(3)主治医のコメント(その1)
彼女の場合、生理の度にピークフローが低下し、常に風邪を引き易くまた風邪を引く度に発作を起こすという日々が何年も続きました。しかし、その都度の入院や外来点滴を繰り返し一時はピークフロー値を400位で“安定”することができました。この値は、彼女の年齢と身長を考慮するとほぼ平均値であり、またこの値を維持することで以前のように生理でもピークフロー値はあまり低下しなくなり、また風邪を引いても発作を引き起こさないなど目覚ましい進歩がみられました(ピークフロー値の変化(1))。しかし、しばらくすると油断したこともあってか過労と大きな風邪が原因でピークフローが低下し、ついにはまた発作で点滴を繰り返すようになったのです。私は、もしかしたらピークフロー値の400という値が彼女のベストではないのではないかと疑問を抱き、次の発作で来院した時にいつもは400に達すると中止していたステロイド点滴を、ピークフローがどこまで上昇するのか見てみようともう1週間継続しました。今だから言えますが、私にとってもステロイド点滴を続けることは多少の不安はありました。しかしステロイドの副作用が出るどころか、彼女のピークフロー値はぐんぐん上昇しついには500を超えてしまったのでした。500を超えた彼女のその後の日常生活は目覚ましいものがありました。400位で維持していた時は生理時に多少下がったピークフロー値が、今回は生理時に低下するどころか逆に少し上昇したり、驚いたことには風邪を引かなくなってしまったのでした。家族には、以前は起き上がる度に「よっこらしょ。」と言っていたのに、すっと立ち上がれるようになり「お母さん、若返ったね。」と言われたそうでした(ピークフロー値の変化(2))。
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