気管支喘息の患者さんへ(3)

 従って、短期間に青信号状態へ到達するには黄色信号状態から全身性のステロイド投与を開始するのが理想となります。もし、入院が不可能なら(1)7〜10日間の自宅安静を保ち、(2)十分な全身性ステロイドを経口的に投与する(あるいは、その期間通院して点滴を続ける)ことです。実際に、ひどい発作は起こらない黄色信号状態にあった患者さんが、会社に診断書を提出のうえ1週間仕事を休んで点滴に通い、一気に青信号状態までもって行くことができた例があります(付図.6)。
 しかし、実際仕事や家事に追われる患者さんは、(2)は簡単にできますが(1)はなかなか守れないものです。せっかくあと少しで青信号状態に達するところまで行っても、仕事や家事を続けたままでは、また元の黄色信号状態に戻ってしまいます。(1)が守れないまま(仕事や家事を続けたまま)、もう少しもう少しと全身性ステロイド投与を続けるうちに、体内のホルモンバランスが崩れはじめ、種々の副作用が出現するばかりでなく、ついには急にステロイド投与を中止できない状態になってしまいます(付図.7)。
 その理由は、外からホルモンを投与したことで、もともと体のなかにあるホルモンを作る働きが弱くなってしまうからです。2週間以上大量のステロイドを投与した後、急に投与を中止すると、もともとのホルモンを作る働き(付図.8の1)が弱くなっているために、非常に危険な“ホルモン欠乏状態”に陥ってしまうからです(付図.8の2)。従って大量のステロイドを全身投与する場合は、短期終結(2週間以内)しなければならないのです。

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