の呼吸器科を受診しました。この頃には、「名医のわかりやすいぜんそく」等を読んでいたので、ぜん息が必ずしも喘鳴を伴うものでは無いと言うこと等、学習していて「私、ぜん息なんじゃないかな」と思っていたので、「ああ、やっぱりなあ。でもこれでやっと治療をしてもらえる…」とすごくほっとしたのを覚えています。その日には、血液中のアレルギー検査と喀痰検査と、薬をもらって、2週間後にまた受診するよう指示されました。(2週間分)。

出された薬:
 ・オノンカプセル(朝・夕2錠)抗アレルギー薬
 ・テオドール100ミリ(朝1錠・夜3錠)気管支拡張剤
 ・サルタノールインヘラー 噴射式気管支拡張剤

→最初の質問、「私はぜん息なのかどうか」については、この投与薬を見る限り、立派な喘息ですね。これらの処方で良くなるのであればいいのですが、不十分なら早めに吸入ステロイドを使うべきでしょう。

>>(経過4)「咳ぜん息ではないか」とのこと。レントゲンも撮ったのですが、やはり異常は無かったようです。

→咳喘息はレントゲンを撮っても何も出ませんね。異常がなくても咳喘息は否定できません。喘息の症状が、典型的な発作でなく、咳としてしか現れないときに、咳喘息というだけで、中味は本当の喘息と同じです。

>>(経過5)テオフィリンの血中濃度が高すぎると上記のような副作用が出ると書いてある。素人判断で申し訳ないが、主治医に相談する時間も無いし、テオドールの量を(朝1錠・夜2錠)に減らしたところ、上記の副作用は無くなった。

→副作用はなくなっても、症状が取れなければ話しになりませんね。

>>「じゃあ、僕の出した薬は効かなかったんですね…」と、ちょっと不満そう。

→これは効かなかったのではなく、副作用のために、十分量を飲めなかったのですから仕方ないですね。テオドールは、特に若い方にはこのような副作用がある場合が多く、使いづらいのがネックです。

>>アレルギー検査の結果、アレルギーは無かったとのこと。また、痰の検査の結果でも好酸球の量は多くなかったらしい。主治医は、「おかしいですねえ…」と、考え込むこと50秒。でも実は、この喀痰検査、すっごくたんが切りづらかった時で、(去たん剤をもらう前)、無理してたんを出そうとすると、苦しくて吐きそうになったので、量が少なかったのです。

→確かに痰の検査は、良好な痰であることが前提です。一度だけでなく何度か繰り返すのがコツですね。

>>「でも、別に診断めいたものはできないなあ」と、ちょっと渋っていたけれど書いてくれました。

→症状と投薬内容は明らかに喘息です。発作がないということが、診断を決定する上での迷いのようですね。

>>そして処方された薬。(2週間分)

 ・テオドール(朝・夜1錠ずつ)
 ・コルドリン(朝・昼・晩1錠ずつ)
 ・ムコソルバンL(晩1錠)
 ・エリスロシン200(朝・晩1錠ずつ)
 ・ツムラ竹じょ温胆湯(チクジョウンタントウ)(朝・昼・晩1袋ずつ)

エリスロマイシンの処方は評価できます(ホームページも至るところで触れています)。しかし、吸入ステロイドを知っているのでしょうか? 知っていてもよほど嫌いなのでしょうか?

漢方の処方は、このように色々の薬が効かないときに、よく登場しますが、ほとんどは効かない場合が多いのです。私は、別に漢方を否定しているわけではありませんが、その前に、吸入ステロイドとか喘息の教育とかが重要で、多くの方はこれだけで良くなるのです。

>>(経過6)空気の良い△△でのんびり過ごせば良くなるだろう…と思い、調子の良い日中にはプールに行ったりして過ごしていました。

→発作は起きませんでしたか?

>>(経過7)そうして、△△の病院に行ってみたところ以下の薬が処方されました。
 ・フスコデ錠(咳止め:リン酸コデイン、塩酸エフェドリン配合)
 ・ペクタイト錠(去たん剤)
 ・クラリシッド錠200ミリ(抗生物質)
 ・テオドール100(朝1錠・夜1錠)
 ・頓服薬としてリンコデ100倍散「ヒシヤマ」
これらの薬を飲んだ所、日中のせきはほっとんど無くなり、夜せき込むこともすごく少なくなりました。せきが止まらなくなったときには「リンコデ」を飲むとだいたい止まります。

→喘息かどうか判然としないために、咳止めの処方となってしまったのでしょうが、実は喘息で強力に咳を止めるだけというのは危険なんです。痰があるから咳をするのに、咳を止めたら、痰が出せなくなってしまいます。咳を止めることは大切ですが、咳が出る原因を取ること、すなわち気管支の炎症除去が大切ですね。

>>しかし、せきは無くなったので日中はかなり普通通り生活できるようになったのですが、夜中の1時くらいから朝の5時くらいまで、今度はまた息苦しさが復活してきました。「ぜーぜー」というよりは、息を吐くときに「ひゅー」とか「すー」と言うのです。でも、呼吸の回数は多くはなく、むしろ息が吸いづらくかつ吐き出しづらいため、深呼吸じゃないと息を吸った気がしません。また、横になると余計に苦しく、気管が締め付けられるような感じです。のどに異物感があり、呼吸を重ねると、吐き出せなかった空気が気管にたまってきて、それがまた苦しく、無理をして「げっぷ」でたまった呼吸を出すと、2秒くらいは楽になります。また、テオドールは、夜2錠、朝1錠に変えてもらいました。この時になって、夜中息苦しかったときにサルタノールを試してみたところ、「あー確かに楽になった…」のです。でも、本に書いてあるような「大発作!」とかいう感じではなく、どちらかというと常に息苦しい感じで、夜になるとその度合いが50パーセント増しになる、といった感じです。

→これは非常に重要な症状ですね。サルタノールで楽になるのは、それだけで喘息といっても過言ではありません。早く吸入ステロイドを適応してもらって下さい。できれば、ピークフローメーターも。

>>1.私はぜん息なのかどうか?

→おそらく間違いないですが、肺活量の検査をぜひしてもらうと良いですね。もしこれが駄目でも、ピークフローが入手できたら、サルタノールの前後での値が参考になります。こちらは自宅でもできますね。もしわかったら値を教えて下さい。

>>2.現在の治療は適切かどうか、また、他によりよい治療方法があるかどうか?

→吸入ステロイドです。

>>3.ぜん息だとしたら、ぜん息の程度はどの位か?

→症状を聞く限り、発作としてはひどくはないようですが、夜間の症状などは非常に重症です。程度はあまり気にしなくて良いです。とにかく症状がなくなること、さらにその予防ができること、が重要です。ぜひ寒くならない(風邪が流行しない)うちに、喘息を克服しておいて下さいね。

>>私は学生で時間の余裕はあるためか、日々ぜん息関係の本や、薬の本を読みあさっています。今話題の、「ぜん息日誌」や「ピークフロメーター」、「吸入ステロイド」にもすごく興味があります。もう、この苦しい毎日から逃れられるなら、日記だってつけるし、ピークフローも計るし、吸入だってしてやるぅ…(笑)。

→これは非常に大切なことです。社会に出ると、自己管理をしたくてもそれを許してくれない状況がたくさんあります。今のうちにどうしたら良くすることができるかを学んでおいて下さいね。また、多くの若い方、思春期や学生さんは、若いという理由でなかなか自分の健康ということに気を使わないことが多いですね。若い方の喘息死が問題になるのにはそういった背景があります。

>>あと、本では肺機能検査とか載っていますが、そういった検査は一度も受けたことがありません。また、喀痰検査ももう一度行いたいです。今度○○へ帰ったら、じっくりと治療に取り掛かりたいと思っています。

→ぜひお願いしてみて下さい。

>>正直に言って、ここ2ヶ月、体調が悪くて気分も落ち込みがち、夜は苦しくて朝方5時くらいにならないと症状が治まらないため、寝付けず、そうすると完全自由時間のためついつい朝寝坊になりがちで、家族からは「怠けている」とか「だらしない」と思われてしまい、またそこですごくつらい思いをしています。素直に「息苦しくて眠れない」と言えば良いのですが、甘えたくないプライドとか、あるのか意地を張ってしまい、「言わなくてもわかって欲しい」と思って泣いてしまったりしています。

→私の中学1年生娘は、喘息でもないのに朝寝坊です。ましてや咳で苦しくては大変でしょう。だいたいは朝方になってようやく咳が止まって、さあゆっくり寝ようかと思うと、夜が明けて来るんですよね。また、親に悩みを話せないようではいけませんね。病気ですから、しっかり理解してもらって下さいね。このメールをコピーして、手紙を送るとか…。喘息でない周囲の人間の喘息に対する誤解を解くことは、非常に難しいことですが、積極的に解決しなければならない重要な問題です。車椅子に乗っている方が、実社会でどのような不便を感じているか、これは自分が車椅子生活になって初めてわかることなのでしょうが、それでは福祉国家とは言えませよね。わからない人間にわかってもらうような努力あるいは社会的な働きかけは必要なことです。

>>ちなみに私は、「臨床心理学」の勉強をしていますが、今回の一連の出来事は、「援助」とか「医療」というものを考えさせられる良い機会でした(…って、まだ終わってないけど)。患者が、本当に必要としていることはなんなのか。実感させられました。

→喘息が良くなったら、どのような研究をされているのかぜひ教えて下さいね。

>>ぜん息患者さんは、夜苦しくなりがちなため、昼夜逆転してしまいがちと聞きました。また、鬱状態になる患者さんも多いそうですね。私のように、時間の融通がきく場合、夜苦しくて眠れなくて、朝6時くらいに寝てしまう場合、無理してでも次の日早くに起きた方がいいのでしょうか? 規則正しい生活が健康に良いなんて100も承知だけどさあ…、やっと眠れて、しかも睡眠は息苦しいためどうしても浅くなりがちで、ついついだらだらと寝過ごしてしまいます。

→吸入ステロイドで症状が治まれば、自然と生活のリズムは元に戻ります。しかし、今のような状態では、疲れを残すことは最もいけません。ですから、時間があるなら、講義や研究に差し障りがなければ、十分身体を休めることですね。

では、お大事に。

続く