(9)主治医のコメント(その4)
“喘息とうまくつきあう”―この方が言うように、喘息という理由で嫌なことは拒否できますし、また一つの病気を管理克服することは、他の病気になりにくいとも言えるのではないでしょうか?よく、今まで1度も病院にかかったことがない人ほど、病気発見が遅れこじれて命取りになったり、あるいは大病が隠れていたりといったことがあります。むしろ、血圧が高いとか、腰が痛いとかでちょくちょく病院にかかっていた方が、早く病気が見つかり適切な処置をとってもらえたりする。「何で自分ばかり喘息でこんなに苦しい思いをしなければならないんだ。」と考えるより、「喘息は神様が自分に授けてくれた贈りもの」と前向きに考えて、うまく喘息とつきあって、自分の健康管理をして行くのも一つの生き方であると思うのです。
この方は、自己管理ができるようになって、木工所勤務という喘息にとって絶悪ともいえる環境の職場に転職しました。さらに、これは余り歓迎できませんが、発作の為にせっかくやめていた煙草までも少ない本数らしいのですが再開したというのです。しかし、これで大きな発作を起こさずにしかもPF値を600前後に維持できるのですから、その自己管理法には頭が下がります。(しかし、できればたばこは止めたほうがよいと思います。喘息は克服できても肺癌になるかもしれませんよ...)
喘息の本は余りにも医者向けと患者向けに分かれすぎてきて、真の意味で喘息の病態がわからない、との指摘はなるほどと思いました。この方の場合、確かに自分なりに喘息の病態を色々と勉強し、色々な角度から自己分析を一生懸命しているからだとは思いますが、喘息の本質がわかったことではじめて自己管理ができるようになった模範例であると思います。“喘息は知れば怖くない病気”です。もっともっと喘息についてわかるようになれば、病気は克服でき、しかも健康者と何ら変わらない生活が送れるようになるはずです。皆さんも是非この方から喘息管理法のヒントをつかんで欲しいと思いました。
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