岩手医科大学臨床検査医学講座

第1号 〜


医療経済と生理機能検査室の存在とこれから

中央臨床検査部生理機能検査室 中居 賢司

 

 
 構造改革に伴い医療にも抜本的改革と医療費抑制が求められている。医療費抑制の矛先は、@ 医療経費 ― 特に、検査関連の診療報酬の引き下げ、A 国立病院独立行政法人化に見られる検査医学・検査部などの定員削減と外注化などである。数年後には、卒後臨床研修義務化を迎え、臨床検査医学講座のあり方が問われている。
 岩手医科大学中央臨床検査部での日常業務体制を考えるには、上記の医療を取り巻く厳しい外部環境を避けては通れない。しかし、地方の私立大学である岩手医科大学の立地条件の特殊性と独自性を追求すべきである。
 臨床検査医師(技師)の役割は、「認定臨床検査医のためのGIOs」から引用すれば,7つのうち検体検査管理加算に関連した部分は,1)各種臨床検査に関して臨床医のコンサルタントとしての機能,2)臨床検査医の診断・コメントが必要な各種検査報告書の発行,3)臨床検査部(室)の適切な管理・運営の3点である。いずれ、臨床検査医師および技師の役割は,診療支援〈Laboratory Logistics 〉あるいはそれぞれの専門分野を生かした特定診療と特定技術の開発にあろう。一方,一部の検体検査の外注化が行われた場合、生理機能検査は診療支援として外注化には適さない。今後、生理機能検査も臨床検査管理加算の一部として組み込まれるべきであろう。
 現在、生理機能検査室(技師10名)では、心電図、ホルター心電図、サーモグラフィー、ABI検査、脳波・終夜脳波・誘発反応検査(ABR・VEP・SEP)・R‐Rインターバル検査などを行っている。最近、腎エコー図検査の検査支援や術中モニターを導入している。脳外科手術時には術中SEPとABRを、整形外科手術時には脊髄誘発電位などの術中モニターリングを行い手術室への出張検査を行っている。今後、特殊外来での検査支援を考えている。特定機能病院
である岩手医大の各臨床科の要望に応じた独自の診療支援が、臨床科より必要とされる中央臨床検査部生理機能検査室のあるべき姿ではなかろうか。医療経費の削減など経済効率優先の医療環境であるが、臨床各科の要望を取り入れ、患者中心の良き医療のための診療支援<Laboratory Logistics>を構築出来ればと考えています。技師各位の技術革新のための向上心が不可欠であります。今後とも臨床各科のご協力を期待します。

 


03

Contentsへ戻る


教育方針講座スタッフ研究テーマ業績集検査室の紹介お知らせ