岩手医科大学臨床検査医学講座

第6号 〜



検査室における最新情報 ◇

【1】 NST (Nutrition Support Team) = 栄養サポートチームへ参加して


血液検査室・佐藤 祐子, 免疫化学検査室 小田代 律子
    

 検査部がNSTに参加して、2ヶ月になります。今NSTが、どのようなことを行っているかを、お知らせいたします。
まず各病棟から栄養コンサルタント依頼が栄養科に届きます。依頼書を見ながら栄養士が患者様の所に伺って、栄養の評価、必要栄養量の算出、栄養管理法と投与内容の確認を行います。この時、患者様の食べ物の好みや嚥下障害の有無を確認します。これに沿って毎週火曜日にミーティングが行われ、アルブミン量、ヘモグロビン量、使用薬剤等チェックしながら、医師、看護師、薬剤師、栄養士、検査技師で「栄養プランニング」を話し合います。その後、実際に患者様にお会いしその方の担当看護師に話を聞き内容の修正を加え主治医へ「栄養ケアプラン」の提言を文書で行います。そして、次の週のミーティングで前回の結果の「モニタリング」を行い必要があれば修正し、また新たな提言が行われます。
 これらの一連の流れの中で、検査技師の果たしている役割は、今の所検査の情報提示です。その日のNST依頼のあった患者様のデータをそろえ、変わった所がないかを目を通してミーティングに臨んでいます。
 これから更にNSTの一員として、検査技師が出来ることは何なのでしょうか。一つは、現在多く行われている検査の中で、患者様の栄養状態、免疫能等をより反映している検査項目を探し出すということです。もう一つは、将来的にですが新たな検査項目(プレアルブミン、トランスサイレチン等)を増やすということを考えています。
 NSTへの検査部の参加のきっかけは病院によって様々のようですがより患者様の栄養状態の改善に役立つように努めて行きたいと思っています。



【2】 ミニドック開催にあたり

「開かれた検査室」担当・村井 順子  

 
 現在人間ドックは大変人気があり、予約状況は一年後にも及んでいます。そのため「経過観察」を言い渡された受診者は一年近くも検査を受けることができません。また人間ドック受診者を対象に行われている検査部内見学のアンケートからも健康に関する関心度の高さが伺えました。そこで「経過観察」判定者を対象に、再受診を促しいつでも必要な検査が受けられ、安心して健康管理ができるようにということでミニドックを開始しました。
 簡単にタイムスケジュールを説明します。医事課にて受付をすませ(9時から15時)採血室にて採血を行い、そのまま帰宅となります。検査内容は血液学, 肝・膵機能, 肝炎, 脂質代謝, 糖尿病, 腎機能, 血清反応, 前立腺, 電解質検査など、気になる項目の検査ができるようセット検査となります。検査結果はコメントなどを添え郵送されます。また結果説明希望者には予約制ですが毎週水曜日に検査相談を行います。
 将来的には院内職員の方々はもちろんのこと、患者様の付き添いやマスコミを通じて院外の対象者にも拡大し、収益を計ってゆきたいと考えています。このごろ体の調子がどうも気になるという方は、仕事の合間にぜひ一度試して健康管理をされてはいかがですか。



【3】 免疫化学検査結果がより早く報告できるようになりました

免疫化学検査室・堀切 順子  

 
 腫瘍マーカー、内分泌、感染症検査などにおいて、昨年11月29日から新しい機器を導入し検査を行っています。
以前は、昼頃提出された検体が翌日測定となるケースも多く患者様、臨床の先生方には大変ご迷惑をおかけしておりました。現在では、下記の項目がリアルタイムに報告(1時間から2時間)でき、診療前検査にも対応可能となりました。少しでも患者様へのサービスとしてお役に立てればと思っています。他の項目につきましても、出来るだけ早く検査結果を報告するよう努力していきますので宜しくお願い致します。

 ・腫瘍マーカー:AFP, CEA, CA19-9, CA125, CA15-3, CYFRA, IAP
 ・内分泌   :TSH, T4, FT4, T3, FT3, PRL, LH, FSH, TgAb, TPOAb, Insulin, Cortisol, Estradiol,  
         Progesterone, HCG(尿)
 ・感染症   :HBs抗原, HBs抗体, Hbe抗原, Hbe抗体, HBc抗体, HCV抗体, TP抗体, HTLV抗体, HIV抗体
 ・自己抗体  :RF, 補体CH50, C3, C4
 ・その他   :ヒアルロン酸, Ferritin, β2MG, ASO




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