【移植検査センター】
当院では、1980年頃より生体腎移植が行われており、それに伴い検査部では、HLAタイピング検査とクロスマッチ検査を行ってきました。1995年には日本臓器移植ネットワークに『移植検査センター』として登録し、献腎移植登録者の検査も行うようになりました。これまでに300人を超す登録希望者の検査と、4件の脳死ドナーのタイピング検査を行いましたが、平成16年度より検査体制の見直しにより、“献腎移植登録時のHLA検査を行う施設”に指定され、脳死ドナーの検査は行っておりません。
【献腎移植登録をするにはどうすればいいの?】(図1)
〜移植希望→HLA検査→ネットワークに登録〜 慢性腎不全で腎移植を希望する患者さんは、
@移植希望施設においてHLA型を調べます。Aこのデータを腎移植ネットワークのコンピューターに登録します(登録料3万円、検査料3万円 ※検査料については、いわて愛の健康作り財団より2万円の扶助あり)。Bここで登録完了となります。
〜提供者発生→候補者選択→リンパ球直接交差試験→移植手術〜 提供者が発生した場合、@『献腎移植のレシピエント選択基準』にのっとり上位4名の候補者が選定されます。A候補者の意思を確認し、B提供者のHLAタイピングと、提供者と候補者の交差試験が行われます。Cリンパ球直接交差試験が陰性であった上位2名を移植候補者に選定し、D移植手術となります。なお、候補者選定には、搬送時間の短縮のため岩手県内で提供者が発生した場合、岩手県内の登録者のポイントが高くなるような配慮がされています。また、移植が施行されなかった登録者は、毎年更新手続きが必要となります(更新料5千円)。

【岩手県内の腎移植希望登録者数はどれ位いるの?】(図2)
岩手県内の腎不全患者数は、平成16年度で2,518人おり年々増加していますが、腎移植希望登録者数は120名と、少しずつ減少傾向にあります。この原因としては、慢性的なドナー不足により、『もし移植を希望しても実現する確率は少ないし、いつ現れるかわからないドナーに頼るより、計画がたてられる透析を続けるほうがいい』と考えられている患者様も多く、更新時に手続きをやめてしまうとか、待機時間の長い高齢者の死亡による登録抹消も考えられます。

【生体腎移植の件数はどれ位あるの?】(図3)平成11年から16年までの岩手県内の生体腎移植施行数はグラフに示すとおりですが、1件に対して少なくとも2回のクロスマッチを行いますし、検査をしても移植に至らない場合がありますので検査件数は移植施行数の2倍以上となります。

このように、中央臨床検査部では慢性腎不全の患者様の治療の1つである腎移植にかかわる検査を行っております。 (内線
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