気管支喘息の患者さんへ(2)
しかし、現在の黄色信号状態のままでいくら吸入療法を続けても、通常の生活(仕事や家事)を送っている限り、そう簡単には青信号状態には到達できません。その理由は、(1)仕事や家事の日常生活のストレスは、絶えず刺激となり気管支粘膜に休まる暇を与えず、また(2)黄色信号状態では気管支が細くなっていたり、痰がつまっていたりで吸入ステロイドが十分に気管支粘膜に到達しないからです。
従って、黄色信号状態から青信号状態へのレベルアップには、
(1)一時的に日常生活から離れてを安静を保つ(気管支粘膜を休め保護する)
(2)全身性ステロイド(点滴や内服)を一定期間投与する
の2つのことが必要になります。この2つがしっかり守られれば必ず黄色信号状態から青信号状態へレベルアップすることができます。これを短期間で達成できる方法が入院です(付図.3)。
しかし、多くの患者さんはひどい発作(赤信号状態)でもなければ入院をいやがります。発作を起こしてからの入院加療は通常発作をとるための入院で終わることが多く、赤信号状態から脱すること(通常は黄色信号状態へもって行く程度)が目標になります。黄色信号状態で退院しても、不完全な状態にあるわけですから、再び発作が起きてしまいます(付図.4)。
赤信号状態から一気に青信号状態へもって行くには、2週間以上全身性ステロイドを投与しなくてはならず、この場合はステロイドの副作用(骨粗鬆症、糖尿病、白内障、肥満など)が出現してしまいます。また、多くの患者さんは喘息の自覚症状が改善するために不完全な黄色信号状態のまま退院を希望するので、結局青信号状態には達し難いのです
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