(2)良い主治医を発見することは恋人を探すくらい難しいですね。

【075】25歳女性(大学院修士課程)の方から

<追加メール1>

こんにちは。お久しぶりです。お元気ですか。

今日やっと大学に行ってメールを取り出すことができました。親切なコメントありがとうございます。参考になりました。

○○に帰ってからは、日中はまあまあ調子が良いのですが、夜中の12時くらいから徐々に苦しくなり、朝3時から5時くらいまでは、息苦しさ・咳・痰がひどくて眠れない状態でした。

でも、今日は、とてもうれしい報告があります。△△から○○に戻るときに、△△で通っていた病院と同じ系列の病院の呼吸器科の先生へ紹介状をもらっていたのですが、今日やっと、受診することができました。初めて会う先生なので、「どんな人だろう…」とどきどきして行きましたが、もう、すっごく良い先生で、感動してしまいました(単純)!なんと言っても、はじめに「大学院生なんだー」という、「世間話」をしてくれて、とってもなごやかで話しやすかったし、「ピークフロメーターとか、吸入ステロイドが主流と聞いていて、△△の病院でもこちらに帰ったら少し落ち着いて、そういった治療をしていただくように言われました」とお話ししたら、「よく勉強しているねー」と言ってくれて、「暇だったので、本ばっかり読んでいました」というと、「どんな本を読んだの?」という風に聞いてくれたり…。

今までは、「木を見て森を見ず」、「病気を診て人は見ず」といった先生が多くて(中には優しい先生も一杯居ましたが)、私自身の生活背景にまで踏み込んでくれたり、こちらが話しやすいように世間話をしてくれたり(世間話ばっかりで脱線のみでは困るけども)、なんて言う先生は初めてだったので、感動してしまいました。あの先生なら、ちょっと不安なことがあってもすぐに相談できそう、と嬉しかったです。良い主治医を発見することは、恋人を探すくらい難しいですね。でも、喘息は長期間に渡って治療を続けなくてはならないので、良い主治医を見つけられて本当に嬉しいです。

そんなこんなで、念願のピークフローメーター、吸入ステロイド、喘息日誌を手に入れることができました。やっと腰を落ち着けて治療できそうです。今回は、喀痰検査、肺機能検査は行わなかったのですが、経過などを見て不安があるようでしたら依頼したいと思っています。

次の予約の前に耳鼻科に行って、鼻炎がないかどうかの方も、検査を行おうと思っています。

ええっと、で、おうちに帰ってきて、早速ピークフローを計ってみました。はじめに計ったときは、3回行って最高値は360でした。(パーソナルベスト・標準予測値416)。で、サルタノールを吸入してから5分後くらいに行ったところ、410だったり、380だったり、360だったり、まだ計り方が悪いのか値が安定しませんねえ。でも、最高値は410になりました。また、テオドールは服用しています。もう少し、値が安定するようになったら、また試してみたいと思っています。また、自覚症状で調子が悪い時にも計って、差を比べてみたいと思います。なんか、結構自分自身を実験材料にしているようで楽しくなってきました。ははは。

今日処方された薬
 アルデシン:一日3回、1回3吸入
 テオスロー:朝1錠、夜2錠
 ムコソレート:朝1錠、夜2錠
 オラドール:トローチ

また、インスパイア・イースもいただきました。吸入の方法も薬局が詳しく教えてくれて、1回実演(?)もしました。ありがたい。

治療経過の方のコメント、またコメントさせていただきたいと思います。

>>こういうケースが非常に多いですね。動脈血液(酸素)検査や呼吸機能検査は行っていませんでしたね? 初期には何も出ないことがありますが、たとえ正常でも、気管支拡張剤を吸入するとぐっと値が良くなることがあります。これは、気管支喘息の特徴です。精神的なものと断定するには、もっと検査をして、他に病気がないことがわかってからにして欲しいものですね。

→確かにそうですよね。「わかりやすい喘息」に、ぜんそくの初期にはただ何となく息苦しかったり、咳が出やすかったり、など人によって様々であり、いわゆるわかりやすい「喘鳴」があるとは限らない、また、喘息ではないことは単にレントゲンを撮っただけでは決してわからないと書いてあったのを読んだとき、「あのときに対処していてくれれば、もっと軽症で済んだかもしれないのに…」と悔しい思いをしました。

>>内科的には、そう重篤な病気でないことがわかっただけですね。「クラリシッド」や「ルリッド」は抗生物質ですが、それが効いていたというと、いわゆる感染型喘息で、細菌感染がなかなか取れず息苦しさの原因となり、抗生物質をやっているうちは何とか増悪を抑えていたのが、投与を止めるとまた再燃する、という場合です。このような場合、喘息(だと仮定して)による気管支炎症を同時にとってやらなければ、なかなか感染の方も良くなりません。

→今となっては、そう思います。

>>症状があるのに、投薬を中止するのは困りますね。副作用が心配なら他の薬剤に変更するとかくらいはして欲しいものです。

→あるいは、他の病院を紹介してくれるなど。臨床心理学の世界でも、自分の手に余る患者さんは、リファーする事を考えます。その方がよっぽど親切ですね。また、私ももっとずうずうしく、「あまり良くなっていないので、一度きちんとした検査が受けたいから紹介状が欲しい」と要望をすれば良かったのかもしれませんが。

>>こうした期間が多くの喘息の方では、何年も続くようです。そうしているうちに真の喘息が顔を出してくるのでしょう。

→たまらないですねえ。知り合いの看護婦さんに、「季節の変わり目は、仕方がないのよ」と言われましたが、こんな状態が続いてしまっては、お仕事どころじゃないですよね。

>>エリスロマイシンの処方は、評価できます(ホームページも至るところで触れています)。しかし、吸入ステロイドを知っているのでしょうか? 知っていてもよほど嫌いなのでしょうか? 漢方の処方は、このように色々の薬が効かないときに、よく登場しますが、ほとんどは効かない場合が多いのです。私は、別に漢方を否定しているわけではありませんが、その前に、吸入ステロイドとか喘息の教育とかが重要で、多くの方はこれだけで良くなるのです。

→漢方は副作用が少なくて、長期間の服用にも安心できるところは多いが処方は穏やかなど、漢方ならではのメリット・デメリットはあるかと思います。漢方にしろ、西洋薬にしろ、病気に対して「手は多い方が良い」、たくさんの手を持ち、その中でその患者さんにとって一番良いと思われる処方をすることが大切なのではないかと思います。しかし、漢方に関するどの本を読んでも、漢方は、よりその人個人の体質や性質、「証」に合わせて処方すると書いてあります。果たして、あの時の診察で「証」を見極めるほどのものがあったかどうかは疑問です。「ぜんそくかどうかわかんないけど、とりあえず出しとけ」と言った感じでした。

>>発作は起きませんでしたか?

→プールの行き帰りや、掃除機をかけたりすると、息苦しかったです。後、夜に横になると、息苦しさと咳と痰が出ていました。

>>喘息かどうか判然としないために、咳止めの処方となってしまったのでしょうが、実は喘息で強力に咳を止めるだけというのは危険なんです。痰があるから咳をするのに、咳を止めたら、痰が出せなくなってしまいます。咳を止めることは大切ですが、咳が出る原因を取ること、すなわち気管支の炎症除去が大切ですね。

→そうですよね。痰があるのに、咳が出ないのは苦しいです。咳が出過ぎて、日常生活に差し障りがある場合は咳止めの使用も必要だと思いますが、あまりにも押さえすぎるのも苦しいです。

>>おそらく間違いないですが、肺活量の検査をぜひしてもらうと良いですね。もしこれが駄目でも、ピークフローが入手できたら、サルタノールの前後での値が参考になります。こちらは自宅でもできますね。もしわかったら値を教えて下さい。

→そうですね。ちょっと、様子を見てみますが、現在は350から410の間を行ったり来たりしています。この差が、計り方のせいなのか、それとも気管支の調子なのかはまだちょっと判別しづらいかも。中学時代に肺活量を計ったときは、女子の中でクラスで2位だったことを覚えています。もともとは、肺活量があるはず。

>>吸入ステロイドです。

→そうですね。簡潔なお答えありがとうございます(笑)。

>>症状を聞く限り、発作としてはひどくはないようですが、夜間の症状などは非常に重症です。程度というのは、あまり気にしなくて良いです。とにかく症状がなくなること、さらにその予防ができること、が重要です。ぜひ寒くならない(風邪が流行しない)うちに、喘息を克服しておいて下さいね。

→そうですね。現在は一人暮らしなので、あまり程度が重くなってしまったらそれこそ危険ですよね。誰も救急車は呼んでくれない。意識があるうちに何とかしなくては。

>>私の中学1年生娘は、喘息でもないのに朝寝坊です。ましてや咳で苦しくては大変でしょう。だいたいは朝方になってようやく咳が止まって、さあゆっくり寝ようかと思うと、夜が明けて来るんですよね。また、親に悩みを話せないようではいけませんね。病気ですから、しっかり理解してもらって下さいね。このメールをコピーして、手紙を送るとか…。喘息でない周囲の人間の喘息に対する誤解を解くことは、非常に難しいことですが、積極的に解決しなければならない重要な問題です。車椅子に乗っている方が、実社会でどのような不便を感じているか、これは自分が車椅子生活になって初めてわかることなのでしょうが、それでは福祉国家とは言えませよね。わからない人間にわかってもらうような努力あるいは社会的な働きかけは必要なことです。

→なるほど、そうですよね。親としては、喘息を軽く見ている部分があって、「食生活を整えて、規則正しい生活を送れば治る」と信じています。確かに病気になってしまった背景には、「不規則な生活・不摂生」があるとは思いますが、症状がいろいろと出てしまったら、いくら「規則正しく、食生活を整え」ても、それだけでは、なかなか回復できないのですよね。また、前半は夜中になると咳がひどかったので「眠れないのだな」と思ってくれたようですが、後半になると咳は咳止めで押さえていたため、「明らかにみんなにわかる症状」がなくなってしまったのです。よーく聞くと、ちょっとひゅーひゅーいっているかな、というのと本人の自覚症状として息苦しいのと、だったため、余計にわかりづらかったようです。発作が起きたときに、ちゃんと対応してくれるかどうか不安で、ブルーな気持ちにもなりました。ぜんそくは家族の理解や勉強が大切ですね。小児ぜんそくだと、お医者さんが両親に説明してくれますが、もうこの年になるとそれはないですよね(笑)。でも、決して両親も「放っておいている」というわけではなく、ただ単に「正しい知識が不足している」だけなので、きちんと説明すればわかってもらえると思います。今からでも少しずつ説明していきたいと思います。

>喘息が良くなったら、どのような研究をされているのかぜひ教えて下さいね。

→ぜひ、そのうち。

ちなみに、私の指導教官は、「学校臨床」が専門で、「教師のための電話相談」というのを行っていて、電話・ファックスの他に電子メールでも相談を受け付けています。たまにメールの内容を見せていただくこともあるのですが(もちろんどこの誰かは特定できないようにしてありますが)、学生の私が見ても、感動してしまうような、誠心誠意を尽くした、的確な内容です。そして、かなり様々な相談者から感動と感謝の「お礼メール」が送られたり、長年続いていた不登校が治ったり、問題が解決したりすると、先生も非常に嬉しそうで、「相談に答えること」自体が本当に好きなんだろうなと思っていました。

今回、先生にたまたまホームページで相談することができて、「いやあ、どこの世界にも私の指導教官のような人がいるのね…」と感慨深かったです。

また、私たちのところへ相談しに来る人々の心情、何度もいろいろな相談所へ行き、納得行く援助が受けられないで転々とし、やっと良い先生に巡り会えたときの嬉しさ、喜びなんて言うのも実感しました。とてもつらい思いもしましたが、非常に勉強にもなりました。

今度、そこの病院で「喘息教室」というのをやるみたいなので参加してみようかな。また、そこの病院では喘息の患者会も第1土曜の午後に行っているようなので、今度参加してみたいと思っています。

では、また経過など落ち着きましたらお知らせいたします。

いろいろとありがとうございました。

続く