(19)主治医のコメント

 この方の喘息の発症の様子も、他の患者さんと同様で、非常に生真面目な性格からくる仕事上の過労や繰り返す風邪などが原因のようでした。また、私どもを含めて専門医に到達するまでには「年」という月日が必要のようです。せめてその期間を「年」単位から「月」単位へ減らすことができれば、悲惨な目に会う方がぐっと減るはずだと思いました。今後は、喘息患者さんが最初にかかる一般開業医の先生と緊密に連絡を取ってゆかなければならないと考えさせられました。
 ピークフローメーターは、この手紙に寄りますと最初は300位でしたが、何度か集中的に外来で点滴したり、またプレドニンからメドロールへ変更したりして、通常は500以上で推移するようになりました(ピークフローメーターの経過図)。最大値は590で、私の予想をはるかに超えていました。また繰り返しになりますが、この方も590を経験する以前は300前後が自分の通常の値だと思っていたのですが、ステロイド治療により一度良い状態を経験すると、今度は次に300近くまで低下すると、自ら「点滴をして下さい。」と言ってくるようになったのでした。これを、「ステロイドに頼りすぎている。」と批判する医師がいるかもしれません。しかし、そこでステロイド投与を惜しむが故に、発作を起こし長期間入院になってしまうです。また、ピークフローメーターを毎日測定していることも、ステロイドが必要である時期を知る上でとても必要になるのです。

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