(17)主治医のコメント(その3)

 薬剤投与を中止する最大の条件は、“ピークフロー値がベストに近い状態にあること”です。ベストでない状態(黄色信号状態)で薬剤減量を実行すると、突然発作を起こすことがあり、危険を伴うと考えられます。彼の場合、喘息の比較的初期に吸入ステロイドが投与されたこともあり、気道炎症をほぼ完全に除去することが可能であったと考えられます。しかし、吸入ステロイドを投与してもピークフローのベスト値を得られない患者さんの場合は、ある程度全身性ステロイドの助けを借りなければならないというのが私の考えです。
 話しは飛んでしまいましたが、吸入ステロイドを中止し、数ヵ月経過した彼のピークフローはまったく600を下回りませんでした(ピークフロー経過図)。私は、このまま順調に行くとは考えてはいませんが、彼がピークフローを継続してくれる限り、心配はしておりません。朝起きたら毎日歯を磨くように是非ピークフローを癖にしてもらえたらと願って止みません。

本人の手紙へ 主治医のコメント 目次へ