岩手医科大学臨床検査医学講座

第7号 〜



検査室における最新情報 ◇

@ 血液検査室:赤沈1時間値の測定開始

血液検査室・内田 妙子、佐々木淳子 

 

 従来、赤血球沈降速度(以下赤沈)は赤沈棒中の血球の沈み具合を観察するWestergren法の国際標準化法が主流に行われております。この方法での1時間値・2時間値の観察は、診療科にとって業務をより煩雑化する要因になっていることと思われます。
 中央臨床検査部では診療科の業務緩和を支援するため、自動測定装置ROLLER20を導入しました。この分析器は、定量キャピラリー中の赤血球凝集の時間的変化を650nmの波長で捉え、その光密度変化から赤沈1時間値を算出します。測定時間は5分ですので、迅速に結果を報告できます。検体は血液学検査用のEDTA加血を使用しますので、血液学検査と同時依頼の場合は改めて採血する必用はありません。

※1時間値の測定です。従来法の2時間値は測定出来ません。5分で1時間値ができるなら10分測定すれば?という質問もありま
 すが1時間値のみの検査です。
※採血管は血液学検査と同じです。血液学検査が終了したEDTA加血を使用します。採血量が少ないと検査が出来ませんので、
 再採血をお願いすることになります。推定量(2ml)の採血をお願いします。従来のクエン酸ナトリウム血では検査出来ませ ん。
※従来法との乖離例があります。高グロブリン血の症例で従来法150mm以上の検体で、ROLLER20 68mmと乖離例を経験しま
 した。今後、高値例の集積解析が必用です。

新検査法が、臨床各科の業務軽減と迅速報告による患者サービスの一助になれれば幸いです。どうぞご利用下さい。





A 超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診の検体処理を始めて

病理検査室・山田 範幸 

 

 病理検査室では、以前より放射線、耳鼻科、口腔外科には出向して細胞診の検体処理を行ってきましたが、2004年9月より第一内科の要請をうけて内視鏡室での細胞診の検体処理を始めました。対象となる疾患は、消化管の粘膜下腫瘍です。消化管粘膜下腫瘍は、粘膜内に腫瘍が露出している場合が少ないため内視鏡による組織生検診断が困難です。しかし、近年の医療の進歩で超音波内視鏡を用いて針を腫瘍内に穿刺することが可能になりました。その結果、目には見えない粘膜下の腫瘍細胞を採取して組織診断や細胞診断が行えるようになりました。検体処理は、細胞検査士という資格を持った臨床検査技師が行います。内視鏡室では、穿刺吸引された細胞を即座に簡単な染色を行って腫瘍細胞が採取されているか確認しています。細胞検査士が内視鏡室で検体処理するメリットは、検体不良による再検査が低くなることです。これらにより細胞診の正診率も高くなったように思います。病理検査室としては、今後も各診療科とのコミュニケーションをとりながら患者様のための医療に貢献したいと考えております。また、組織および細胞診で分からないことがありましたらお気軽に内線3610または3623までご連絡をお願いします。



03

Contentsへ戻る


教育方針講座スタッフ研究テーマ業績集検査室の紹介お知らせ