(8)50歳、女性。(その1)
「気管支喘息」と告げられたのが1988年3月、今年で9年目を迎えました。昭和の時代が終わろうとしていた12月の暮れに熱と咳があり、いつもの風邪と思い、ホームドクターを受診しました。年明けの1月には熱も下がっていたのですが、咳と痰が続いていました。レントゲン検査を受けましたが、肺炎の兆候もありませんでした。時が過ぎれば自然に良くなるだろう、くらいに思い通院を止めていました。気が付いた時にはゼイゼイ、ヒューヒューという音が鳴っており、息苦しさで横になれず、眠れない夜がありました。
当時、ショッピングセンターの地下飲食街にテナント従業員として勤めていました。その時突然咳込みが激しく続き、喉が締め付けられる様な息苦しさが起こり、意識が薄れて行くのを感じたのです。いつもの風邪とは違うと思い、翌日大きな病院を受診したのです。
その時の病名を診断するあたり、いろいろな検査をやっていただいた様な気がします。その検査の中でも喘息の発作の要因となる皮内テストも行われ、結果はすべて陰性だったと記憶しております。それでも職場に入るとほうじ茶の焙煎する煙と臭いに咳込みが激しくなるのです。咳が続くと体の中にソーダ水でも入れられた様になり、手や足がチカチカし皮膚が青白くなり、頭が朦朧とし、意識が薄れて行くのです。
発作を誘発する原因は他にも沢山あります。コーヒーの臭い、特にマシンでたてるコーヒーの臭いは眼痛や頭痛も引き起こすのです。タバコ、油、ラーメン屋で煮るチャーシューの臭い等は最悪の状態に陥りました。日を重ねる事に苦しさが増すようになり、吸入の気管支拡張剤が手放せなくなっていました。一時期にはその拡張剤を2時間ごとに吸引しながら働いておりました。
臭いによる喉の詰まりと息苦しさ、動悸が常に起きている状態でしたので、物を持ったり、体を動かすことが辛くなっていました。職場に入る階段の一段がいつの間にか昇れなくなっていたのです。他人様は「季節が変われば病気も良くなるよ。」、「更年期の時期だから。」、「歳まわりが悪いから。」とたくさんの慰めを言ってくれましたが、良くなる兆しは見えませんでした。それどころか、春夏秋冬の季節を問わず、早朝、深夜と頻繁に発作は起こり、その都度救急外来に駆け込み点滴を受けなければなりませんでした。
いつの頃からか、喘鳴が出なくなっており、診察の時でも喘鳴は聞こえないと言われるようになっていました。それでも喉にはいつもフィルターがはめられているような詰まりがあり、息苦しさは常時ありました。深夜に発作が起こり、救急外来に駆け込んだのですが、
「喘鳴が聞こえないので喘息ではないですね。」
と言われ、点滴はやってもらえず、苦しさと辛さに喘息を恨み、泣きながら帰宅せざるを得なかったことが何度かありました。
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